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 以前,アメリカの国立公園の紹介をしたので,今回からは天文台をとりあげます。天文台はアメリカに限らず,日本もオーストラリアも見学したところがあるので,順に紹介していくことにします。
 星に興味のない人に天文台を見学に行くというと,星を見にいくと思う人が多く,望遠鏡を見にいくというと,そのどこがおもしろいのかと聞かれるのですが,それも当然です。それは,車に興味のある人がクラシックカーの博物館に行くのと同じようなものでしょうか。
 とはいえ,どんな望遠鏡でも見たいわけではなく,子供のころに図鑑で見たものを中心として,そのころに憧れた,いったいどんな山奥にあるのだろう,とか,どんなに大きいのだろう,とかそういった好奇心からくるものです。
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 私がそうした興味をもつようになった原点の本が3冊あります。
 1冊目は学研から発行された「原色現代科学大辞典」の第1巻「宇宙」に載っていた世界中の天文台,2冊目はこのブログにもたびたび登場する「月刊天文ガイド別冊・日本の天文台」,そして,3冊目は出口修至さんの書いた「アメリカ天文紀行・ふたたびキットピークへ」です。
 こうした本に書かれてあった天文台に一度でいいから行ってみたいものだとずっと思っていたわけです。

 では,はじめます。
 話は矛盾しますが,上記にあげた本にはかかれていないハワイ島マウナケアの天文台から,まずは紹介します。
 私は,ハワイというのは日本人観光客ばかり,という先入観から,あまり気が進みませんでした。それでも行ったのは,アメリカ合衆国50州制覇の目的を達成するためだったのですが,せっかく行くならということで目指したのがオアフ島ではなくハワイ島でした。それはハワイ島にはすばる望遠鏡をはじめとする多くの天文台がマウナケアの山頂にあるからでした。
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 ハワイ諸島の中で一般の人が行くことができるのは6島ですが,そのうち最も東側のある大きな島がハワイ島です。
 この島の中央にそびえるのが標高4,200メートルのマウナケア。実際,私は,この場所にお昼間と早朝日の出前の2度行きました。マウナケアの山頂には,世界最大級の天文台が13基あります。この望遠鏡のあるあたりは,ハワイ島のどこからでも見ることができるように思われるのですが,実は,ハワイ島でも地図の①で示したワイメアからと②で示したヒロからだけ山頂の天文台のドームを見ることができるのです。

 マウナケアにある望遠鏡のひとつが,日本の誇る口径8.2メートル,世界最大級のすばる望遠鏡です。しかし,すばる望遠鏡のドームを外から見ることはできても,事前にアポイントを取らないとその内部の望遠鏡自体を見ることは簡単にはかないません。
 私も,すばる望遠鏡の本体を見ることはできなかったのですが,すばる望遠鏡のドームは,見てきました。その代わり,お昼間に行ったとき,そのお隣にあるケック望遠鏡はこの目で見ることができましたし,ビジターセンターにも行くことができました。明け方に行ったときは,マウナケアの山頂にある多くの望遠鏡が,ゴーゴーと音を立てて観測をしている姿に感動しました。また,雲海から昇る朝日の美しかったこと。
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 すばる望遠鏡の最大の発見は「すばるディープフィールド」といって,くじら座のあたり,何もなさそうな場所を写したときに見つかった銀河団です。この銀河団は距離が100億光年,約90,00,000,000,000,000,000,000キロメートル(900垓キロメートル)の向こうです。宇宙の年齢は138億年といいますから,宇宙ができてわずか38億年経ったときの姿を見ているということになります。

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