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4月22日の朝日新聞「いま聞くIntervie」に,大阪公立大教授の酒井隆史さんの「どうでもいい仕事・なぜ増殖」と題した記事がありました。
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「クソどうでもいい仕事(=ブルシット・ジョブ(Bullshit Jobs))はなぜ増えるか」という,ぶっ飛んだ副題の本を書いた大学教授に会ってきた。
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から,記事ははじまっていました。
記事によると,ブルシット・ジョブの定義はつぎのようだといいます。
「本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でさえある有償の雇用」。そして,この言葉は,デビッド・グレーバーという人が「ブルシット・ジョブ」という本で論じ,それを翻訳したのが酒井隆史教授ということでした。
これだけではわからないので,もう少しだけ記事から引用すると,デビッド・グレーバーさんは,ブルシット・ジョブを次のように分類したそうです。
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1 取り巻き:誰かを偉そうにみせるためだけの仕事
2 脅し屋:脅したり欺いたりして他人を操ろうとする仕事
3 尻ぬぐい:組織の欠陥をとりつくろうためだけの仕事
4 書類穴埋め人:形式的な意味しかない書類をつくる仕事
5 タスクマスター:他人に仕事を割り振るだけの不要な上司
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引用はここまでにします。
ちなみに,ブルシット(Bullshit)とは牛のクソ,転じて,「ばかやろう」「ろくでもない」という感じですか。
さて,ここからです。
この記事はとてもおもしろかったのですが,前提が端折っていて,少しわかりづらかったので,調べてみました。
デヴィッド・グレーバー(David Rolfe Graeber)さんは,1961年に生まれ, 2020年に亡くなったアメリカの人類学者で,アナキスト(無政府主義者),アクティビスト(活動家)だそうです。
この記事で話題になっているのは,著書「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」(Bullshit Jobs:A Theory)で,wikipediaによると,この本で,無意味な仕事の存在とその社会的有害性を分析し,社会的仕事の半分以上は無意味であり,仕事を自尊心と関連付ける労働倫理と一体となったときに心理的に破壊的になると主張している,だそうです。そして,この本を翻訳したのが酒井隆史さんで,その本が話題となって,講談社新書から「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」を出版した,ということでした。
今から14年ほど前に出会った,私の生涯で,もっともどうにもならない輩とその取り巻きたちは,まさに,このブルシット・ジョブの権化のようでした。とにかく,やってもやらなくてもどうでもいい仕事にこだわり,それができないと部下をいじめるという,仕事のすべてがそれでできていました。彼らは,今,古希を迎えたころか,あるいは,噂では,すでに鬼籍に入っている者もあるそうですが,その人生の大半を占めた彼らの「仕事」がそういうものだったのかと思うと,哀れにさえ思えます。
私は,危うさを感じ,そんなことに時間を費やすことがバカらしく,まったく価値観が異なったので,早々にそうした人たちから距離を置き,その後,いわゆるブルシット・ジョブとは完全無縁で楽しい生活をおくっているのですが,そうした今の私の傍観者の目からまわりを見ると,多くの雑多な「仕事」という冠をつけた時間つぶし,つまりブルシット・ジョブがこの世界を作り上げているその現実が浮かびます。
多くの人は,というより,ほとんどの人は,好むと好まざるとに限らず,また,そうした現実を知ってか知らずかわからねど,早朝の満員電車に揺られて職場に向かい,ブルシット・ジョブで人生の貴重な時間を費やし,夜になると,これもまた,意味もなく残業をしたりして,遅く帰る競争をして,帰路につく,という日常をおくっているのでしょう。そして,その対価として給料を手にしているわけです。
まあ,要するに,そのすべてがお役人の大好きな「不要不急」といえなくもない。しかも,ブルシット・ジョブの最たるものがお役人のお仕事なのかな? と思うと,もう,これは喜劇を越えて,悲劇でしかありません。
この記事には,次のようにあります。
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競争させるためには,なんでも数値化して,絶えず評価し,格づけしないといけない。その際,本来は競争になじまない領域まで数値化され,書類化され,評価にさらされる。その過程に生まれる膨大なペーパーワークや管理業務の中で,ブルシット・ジョブが増殖していくのです。
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書類の山,意味のない手続きばかりが必要で,ペーパーレスもキャッシュレスも進まない,世界から取り残された日本では,そうしたブルシット・ジョブをするしか,仕事が,雇用がありません。責任逃れのやったふり。
だから,そうした社会へ出ていく訓練として,学校教育でのプリント学習,まったく理解できなくても,わからなくても,答えを丸写しして提出すればいい子になれる,そして,観点別評価とやらで認められる,そんないわゆる「ドリラー」が位置づけられているのでしょうか。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは