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2017年8月21日にアメリカで皆既食を見ました。
なるべく安価で軽いという条件で,どんな機材を持っていけばいいか探していたところ,ケンコーから「MIL TOL」という望遠鏡が発売されているのを見つけました。口径6センチメートル,焦点距離400ミリメートルで,EDレンズ1枚を含め1群2枚というだけのスペックで,定価だと68,000円でしたが,もっと安価に購入したと思います。焦点距離400ミリメートルの直焦点では画像が小さいので,持っていたニコンのテレコンバーターTC-200をダメもとでつけて焦点距離を800ミリメートルにしたら,いい像を結びました。また,対物レンズのキャップは,すでに持っていたペンタックスの75SDHFの52ミリメートルのフィルターが装着できる太陽観測用のものがちょうど合ったので,そこに,ND100000のフィルターをつけました。こうすることで,太陽が皆既状態になったとき,簡単にフィルターを取り外すことができるようになりました。これと中古で買ったGITZOの三脚,そして,ニコンD5300というカメラを持って渡米しました。皆既日食当日は快晴で,無事,多くの写真を収めることができました。
なお,「MIL TOL」は現在発売終了で,これに代わるものもありません。しいていえば,銘匠光学 TTArtisan 500mm F6.3望遠鏡かな。細かい収差やオートフォーカスの性能など机上のスペックを気にする人が多いので,こういうものは売れないのです。とても残念なことです。とはいえ,自分に必要のない仕様のついた高いレンズを買う必要などないと私は思うのですが…。
ということだったのですが,その後,使い捨てでいいやと思って買った皆既日食を撮るという目的だけの望遠鏡は,出番がなくなりました。捨てるのはかわいそうということで,太陽黒点と月を写すために役立てることにしました。何分にも非力な望遠鏡なので,大した作品はできませんが,所詮,趣味なんてものは自己満足のものなので,私にはこれで十分。これはこれで楽しいのです。
問題は,太陽を望遠鏡の視野に入れるのがけっこう難しいということでした。肉眼であまり長く太陽を見るわけにもいきません。いろいろと試してみたのですが,結局思いついたのが,ビクセンの単眼鏡をファインダー代わりにすることでした。これをカメラのアクセサリーシューにつけて,単眼鏡のフィルターサイズが27ミリメートルだったので,27ミリメートルから52ミリメートルのフィルターが接続できるステップアップリングをつけ,そこにND100000のフィルターを接続しました。太陽を視野に入れるだけのわずかな時間ならこれで大丈夫です。
こうして,ときどき太陽黒点を写して楽しんでいるのですが,今日の写真は,1番目が2024年5月9日,2番目の写真が8月1日,そして,3番目の写真が8月14日に撮ったものです。こうしてみると,このところ,太陽は活動期ということで,大きな黒点がたくさん現れます。また,太陽の自転周期は25.38日なので,少しずつ位置を変え,また,姿も変わるので,写し甲斐があります。
太陽活動は,およそ11年周期で繰り返します。喫緊の太陽極大期は2025年7月ころと予測されていて,太陽極大期には太陽表面の爆発(=フレア)が頻繁におき,その結果,強力な太陽風が放出されるので,これが地球に達すると磁気嵐などによってオーロラが発生します。そこで,このごろ,アメリカの北部地方や北海道でもオーロラが観測されています。特筆すべきは,2024年8月12日,北海道で,ペルセウス座流星群の流星とオーロラが同時に見られた,という出来事起きたことです。
太陽の活動は,地球上に様々な影響を与えるのですが,私はそうした影響には何もできないので,せいぜい太陽黒点を写真に収めて,太陽のご機嫌をとることにしましょう。
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「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
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