2013年夏,私はアメリカのもっとも北東にあるメイン州に行きました。今地図を見ても遠いところです。そして,今にして思うに,あと2,3日余分に滞在してカナダ国境を越えればよかったと思います。
このあたりはなかなか行くことができないところだからです。
●アカディア国立公園(Acadia National Park)
メイン州には,アカディア国立公園があります。
アカディア国立公園は,メイン州の大西洋沖のマウント・デザート島(Mount Desert Island)とその南西の小島アイル・オ・オ(Isle au Haut)の大部分,そして,近くのベイカー島(Baker Island)の一部からなり,アメリカ本土のスクーディック半島(Schoodic Peninsula)の一部も含まれます。
全体で,約150平方キロメートルにわたり,ニューイングランド地方唯一の国立公園です。公園には周回道路が完備されていて,17の御影石の橋がかかっています。
アカディア国立公園は,1947年にアメリカ本土のクランベリー湿原(Cranberry Bog)で起きた火事によって焼けました。火事は数日間にわたって続きましたが,自然に再生しました。そして,火事のよって木々の多様性が高まり,風景に深みを与えることになって,公園の美が強化されたといいます。
のちに書くことになるイエローストーン国立公園もまた,周期的に大規模な火災が起きるのですが,やはり,自然に再生します。
このように,自然界で起きることは,人の手に寄らずとも,ちゃんと自然界が解決するものであるらしいのです。
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バーハーバー(Bar Harbor)は,アカディア国立公園の入口にあるハーバーです。私はここにあるモーテルに宿泊しました。
私が訪れたのは今からもう8年も前のことなので記憶が薄れているのですが,それでも,このあたりはよい思い出しか浮かびません。美しく,かつ,のどかで,とてもすばらしいところでした。
漁港といっても,日本で思い浮かべるものとは違って,ずっとあか抜けたところでした。
キャディラック山(Cadillac Mountain)は,マウント・デザート島の東側にあって,そのピンクの花崗岩の頂上は米国で最初に日の出が見られる場所のひとつであるということで有名な観光地です。また,国立公園の入口は,ほかの国立公園同様,ビジターセンターやロッジがあります。
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私は,早朝,急に思い立ってこのキャディラック山に日の出を見にいくことにしました。
しかし,思い立ったのがわずかに遅かったのです。
ほとんど車の通らない,しかし,おそらく私と同じ目的で先を急ぐ車が数台,同じように走っていきました。しかし,キャデラック山での日の出は寸前で間に合わなかったのです。それでも,海から昇ったばかりの朝日のある景色は,やはり,絶景でした。
私は,大西洋から昇ったばかりの太陽をしばらくじっと眺めていました。大西洋からの日の出を見たのはこれがはじめてのことでした。気づけば,多くの観光客が日の出を見にきていました。帰路は,そうした人たちの車でいっぱいでしたが,この国立公園の雄大さが,そんなことをすべて消し去りました。
考えてみれば,日本では当たり前でも,アメリカ本土で海へ沈む夕日と海から昇る朝日をともに見ることができる場所はないわけで,それを実現しようとすれば,カリブ海の島に行くか,ハワイに行く必要があるわけです。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは