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2021年2月21日にTBS-BSで放送された「吉岡里帆 神秘のハワイ・宇宙と地球をつなぐ島」を見ました。この番組は,2019年1月18日のに放送された番組の再放送だそうです。
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日本人の旅行先として人気の“常夏の島”ハワイ。今回の番組の舞台は,ハワイ諸島の最南端・ハワイ島。このハワイ島,実は,宇宙と地球の様々な謎に地上から迫ることができる,特別な場所なのです。最先端の望遠鏡が捉えた宇宙の姿,灼熱のマグマが見せる地球の鼓動。そして母なる海と生命の誕生物語-。世界各国の巨大望遠鏡が並ぶマウナケア山(4,205メートル)で,世界一の星空観測を体験! 噴火を続けるキラウエア火山で“生きている地球の姿”を感じる!
女優・吉岡里帆がマウナケアやキラウエア火山など,ハワイ島を巡り,果てしない宇宙,そして生きている地球の謎に迫ります!
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という内容の番組でした。
この番組がはじめて放送された2019年の1年前,ハワイ島のキラウエア火山は大規模な噴火を起こしました。私がはじめてハワイ島に行ったのが2016年でしたが,このときのキラウエア火山はあまり活動しておらず,ちょろちょろと立ち上る噴煙は,世界三大がっかりだと思ったほどでした。ところが,その2年後の惨事です。一寸先はわからぬものです。
話は逸れますが,私がこれまでに訪れたところの,このキラウエア火山をはじめとした少なからぬ場所,つまり,フロリダ半島,ニューヨークの貿易センタービル,熊本城,阿蘇山,箱根山などなどが,なぜかその1,2年後に,ハリケーンの直撃,テロ,地震,噴火など,何がしかの災難に遭遇しているのです。偶然とはいえ申し訳ない限りなのですが,それは私の責任ではありません。
さて,この番組では,まず,このキラウエア火山の様子を,吉岡里帆さんが,ヘリコプターに乗って空から,そしてまた,立ち入り禁止が解除された地区へと足を運び,リポートしました。ここで,なぜハワイで噴火が続くのか? という説明があったのですが,もともとハワイはこうした火山の噴火でできた島なので,この問いはおかしいのです。
次に,マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡を訪ね,望遠鏡に搭載されているHSC(Hyper Suprime Cam)という超広角カメラによる世界最高峰の技術でとらえた宇宙の姿に感動し,さらに,対壁のマウナロア山にある,ハワイ大学とNASAが共同運用する「火星での生活を模擬実験する施設」を体験します。
その後は,世界屈指の天文博物館,といっていたけれど,私には期待はずれだったイミロア天文学センター」を訪れたり,ホナウナウ・ベイでシュノーケリングに挑戦したり,さらには,高速ボートに乗って「オリーブグリーン色のビーチ」へ行き,「宇宙とつながる神秘の絶景」という,そのビーチから絶景を見ながら,オリーブグリーン色の秘密と宇宙とのつながりを探るといった,盛りだくさんの内容が展開されました。
私は,はじめのうちは期待外れで,途中で見るのをやめようと思ったのですが,もともと興味のあるすばる望遠鏡のあたりからおもしろくなって,最後まで見終えました。
それにしても,この番組は,どんな人を視聴者として想定していたのでしょう? 吉岡里帆さんがどのくらい人気のある女優さんなのかは知りませんが,この人を起用することで視聴率をとろうという魂胆だったのかもしれません。しかし,吉岡里帆さんは,やらたと「すごい,すごい」と繰り返すだけで,少し荷が重そうでした。それでも,わけのわからぬお笑いタレントや,自称宇宙好きとかいうだけで知ったかぶりの質問をする俳優さんでなかったのはマシでしたけれど…。
内容は,ハワイ観光好きの人を対象にしているとは思えなかったし,私のような,こうした自然が好きな人を対象としているには,内容が物足りないものでした。せっかく,個人旅行で行くことが難しいところへ出かけているのに,これでは少しもったいない気がしました。番組の制作者のレベルがその程度だったのでしょう。
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蛇足ですが,建設されて早くも20年も経ったというすばる望遠鏡の紹介で,建物にあるエレベータが時折故障して止まるだとか,映像をよく見ると,望遠鏡の塗装が剥げていたり,何かをぶつけてへこんでいたりと,さすが? 日本の研究施設らしいチープな姿には,やはりここもなあ,とがっかりしました。
私は,これまで,ハワイ島マウナケア山のすばる望遠鏡のお隣にあるケック望遠鏡,カリフォルニア州にあるパロマ山天文台とウィルソン山天文台,さらにはアリゾナ州にあるローウェル天文台など,多くの施設を見学しましたが,どこもきちんと整備されていて美しく,整理整頓されていました。それに比べて,それはまるで,きちんと線のかかれたアメリカの道路とペンキはげはげの日本の道路の違いのように,東京天文台の木曽観測所や三鷹の国立天文台の施設が塗装がはげたままのドームに修正テープむき出しの望遠鏡だったのと同様,どうして,この国の研究施設は,公立学校やお役所の建物みたいに,どこもかしこも,年月が経つとぼろぼろになってしまうのかな,といつもそのことを疑問に,かつ,残念に思います。