2020年の春までの2,3年の間に出かけたところのそのひとつでも実現していなかったとしたら,今ごろはずいぶんと後悔していただろうなあと考えると,それらのすべてが実現したのは本当に奇跡的なことに思えます。
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私は2018年の秋に2度目のニュージーランドに行きましたが,それは,1度目に行ったニュージーランドの南島にあるテカポ湖で写した星の写真の一部に雲がかかっていて満足できず,快晴の星空の写真が写したいという一念で出かけたものでした。
それにしても,あとで考えると,というか,かなりいい加減な話なのですが,2度目に出かけたら今度は快晴の星空が見られるなどという確信があったのもまったく保障のないことだったわけです。私はそのことを,なぜかうっかりしていました。
しかしまあ,幸運なことに,2度目の旅では本当に奇跡的に晴れて,雲ひとつない星空の写真を撮りたいという夢は実現してしまったのです。
さらに,このときの旅ではもうひとつぜひ行ってみたいと思っていた場所がありました。それは,南島のミルフォードサウンド(Milford Sound)でした。
しかし,調べてみると,ミルフォードサウンドもまた,行くにはかなり困難なところだったのです。近くに町がなく,最寄りの町であるクイーンズタウン(Queenstown)からは車で行くには遠すぎました。
探しに探して,なんとか現地ツアーを見つけ出すことができたので参加しましたが,前回書いたオーストリアのハルシュタット同様に,今思い出すと,現地ツアーを見つけ出したことも奇跡的な話で,行くことが実現できたのが夢のような話だったのです。それは,遠いだけでなく,ミルフォードサウンドはいつも天気が悪く,気象条件によっては道路が閉鎖されて,途中で引き返さなければならないことが少なくないということだったからです。私が行ったのは10月で,気候が日本とは反対のニュージーランドはまだ初春。観光シーズンは11月だったのです。事実,私が行った日も途中までは雪混じりの天気で,出発するときには,まず無理だといわれていたのです。そんな事情だったのにも関わらず,幸運にも道路は閉鎖されておらず,しかも,到着したらすっかり晴れていました。
たとえ行くことができたとしても,ミルフォードサウンドが晴れる確率は1割もないということでした。これもまた,オーストラリアのエアーズロックに登ることができたことと同様,奇跡的なことでした。もし,行くことができていなかったら,今ごろ,ずいぶんと後悔していたことでしょう。
ちなみに,サウンドというのはニュージーランドの英語で「入り江」のことです。
最寄りの都会であるクィーンズタウンからミルフォードサウンドまでは直接距離は100キロメートルほどとそれほど遠くはないのですが,山また山で最短距離で行く道がなく,道路はクィーンズタウンからUの字に迂回していて,片道,有に4時間以上かかりました。そこで, ツアーは早朝7時出発で帰りは夜の7時到着ということでした。しかしそれでも,バスに乗っている時間が8割で現地の観光が2時間弱しかなかったのです。であっても,行く価値は十分ありました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは