しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

カテゴリ:星を見る > オーロラ

 2018年もあと2日です。歳をとるごとに,たとえどんな日であれ,何をするときであれ,1日1日を,そして,その瞬間を,つねにより楽しく過ごそうという思いが強くなってきました。この1年,過ぎてしまえば短かかった気がしますが,振り返ってみると,ずいぶんといろんなことを経験できました。
 今は当たり前になってしまったヨーロッパ旅行も,慣れっこになってしまった南半球への星見も,見慣れた満天の星空も,そうしたことのほとんどはこの1年で経験したことです。そしてまた,ずいぶんと新しい友人ができました。一時は「人恋しい」病にかかったのですが,それも全快しました。今年は,これまでずっとやってきた好きなことをすべてレベルアップしようと取り組んできたのですが,それもどうやらうまくいきました。
 なんといっても,2018年前半の思い出は,2月に出かけたフィンランドのロバニエミでオーロラを見たことでした。そして後半は,11月に行ったオーストリアのウィーンでコンサートとオペラを見たことでした。それまでヨーロッパには30年あまりもの長い間行くこともなかったのですが,行きはじめたらハマりました。今後も何度も足を運ぶことになりそうです。こうして新たな楽しみを見つけたことが,2018年の収穫でした。
 今日はそんな2018年を振り返り,年のはじめに書いた「2018年がやってきた」のその後について,前回に引き続き書いてみます。今日はオーロラの見られる国に行った続編です。

 昨年の夏にアラスカでオーロラを見たことでオーロラにすっかりはまってしまい,今度は別の場所で見ようとふと思い立って出かけたのがフィンランドとアイスランドでした。そのなかでもフィンランドは行ってみて大好きになりました。
 フィンランドに行くと決めた後で,一番心配だったのが寒さでした。マイナス10度,いや実際はマイナス30度だったのですが,そんな気温なんて,想像もできませんでした。名古屋市には市立の科学館があって,そこで極寒体験ができます。極寒体験で体験した温度はマイナス30度でしたが,分厚い防寒具を借りればなんとかなりました。そこでまず私が考えたのはどんな防寒具を持っていこうかということでした。私が旅行をするときのプライオリティ(優先事項)は,なるべく身軽で,持ち物をできる限り少なくするということです。そこで,軽く小さくたためてしかも暖かいという条件で服をさがしました。その服はかなり高価だったのですが,それで十分でした。ただし,極寒の場所以外では使い道がないのに困りましたが…。しかし,そのおかげで,マイナス30度は何の問題もないということがわかりました。
 運よく天気にも恵まれて,オーロラをしっかりと見ることができて感動の思い出となりました。
 フィンランドでオーロラを見たときに聞いた話で,オーロラ見るならアイスランドでしょう,というのがありました。そこで,それだけの理由で,次に,夏にアイスランドに出かけました。
 大いに期待して行ったアイスランドでは,すばらしい大自然が待っていました。しかし,想像以上に物価が高かったこととと思った以上に天気がよくなかったことで,結局,私には期待外れに終わりました。それでも,アイスランドなんてめったに行くこともできないところだから,今回勢いで行ってみたのはよかったと思います。ひょっとしたらそのうちに懐かしくなってまた行ってしまうかもしれません。実際はフィンランドのヘルシンキから乗り換えて3時間以上もかかるのですが,私にはすごく身近なところのように思えるのが不思議です。

 フィンランドやアイスランドに限らず,何かをしようとか何かを見ようとといった目的のある旅は充実している反面,そうした目的を達成するには,特にそれが自然相手だとさまざまな制約や運があって,それが実現できなかったときは残念な気持ちとトラウマが残ってしまうという一面があります。そこで,そうした目的なしで,何をするということもなく,気ままに旅を楽しめたらいいなあと思うこの頃です。

