しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

カテゴリ:アメリカ合衆国50州 > ワイオミング州

画像 052画像 054画像 061

●グランドティトン国立公園(Grand Teton National Park)
 これまで私の行ったアメリカの国立公園の紹介をしていましたが,最後にグランドティトン国立公園をとりあげます。
  ・・
 1953年に製作された映画「シェーン」(Shane)のロケ地となったのがグランドティトン国立公園です。私が生まれる前の公開なのでもちろんこの映画は見ていなかったのですが,なぜかラストシーンの「シェーン・カムバック」("Shane, come back!")は知っていました。馬上のシェーンは振り向きもせず立ち去るのですが,この映画をのちにテレビで放送されたときに見ました。
  ・・
 グランドティトン国立公園はイエローストーン国立公園の南に位置していて,標高13,770フィート,約4,200メートルのティトン山から名づけられ,1929年に国立公園に指定されました。「アメリカで最も美しい国立公園」といわれています。
 グランドティトン国立公園はハイカーのためにほぼ200マイル,300キロメートルにわたる道があるといいますが,もちろん私は歩いていません。
 山々を望むビューポイント「ジャクソンレイク」からの眺めは水面にティートン連峰が映し出されて壮観です。私は,この湖からの景色が最も思い出に残っています。
 また,草原に建つ小さな教会「トランスフィギュレーション教会」 (Church of Transfiguration) はまさに圧巻で,祭壇の後ろ側には大きな窓ガラスがあって、その窓の外に広がるティートン連峰の荘厳な風景は忘れられないものです。

 これで私が行ったことのある国立公園の紹介は終わりです。
 こうして書いていて,これまで風化していた記憶がよみがえってきました。毎年旅をしていたころは,またいつでも行くことができると思っていたのですが,いざそれがストップしてしまうと,こうした様々なところに行くことができたのはとても幸せなことでした。
 どこもすばらしい所なのですが,世界にはまだ行っていないところもたくさんあるので,一度でも行ったところにリピートするとなると,よほどそこが気に入らない限りなかかな困難なことです,人生は長いのか短いのか,世界は広いのか狭いのか…。やはり,人生は短く世界は広いのでしょう。
 いずれにしても,これまでにこうした多くの経験ができたのは本当に幸運なことでした。
 また,できるなら,10年前に戻って,ひとつひとつ行き直してみたいものだと思います。


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

画像 095DSCN2288画像 005画像 081画像 123

######
 2004年というから,早いもので今から17年前,私は,ずっと夢だったアメリカをひとりでトライブすることにもすっかり慣れて,調子に乗って,イエローストーン国立公園への旅に出ました。無知だったというか,怖いモノ知らずだったというか,シアトルからその日のうちにイエローストーン国立公園まで行こうという強硬スケジュール,しかも泊まるところなんて到着してから考えようというものでした。
 さすがに途中のアイダホ州のカーダーレイン(Coeur d'Alene)で夜になり,なんとかモーテルを探して1泊したまではよかったものの,その翌日にモンタナ州のビュート(Butte)で交通事故に遭ってしまいました。ひとつ間違えば,ここで私の人生は終わっていたのです。
 事故も癒えたその2年後の2006年,再び2年前の旅を実現しようと,さすがに今度は個人ツアーを組んで出かけました。成田からミネアポリスまで行って乗り換え,モンタナ州のボーズマン,そこからは個人ツアーでしたが,イエローストーン国立公園とグランドティトン国立公園は現地ツアーに参加しました。
 これから紹介する2006年の旅は,私には最も忘れられないものとなりました。そして,今に続く私のアメリカ旅行の原点でもあります。

●イエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)
 アイダホ州,モンタナ州,ワイオミング州をまたぐイエローストーン国立公園は1872年に世界初の国立公園に指定されたところです。アメリカでも人気のある国立公園ということで,そうとは知らず出かけたのですが,後で知ったことには,ハイシーズンにここに個人で行くというのはかなり無謀なことだったのです。
 イエローストーン国立公園の面積は東京都の面積の4倍以上あります。さまざまな間欠泉や地熱によるホットスポットで有名です。また,グリズリーベアやオオカミ,バイソンやエルクなどが生息する野生動物の宝庫としても知られています。
  ・・ 
 アメリカ最大の熱水泉「グランド・プリズマティック・スプリング」(Grand Prismatic Spring)は世界でも第3番目の規模ということで,まるで地獄絵のようでした。
 「オールド・フェイスフル・ガイザー」(The Old Faithful Geyser)は有名な間欠泉で,イエローストーン国立公園のシンボル的存在,100年以上もの間約80分毎の一定間隔で熱水を30メートルから50メートルまで吹き上げるということでしたが,私が見たときは期待はずれでした。
 「マンモス・ホットスプリングス」 は流れ出る温泉に含まれる石灰分が長い年月をかけて蓄積され白い段々畑のようになった不思議な景色が広がります。見るときによって景色が異なるといいます。
 また,イエローストーン国立公園の中心に広がる雄大な「イエローストーン湖」。
 というように,見どころは満載で,私は,現地ツアーに参加したおかげで,要領よくすべてを見ることができました。
  ・・
 私がこの旅で忘れられないのが,ツアーで多くの友人ができたこと,そして,夜宿泊したモーテルのあったウェストイエローストーン(West Yellowstone)という小さな町でした。
 もう二度とこんな楽しい旅はできないだろうなあと思うと,いつも寂しく感じます。 


◇◇◇
「ほぼ」皆既月食。
DSC_0601s2n


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSCN0609DSCN0618DSCN0642

●デビルズタワー国定公園(Devils Tower National Park)
 2012年に行った国立公園などについて紹介を続けます。
 このころはまだアメリカについて知らないことも多かったので,どこに行ってもときめきがありました。むしろ知らないということはメリットがあるようですが,今再び行くとすれば,どういう旅をするのかな? と思ったりもします。
 このデビルズタワーは,結局はマグマの塊が地上から突き出ているというだけのところで,アメリカのほかの雄大な多くの国立公園から比較すればスケールという点では見劣りがします。それに,サウスダコタ州なんて,簡単に行くことができるところでもないので,わざわざここを目的に行ったことのある日本人もさほど多くないように思えます。
 私も,モンタナ州ビュート郊外で交通事故に遭ったということがなければ,この旅はしなかっただろうし,そうであればデビルズタワーには行っていないと思うと,なにか不思議な気がします。
 とはいえ,デビルズタワーは映画「未知との遭遇」で有名な場所には違いがありません。
  ・・
 サンダンス(Sundance)という小さな町からデビルズタワーを目指しました。この日は,現地にすむ日本人を雇った個人ツアーだったので,いろいろと解説をしてもらって楽しい時間になりました。
 デビルズタワーというのは,地下深いところにあった巨大なマグマのかたまりが地層を貫いて地表まで上昇したものが,やがて,まわりの軟らかな地層が侵食されて削られて,結果として,この塊だけが,タワーのように残ったものということです。
 高さは約400メートル近くあって,ロッククライミングの名所ということで,数人のクライマーが登っている姿を見ることができました。1893年,はじめて登頂したときに残したはしごがあって,注意深く探すとそれを眺めることができます。また,1周するトレイルがあって,これを歩くと,タワーは,場所ごとに姿を変えて,そのどれもが壮大でした。
 頂上はサッカー場くらいの平原になっているということで,5,6時間で登はんできるそうです。そこで,山頂まで行ってサンドウィッチを食べるのが乙なモノだと聞きました。とはいえ,軟弱な私には縁のない話ですけれど。また,不思議なことに,ここに登ったことで事故が起きたことは今までにないそうです。
 頂上が写った写真を何とか見つけ出したのでここに載せておきます。タワーというよりも切り株みたいに見えます。

無題


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_4410DSC_4449DSC_4431DSC_4485

 ワシントン州の西の端にオリンピック半島があります。東京オリンピックが行われたときに,間違って? 私がオリンピック国立公園のことを書いたときのこのブログにアクセスした人が結構いたのですが,まったく違います。
 いや,ある意味では違いません。それは,オリンピック半島やオリンピック山脈という名前は,この半島の最高峰である標高2,428メートルのオリンポス山(Mount Olympus)にちなんで名づけられたものだからです。オリンポス山は,イギリス人航海者ジョン・ミアズ(John Meares)が1788年の航海中にその美しさをギリシャのオリンポス山になぞらえて命名したものです。

 ●オリンピック国立公園(Olympic National Park)
 オリンピック国立公園はオリンピック半島にあるオリンポス山を中心としたところです。地図で見ると,この国立公園はシアトルに近く思えるので,人が多く住んでいてあまり魅力的には思えませんでしたが,実際は,想像以上にのどかな田舎,しかも,風光明媚でした。
 ここで思い出に残っているのは,スクイムという町,ハリケーンリッジからの展望,透き通った湖レイククレセント,小さなレストランで食べたハンバーガー,そして,美しいルビービーチでした。
 どこもいいところです。
  ・・
 スクイム(Sequim)はオリンピック半島の北東の端の,のどかなアメリカらしい田舎町です。しかし,予約したモーテルは失敗でした。この町には,私が予約したものよりもずっと立派な全国チェーンのモーテルが多数あったのですが,それを知って後悔しました。私が泊まったのはどうしようもないところだったのです。であるのに,こうしたところのほうが忘れられない思い出となるのも,また,不思議なことです。
  ・・
 翌朝,スクイムを出て,オリンピック国立公園を見学しながら,オリンピック半島を1周することにしました。
 オリンピック国立公園のハリケーンリッジ(Hurricane Ridge)という展望台に,早朝到着しました。展望台は雲の上で快晴,すばらしい展望を楽しむことができました。
 ハリケーンリッジを下って,ポートアンジェルス(Port Angeles)の町を越え,レイククレセント(Lake Crescent)という湖に着きました。レイククレセントは藻類の成長を阻害する水中の窒素の欠如によって引き起こされる鮮やかな青い色と並外れた透明度で知られているところです。
 レイククレセントを出て,さらにオリンピック半島を州道112を通って北側の海岸を西に,半島の北西の端まで行くことにしました。私が目指したオリンピック半島の北西の端のフラッタリー岬(Cape Flattery)でした。しかし,私は,ネアーベイ(Neah Bay)という町で道に迷ってしまい,結局,フラッタリー岬へは行くことができませんでした。
 岬に至る手前のにあったネアーベイという町の小さなレストラン「Warm House Restaurant」で食べたハンバーガーが殊のほかスモーキーでおいしかったこと! こんなにおいしいハンバーガーをこれまで食べたことはなかったと思いました。
 ネアーベイからはオリンピック半島の西海岸沿いに南下しました。内陸部を走っていた道路は,突然,太平洋の海岸に出ました。そこはルビービーチ(Ruby Beach)でした。ルビービーチはオリンピック半島最南端のビーチ。壮観でした。

9fd23a19


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSCN2516DSCN2517DSCN2519DSCN2541

☆8日目 8月9日(土)
 半袖では寒い朝だった。
 宿泊したホテルは,ジャンクションのまわりにある多くのホテルの一番遠いところにあって,そこへ行く前の道路は工事中で未舗装だったし,古臭く,私がエクスペディアで探した中で一番安いだけのことはあったが,食堂だけはえらく立派だった。
 ブログで,以前,アメリカのボールパークのことを書いたが,ホテルについても同様なことがいえる。古いホテルは内装がくたびれているが,食堂などが豪華なのだ。それに比べて,新しいところは合理的だが,そうした遊びの部分が少ないわけだ。内装も同様である。
 また,いつも感じるのだが,その旅で行った地域ごとに,朝食が全く違っていて,いつもはずれだったり,その反対だったり,それは地域による差なのではなくたまたま私が泊るホテルによる偶然なのか,その地域によるものなのか? それがよくわからないのだが,この夏の旅で泊まったホテルの朝食は,どこもかなりまともであった。

 食事のときに現れた一見コワモテのおじさんと話をした。彼は,昔ベトナムで従軍していて,退役後はペプシコーラの配達でアメリカ中を走ったということだった。
 アメリカでは,軍人の地位が日本人の考えている以上に高い。考えてみれはそれも当然で,国を守る仕事は最も大切なのだ。それは,国民を守ることが政治のもっとも大切な仕事だから当然なのだが,今の日本人には,よい悪いは別として,そういう意識すらない。しかも,そうした軍人が退役して歳をとった時に,昔のそういった時代のことを称えるセレモニーが,アメリカではどんな場でもあることも,また,日本人は全く知らない。
 彼が言うには,若いころは世界をたくさん見たが,もう今はアメリカ以外行く気はないなあ,特にワイオミングは涼しくて素晴らしいなあ,ということであった。アメリカで生き抜いた初老の人たちは,日本でくたびれた初老の人たちよりもずっと若々しいと思う。

 私は,朝食後,ホテルをチェックアウトして,ゆっくりとアイダホ州のマウンテンホームまで戻ることにした。
 ホテルを出て,すぐにあるジャンクションでインターステイツ80に入って少し走るとワイオミング州の州境で,それを越えるとユタ州であった。
 その後,インターステイツ80は南西に進路を変える。エコーという町でインターステイツは2方向にわかれる。北西向きにはインターステイツ84がはじまり,南向きにはインターステイツ80が延びていって,それをそのまましばらく進むとインターステイツ80は西向きになって,ソルトレイクシティで,南北に走るインターステイツ15を跨いて,そのままネバダ州に進んでいくのだ。
 私は,ここでインターステイツ84に乗り換えた。今日の最後の写真のように,インターステイツ84はインターステイツ15と共有区間で,しばらく北上をして,アイダホ州をめざして進んでいった。
 もう,アイダホ州も目の前だ。
 そうして,アイダホ州に入ると,私のこの夏の長いドライブもそろそろ終わりを迎えるのだった。

DSCN2502 DSCN2512 DSCN2507 DSCN2493

 今日ホテルを予約したエバンストン,私はこの町のことは全く知らず,単にアイダホに帰る途中の手ごろでホテルがたくさんあるところという理由だけで選んだのだった。
 インターステイツ80を走っていくと,エバンストンの町が見えてきたので,私は,インターステイツを降りて,エバンストンの町に降りた。ホテルの場所はちゃんと確認をしてあったので道に迷うこともなくホテルに到着したのだが,結論を言うと,私の降りたジャンクションよりもその次のジャンクションで降りたほうがずっとホテルには近かったのだった。

 エバンストンはそれほど大きな町ではないが,インターステイツ80はエバンストンのダウンタウンの南側を少しだけ大回りしながら迂回して通り過ぎるように走っていて,町の東側と西側にジャンクションがあったのだった。
 私は,東から走ってきたから,町を見つけて東側のジャンクションで降りたのだが,西側のジャンクションで降りたほうがホテルに到着するには便利だったということだ。
 というのは,西側のジャンクションの周りは新しい町で,どこにもあるような大型のショッピングセンターや全国チェーンのホテルが並んでいるところで,反対に東側のジャンクションから自然にダウンタウンに入っていく道の周りは,ヨーロッパでいう旧市街にあたるところで,西部開拓時代の雰囲気ただよう素敵な町が,碁盤の目のような道路に囲まれてあったのだった。
 しかし,私は,東側のジャンクションで降りたから,そのために,この町のよさを知ることができたということだった。

 これだけアメリカの小さな町を旅していても,私は,未だ,こうしたすてきな町の雰囲気を味わうことができないでいる。これはとても残念なことだ。
 こうした町は,交通量もそれほど多いわけではないから,路上駐車ができる。というよりもできるように町が作られている。そこで,そういう場所に車を停めて,歩いて町を散策できるのだが,町には,教会とか小さな商店とか,そういうものが並んでいて,アメリカだ,と実感できるわけなのである。いわば,日本の江戸時代の旧街道の保存された宿場町のようなものである。
 だから,とても雰囲気がいいのだが,こうした町にあるレストランにはなかなか入りそびれるのだ。知人でもいれば問題ないのだが,中に入っても,メニューがよくわからないから,何を注文するか困ってしまうわけだ。
 それは,初めて日本に来た外国人が高山でそば屋に入った姿を想像すれば同じようなことだ。
 というわけで,今回も,美しい月明りの下,せっかくこの町を歩いてみたのに,食事をする場所を見つけることもかなわず,結局は,ホテルの近くまでもどって,なさけないことに,Wendy's でハンバーガーを味わうことになってしまったのであった。

 ホテルは悪くはなかったが,残念だったのは,ホテルの場所が,ホテル街の一番はずれで,前の道路がまだ工事中で,未舗装道路を走らなければならなかったことだ。これはホテルの責任でもないけれど,せっかくのすてきな町の印象をずいぶんと損ねる結果になってしまったのだった。
 いずれにしても,アメリカを旅して,一番いいなあと思うのは,こうした日本では全く知らない小さなこんな町に出会った時だ。
 きっと,外国人が木曽路をドライブして,奈良井宿にたどり着いた,みたいなものであろうか…。奈良井宿に信州そばのお店は似合っても,バンバーガーチェーンは似合わない。まあ,そんな感じだ。

DSCN2459 DSCN2472 DSCN2475

 やがて道路は写真のよう一直線になって,あとは,インターステイツ80に戻るだけとなった。
 どうですか? さすがにこうした道路も見飽きてきませんか?
 アメリカは,こんな道路ばかりなのだ。しかし,場所によってずいぶんと景観が違うし,その成り立ちを知るにつけて,私はドライブに退屈することは全くなくなった。

