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●「Ina」は「伊那市」ではない●
 私は,こうして,インターステイツ69に入った。
 マンモスケイブ国立公園を出発したのが午後3時くらいで,インターステイツ69に入ったのが午後5時くらいであった。
 アメリカの道路は,インターステイツを走っている限り,時速120キロメートル程度で,およそ渋滞もなく,大陸中を駆け巡ることができる。今日は,この先,インターステイツ69を北上して,インターステイツ64で左折して,そのままインターステイツ64をセントルイスまで行くだけであった。
 今晩のホテルは,セントルイスの東の郊外の「ファースト・ウェスタン・イン」(First Western Inn)であった。

 走っているときは,ここが何州なのかということをあまり意識をしていなかったが,オハイオ川を渡った先の道路の表示で,橋を渡ったらインディアナ州に変わったんだということが分かった。
 そういえば,インディアナ州というのは夏時間を採用していない州ではないか,と私は思った。
 この州だけ夏時間でないというのはすごく紛らわしいことである。スマホもなかった時代,旅行者が飛行機の出発時間を間違えた…なんていうエピソードを,日本名「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing)というドラマでやっていたのを思い出す。
 今回の旅では,インディアナ州が夏時間だろうとそうでなかろうと私には全く関係がなかったから気にもしなかったが,帰ってから改めて調べてみると,2006年以降は,州全体夏時間を採用したということだった。
 私が以前インディアナ州へ来たのは2002年であったが,その時は時間が分からず大変であった。私は,このインディアナ州は,ほとんど観光もせず,単に,西の端から東の端までインターステイツ70で駆け抜けただけであったのだが,途中のインディアナポリスで夜になって1泊した。そのとき,ホテルがなかなか見つからず,ではない,ホテルのある場所が見つからず,苦労したという思い出がある。そして,やっとのことで見つけたホテルはとんだ安宿で,部屋のキーが壊れていた。
 今ならこんなことがあればフロントに行って部屋を変えてもらうだけだが,当時はそういうことをするもの大変だったのだ。これが12年という月日なのであろう。

 それでも,ここがインディアナ州だということは,地図上からも,また,実感としても理解できた。
 私は,この先も,快調にインターステイツ69から64に乗り換えて,西に向かって走って行ったのだが,そうすると,「ようこそイリノイ州」という道路表示があったのにはびっくりした。イリノイ州といえば,シカゴではないか!
 私は,つい,一昨日はミシシッピ州やらアラバマ州といった南部にいた。それが,突然イリノイ州といわれても,なんだか信じられなかった。
 実際は,セントルイスはミズーリ州にあるとはいえミズーリ州の東の端に位置していて,ミシシッピ川を越えた東は,イリノイ州なのであった。

 イリノイ州に入ったら,インターステイツの周りの風景は再び一変して,花が咲き,さらに美しくなった。
 これにもびっくりした。
 さらにもう少し走って行くと,インタースイツ64は,南北に走るインターステイツ57と交差した。そこにあった町がマウント・バーノン(Mt.Vernon)であった。
 私は,ここで一旦インターステイツを降りて,ガソリンスタンドに入った。
 このガソリンスタンドには,コンビニとともに,デニーズが併設されていたので,ここで,夕食をとることにした。

 この町でインターステイツ57をそのまま北上していけば,セントルイスではなく,シカゴまで容易に行くことができるのだ。ああ,また悪い誘惑に負けそうだった。私は,今回の旅で,まさか,「シカゴ」などという地名が出てくるとは思わなかった。シカゴに行けば,デトロイトだって遠くはない。その先はニューヨークだ。
 アメリカは広いのか狭いのか? 私にはだんだんわからなくなってきた…。
 そうした誘惑を振り切って,夕食後,私は,インターステイツ64に戻った。
 ところで,このインターステイツ57を,シカゴに通じる北方向ではなく南方向に走ってい行くとイナ(Ina)という町に着くのだが,Google Mapsでは,この「イナ」は,なんと漢字で「伊那市」と表示されるのだ。これは絶対に間違い=バグである。でも面白いからそのままにしておこう。
 日が沈み,あたりが暗くなってきたころに,私は,今日宿泊するホテルに到着したのだった。