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2024年8月8日。連日の猛暑で旅行に出る気も起きずその気もなく,かといって暇なので,映画を見てくることにしました。
上映中のもので1番おもしろそうだった「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を選びましたが,とはいえ,どういう内容なのかまったく知らず,単に題名で決めただけです。
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こんな内閣待っていた - 歴史上の偉人オールスターズが現代に大復活!
物語の舞台は2020年。コロナ禍真っ只中の日本で,未曾有の危機に直面する政府が実行した最後の手段は「歴史上の偉人たちをAIで復活させ最強内閣を作る」ことだった。
総理大臣を託されたのは徳川家康。そして,官房長官を坂本龍馬,経済産業大臣を織田信長,財務大臣を豊臣秀吉,ほかにも,紫式部,聖徳太子,北条政子,徳川吉宗,徳川綱吉,足利義満などのドリームチーム内閣が誕生する。
そんな中,テレビ局の新人記者・西村理沙はスクープを取ろうと,政府のスポークスマンである坂本龍馬に近づくのだが,ひょんなことから裏に渦巻く黒い思惑に気付いてしまう。はたして陰謀の正体とは? そして,日本史に新たに刻まれる「事件」の真相とは?!
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というあらすじでした。
眞邊明人さんの小説を映画化したものだそうです。
私は,映画は小難しいものでなくておもしろければいいや,ということで見にいったので,十分に満足できましたが,この映画は,さまざまな歴史上の逸話や現代のパロディがちりばめられているので,歴史や政治がわからない人には退屈だったかもしれません。近くに2人の子供を連れた家族がいたのですが,子供たちははうんざりしていました。この映画を家族で見にくるほうが悪いのでしょう。これは,日常にうんざりしている,あるいは私のように暇を持て余している老人の見る映画です。
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特におもしろかったのは前半の30分。現在の政治家に見せてやりたいです。
しかし,こんな大ぶろしきを広げちゃって,その後,どういう展開にするのかな? と心配になったのですが,それは杞憂に終わらず,散らかしたおもちゃを片づけようにも片づけるおもちゃ箱がない,という感じになってしまいました。
こんな展開にするのなら,いっそのこと,もっと無茶苦茶にダイナミックにすればいいのに…。例えば,AIを駆使して,歴史上の人物をたくさん出してしまうとか。どうせ,今や,コンピュータグラフィックでどんな画像でも作れるのだから。
後半は,説教くさい,という批評があるのですが,実際,徳川家康校長先生の講話を聞いているようなものでした。徳川家康さんは太平の世を作った,のかもしれませんが,それよりも,徳川家を滅ぼさないように,川には橋を架けず,大名の妻子を人質にとって,庶民から税金を取り立てて物言わぬようにした徳川独裁王朝の基礎を作っただけ,かもしれませんよ。
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映画やテレビドラマを見るといつも思うのですが,アメリカの作品では大統領や警察官,消防士は英雄であり,憧れとして描いているものが多いのですが,日本の作品では,政治家や官僚,地位の高い人たちは,裏金をせしめたり,部下をいじめたりする悪徳な輩ばかりなのです。そして,それに対して,歴史上の偉人は史実以上に英雄になり賛美されます。また,「ドクターX」の大門未知子や「ラジエーターハウスの五十嵐唯織,「七人の秘書」の〈名乗るほどのものではありません〉のように,名もない庶民のように思える人が実はすごい実力者だったりする…,といった描きかたがされるのです。
この国人たちは,日ごろ,よほど不満を抱えていて,しかし,言いたいことも言えず抑圧されて生きているのでしょう。
この映画では徳川家康を賛美しすぎているのと,歴史ドラマの常として,ヒーローはいつも坂本龍馬になってしまうのも同じで,これでは単純というか,代わり映えがしないというか。私は,物語の展開から深みをなくしていると思いました。むしろ,影のワルが坂本龍馬だったりするほうがよかったかも。
まあ,いずれにしても,日本は,世界で最も古い国だとか自画自賛していても,長~い歴史があっても,この映画で内閣を組織した人たち程度しかリーダーがいなかった,というのが,人材不足の日本を象徴していますな。
ともかくも,退屈しない2時間の暇つぶしでした。シニア割引1,200円也なら,十分に元が取れました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
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