【Summary】
The concert featured Ravel works conducted by Charles Dutoit, returning to NHK Symphony’s subscription series after eight years. His refined interpretation highlighted Pavane pour une infante défunte and Le Tombeau de Couperin. Dutoit’s signature elegance and the orchestra’s vivid colors created a nostalgic yet fresh atmosphere, closing the first half memorably.
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2025年11月14日に行われたNHK交響楽団第2049回Cプログラムを聴きました。
曲目は,「ラヴェル生誕150年」と銘打って,「亡き王女のためのパヴァーヌ」「Pavane pour une infante défunte」,組曲「クープランの墓」(Le Tombeau de Couperin),バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(Daphnis et Chlo)(全曲)でした。それより何より,指揮が名誉音楽監督のシャルル・デュトワ(Charles Édouard Dutoit)さん。実に8年ぶりの定期公演登場でした。
シャルル・デュトワさんがしばらくNHK交響楽団を指揮しなかったのは,2017年に報じられたセクハラ疑惑がきっかけでした。その影響で,予定されていた定期演奏会の出演がキャンセルされ,それ以降,しばらく日本の楽壇から距離を置くことになりました。その後,2019年に大阪フィルハーモニー交響楽団に登場するようになり,2024年10月30日に行なわれたNHK音楽祭2024で,ラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」(Ma Mère l’Oye),ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番,ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」(Le Sacre du printemps)を振って復帰し,ついに,NHK交響楽団の定期公演に戻ってきました。
どうやって復帰させるか考えて,NHK音楽祭にそっと登場させたら観客に抵抗がなかったので,晴れて定期公演に,という段取りだったのでしょう。十八番の「春の祭典」は,やはり,シャルル・デュトワありてこそ,を印象づけました。
とはいえ,若々しい,というか,もともと年齢不詳? のようなシャルル・デュトワさんもすでに89歳となりました。今から20年以上前,私がNHK交響楽団の定期公演に熱心に通っていたころ,シャルル・デュトワさんの指揮する公演は,いつも,来てよかった,と思ったことでした。この感動を再び味わうことができるということで,期待をもって会場に足を運びました。
今回のラヴェルプログラムも,シャルル・デュトワさんお得意のものです。
緻密で洗練されたラヴェルの作風をストラヴィンスキーは「スイスの時計職人」と評しました。「職人」シャルル・デュトワにとって,精巧に作られたラヴェルの作品が,いかなる名品もそれを持っている人次第のように,最も腕の振るい甲斐のある素材といえるでしょう。
特筆すべきは,「ダフニスとクロエ」が本来の合唱付きで演奏されることで,もともと,ラヴェルはディアギレフの求めに応じて合唱抜きの管弦楽版を作ったものの,合唱が作品の重要な構成要素だと考え,主要な上演においては合唱を加えるよう求めていたということです。このようなスケールの大きな演奏会は,シャルル・デュトワさんが音楽監督のころによく行われたものです。
●亡き王女のためのパヴァーヌ
原曲は,1899年にラヴェルがパリ音楽院在学中に作曲したピアノ曲で,作曲者自身が意外に感じるほどの好評を得,1910年に管弦楽に編曲されました。パヴァーヌとはスペイン起源の宮廷舞曲です。「亡き王女のための」という題名はフランス語の響きに惹かれて命名したものです。
管弦楽編曲版は小規模なオーケストラのために書かれ、薄く透けるようなオーケストレーションがなされ,哀愁を帯びた典雅な雰囲気がただよいます。いかにもデュトワサウンド,という感じで,とても懐かしくなりました。
●組曲「クープランの墓」
原曲はラヴェルが1914年から1917年にかけて作曲した,前奏曲,フーガ,フォルラーヌ,リゴードン,メヌエット,トッカータの全6曲からなるピアノ曲です。6曲それぞれが大戦で戦死した友人,知人たちの思い出に捧げられました。
ピアノ組曲は1919年に初演され,ラヴェルは曲集から4曲を選び管弦楽用に編曲し,曲順を入れ替えて,前奏曲,フォルラーヌ,メヌエット,リゴードンとしました。管弦楽化によって作品に鮮やかな色彩がほどこされ新たな魅力が生まれました。管弦楽版の初演は1920年でした。
会場の雰囲気がいつもと違うような…。これがデュトワマジックか?
前半が終了しました。
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