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2024年2月6日,「世界のオザワ」と評された指揮者の小澤征爾さんが亡くなりました。88歳でした。
私は,今から43年前,ボストン,ニューヨーク,ワシントンDCをひとり旅しました。そのとき,小澤征爾さんはボストン交響楽団の音楽監督でした。ボストンのコンサートホールに大きな小澤征爾さんのポスターを見て,誇らしく思ったものです。当時,アメリカでもっとも有名な日本人,といわれていたと聞きました。
私が小澤征爾さんの指揮をコンサートホールで聴いたのは,残念ながらたった一度でしたが,私は,小澤征爾さんが憧れで,また,音楽が聴けるのを楽しみにしていました。
著書「ボクの音楽武者修行」にこうあります。
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スクーターを唯一の財産として神戸から貨物船に乗り込み,マルセイユからパリまでたどりつき,フランス国内,アメリカ,ドイツ,そしてふたたびアメリカへと回って,いよいよ約二年半ぶりになつかしい日本へ帰ることになった。
4月24日午前10時,JALのニューヨーク・フィル特別機で羽田に着いた。ハッチが開けられると,メンバーの連中がみんな
「セイジ,お前が最初に降りるんだ!」
と言って,ぼくを先頭にしてくれた。
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突然,バーンスタインが,ぼくの首っ玉にとびついて来た。ぼくは危うく倒れるところだった。
「セイジ! セイジ! よかったな,よかったな!」
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私は,この文章がずっと頭に残りました。おそらくこのときが小澤征爾さんの人生で最高の瞬間。
その後,小澤征爾さんの足跡を探すかのように,私は,ボストン交響楽団の夏の避暑地であるタングルウッドを訪れました。そして,そこに,セイジオザワホールがあるのに,再び感動しました。
ああ,この人は,こういうところで活躍していたんだな,と思いました。
残念ながら,大きな病気をしてからは,活躍もままならなくなってしまったのがとても残念でしたが,これほど偉大で,しかし,偉ぶらず,多くの人に感動を与えた人もありますまい。
すばらしい人生でした。ご冥福をお祈りします。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは