朱鞠内湖からは国道275号線を南下して,沼田町まで戻ってきました。国道275号線はとても走りやすく,まわりの景色も美しい,私がイメージする北海道らしい道路でした。こういうところならまた来てもいいなあと思いました。
次第に晴れ間が増えてきたとはいえ,未だ快晴とは程遠い天気でした。
沼田町から留萌市までは無料の高速道路です。山を越え,いくつかのトンネルを過ぎ,留萌市に近づくと,ついに,天気は快晴となりました。どうやら,日本海側は快晴のようでした。あとは,この天気が夜まで続くことを祈るだけでした。
留萌の町に着いて,この日から2泊する留萌市の市街地にあるホテルに向かいました。どうして2泊目から宿泊先を変えたかというと,留萌市で宿泊場所を探していたときに,一番はじめにもっとも安価なものを見つけたのが昨晩泊まったゲストハウスなのですが,まずはじめの1泊を予約してみると,このゲストハウス,実は,宿泊代以外に,結構高価なクリーニング代とかいうものが別途必要で,結局割高になってしまったからです。まあ,言葉は悪いのですが,きちんと説明書きを読まなかった私がだまされたかたちになってしまったのです。こういう別途クリーニング代というのは,ハワイのコンドミニアムでは常識のようなものです。つまり,ブッキングコムやらエクスペディアに表示されている値段のほかに別途支払う料金が必要なのです。しかし,まさか日本でもそういうものがあるとは思いませんでした。
そこで,残りの2泊は,通常のホテルに変えたというわけです。留萌市には,このホテル以外には,いわゆるネットで予約できるようなホテルはありませんでした。また,留萌市には旅館がいくつかあるようなのですが,それらはネットでは予約できず,実際,営業しているのやら休業しているのやら,よくわかりませんでした。

留萌市に戻ってきたのはホテルのチェックインができる時間の午後3時よりも少し早かったのですが,おそらくもうチェックインができるだろうと行ってみました。そして,実際,できました。
一度部屋に入って,いよいよサロベツ原野に向けて出発しました。
サロベツ原野まで,海岸線に沿って,国道239号線,国道232号線と海岸沿いを北上して行きました。小平町,苫前町,羽幌町と過ぎていくと,最果て感が満載になってきて,ウキウキしてきました。そして,このあたりならどこでも星が見られるような感じの場所になってきました。私は,異国に来たみたいな気持ちになってきて,すっかり満足しました。
羽幌町に差しかかると,それまではずっと快晴だったのですが,少しずつ雲がでてきました。
天気予報では,この先のサロベツ原野から稚内にかけては快晴で,その途中の羽幌町あたりだけ雲がかかっているというものだったので,これは,予報通りでした。
初山別村に入ると,「天文台」と書かれた道路標示が見られるようになってきました。時間もあることだし,このあたりに天文台があるのなら行ってみようと思いました。
道路標示に従って,国道を離れて行ってみると,やがて,大きなキャンプ場があって,その一角にドームがありました。これが初山別天文台でした。初山別天文台は初山別村の岬にある,日本最北の天文台でした。地元の青年団と自治体が運営し,通常観測のほか教育目的で連日一般公開されているということです。中を見学する料金は無料で,1階の簡単な展示室とビデオ,そして,望遠鏡を見ることができました。望遠鏡は三鷹光器製の口径650ミリメートルカセグレン式反射望遠鏡という本格的なものでした。また,この天文台のある周囲は岬公園となっていて,公営の温泉付宿泊施設やら運動施設,海水浴場,キャンプ場がありました。
この天文台は,テレビドラマ「白線流し」の舞台となったところだそうです。

とてもすばらしい場所で,私は,サロベツ原野まで行かずとも,よほどここで彗星を見ようと思いました。公園には売店があったので中に入って聞いてみると,どうやら,この天文台の周辺は,夜になると,安全のためにかなりの街灯が明るく光るようなのです。理由を聞くと,どうして安全のための灯りを消さなくてはならないのか,まったく理解していないようでした。要するに,無知なのです。
これでは,宝の持ち腐れです。安全のための灯りならば,アリゾナ州のフラグスタッフのように,下向きに街路灯を設置するなどの方法があるのです。要するに,そんなことさえできない。これが日本なのです。中には,ここに来た人が星が見えないので灯りが邪魔だと苦情を言うそうですが,どうしてそんな苦情を言うのかと話していました。
私は,こりゃだめだと失望しました。そして,天文台を後にして,当初の予定通りサロベツ原野に向けて出発しました。

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