◇◇◇
2018年がやってきた・その後-オーロラの見られる国①

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☆☆☆☆☆☆
 4月12日に放送されたNHKBSプレミアム「コズミックフロント☆ネクストは「市民科学の最前線・謎の発光現象”スティーヴ”」,つまり,話題は「スティーヴ」(steeve)でした。
 「スティーヴ」というのは,
  ・・・・・・ 
 カナダのアルバータ州上空で謎の発光現象が目撃された。天頂を東西に横切る紫色の細い光の筋だ。いつも突然現れ,30分ほどで消える光。実は専門家でさえも理解できない現象だった。オーロラ愛好家が科学者の調査に協力。観測写真をSNS上にアップすることで,発光現象の不思議な特徴が次々と明らかになってきた。
 アニメ映画に出てくる正体不明の物体にちなんで「スティーヴ」と名付けられた謎の発光現象。その正体に迫る!
  ・・・・・・
というものです。

 オーロラはいつかは見たいものナンバーワンであり,オーロラネタは多くの人に興味があるので,このテーマが取り上げられたのでしょう。私もこのところオーロラに夢中になっているので,特に楽しく見ることができました。
 この「スティーヴ」というのは天頂に昇る光の帯で,オーロラと同じような場所でオーロラが出るように見られるのですが,とても珍しい現象で,その存在はこれまで知られていなかったということです。しかし,定義があいまいで,番組を見ていても,どういうものなのかは写真から推測するしかありませんでした。私が今年の2月にフィンランドのロヴァニエミに行ってオーロラを見て写真を写したときの1枚に,今日の写真のようなものが写っていました。テレビを見ていて驚いたのですが,これって,この「スティーヴ」なのでしょうか? 番組に出てきた写真を見る限り,同類に思えます。
  
 この番組は非常におもしろく,また,いつもためになるのですが,今回の話題は,正直いって,見ていても何を伝えたいのかあまりよくわかりませんでしたし,何がホットな話題なのかも今ひとつピンときませんでした。
 結局のところ,「スティーヴ」というのは超高温超高速のイオンの粒子が光っているものだろう,しかし,それ以上のことはこれからの研究をまたなければわからない,というのが結論でした。つまり「スティーヴ」という現象を紹介しただけのようなものだったので,1時間も費やすような内容の深みはありませんでした。おそらく番組を作った人もネタ不足はわかっているのでしょう。だから,何やらいろんな別の話題をてんこ盛りにして時間をもたせただけのように私は感じました。
 番組のなかでは,オーロラ発生の仕組みも解説されていましたが,この最も知りたい肝心なことは逆に端折り過ぎていてほとんど理解できませんでした。

 多くの人に関心のあるオーロラに関する番組は数多くあれど,その多くは旅番組で,この場所でオーロラが見えたよ,みたいなものばかりです。観光客に来てもらいたいから,その場所ではどのくらいの確率でオーロラが見られるかという一番知りたい情報を正しく伝えてくれるものすらほとんどありません。また,オーロラについてきちんと解説されたような番組もまたほとんどないのが残念です。
 オーロラを見たい,見にいきたいという人はとても多いので,そうした人に役立つ骨のある番組を期待したいものです。

 早くも2018年も3か月が過ぎてしまいました。月日の流れはまことに早いものですが,それにしてわずか3か月の間にいろんなことがありました。
 今年の元日に「今年もオーロラを見たい。」と書きましたので,今日は「その後」の報告です。私ははやくもそれを実現しました。幸い,今年私が見たオーロラはとてもすばらしいものでした。しかし,私の夢はこれで終わったわけでなく,さらに増幅しはじめたのです。

  ・・・・・・
 その1
 「(これまでフィンランドに行かなかったのは)フィンランド語がわからない,ということでした。しかし,フィンランドでは英語通じる(らしい)のです。」と書きました。
 実際,フィンランドでは英語だけでまったく不自由はありませんでした。考えて見れは,私が英語圏でない海外へ出かけたのはこれまでフランスだけでした。
 フィンランド語というのは独特な言語で,前置詞がない,名詞に性の区別がないとかいった日本語に似たような特徴もあるそうです。そこで,意外にもフィンランド人は日本人同様に英語を学ぶのに苦労しているそうですが,「ドリル学習」をして点をとり順位を争うだけの日本とは違って,教育に巨額の予算をかけIT化を推進し,教師のレベルも高く,教育の内容も本質的にすばらしいので,ちゃんと実用化のレベルに到達していて,英語が通じます。
 私がフィンランドで少し困ったのは,看板などにフィンランド語しか書いてないことがけっこうあって,その単語の多くがまったく英語とは異なっているので意味が想像すらできないことでした。というわけで,これではいかん,ということで,私は,トラベル・フィンランド語なるものに少し取組みはじめました。また行く日のために…。それとともに,英語圏以外にもこれからはどんどん行ってみようと思うようになりました。
  ・・
 その2
 「ロヴァニエミまではヘルシンキから空路で1時間ほどで行けるのです。ということで,さっそくこの春に出かけることにしました。さて,極間の地,どんな素敵なことが待っているでしょうか?」と書きました。
 ロヴァニエミ,ものすごくすてきな町でした。北極圏というのはもっとさびしいところだと思っていたのですが,まったくそんなことはありませんでした。マイナス20度という寒さは全く問題ではありませんでした。プラス30度のほうがずっとたいへんです。これからはこうした寒い地域にもおじけづくことなく行ってみようと思ったことでした。せっかく高価な防寒具を買ったことですし。
  ・・・・・・

 こうして,私はすっかりオーロラに魅せられてしまいました。そして,こうなったら地球上でオーロラをよく見ることができるといわれる場所をすべて制覇してしまおう,などと考えるようになってきました。その場所は,これまで行ったアラスカ州フェアバンクスとフィンランドのロヴァニエミのほかに,カナダのイエローナイフ,アイスランド,ノルウェーのトロムソなどです。どうやら,私はこれから先,こうした場所に地球とともに夢をみるために足しげく通うことになりそうです。
 そうです! やはり「世界はいつもときめきに満ちているです。オーロラは最高です。

◇◇◇
2018年がやってきた①-今年もオーロラを見よう。

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☆ミミミ
 1月1日のブログに「今年もオーロラを見よう」と書いて,早くも実現しちゃいましたが,こうして私は昨年の8月に続いて半年に2度もオーロラを見ることができました。
 オーロラ,皆既日食,南半球の星座を見る… この「星好きの三大願望」はそのどれも敷居が高く,なかなか実現できるものではありません。天文雑誌にもツアーが載っていますからそれに参加するのが最も容易な方法でしょうが,決して安いものではないし,一般のツアーの場合も同様ですが,そうして高額の参加費を払って出かけても,あくまで天気次第なのです。
 私も,そのすべてを実現した今になって,改めてその困難さを思い知り,自分の強運に感謝しました。
 今日はそのなかで再びオーロラについて書きます。

 私は今から30年以上前の冬,ヨーロッパ旅行に向かう旅客機の窓からオーロラを見て以来,一度は地上からも見てみたいものだとずっと思ってはいたのですが,なかなかその機会がありませんでした。しかし,私のいい加減な性格から何事も真剣に調べる気もありませんでした。
 時間と余裕ができたので,ともかく一度行ってみてから改めて考えようと,夏のアラスカに出かけて,たった1日の晴れ間に偶然オーロラを見ることができました。しかし,それで満足できたのではなくて,逆にオーロラに魅了されてしまったわけです。
 そしてまた行ってみようと考えたのですが,再び行くとなると,アラスカは遠いのです。しかも,私の行った夏ならともかく,冬のアラスカは,お昼間にすることがほとんどありません。アラスカ行きの一般のオーロラツアーではチナ・ホットスプリングスリゾートというところで観察するのですが,大したところでもないリゾートの宿舎なのにそこに滞在するツアーは非常に高く,宿泊を安価なフェアバンクスのホテルにしてそこから日帰りでリゾートに出かけるものは,フェアバンクスからの移動距離が遠く大変です。しかも,アラスカまではチャーター便を利用しないと一旦シアトルまで行かねばならないので,そこからさらにアラスカまで行くのにはすごく時間がかかります。ただし,アラスカの利点は冬の晴天率が高いことです。
 
