私の短いニュージーランド旅行も,いよいよ帰国の日が近くなりました。来る前はさっぱり状況がわからないところでしたが,わずか3日の滞在で,ニュージーランドというところがおぼろげにわかりました。そしてまた,星を見るという目的も達成できました。
ニュージーランドでは,道路の脇にルピナスという美しい花が咲き誇っています。これは,イギリスから来た女性が故郷を懐かしんで種を蒔いて歩いたことで自生した雑草ですが,外来種のためにマウントクックあたりでは一斉に駆除されたようです。また,イギリスから持ち込まれたものに狩りのためのウサギがいます。天敵がいないので増えすぎて,夜行性で夜になるといくらでも道路に飛び出してきます。車で走っていると道路には轢かれた姿を頻繁に目撃します。また,ウサギの肉は「game」と呼ばれレストランで味わうことができます。
ルピナスとウサギ,ともにイギリスからニュージーランドに持ち込まれたものがさまざまな問題を抱えているようです。
今日は,クライストチャーチに戻るだけの日程です。そして,1日目に宿泊したホテルに再び1泊して,明日は早朝6時過ぎのフライトで,オーストラリアのブリスベンを経由して成田に戻ります。
テカポ湖からクライストチャーチまでは特に行くところも,行きたいところもなかったのですが,時間がたっぷりあったので,ニュージーランドの南の海岸線を遠まわりで走ることにしました。いわば信州の諏訪湖から東京に帰るのに名古屋まで行ってさらに京都へ寄ってから東海道を東京に向かうような感じです。
テカポ湖を出発して,まず,ハイウェイ8を南東に海岸まで走り,ティマル(Timaru)という町まで行きました。そこからさらにクライストチャーチとは反対の南南西に海岸に沿って走り,オアマル(Omaru)まで行きました。
その途中の風景はどこもヒツジやウシが放牧されているのどかな田園地帯でした。
ティマルやオアマルという町は,ちっとしたダウンタウンのある小さな港町で,博物館や古い教会などがあります。この夏に行ったアメリカ・サウスカロライナ州のチャールストンに似ている,と言えなくもないのですが,それよりはずっと規模も小さく,歴史も浅いものです。車を停めて街を散策してもよいのですが,何か特別なものがあるというほどのものでもありません。その点でもハワイよりも魅力に劣ります。
オアマルにはブルーペンギンのコロニーがあるということだったので,そこまで遠出したのですが,海から巣穴に戻って来るペンギンの群れが見られるのは夜とのこと。私が見ることができたのは,卵から孵ったばかりのひなの様子だけでした。
オアマルからクライストチャーチに海岸線を国道1に沿って引き返しました。ニュージーランドの南島はどこもそんな感じなのだろうと思う単調な風景でした。
クライストチャーチも,到着した日に市内観光はすでに済ませたので,郊外にあるウィローバンク野生保護区へ行ってみることにしました。場所は空港の近くで,ハイウェイ1からアクセスできるはずだったのですが,道路は工事中で遮断されてしまっていて迂回する必要があり,到着するのにずいぶんと苦労しました。
この保護区はニュージーランドの固有種を中心とした動物園で,なかでも,タカへ(Takahe)という以前は絶滅したと考えれられていた鳥や,キウィ(Kiwi)が目玉です。特に,キウィは真っ暗にされた室内でまじかにみることができるようになっていました。ただし,探し出すのが大変でした。
ホテルに戻って,近くの日本料理店に夕食を食べに行きましたが,クライストチャーチの市内には日本料理の食べられるお店がずいぶんあって,しかもアメリカのように韓国人がやっているというのではなくて,正真正銘の日本と変わらないものを食べることができます。
こうして,私のニュージーランドの星空観察旅行は終了しました。帰国の日は出発が朝の6時ということで,早朝2時に起床。3時30分にホテルを出て,空港に向かいました。予定通りにクライストチャーチを離陸して,オーストラリア・ブリスベンで乗り換え,予定よりも30分早く,日本時間午後5時30分に成田空港に着きました。行きとは違い快晴のブリスベンからカンタス航空に乗った乗客のほとんどはオーストラリア人で,帰国のために乗っていた日本人はほとんどいませんでした。おかげで成田空港の日本人用の入国ゲートはガラガラでした。
ニュージーランド,今回はツキに恵まれすぎていて,毎日快晴で星空を堪能できましたが,私が思っていたほど晴天に恵まれるところでもないなあ,星を見る以外に何もすることがないところだなあ,というのが率直な感想です。ブリスベンから乗った飛行機で隣になった交換留学でブリスベンに1年滞在して日本に帰国する日本の大学生の女性の方とお話をしていて,オーストラリアのほうが晴天率が高そうなことがわかったので,今度はオーストラリアで星を見たいと思うようになってきました。いずれにしても,南十字星からマゼラン雲にかけて南天の星空はほんとうに素晴らしいもので,これだけは赤道を越えなければ見ることはできません。
南半球ではありませんが,次に私が南十字星と対面できるのは来年3月のハワイ旅行です。寒いニュージーランドに比べたら常夏の島ハワイのほうが,星を見るならともかく,観光地を求めるならずっと魅力的だというのが,今回の旅の私の結論でした。
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特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE⑦
翌日,私はここにもう1泊して,再び別の星空観察ツアーに参加することにしていたので,お昼間はマウント・クックまでドライブを楽しむことにしました。天候が悪いときの予備日として2日間の滞在を予定していたのですが,天候に恵まれた結果,すでに目的は達成したので,この先はおまけの日程になりました。
朝は,昨日のお昼を食べた同じコーヒーショップでモーニングセットを食べました。私の宿泊したバカ高いホテルは,朝食も高価な別料金だし,Wifiは100MBまでしか使えないというこれもまたバカげた容量制限があって,まったくもって,単に暴利をむさぼるだけの悪徳リゾートホテルでした。私は宿泊しませんがハワイ島のリゾートトホテルも同じく,こういうホテルは大手旅行社とタイアップして集客をしているので,ツアーでやってきた団体旅行客はこういうところにお金を払っているわけです。こんな点は,ニュージーランドは私の嫌いな「せこい日本」に似ています。
ニュージーランドは車の運転も日本のように乱暴だし後ろから煽ったりするし,硬貨もやたらとでかくて重たいし,いろんな意味で私の日本の嫌いなところがありました。ニュージーランドは確かに人が少なく自然も豊かで美しいけれど,私は「せこい日本」が嫌いで海外旅行をしているのに,人の生活には日本にいるのと同じ感覚を味わったのでした。
マウント・クックまではプカキ湖の西の湖畔沿いを北に向かってきれいで雄大な風景を眺めながら往復4時間ほどのドライブでした。ものすごい展望と,緑色の美しい湖,そして,遠くに見える山々の雪をかぶった姿は,一見の価値があります。ただし,マウント・クック自体は雲がかかっていて,見ることができませんでした。
ニュージーランドの国立公園は,これもまた日本と同様に入園料が要るということもなく,アメリカとは全く違うのですが,いろんなサービスという点では,アメリカの国立公園のほうがずっと楽しいです。駐車場がほとんどなく車を停めるのに苦労します。
ニュージーランドではフィッシングをするとかトレッキングをするとか,そういったアクテビティを楽しまなければ,1週間も滞在するとすることがなくなります。星だって,毎日満天の星空が手に入ってしまうから,さしてすることもなくなります。
お昼過ぎにホテルに戻り,今日は日本料理店で昼食を食べました。食事も,日本と同じものが食べられます。午後は,近くのWifiのできる喫茶店でコーヒーを飲みながらゆっくりすごしました。なにせ,ホテルのWifiは容量制限を超えて,ネットすらできないありさま,とてもあり得ない話でした。
夜は,10時ずぎからの星空観察ツアー。今日はコーワンズ天文台ツアーというものですが,天文台といっても,実際は,近くの空き地に設置された望遠鏡で星を見ながら説明を聞くという,昨日と行き先が違うだけで内容は同じものでした。JTBのニュージーランド団体旅行ツアー御一行様の日程に組み込まれているオプショナルツアーらしく,それに参加した人と一緒でした。私は特に参加する必要もなかったのですが,事前に予約してあったし,満天の星空をみたいという目的をすでに遂げた私には適当な時間つぶしにはなりました。参加していたのは今日もまた無知丸出しのおばさんたち。こういう人たちには星空も京都で雑誌に載っているレストランでグルメを食べるのも同じ次元です。
ツアーが終わってから「善き羊飼いの教会」を風景に入れた星空の写真を写しにいきました。そこで写した写真が今日のブログの1番はじめに載せたものです。
しかし,世界でもっとも美しい星空の見られる場所といわれるそこにいたのは,これもまた,いつもの通り態度と声がでかく道徳心のかけらもない中国人の団体旅行ツアー御一行さんたち。彼らが大声で叫び雰囲気をぶち壊し,懐中電灯を振り回しせっかくの星空を光で照らしてしまうのです。
かくして,日本も含めた世界中の素晴らしい観光地は,彼らによってすべてが台なしにされていくのです。
特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE⑥
今日も夕方になると少しずつ雲が切れて来ました。私はニュージーランドに興味があったわけではなく,単に南半球の星空を見にきただけだから,少しでもチャンスがあれば星を見に行くことが最優先なのです。
アース&スカイのマウント・ジョン天文台のある山頂に行く星空観察ツアーの出発は深夜の0時過ぎです。太陽が沈んで空が暗くなるのが午後10時40分ごろと,南半球でもずいぶんと南に位置するこの場所は夏時間ということもあってかなり遅いのですが,それでも,日が暮れて空が暗くなってからツアーまでは1時間ほど星を見る時間がありました。日本とは違って車でほんの数分も町から郊外に走っていけばあたりは牧草地ばかりで真っ暗,どこでも満天の星空が広がっています。そこで,今晩もその間,星を見に出かけるとにしました。
ホテルを出てテカポ湖からハイウエイ8を少し西に走って行ったところに空き地があったので車を停めて外に出ると,ものすごく強い風が雲を蹴散らしはじめていて,今晩もまた,天気予報どおり本当に快晴になってきました。
寒いので一旦車に戻ると,車の窓からも鮮やかに星が輝いて見えます。運転席に座って,iPhoneにインストールしてあるステラナビゲーターを参考にしながら,日本では見られない星座を探していきます。まず天頂付近に小マゼラン雲が浮かんでいます。それを左にたどっていくと大マゼラン雲があって,南の空を地平線に向かって目を落としていくと,きしちょう座,みずへび座,くじゃく座,みなみのさんかく座,ふうちょう座,カメレオン座,はちぶんぎ座,みなみじゅうじ座… と面白いほど正確にステラナビゲーターどおりの南天の星空が目の前に見えるのです。明るい1等星はシリウス,カノーブス,アケルナル,リゲルケンタウルス,アクルックスなど,そのほとんどは日本では馴染みのないものばかりです。
再び外に出て,三脚に簡易赤道儀を乗せてカメラを設置し,極軸を合わせて写真撮影の開始です。時折,車がヘッドライトをつけて傍らのハイウェイを通り過ぎるので,その間だけ撮影を中止しながらも多くの写真を撮りました。
最も驚いたのは人工の光がないので,カメラのホワイトバランスを自動にしておいても星空のバックが赤や青ではなく黒く写るのです。こうして午後11時30分ごろまで夢中で写真を撮ってからホテルに戻りました。
深夜0時過ぎ,ホテルに星空観察ツアーの送迎バスが来ました。
参加者はものすごく多くて40人以上。来てみてわかったのですが,ここは団体の旅行ツアーがそのプログラムにこの星空観察ツアーを組み込んでいるのです。だから,日ごろ,まったく星なんかに興味のないおばさんたちがわけわからず参加しているのです。それにはげんなりしましたが,ともかく,これに参加しないと深夜の天文台には登れません。
