朱鞠内湖からの帰り,国道275号線から国道239号線と通って,苫前町で海岸線に出て,そこから海岸に沿って留萌市に戻るつもりで走っていたのですが,国道239号線に右折する場所がわからず,そのまま国道275号線を走ることになってしまいました。日本の道路標示は,意味のないものは多々あれど,必要な場所で必要なものがないのです。しばらくしてそれに気づいてUターンをしようと思ったのですが,少し遠回りにはなっても,特に急ぐ旅でもないので,そのまま沼田町まで南下してそこから高速道路で留萌にいくことにして,そのまま国道275号線からの景色を楽しむことにしました。
それがまあ,国道275号線は,すばらしい景観が続き,それはそれは若干雄大さには欠けるけれどオーストラリアの田舎のようだったし,国道沿いにときに通りすぎる町は,アメリカの古びた田舎町のようで,海外旅行のできない今の私としては,かなり満足でした。
途中に,道の駅「森と湖の里ほろかない」がありました。道の駅のセンターハウスは「ルオント」と名づけられていて,2020年4月にリニューアルオープンしたものだそうです。「ルオント」は「Luonto」と書き,これは,フィンランド語で「自然の恵み」を意味する言葉です。「ルオント」には露天風呂「三頭の湯」とレストラン「そばの里」があります。「そばの里」には,手打ちの幌加内そばやカレーなどの食事ができました。私は,この日のランチメニューから食しました。
このあたりを幌加内町といいます。幌加内町の名産はそばです。7月中旬から8月中旬というから,ちょうどこの時期,幌加内町はそばの花の季節を迎えます。作付面積日本一を誇るそばの花が開花を迎えるので,町内の至るところには見渡す限りの白い風景が広がっていて,その景色は「幌加内は2度雪が降る」とも形容されるということです。朝に夕に表情を変えるそば畑は絶好の撮影スポットということで,4箇所のビューポイントが作られ,そば畑を見慣れた町内の人が「ここは見応えある」と思える場所をピックアップして案内板が整備されていました。
いつものように,私はこれを見にきたわけでもないのに,しかも,道を間違えたために,こうしたベストシーズンに,辺り一面に咲くそば畑を見ることができたのでした。
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本来なら,これを見るだけでも十分幸せな観光旅行になるわけです。しかも,おそらく通常ならば観光客でごった返しているのでしょうが,コロナ禍で観光客は皆無でした。
しかし,ネオワイズ彗星を見にきた私には,つねに天気が気ががかりで,依然として雲が切れない空を見ると私の観光気分は吹っ飛んでしまいます。もう昼過ぎたというのに,空は未だ雲に覆われていて,この日の晩も星空が見られるとはとても信じられませんでした。天気予報はうそつきだと思いました。昨晩彗星が見られたのなら,この日はもっと楽しい気分になれたのになあ,と思いました。なんとか今晩こそは彗星を見ることができて,明日は落ち着いて観光をする気分になれたらいいなあと,切に願いました。