「ステファンの五つ子」はフランスの天文学者エドゥアール・ステファン(Édouard Jean-Marie Stephan)によって1878年に発見された銀河の集団です。5個の渦巻銀河と楕円銀河から構成されているように見えるのですが,この中でNGC7320という渦巻銀河は見かけ上仲間のように見えても実際にはその距離は約3,900万光年で,互いに重力を及ぼし合ってコンパクトな銀河群を作っている残りの4個の銀河までの距離が約3億光年であるのとは大きく異なっているので,別のものです。
つまり,当初はNGC7317,NGC7318A,NGC7318B,NGC7319,NGC 7320の5個を「ステファンの五つ子」としたのですが,このうちNGC 7320は前景の渦巻銀河が重なって見えているものであって,NGC7317からNGC 7319までの4個が銀河群を作っているわけです。
また,少しはなれたところにある6番目の銀河NGC7320CはおそらくNGC7319とつながっているのでこれも先に書いた4つの銀河団の仲間ではないかと見られています。
「ステファンの五つ子」はハッブル宇宙望遠鏡の撮影対象となったことで一躍有名になりました。
銀河同士の衝突・合体や星流の形成,銀河ガス同士の衝突やスターバーストなど,様々な現象を伴う銀河集団の進化を研究する際に典型的な天体となるのです。そこで,これまで,あらゆる波長の電磁波で広く観測され,複雑な数値シミュレーションの対象にもなってきました。
はじめのうちは,NGC 7317には銀河同士の相互作用の影響があまり見つかっていなかったために,銀河自体が安定した状態にあるか,あるいは,ごく最近にこの銀河群の近くに移動してきたばかりだと考えられてきたのですが,赤色の星々がこの銀河の周囲に検出されたことで,NGC 7317は他のメンバー銀河と非常に長い期間にわたって相互作用し続けているという可能性がいわれるようになってきました。
銀河群の中で大きい銀河が及ぼす重力によって小さな銀河がゆっくりと解体される相互作用現象は「銀河の共食い」(galactic cannibalism)といわれます。こうした「銀河の共食い」によって,大きな銀河の周りを軌道運動する星流やハローが形成されるのが特徴で,NGC 7317の周囲に見られる赤い星のハローもそのような構造に似ているといいます。大規模な共食い現象によって,銀河群は最終的にはひとつの巨大楕円銀河になるということです。
このように有名なことからアマチュアの天文愛好家が多くの写真を写しているので,私もそれに手を出そうとしたのですが,所詮は無理な相談でした。この天体明るさが14等星ほどだったのです。それにしたらよく写ったものです。
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水星と火星の大接近。
11月11日。
水星と火星が大接近しました。
明け方の東の空低く,肉眼でも確認できました。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは