●ファーマーズマーケット●
☆3日目 2020年2月22日(土)
それにしても幸運だったのは,滞在3日目が土曜日だったことだ。それは,土曜日の朝はカウナカカイのダウンタウンでファーマーズマーケットをやっているということだったからだ。わずか2泊4日のモロカイ島への旅であったが,ムダのない充実したものとなった。
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ファーマーズマーケットは世界中のさままな場所で行われていて,これまでもいろんなところでそれを見る機会があった。私は,こうした場所が好きなのだ。しかし,海外旅行をはじめたころは,その土地の名所旧跡に行くことに頭がいっぱいで,こうした場所があることすら知らなかった。そして,しばらくして興味が出てきたときは,なぜか曜日が合わずなかなか行く機会がなかったが,このごろは,なぜかいつも曜日が合って結構な割合でファーマーズマーケットを訪れるようになった。
日本でも,高山の朝市など有名なものがあるし,私の住んでいたところでも,昔,開かれていたことがあった。そもそも,四日市とか八日市とかいうのは,市が開かれた日にちが地名になったものだ。しかし,今では,都会はどこも巨大モールができてしまい,欲しいものが欲しいときに手に入るようになったし,流通も巨大化してしまい,生産者の顔が見られなくなってしまった。
果たしてこれを便利というのだろうか?
ただし,私は,欲しいものがあれば,そのときだけ,モールに出かけたり,あるいは,ネットでショッピングをするから,衝動買いをするなんていうことはまったくない。
そこで,旅に出て,ファーマーズマーケットを覗いても,土産ひとつ買う習慣がないから,ひやかし専門である。ただし,こうしたマーケットではそこに住んでいる人たちの様子が垣間見えるからとても興味深いのである。
このときも期待してマーケットに行ってみたが,そもそも島民の絶対数が少ないから,マーケットといったって数軒の露店があるだけだった。思えば,アラスカへ行ったときにフェアバンクスのマーケットに行ったときも同様であった。というより,モロカイ島よりもっとさびれていた。
モロカイ島のファーマーズマーケットは,規模が小さいとはいえ, マーケットのの中央では若い女性がふたりフラダンスをやっていたし,軒下でギターを弾いている人がいたりしたから,マーケットらしい雰囲気がなかったわけでもない。
それにしても思うのは,人は,こうした地産地消の食材をマーケットで吟味して手に入れて腕によりをかけて食事をつくったり,うれしいときには楽器を手にして音楽をかなでたり,あるいは,美しい風景に出会ったらスケッチブックに絵を描いたり,また,人と気軽に触れ合うために言葉をかけたり,そんな生活が,実は,最も幸せなことではないだろうか。
私は,そんな当たり前の能力の何ひとつももち合わせていないのを恥じるのである。