 考えてみると,私は,1年のうちのわずか数週間のアメリカ滞在なのに,車の走行距離は日本で走る距離より長い。日本では,かろうじて星を見にいく深夜だけは,道路も少しはまともに走れるから車に乗るが,昼間はほとんど車で遠出をしないし,したくない。それは,走るよりも止まっている時間の方が長いから,乗る気にならないからだ。
 私は,日本の道路行政は,根本的に間違っていると思う。それをここで書いてもどうにもならないのはわかっているが。最も問題なのは,交差点ごとに設計が異なるということなのである。だから,事故になる。そして,その次は,道路標示がわかりにくいといういうことである。混み合った道路の地面に表示を書いてどうなるというのだろう。実際は標識を建設する費用をケチっているというだけのことだろう。
 こうした,物事を合理的に処理したり,予算を適切に配分するということのできない日本人の能力を,私はすっかり見限っている。
 その反面,意味もなく細かく気をくばって,その結果余計にわかりにくく複雑にして,街をきたなくする能力は世界一だ。

 閑話休題。 
 これまでに書いたように,ダイナソア国定公園を往復するのに予想以上に時間がかかって,結局,そのあとで行こうと思っていたフォッシルビュート国定公園へは行くことができなくなってしまった。
 すでに書いたように,きょう,そのままアイダホに帰ろうか,それともどこかに寄ろうかなど,ずいぶんと迷ったあげくに行くことになったのが,このダイナソア国定公園であった。
 実は,その前に,よほど,ワイオミング州のグランドテイトン国立公園にまで足をのばそうかとも思っていたのだった。しかし,もう一度行ったことがあったし,この時は,ずいぶんと多くの国立公園に行ったあとだったから,さすがに満腹感が強くて,しかも遠くて行く気力が失せていたのだった。

 今晩の宿泊場所は,エバンストという町のホテルにした。ワイオミング州の州境にある町だった。
 エバンストン(Evanston)は,ワイオミング州南西部に位置する町だ。周囲は沙漠に囲まれているが、東西の地平線のかなたにはロッキー山脈の頂を望むことができるという180度に広がる太く美しい虹が印象的な町ということだ。人口はおよそ1万人である。
 この町の歴史は西部開拓時代に遡り,当時は西へ向かう要所として栄えた。そして,東西から伸びてきた大陸横断鉄道が、1869年にこの地でつながったことから,大陸横断鉄道開通の地としても知られた。そのために,エバンストンのダウンタウンは西部開拓時代の雰囲気を今も色濃く残している。
 私はこの町の近場には観光地がないと思っていたが,調べてみると,車で1時間弱の距離にウインタ山があり,手付かずの自然の中で,フライフィッシングやオートキャンプが楽しめるのだという。
 また,エバンストンには州内でもトップクラスのエバンストン高校(Evanston High School)があるということだ。

DSCN2345DSCN2350DSCN2354DSCN2357

 このあたりを,アシュレイ国有林(Ashley National Forest)という。インターステイツ80から国道191に入ったころの平坦な景色とも違い,また,ユタ州の国立公園の景観ともまた違った素敵な風景であった。このあたりには何らかの鉱山があったようで,そうした発掘現場らしいところもみられた。
 やがて,町になった。この町がバーナルであった。
 バーナルは人口が1万人。ユタ州の他の町と同じように,モルモン教徒が作った町である。この町の経済は,石油,天然ガス,リン酸塩,ギルソナイトなどの天然資源からなっているが,私がダイナソア国定公園をめざすように,恐竜の化石博物館目当ての観光産業も盛んである。
 また,アウトドア愛好家の間では,釣り,狩猟,および他の野外活動のための観光スポットとしても有名である。
 アメリカによくある小さな住みやすそうな町で,町中も,車は多いが走りやすいところであった。

 町で道路は西に国道191,東に国道40と別れて,国道40へ針路をとってしばらく走っていくと,やがて,左側,つまり北側に,雄大な山々が見えてきた。さらに走っていったところに,例によって小さな道路標示で,「ダイナソア国定公園」とあったらしいのだが,私はどうやらそれを見落としてしまったらしい。
 さらにしばらく走ってから,めざす国定公園の入口はどうやら過ぎてしまったと気づいたので,引き返すことになった。今度は,この道路標示を見つけることができたので,右折して(引き返しているので),北に向かう道路を走っていった。そこからもさらに進むと,やがて,この国定公園の建物が見えてきた。建物の手前には大きな駐車場があったのだが,そこには,多くの車が停車してあった。 

