前回書いたように,鵜沼宿から東の太田宿までは登り坂で,うとう峠を越す必要があります。このあたり,以前歩こうとして地図で調べたことがあったのですが,よくわかりませんでした。そこで,今回,実際はどうなっているか,少し車で走ってみることにしました。
うとう峠は観光案内には次のように書かれています。
・・・・・・
「うとう坂」とよばれたこの峠道は難所で,(その先の)御嶽宿から細久手宿に向かう途中の「謡坂」と同じ名前ですが,こちらの「うとう」は謡うではなく「疎う」。きっと疎ましいほどの場所であったのでしょう。
・・・・・・
とありました。
・・
現在,この急坂の途中までは団地として造成されていました。この坂の上の住宅は高級そうですが,私は,こんな坂の上に住むと老後がたいへんなのに,と思ってしまいます。車がないと出かけることもできません。
それはさておき,団地の先は自動車が通れる道はありません。さらに奥は「日本ラインうぬまの森」とかいう公園になっていて,その先,旧中山道は木曽川まで石畳がひかれて整備されているようでした。
まあ,いわば,ここは各務原市の観光資源のようです。かつ,地元の人の散策コースなのでしょう。私は,またいつこの先の旧中山道を歩いてみたいものだと思ったことでしたが,今回はここまでです。
さて,鵜沼宿に戻って,お昼をとることにしました。国道21号線と鵜沼宿の入口の交差点に小ぎれいな喫茶店があったので久しぶりに入ってみました。若いころは喫茶店もずいぶんと行ったものですが,このごろは行くこともなくなっていました。平日のお昼前なのに,けっこうなお客さんがいました。まだモーニングサービスをやっていたので,遅い朝食,といったところでしょうか。
私も以前は新聞や雑誌を読むのが目的で喫茶店に入ったものですが,もう,私の世界では,そうしたものは存在していません。紙媒体の新聞こそ,デジタル版だけ購読するより「紙+デジタル」のほうが実は安いので,まだ家には届きますが,読むのはデジタル版だし,雑誌などは情報として価値が低いので書店に行っても全く読まなくなってしまいました。また,そうでなくとも,このご時世では,他人の読んだ新聞や雑誌など手に取るのも不気味です。しかし,店内では,さすがに20年以上前のように店内にはタバコの煙が… というものはなくなっていましたが,私が10年以上も前に目にしていた風景,つまり,モーニングサービスを頼んで,雑誌や新聞を読みふけっている…,というのがそのままありました。
・・
こういうところを見ると,この国では,デジタル化,だとか,人工知能,だとかいったところで,何も変わらない世界が大半なのだということを思い知ります。喫茶店でなくとも,マクドナルドでも,座席でモバイルオーダーすればいいのに,注文カウンタの前でスマホ片手にずらりと並んでいる人がたくさんいて,私には??? 疑問が絶えません。これでは世界から遅れをとるはずです。日本はまだまだ昭和なのです。
お店を出るとき,きっと現金しか使えないだろうと覚悟をしていたのですが,PayPayで支払えるのに,今度は逆に驚きました。レストランにある,空気の流れを妨げ汚いだけのアクリル板といい,この寒い季節に摂氏33度を示すだけで不正確で意味のない体温計といい,いつものように,やったふりばかりの摩訶不思議な日本。どうやら,私は,もはやこの国では生きていけないのかもしれません。
◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは