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●まさに地の果て,ハラワ湾●
 クミミビーチで日の出を見て,さらに東に向かって進んでいった。ここまで来るときに見つけた家は1軒であったが,こうした場所に住んでいるのに,何か驚きとともにうらやましさを感じた。
 やがて,海岸線に沿って道がなくなり,高台に向かって登り坂になった。道路が狭くなり,曲がりくねっていてカーブが続いたのだが,「地球の歩き方」に「車がすれ違えないほど狭い場所がある」と書かれてあったので気になったが,さほどのことはなかった。もっと狭く,路肩が崩れたような道が日本にはいくらでもある。
 日本の道路は,工事などしなくてもいいのにやたらと工事を繰り返したり,また,道路をいろんな色で塗りたぐったり,ポールを立てたり,蛍光板を光らせたりと,豪雨にでもなれば,それらが意味なく光り,危険極まりないような整備? をしているところがある反面で,センターラインすら消えかかっているのに,一向に引き直さなかったり,山の中では崩れたままになっているような道路が山ほどある。
 それに比べたら,ずっと整備されているし,意味のない看板もないから美しい。
 
 くねくね道を登っていくと,やがて丘の上まで来て,そこは,ククイの木がうっそうとするラニカウラ・ククイの森(Lanikaula Kukui Grave)があった。広い駐車スペースがあったので,一旦車を停めて外に出てみた。
 再び出発すると,マナエ・グッズ&グラインズ(Mana'e Good & Grinds)という小さなストアが1軒あって,早朝とはいえ,店は開いているようで,車が1台停まっていた。
 あとで思うに,このお店は食事もできるようだったので,ここで朝食をとればよかったのだが,なぜかこのとき,そんな心境にならず,写真の1枚すらないのが惜しまれる。私は,結構図々しく何でもチャレンジするのだが,突然,消極的になってしまう悪癖があって,後で後悔する。
 このあたり,何もない山の中のようで,実は,牧場があって,人が住んでいる。そして,この店がこの辺りにあるたった1軒のストアなのだった。
 
 マナエ・グッズ&グラインズを通り過ぎると,プウ・オ・ホク牧場(Puu O Hoku Ranch)があった。意外なことにここは平原が広がっていて,牧場と道路の境は有刺鉄線で囲われているにもかかわらず,突然,数頭の野生のシカが次々と道路に飛び出してきた。シカは有刺鉄線をものともせず隙間を器用に通り抜けたようだったが,こんなところでシカを轢いたらエライことになると思った。モロカイ島に野生のシカが生息しているのにも驚いた。
 牧場ではウシがのどかに牧草をほおばっていた。これが,昨晩食べたハンバーガーにあったモロカイ島産の肉なのだろう。

 やがて,牧場を越えると,道路は下り坂となり,車が1台しか通れない道幅となり,海に落ちていくような急坂を下ると,眼下にハラワ湾(Halawa Bay)が見えてきた。
 ハラワ湾のまわりはひとひとり見えなかった。調べてみると,かつては集落があって栄えたということだが,今はもう秘境以外の何モノでもない場所だった。道路もほとんど車が通った痕跡がなかった。
 遠くには滝が見え,不思議なことに,湾の向こうに民家が1軒あったのだが,そこに行く道がみつからなかった。ここは,まさに地の果てであった。こうだから,旅はやめられない。いくら多くの日本人がハワイに行くとしても,こんなところまで来た人が何人いたことだろうか。
 なぜかうれしくなって,私はしばらくの間,ハラワ湾を眺めていた。


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