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午前9時30分ごろに窪川駅に戻ってくると,すでに私のお目当てである新幹線を模したホビートレインはホームに停車していて,うれしくなりました。この列車に乗ろうと待っている乗客が,すでに,というか,わずか3人ばかりいました。私は,来るまではどのぐらい人気のものなのかわからなかったので,予約が必要なのかと思ったのですが,予約はできません。実際,これなら予約など必要ないのでした。
結局,最終的には座席が半分程度埋まるほどの乗客になりました。多くの乗客はホビートレインとは無関係な乗客でしたが,乗り込んできた中には,この列車に乗るのが目的の子供連れや,宇和島に行こうと乗った列車が偶然ホビートイトレインでラッキーと喜んでいた列車で四国を旅しているという老夫婦もいました。それにしても,私のように車を使うのならともかく,四国を列車で旅するのは楽しい反面,大変です。列車の本数が少なすぎ,また,接続が悪すぎるからです。
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私は,運転席の近くに座ったので,運転席がよく見えました。
この列車の運転手さんは,新人でした。それも,この日がデビュー,みたいな感じで,私は,不安になりました。何が不安だったかというと,私が土佐大正駅で乗り替えて反対側からやってくる列車との待ち合わせが1分しかなく,もし,運転が下手で遅れたらどうなるのだろうということでした。しかし,冷静に考えてみれば,JR四国・予土線は単線なので,そんな事態は起こりようがないのです。こちらの列車が駅に着かなければ,向こうから来る列車は発車できないのです。であるのなら,昨日私が窪川駅で訪ねたときに不親切だった駅員さんだったのですが,それなりの説明の仕方があっただろうというものです。
JR四国・予土線は,四国の中で最も採算の悪い路線です。そこで,さまざまな趣向を凝らして観光客を誘致しようとしているようなのですが,駅員さんがこんな対応ではそれも生かされません。乗れるものなら乗ってみろ,みたいな感じなのです。また,時刻表ももっと親切に記述するべきなのです。私のように,ホビートレインに乗ってみようと思っても,これではなかなか乗れません。

さて,やがて,列車は定刻の10時40分に窪川駅を出発しました。
新人の運転手さんは大きな声を出しながら確認を繰り返し,そっと列車を走らせました。横にはベテランの指導員さんがつきっきりでした。途中,スピードが出過ぎて横から手を添えて補助をしたりと,大変そうでした。まるで私が「列車でGO!」をやっているような感じでした。列車は数分遅れているようでした。そうしたさまざまなことで,乗っていても気が気ではなく,スリル満点で,おもしろい列車の旅になりました。
やがて,列車は土佐大正駅に到着しました。私は反対側のホームに停まっているであろうと思っていた列車に急いで乗り換えようと覚悟していたのですが,それが意外にも,土佐大正駅に到着したのは,時刻表にある土佐大正駅の出発時刻の20分も前のことだったのです。つまり,私の乗ってきたホビートレインは,土佐大正駅で,反対側からやってきてすれ違う列車を20分も待つことになるということでした。私の心配は,完全な取り越し苦労でした。
しかし,私が土佐大正駅で折り返そうと考えた選択は正しく,一度ホビートレインに乗ってみたいという人にはこの方法が最もよかったということです。

土佐大正駅で降りた私は,急いで乗り換えるどころか,一旦,駅から出ることさえできました。
土佐大正駅から外に出てみるととても立派で歴史ある建物で,決してさびれた駅ではなく「大正浪漫町歩きの玄関口!」だったのです。また,駅前の「国鉄・土佐大正駅」という道路標示が粋でした。この時代になって,まさか未だに「国鉄」だなんて!
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土佐大正駅は,山小屋風の木造駅舎でした。明治時代にあった村が大正時代に改名したことがこの駅の名前の由来です。ホームは高台にある島式で,駅舎から地下道を通じて移動します。
土佐大正駅の駅舎は,かつて,林業で栄えていた大正地域のシンボルでした。そこで,木製の美しい三角屋根を一目見たいと,観光客が1日上下線で8本しか運行しない列車や車を使って駅舎を訪ねてきます。そこで,駅前広場で軽食を販売してみたところ,好評だったのです。
駅舎は四万十町役場の管理なので,列車の運行の妨げにならない範囲であれば自由に使うことができるということで,構内に地元の子どもたちが描いた絵が飾られたり,駅前には町おこしのカフェがあったりしました。
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そのカフェにいた若い男の人としばしお話をしました。土佐大正駅前がこんなにもすてきなところだとは思いませんでした。これなら,20分といわず,1時間程度の待ち合わせ時間があってもよかったのに,とさえ思ったのですが,事前にインターネットを調べても,そうした情報はまったく見つかりませんでした。

やがて,私の乗る列車が来る時刻になったので,ホームに戻りました。
宇和島方面からやってきた列車は,何と「しまんトロッコ」だったのです。
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予土線3兄弟の長男である「しまんトロッコ」は,木々の緑が溢れる四万十川沿線の風景に映える山吹色のボディが特徴で,トロッコ乗車区間では、トロッコ車両ならではの爽快な風を感じながら四万十川や広見川の風景を直に眺められるほか,ボランティアガイドによる沿線案内や、地元特産品の車内販売など楽しみがいっぱいの列車です。
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ということですが,「しまんトロッコ」の運行は1日わずか1往復で,普通車両の後部に連結されたトロッコ車両に乗ることができるのは,宇和島駅と窪川駅の間の一部である,江川崎駅と土佐大正駅の間だけでした。
土佐大正駅から乗った私はトロッコ車両には乗ることができませんでしたが,それに連結された列車で窪川駅に無事戻ることができました。「しまんトロッコ」が見られただけでもよしとしましょう。
それにしても,こんなことなら,ホビートレインが窪川駅を出発する時間をもう1時間早くして,江川崎駅でこの「しまんトロッコ」とすれ違って接続するようなダイヤを作って,「しまんトロッコ」のトロッコ車両にも乗れるようにすればいいのに,と思ったことでした。そうした少しの工夫で,もっと観光客が誘致できるし,鉄道好きには最高に楽しい1日をJR四国・予土線に乗って過ごすことができるのに,何とまあ,やる気がないというか,工夫がないというか,知恵がないというか…。これでは,予土線が赤字路線であるというのも当然です。

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