このごろよく目にするので気になっていたのが,瀬戸内海に面した小さな駅と夕日の写真でした。どこにあるのだろうと調べてみると,それは,JR伊予線の下灘という駅でした。
それまでは訪れる人もない田舎の駅だったのに,1977年に公開された映画「男はつらいよ」シリーズの19作目「寅次郎と殿様」で知れ渡るようになり,「青春18切符」のポスターで有名になったということでした。
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旅先の寅さんは伊予の国大洲でわけありの若い女性・鞠子を親切にする。その後,大洲の城跡で浮世離れした老人と知り合うが,その老人こそ,世が世なら伊予の殿様・藤堂久宗であった。
饗応を受けた寅さんは,殿様の「次男の未亡人に一目会いたい」という願いを安請け合い。しばらくして殿様は,とらやに「寅次郎君はおりますか」とやってくるが…
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地図で確認するとかなり不便なところにあるので,こんなところにどうやって行くのだろう,私には縁のないところだと思っていました。
ところが…。
今回,2泊3日で四国へ旅をすることになったので,この駅まで足をのばしてみようと思いたちました。しかし,天気がよくないとせっかく行っても瀬戸内海に沈む夕日が見られないので意味がありません。ということで,期待半分あきらめ半分,見られたらもっけもの,というくらいの期待値でした。
とはいえ,駅のあるあたりは旅館もありそうになかったし,夕食時に下灘駅に行くことができるようにと考えて,この日の宿は,下灘駅に近そうな松山市の郊外で夕食別のところを探し出しました。
さて,日が沈んでしまっては意味がないので,早々に松山城を出て,ともかく予約してある旅館に急いで行って,チェックインしてから下灘駅に向かうことにしました。
予約した旅館の近くに伊予鉄道の群中駅がありました。伊予鉄道とJR伊予線は別物ですが,群中駅で伊予鉄道に乗ると次が終点の群中港駅で,群中港駅からはJR伊予線の伊予駅が近いので,伊予駅でJR伊予線に乗れば,下灘駅まで列車で行くことができるのでした。
しかし,列車の本数が極端に少ないことと,夕日が見えるかどうかは天気次第ということだったので,下灘駅まで車でいくことにしたのですが,心配は,下灘駅に果たして駐車スペースがあるか,ということでした。
旅館から下灘駅までは,瀬戸内海に沿って走る国道378号線「夕やけこやけライン」を通っていくだけでした。国道378号線はすばらしい景色を堪能できる道路でした。
実は,この日,午前中は雨が降るような天気だったのですが,午後には回復し,午後5時過ぎには晴れる,という予報でした。いつものことながら,これは幸運でした。今回も晴れ男パワー炸裂です。これなら,夕日を見ることも可能だし,観光客も少ないに違いない,と思いました。
この日の日没は午後5時30分ころで,私が下灘駅に着いたのは,それよりずっと早い午後4時過ぎでした。すでに観光客がいましたが,幸い,駅前にわずか4台から5台あった駐車スペースのうちの1台分が空いていました。ただし,駅前の駐車スペースが満車でも,少し離れたところに別の駐車スペースがあるようなので,車で行っても問題がなさそうでした。
何もないところですが,駅前に「SHIMONADA COFFEE」というキッチンカーらなぬカフェカーがいたので,コーヒーを飲みながら時間を潰すことにしました。店の人が,今日は観光客が少ない,と言っていました。
そうこうしているうちに,1時間に1両しか来ない列車がホームに停まり,下灘駅目当てでその列車から観光客が降りてきたり,車が続々とやってきたりして,観光客が続々と増えてきました。それとともに,雲がすっかり切れて,太陽が顔を出しました。
「伊予灘ものがたり」とかいう特別列車が下灘駅に到着するころがクライマックスでした。この駅で夕景を見るためにしばらくの時間停車するのです。多くの乗客がホームに降りてきて写真を撮ったり景色を眺めたりしていました。私は,頼まれて旗を振りました。
「伊予灘ものがたり」のチケットは入手が困難だそうですが,せっかく入手できても,夕景がみられないなら意味がありません。この日の乗客は夕日が見られたから幸運でした。
10月になると,太陽は南西に沈むようになるから,下灘駅のホームから夕日が見られるのは左手ギリギリとなります。これからさらに太陽は南に向かって沈むようになるから,冬になると,瀬戸内海に沈む姿を見ることはできなくなってしまうことでしょう。また,真正面の瀬戸内海に沈むのを見たいのなら6月ごろとなりますが,そのころは,なかなか晴れることもないので,理想の夕景を写真に収めるのも容易なことではありません。
そんなわけで,私は,期待していた以上に,下灘駅から,瀬戸内海に沈むきれいな夕日を見ることができました。なお,下灘駅のホームからは「ダッシュ島」(=由利島)も見ることができました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
