山頂はかなり風が強く寒かったのですが,中止にもならず雲のない快晴の星空を堪能することができました。それにしても,この南天の星空が見たくて見たくて見たくてたまらない天文ファンも多いというのに,ほとんど興味もないようなこういう運のよいおばささんたちが満天の星空を見る機会があるのですから,天も罪作りです。なにせ,マゼラン雲を見ても単に雲が浮かんでいるだけだと思っていて感動のかけらもないし,南十字星を見ても「小さい!」と叫んでいるだけだし,宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだこともないから石炭袋を見てもそれがなんだかわからないし,南半球まで来てアンドロメダ銀河や北斗七星が見たいだとか,わけのわからないことを言っているのですから困ったものです。
ともあれ,私は,夢にまで見た南天の星空を心ゆくまで堪能することができました。
この日,私の参加した星空観察ツアーより3時間ほど早い前の回のツアーは強風で中止になったそうです。私が牧草地で星を見ていた時間です。そのツアーには,私がクライストチャーチの空港で知り合った新婚さんが参加予定でした。彼らはもともとは偶然私と同じツアーだったのが,キャンセルがあって早い回になったのだそうです。
ここテカポ湖は晴天率70%で,お昼間に雲が出ていても夜になると風が雲を蹴散らして空が晴れるのだそうです。しかし,日本のように移動性の高気圧が覆うと2日ほど快晴が続く,という安定した天候ではないから,単に観光で星空を見るには適していても,天文台を建てて観測するには,あまり向いていない場所のように私には思えました。
また,ハワイ島でのマウナケア星空観察ツアーは,さすがに団体旅行のツアー客が押し掛けるということもないので,現地の日本語ツアーは少人数ですが,ここは完全に団体旅行のツアー客に占領されています。ただし,ハワイ島の星空観察ツアーよりもツアー会社自体はずっと良心的です。
しかし,自分で南天の天体写真を写したいという天文マニアは,ツアーに参加しなくても,私のように,近くの牧草地の空き地へ行けばどこでも写真を写すことができるので,そのほうがよいかも知れません。治安は問題ありませんし,日本と違ってクマもシカもいません。ただし夜は夜行性のウサギが飛び出てきます。
特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE⑤
私が当てもなく走っていったのは国道74で,着いたのはリッテルトン(Lyteiton)という港町だったのですが,そこからさらにほとんど車の通らなさそうな一般道を海岸沿いの高台まで走ったところにあった駐車帯に車を停めて,写真を写すことにしました。
空を見上げてはじめに目についたはひっくり返ったオリオン座でしたが,それ以外はどこに何があるのやら方角さえもさっぱりわかりません。さすがに南半球の星空はハワイとは違いました。しっかり予習して来たはずなんですがすべて消え失せました。南半球では日周運動は南の空が中心です。だから真南を見なくてはいけません。北の空には日本でも馴染みのある星座がひっくり返って見られます。
見上げること10分,だんだんと位置がわかって来ました。そうしたら南十字もマゼラン雲も確認できるようになってきました。すごい星空です。感動しました。私はこの日本では決して見られない南半球の星空が見たくて17時間も旅をして来たのです。
こうしてニュージーランド初日,テカポ湖へ行く前に,曲がりなりにも旅の目的を達成してしまいました。この旅で天気が悪くせっかく来たのに全く星が見られなかったらどうしようという心配はなくなりました。もう明日からは天気が悪くて星が見られなくても後悔することはありません。
こうして興奮冷めやらぬまま次の日の朝になりました。ぐっすり寝られたので時差ボケもありませんでした。
今日はクライストチャーチから車で3時間くらい走ってテカポ湖へ行くのです。クライストチャーチのホテルはそのままにして,テカポ湖の豪華なリゾートに2泊します。テカポ湖ではここしか空部屋がなかったのです。
実は,私はクライストチャーチとテカポ湖を毎日往復するつもりでいたのです。出発の数週間前に改めて調べてみて,そんなことは不可能だとはじめて知って,あわててホテルを探したのに,ほとんどが満室だったのです。もし,ここも満室だったら,私はどうしたというのでしょう?
途中,マクドナルドで朝食をとってハイウェイ1をずっと走りました。こちらのマクドナルドは自動注文マシーンがあるので便利です。
ハイウェイといっても片側1車線の一般道なのにここを100キロでビュンビュン走るのです。信号は皆無です。周りは森と牧草地とヒツジばかりなのですが,ときどき小さな町に着くと制限速度が50キロになります。
やがてテカポ湖に到着しました。
常になにかに怖じけづいたような無愛想な日本人と,ここでもまたずうずうしく声のでかい我が物顔の中国人がやたらと多いのです。みんなツアー客で,大型バスでやって来ます。さすが世界のリゾート地です。私は星を見るという目的がなければこんなリゾートには縁がありません。第一,テカポ湖がこんな有名なリゾートとは知りませんでした。
しかしここは湖のほとりに数件のお店とリゾートホテルががあるだけの小さな町です。お昼を食べに1軒のコーヒーショップに入って,サンドイッチとコーヒーを注文しましたが,店員さんが日本人でした。結構日本語が通じます。
数か月前まで,まさか私がテカポ湖に来るとは思ってもいませんでした。テカポ湖という名前は知っていましたが,ニュージーランドで星を見ると決めたときもテカポ湖に来るとは決めてなかったし,でもどういうわけか来てしまったことがとても不思議でした。
湖とその向こうに見える雪をかぶった山並みが美しいです。とはいってもここは美しい景色以外には見どころがあるわけでもなく湖岸の「善き牛飼いの教会」と山の上にあるマウント・ジョン天文台くらいです。そして極めつけが満天の星空です。と簡単にいうものの,それらがすべて日本では決して見られない,筆舌に尽くしがたいものです。
到着して早々車で天文台のある山の頂上に登ってみました。途中にゲートがあって5ドル払うとお昼間だけ登れるのです。夜は日本人の経営するアース&スカイという会社の行う星空観察ツアーでのみ登ることができます。標高1,500メートルくらいの山頂はものすごい風でした。ここにはニュージーランドや日本の大学が設置した4基の天体望遠鏡があります。その脇にガラス張りのカフェハウスがあってここが一般客に開放されています。カフェのなかは温室状態でした。コーヒーを飲んでいたら,日本から来た観光客の方と同席になりました。
山頂からのテカポ湖の風景を楽しんだあと,一度ホテルに戻り再び徒歩で夕食を食べに中国料理店に行きました。ほかのレストランは団体客の貸切でした。
空は到着したころは晴れていたのですがこの頃になるとすっかり曇ってきて絶望的に思えました。昨日は雨で,星空観察ツアーは中止になったそうです。iPhoneのアプリに「Wunderground」と「The Weather Channel」というのがあって現地の天気予報がわかるのですが,これが目まぐるしく変わるので,ほんとうのところあまりよくわからないのです。夕方の時点では空はどんよりと曇っているのに,そのとき,午後10時過ぎには晴れ上がるるという新しい予報に更新されました! それが本当なら,これを逃す手はありません。
今晩の予定は,深夜0時過ぎに出発するツアーに参加して,再びマウント・ジョン天文台に登ることになっているのですが,それまでどうしましょう? 本当に予報通り晴れるのでしょうか?
特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE④
ホテルにチェックインしてから,とりあえず車でダウンタウンまで行って,クライストチャーチの主だったところを観光しました。
行った場所は,ダウンタウンのカードボード・カセドラル,カセドラル・スクエア,リ・スタートでしたが,すべて震災の復興途中でした。この街は2時間もあれば歩いて観光できます。
ホテルに戻る前に夕食をと思っていたら,途中にデニーズがあったのでクラブサンドを食べました。この街には日本食のレストランもたくさんあるし,カルチャーショックは全く感じません。街を歩いていても日本にいるのとほとんど同じ感じです。決定的な違いは人が少ないことと自然が多いことだけですが,これこそが日本では手に入らない最大の魅力です。
しかし,これでは若い人が「遊学」に来るところではありません。言葉が英語ということを除けば,日本と全く変わりませんから生きる知恵は育めません。日本よりずっと楽に生活できるのです。アメリカをひとり旅するのに比べれば100倍は簡単です。
さて,ホテルに戻って,今度は近くにあるハグレイパーク(Hagley Park)へ歩いて行ってみたのですが,それがまた美しくむちゃくちゃ広いこと。しかも広場ではクリスマスコンサートをやっていて,すごく多くの人が集まっていました。街中の若者がみんな集まったような感じでした。他に楽しみもありませんから。
空を見上げると,ところどころ雲が切れて来ました。これなら少しは星が見られそうなので,急いでホテルに戻って星を見にいくことにしました。私はニュージーランドへ星を見にきたのです。
しかし,こちらはもうすぐ夏至ということで空が暗くなるのは夜11時過ぎだし,いかにニュージーランドの人口が少ないとはいえ,今日私がいるのは都会のクライストチャーチです。はじめて来た街で深夜にどこへ行って星を見たらいいのだろう? しかも寝不足です。
ずいぶんと葛藤した結果,私のこの旅の目的は星を見ることなんだと言い聞かせ,ホテルに戻りシャワーを浴びて,カメラとレンズと簡易赤道儀と三脚を車に詰め込んで,あてもなく郊外の空が暗いところまで行ってみることにしました。ハイウェイを30分くらい走って海沿いの高台まで走っていって車を停めて外に出てみると,なんと快晴になった空には満天の星が!!!
特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE③
寝たのか寝ていないのかよくわからぬまま,8時間あまりのフライトで朝の5時過ぎオーストラリアのブリスベンに到着しました。
近頃はデルタ航空ばかりだったので,機内でもいろいろと異なることが多く,ずいぶん戸惑いました。
夕食は3種類選択できたので,お寿司にしました。座席の窓からはずっと二十六夜の月が美しく見えていましたが,やがて夜が明けると雲の上に美しい太陽が昇って来ました。しかし,空港に降りると雷雨でした。
私の乗った飛行機は日本・成田からオーストラリア・ブリスベンの直行便で,ほとんどの乗客はここが最終目的地か国内線の乗り換えでした。国際線,つまりニュージーランドへの乗り換え客はほとんどなくて,ガランとした早朝の空港の通路を,ここでいいのかしらんと戸惑いながら歩いて行くとやがてセキュリティに出て,それを過ぎると国際線の出発ターミナルに到着しました。ここで乗り換えてニュージーランドのクライストチャーチへ向かいます。オーストラリアでは入国をする必要もなく,預けたカバンをピックアックする必要もありませんでした。
ブリスベンの空港は広く新しく,中央に大きなクリスマスツリーがそびえ,そのまわりにフードコートやお店がありました。アメリカに比べたら人はすごく少ないし,のんびりしています。待ち時間が2時間あまり。機内でわずかばかりの朝食は食べたのですが,再び空港で朝食をとろうかどうしようか思案しました。
私が到着した後,ブリスベンでは降り始めた雨が雷を伴う大雨になって,クライストチャーチ行きの飛行機の到着が遅れて,そのために出発も1時間程度遅れました。
機内で美味しいボリュームたっぷりの食事が出たので,空港で食事をしなかったのは正解でした。
日本との時差が4時間もあるので,今日は1日が20時間と短くて,しかもオーストラリアのブリスベンからニュージーランドのクライストチャーチまでは3時間40分もかかります。ニュージーランドは思ったよりずっと遠いのです。
午後4時過ぎに,やっとクライストチャーチに到着しました。名古屋から私と全く同じルートで来たという新婚さんとクライストチャーチの空港のバゲッジクレイムで知り合いました。
荷物を受け取り問題なく入国を済ませ,レンタカーを借りようとカウンタへ行ってドキュメントを見せると「(君の予約したのは)昨日だ」という言葉にびっくり!
そうなんです。予約した借りる日にちを1日間違えていました。アメリカは日付変更線を越えるので,出発した日に着くのです。そこでついいつものつもりにうっかり予約してしまって,間違えていたのです。しかし何とかなって,無事に車を手に入れることができました。
今回の地震の被害はなかったのですが,クライストチャーチは2011年の大地震のツメ跡がいたるところにあって,今なお復興途中という感じでした。そこで,空港の周りの道路が工事中で,レンタカーで走り出した途端に道路が遮断されていたりして,地図通りに走れず困りました。しかも,借りたカーナビにくせがあって,よくわからない動きをするのです。
たいした距離でもないのに途中何度も道に迷いながら,やっと予約してあったホテルに着きました。
ニュージーランドは左側通行なので日本と同じ。戸惑ったのは交差点のロータリーでしたが,これは走るうちにすぐに慣れました。左折は信号に従う,というこれもまた日本と同じだとレンタカーを借りるときに言われたのですが,左折レーンがあって,そこでは信号を無視していいというのがはじめよくわかりませんでした。
そうこうするうちに市内の地理も次第にわかってきました。
オーストラリアからニュージーランドまでの機内から見たのは厚い雲ばかりで,ニュージーランドの陸なんでまったく見えなかったし,ニュージーランドはいつもこんな天候なのでしょうか? 降り立ったクライストチャーチの付近だけは着陸したときは晴れていましたが,ここもまた次第に曇ってきました。さて,私は星を見るためにわざわざ来たのに,星を見られなかったらどうしましょう?
明日から行くテカポ湖も,予報ではずっと雨らしいし⁉
特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE②
11月13日の深夜,つまり現地時間で14日未明,クライストチャーチの北北東90キロの地点でM7.8の大地震が起きてしまったのです。日本にはほとんど詳しい情報がなくて,私は困ってしまいました。
おそらく,外国の人が熊本に大地震が起きたときに福岡に行く予定があったけれど,どうしようか? というのと同じでしょう。私が14日にネットで見つけたのは次の情報だけです。
・・・・・・
クライストチャーチ空港,ウェリントン空港,オークランド空港は通常通りオープン。ただし,一部フライトに遅れが出ている。
●ウェリントンとピクトンを結ぶフェリー「インターアイランダー号」は現在運休。
● クライストチャーチとピクトン間を走る鉄道「コースタル・パシフィック号」は,現在運休。
●ブレナム(Blenheim)とピクトン間の高速道路(SH1)は,通行止め。
● ウェリントンは、市内中心の一部に立ち入り制限がある。
● クライストチャーチに大きな被害はない。
●オークランドに被害はない。
・・・・・・
クライストチャーチには被害がないということなので,ともかくオーストラリアのブリスベンまで行ってみよう,もしその先が行けなかったら,そこで引き返そうということで旅立つことにしました。
今回の旅はこうしてはじまりました。
しかし,現地の天気予報は連日の雨マークでよさそうにないし,あまりテンションが上がりません。私は信州へちょっと星を見に行く程度の気持ちだったのですが,これには落胆しました。ともあれ,出発の日が来ました。行ったことのある人によると,ニュージーランドにあるのは森と湖だけ,そしてヒツジしかいないそうです。アメリカ本土とは全く勝手が違います。
セントレア・中部国際空港を定刻に離陸したANAは,予約のときに左の窓側の座席を選んでおきました。富士山を見るのが目的で選んだのですが,目論見どおりというか期待以上というか,離陸直後からすぐに見えはじめた富士山は成田着陸までずっとその美しい姿を見せていました。飛行機の進路は富士山を円の中心にして弧を描いているのです。これだけで私はすっかり満足しました。
ANAは成田空港の第1ターミナルで降りたので,第2ターミナルに移動してカンタス航空のチェックインを済ませました。出発まで2時間あまり。出発まではラウンジで休憩です。
いよいよ明日の朝はオーストラリアのブリスベンです!
特別編・2016秋ニュージーランド旅行LIVE①
11月25日から4泊6日のニュージーランド旅行です。
ニュージーランドは日本との時差が夏時間で4時間だそうです。ちなみに,ニュージーランドは今が夏時間です。今年の春に行ったハワイには夏時間がなくて,日本との時差は5時間だったので,実際は2時間の違いしかありません。しかし,東に向かうのと南に向かうのでずいぶんと気分が違います。
アメリカ50州制覇をめざしていたころはニュージーランドに行くくらいならアメリカへ,と思っていたのですが,目的を達成したら呪縛が解けて,急にそれ以外のところに行きたくなりました。しかし,アメリカ以外の海外にはしばらく行っていないので,勝手がよくわかりません。ニュージーランドは昔から一度は行ってみたいところだったのですが,航空運賃が高いというイメージとオーストラリアのさらにその先で遠い,という印象が強く,これまでなかなかその機会がありませんでした。
春にハワイに行って念願の南十字星を見てからというもの,今度はマゼラン雲を見てみたい,と思いはじめ,その思いが積もり,ついに赤道を越えることになりました。そこで,南太平洋の島々やオーストラリアなどを調べていたら,ずいぶん安価にニュージーランドに行くホテル代込みの航空券を見つけたので思わず予約をしてしまいました。
目的地は南島のクライストチャーチです。そこから足をのばしてテカポ湖に行きます。テカポ湖が星空が美しい場所だということは以前より知っていたのですが,そこへ行くにはクライストチャーチが玄関口だといういうことも知りませんでした。私がテカポ湖はクライストチャーチから近いところにあるということを知ったのは航空券を予約をしてからのことでした。それどころかニュージーランドについてほとんど何も知りませんでしたし,興味もありませんでした。
そんな次第で,航空券と4泊のホテルだけを確保した後になって,細かい予定を立てることになったわけです。いつもながらいい加減なものです。
成田まではANAでセントレアからの格安航空券があることを知ったので,今回はそれを確保しました。そして,ニュージーランドのどこで星を見ようかと調べていて,テカポ湖の星空ツアーを見つけたので,それをインターネットで予約しました。
それ以外のことは行ってみなければさっぱりわかりませんが,とにかく一度行ってみて,気に入ればこれから毎年でも行ってみようと考えているところだったのです。
ところが…