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岩手県奥州市水沢に国立天文台水沢VLBI観測所があります。国立天文台の中で,現存する一番古い観測所のひとつで,1899年(明治32年)に設置されました。
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明治時代,天体観測の面でも欧米各国の科学技術を導入して,正確な緯度を測定する事業を行うために設置された緯度観測所が前身です。現在も,国際緯度観測事業を行いつつ,測地学観測の観測所として機能しています。
緯度観測所では,日本及びアジアにおける国際測地学研究の拠点として,測地学に関連する研究及び測定を行いました。この観測事業の実施を行った木村栄教授が近代測地学の世界的業績であるZ項を発見した場所として有名です。
現在,これらの観測に用いられた機材開発技術を応用して,月測地学探査に必要な機器開発を実施し,月探査計画での観測データ解析も行っています。また,相対基線法による超長基線電波干渉法(Very Long Baseline Interferometry=VLBI)観測で精密な銀河マップを作製することを目的に,日本各地にあるVLBI観測点を専用ネットワークで結んだ観測点の解析センターの役割を担っています。これらのデータ解析には精密な時刻測定が必要なため,国内では数少ない協定世界時(UTC)を刻む原子時計を運用し,データ解析に活用し,研究観測から得られたデータは,日本電信電話の時報(117),情報通信研究機構のJJY,NHKのラジオ放送の時報などに活用されています。
2019年から,ブラックホールの影を世界ではじめて撮影に成功したチームに参加した本間希樹教授が所長を務めていますが,2020年度の天文台関連の予算が半分程度に減額されることとなって電波望遠鏡の停止や人員の補充が行われないなど研究への影響が懸念されていましたが,他の研究により予算が確保され電波望遠鏡の維持は可能となったそうです。また,2021年には必要最低限の研究が可能な予算要求がほぼ満額で決定されたといいます。
私は,この観測所のことは昔から知っていましたが,光学望遠鏡があるわけでないからまったく興味もなく,どこにあるのかも知りませんでした。
2019年,宮沢賢治にちなんだ花巻に興味をもち,また,ブラックホールの写真撮影に成功した本間希樹教授が所長ということで行ってみたくなって,東京から深夜バスに乗って出かけてきました。行ってみて,私はこの地が大好きになりました。また,水沢VLBI観測所で行っている研究にも興味をもちました。
奥州市は遠いところでしたが,今は,県営名古屋空港から花巻空港までFDAが飛んでいるので,行くことは容易になったので,また,訪れてみたいものです。
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「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
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