 それにしても,といつも書くのだが,こんなに遠く不便なところなのに,これほど多くの人が来ているというのが不思議なことであった。
 日本でも,バブル期に,北海道の不便なところに,多くのテーマパークができた。私も,そのうちのいくつかに行ったことがあるのだが,今となっては,すべて廃園となってしまった。この狭い日本で,わずか1時間くらいで行けるところですら,そんな状況なのである。
 しかし,考えてみれは,ここダイナソア国定公園は,人間の作ったテーマパークのように,その地域とはほとんど無縁な人工物ではないのだ。ここにしかない,人の手をはるかに超えた大自然の作りえたものなのである。
  ・・
 私は車を停めて,建物に向かった。
 入口には,これだけの施設には不似合いな,安っぽい恐竜の作り物があった。それも,また,アメリカらしいじゃあないか。
 この建物が展示室ではなくて,ここは売店と,子供たちの学習室であった。
 その建物を通って裏の出口を出ると,その先に,小高い山に行く2両連結のシャトルバスの乗り場があった。
 どうやら,展示室は,そのはるか山の上にあるらしい。

DSCN2309DSCN2316DSCN2324DSCN2325

 フォッシルビュート国定公園とダイナソア国定公園を比較して,私は,まずダイナソア国定公園へ行くことにした。そりゃ,絶対こっちのほうが面白そうでしょ!
 ダイナソア国定公園は,地球の歩き方にはソルトレイクシティからの行き方しか書いてなかったが,私は,インターステイツ80からダイナソア国定公園へ向かったから,マイルマーカー99のジャンクションで国道191を南下することになった。
 予定では,ダイナソア国定公園へ行った後でインターステイツ80に戻り,その後でマイルマーカー18で国道189を北上してフォッシルビュート国定公園へ行く,という予定であった。
 しかし,やがて,その考えがとても甘いことに気づかされるのであった…。

 「地球の歩き方」には,ダイナソア国定公園について「寄り道というには遠い」と書かれてあった。私の友人のNさんに,私がダイナソア国定公園に行ったと話したら,「そんな遠い所へ…」というようなことを言われたから,やはり,ここは,とんでもなく遠く不便なところであったというわけだ。
 このときの私はそんな事とは知らず,恐竜の化石が見られるぞ,というワクワク感で一杯なのであった。

 さて,写真をご覧ください。
 国道191は,今日の1番目の写真のような道路だった。見慣れているとはいえ,このまっすぐに続く道路は尋常ではない。こんな道路がどこまで続いているのだろう…。
 数年前にサウスダコタ州からノースダコタ州に行ったときの,な~んもないと感激した私はうぶであった。その後多くの道路をドライブしてみて知ったのは,アメリカなんて,どこもかしこも,こんなところばかりじゃあないか! ということであった。
 しかも,ここからさらに2時間走れは,大都会ソルトレイクシティなのです。

 結局,私は,50マイル,80キロメートルほど,こんな片側1車線の,それも,まったく対向車線から車の来ない国道191を南に向かって走っていった。やがて,「ようこそユタ州へ」の看板と恐竜が私を迎えてくれた。
 しかし,ダイナソア国定公園は,ここからまだまだ遠いのだった。
 さらに,国道191を100キロメートルくらい南下すると,バーナル(Vernal)という町に着くのだが,そこで道路は二股に分かれ,国道191は西へ,国道40が東に向かう。ダイナソア国定公園は,その国道40をさらに20キロメートルくらい行ったところから北に広がっているのだが,その入口がどこなのかすらよくわからない。地図には,東京都の広さくらいの場所に,ダイナソア国定公園と書いてあるきりだった。
 これでは,大阪から京都へ行くときに,時間があるからちょっと寄り道といって,日光へ行くようなものではないか!

 ダイナソア国定公園にはまだまだ遠かったが,国道191は,ユタ州に入ったところで,フレミング・ゴージ国立保養地(Flaming Gorge national Recreation Area)という雄大なダム湖に出会った。
 ここに1件の売店があった。このあたりには,ピクニックエリアとか,キャンプ場があって,ボートやらヨットを引いた車が結構いた。その奥には,さらに,雄大な景色が広がっていた。
 アメリカというのは,本当に,底が知れない。そして,こういったアメリカの雄大な姿をほとんどの日本人は知らない。
 ほとんどの日本人はアメリカの大都会しか知らないが,私は,人間の作った大都会よりも,こうしたところで満天の星が見たいといつも思うのだ。

DSCN2297 DSCN2283DSCN2288 DSCN2302

 前回の最後の写真にあったLove'sというのは,ガソリンスタンドの名前である。私は,そこで休憩して,ガソリンを入れた。そしてまた,水分補給をした。
 Love'sは日本ではなじみのない名前であろう。固有名詞というのは,知らないと何が何だかわからない。しかも,この名前から,ガソリンスタンドを思い起こすことは,知らなければ不可能であろう。

 Love'sは全米チェーンのガソリンスタンドであって,アメリカでは頻繁に見かけるお店である。
 このチェーン店は,1964年にトム・ラブとジュディー・ラブさんが始めたガソリンスタンドで,アメリカではじめてセルフサービスのガソリンスタンドをはじめたり,今やアメリカでは当たり前の,ガソリンスタンドとコンビニを併設したりして,その事業を拡張していったのだという。彼らが最初に始めたコンビニの名前はミニストップなのだというが,それが日本のミニストップと同じものかどうか,私は知らない。
 ともかく,彼らのはじめたミニストップは,日本のようなお店ではなく,単なるコンビニであった。
 ガソリンスタンドのほうの名前は,はじめはマスケットといったが,1973年に彼らの名前から今のものに変わったということだ。

 私は,こうした,日本ではなじみがなく,アメリカ人には当たり前の様々なお店やその利用法を載せたガイドブックがあればいいなあ,と思う。逆に,日本では,これだけ多くの外国人が来るのだから,吉野家の利用法,たとえば,「つゆだく」の説明とか,そういうガイドブックがあると面白いと思うのだが…。
 そんなわけで,私は,今後アメリカ旅行をする際には,日本ではなじみがないが,こちらでは当たり前というようなチェーン店を調べてみたいと思うようになった。
 このように,旅行をしていると,まだまだやりたいことがたくさんできる。
 どなたか,このアイデア,使いませんか?

 さて,この旅行では,インターステイツ80からの風景もたくさん写したが,どれも,そう変わりはないので,このブログではどんどん割愛して,今日の写真は,マイルマーカー107,国道191とのジャンクションである。
 このこともすでに書いたが,マイルマーカーは州境西からの距離なので,マイルマーカー107というのは,ワイオミング州の西の端から107マイルということである。今日,私はネブラスカ州から西に向かって走ってきたから,ワイオミング州のはじめのマイルマーカーは401であった。そうすると,すでに300マイル,つまり500キロ近く走ってきたことになる。
 国道191は,インターステイツ80からグランドテイトン国立公園とイエローストーン国立公園を経由して,モンタナ州のボーズマンに至る国道である。ここで,私は,この道をボーズマンからウェストイエローストーンまで走ったときのことを思い出すのだった。
 私にとっては,これまでに行ったアメリカ旅行でのさまざまな出来事が人生の思い出のほとんどを占めているのだ。本当に素晴らしきよき人生であることよ。

DSCN2216DSCN2219DSCN2230DSCN2263

 そのようにして見つけ出した候補が,フォッシルビュート国定公園(Fossil Butte National Monument)とダイナソア国定公園(Dinosaur National Monument)であった。
 フォッシルビュート国定公園は,インターステイツ80から北に37マイル,60キロメートル行ったところにある。5,000万年前に湖だったところにあって,ワニ,カメを始め,多くの魚類や昆虫,植物の化石,骨,歯,殻,皮などが展示されているということだ。
 ダイナソア国定公園は,インターステイツ80から南に250マイル,400キロメートル行ったところにある。ブロントザウルス,ステゴザウルスなど1,600に及ぶ恐竜の化石が発掘されたところで,浸食によって化石が露出した岩盤をそっくり建物が覆って展示されているところだということだ。
 私は,この両方を見にいこうと思った。共に派手なところでもなさそうだが,アメリカのこうした施設は,日本のそれと違って,行ってがっかりというところはまずないから,期待が持てる。
 その結果は…?
 それは,後日のブログのお楽しみとしよう。
  ・・
 ワイオミング州は広い。今日,この国定公園に行くのは,まだまだ先のことで,これから,まだ500キロメートル以上インターステイツ80を西に向かって走らなくてはならない。そこで,このブログでは,まだしばらくは雄大なワイオミング州のインターステイツ80からの風景をご覧いただこう。

 今日の写真の2番目は,インターステイツのパーキングエリアである。
 パーキングエリアといっても,トイレ以外な~んにもない。ただの休憩所である。
 アメリカのインターステイツは,ほぼどこも無料だから,ジャンクションで降りれば,ガソリンスタンドもコンビニもある。そこで,日本のように,サービスリアやパーキングエリアが充実しているわけではなく,また,そんな施設はほとんど必要がない。
 しかし,町と町との間がものすごく離れているところや,景色のきれいなところには,時折,このようなパーキングエリアがある。設備としては,トイレと自動販売機くらいのものだが,ここのパーキングには,自動販売機すらなかった。
 パーキングエリアは,どこも,ほとんどゴミもなく,とてもきれいなところである。
 州境には,観光案内所が設置されていることがある。
 こうした観光案内所は大変にすばらしく,地図やパンフレットがものすごくたくさん置いてあって,それらはすべて無料でもらうことができるし,フレンドリーな係員がいて,いろいろと教えてくれる。

 これを書きながらも思い出すのは,停めるところもないくらい車だらけのパーキングに,道路地図だけが置かれ,必要もないのに,我勝ちにそれを持っていくといった,日本のサービスエリアの様子である。これでも近年は充実した設備が増えてきたけれど,都会の郊外にある巨大ショッピングセンターとなんら変わるものではない。
 また,道の駅にしても,地元の特産品を売る店があるだけで,自然を満喫したり,その場所の景観など全く考えられていないような設備投資をする日本の姿である。 
 まあ,これが日本人の休日の楽しみ方だから仕方ないことであるけれど。

DSCN2175DSCN2176DSCN2182DSCN2204

 昨晩,きょう1日の予定を考えた。アイダホ州に戻るのは明日の昼過ぎということにしていたので,まだ,1日観光ができたし,ネブラスカ州からアイダホ州まではかなりの距離があったから,どこかで1泊したほうがよいように思えた。そうして探したのが,ワイオミング州とユタ州との州境エバンストン(Evanston)という町のハワード・ジョンション・インという名のホテルであった。
 つまり,今日1日で,ワイオミング州を横断すればいいことになる。
 
 ワイオミング州は,ほぼ正方形の形をしていて,私の走っているインターステイツ80は,その南側を通っている。
 西の州境に沿って見どころが多く,北から,イエローストーン国立公園,グランドテイトン国立公園がある。
 ロッキー山脈が縦断するワイオミング州は,平均標高はアメリカの中でコロラド州に次いで高い2,000メートル。豊かな自然に恵まれた地域で,人口は少なく, 山間には数多くの野生動物が暮らしている。ワイオミング州の牧場で飼われている羊や牛の数はワイオミング州の人口の2倍以上といわれ,自然 保護運動に関する意識も高い州である。
 ワイオミング州の北西部,四国の約半分の面積をもつ広大なイエローストーン国立公園は1872年に世界初の国立公園第1号に指定されたところである。同じ年に,ワイオミング州北東部にあるデビルス・タワーが「ナショナル・モニュメント(国定記念物)」の第1号に指定された。
 ワイオミング州の意識が高いのは自然保護運動だけでなく女性の地位向上である。1869年には,すでに女性の参政権を認めていた。そして1925年,アメリカ合衆国ではじめて女性の州知事が誕生したのもこの州である。

 結構な距離があるこの州の横断であるが,景色がよく,天気もよく,全く退屈することもなく,ドライブすることができた。ただひとつの問題は,この州に入ったらいたるところで道路工事をやっていて,片側1車線通行だったことだ。車の通行量が多くないから,まったく渋滞はしないが,こちらの道路工事のいいかげんなところは,道路を規制する日本とはちがう大きなラバーコーンが無造作に置かれていて,車幅すれすれだったり,また,そんな状態だから車がぶつけてそれが転がっていたりすることで,あぶないったらありゃしないことであった。
 景色はよくとも,ほとんどの場所はインターステイツ80を離れて北に向かっても,アクセスする道路もほとんどなく,また,どこかへ行くにも,あまりに広すぎるので,1日自由時間があったとしても気軽に立ち寄りるといういものではないことであった。なにせ,この州だけで,日本くらいの広さがある。
 私は,すでにイエローストーン国立公園にもグランドテイトン国立公園にも行ったことがある。また,ここは,アイダホ州から近いので,いずれまた行く機会もあることだろし,きょう1日で行くには遠すぎるから,「地球の歩き方」のアメリカ国立公園編で,どこか行けるとこがないかを探したのだった。

このページのトップヘ