 そこで,今回私はフィンランドのロヴァニエミに出かけたのですが,ロヴァニエミはお昼間に出かけることができる見どころが多く,街もきれいでお店も多く,することがたくさんあって退屈しませんでした。ロヴァニエミはオーロラ抜きでも滞在していて楽しい街なのです。しかも日本からヘルシンキまで直行便があるので近く,料金も安く,ツアーに参加しなくても,個人で航空券を購入して簡単に行くことができます。ロバニエミの街中にはオーロラツアーを取り扱っている旅行社がたくさんあるので,オーロラを見にいくにはお薦めです。
 ただし,私は晴れたからよかったのですが,調べてみると,どうも晴天率がそれほど高くはないようです。そこで,ロヴァニエミでオーロラを見たければ,少なくとも4日くらいは連続でオーロラを見る機会を作るような計画にするべきでしょう。気温はマイナス20度以下になるのですが,防寒具さえあれば問題ありません。

 私がまだ行ったことのない場所で,これ以外に個人旅行でオーロラを見にいくのに適した場所としては,カナダのイエローナイフとアイスランドがあります。さらに,スウェーデンのキールナとノルウェーのトロムソがありますが,スウェーデンやノルウェーはフィンランドに行くことに比べれば直行便がないので乗り換える必要があり,しかも晴天率が高くないので,オーロラ目的なら行くのをやめた方がいいと私は思います。なかでも北極圏にあるトロムソは冬も暖かく美しい街ですが,降水量が非常に高いのです。
 その点,イエローナイフはかなりよさそうです。天候が安定していて晴天率も高いです。ただし,ものすごく寒いですし,お昼間にすることがあまりありません。
 アイスランドは首都のレイキャビック市内でもオーロラを見ることができるということなので,かなり魅力的ですし,観光をするにも見どころが多く,しかも,冬の気温も暖かで,オーロラを見るには最も条件がよさそうです。今月発売された天文雑誌には40万円近い値段のアイスランドオーロラツアーの広告がありましたが,レイキャビックまではヘルシンキを経由してレイキャビックまで行くフィンランド航空のフライトが往復で13万円ほどです。冬も暖かで雪の心配もないから現地でレンタカーを借りればどこにも自由に移動できるので,そんな高額のツアーなどに参加せずとももっと安価に個人でオーロラを楽しむことができそうです。私の次に行く第一候補です。

 一度は見ておこうと思っていたオーロラでしたが,一度見たら,一度どころか,これ以上素晴らしいものが地球上にあるのだろうか? とさえ思うようになって,私はすっかりオーロラの虜になってしまいました。もはや,世界遺産も大都市の夜景も,私にはど~でもいいのです。ということで,私はおそらく近いうちにまた,イエローナイフやアイスランドに出かけることになるのでしょう。
 今日のブログの写真ですが,1番目のものには流れ星が写っています。
 ちなみに,地球上でオーロラを見ることができる「オーロラべルト」と呼ばれる地帯は,磁極の北極が地軸の北極とはずれていてグリーンランドの北の端にあってその周囲に存在するので,「オーロラべルト」はアラスカでは緯度が低く,スカンジナビアでは緯度が高い場所になります。したがって,アラスカのフェアバンクスは北極圏よりも200キロも南にあり,ロバニエミは北極圏ということになるのです。

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「星好きの三大願望」-個人旅行でオーロラを見る方法①
「星好きの三大願望」-個人旅行でオーロラを見る方法②
「星好きの三大願望」-個人旅行でオーロラを見る方法③
2018年がやってきた①-今年もオーロラを見よう。

Happy New Year 2018
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 2016年夏,念願のアメリカ50州を制覇したのち,今後はどこに行きたくなるのかがそのときの楽しみでしたが,2017年にはわずか2か月の間に「星好きの三大願望」を再び達成することができました。では,私は2018年は何をしたいのでしょうか?
 それがまあ,自分でも不思議なことに,雄大な大自然にすっかり魅せられてしまい,そのほかの場所には急激に興味をなくしてしまったのです。雄大な大自然…そうした場所には特に何かがあるというわけではありません。旅行のガイドブックにもほとんど何の情報も載っていませんし,その場所に出かけても,特に見どころがあるわけでもなく,むしろ退屈なだけの場所が多いのです。
 しかし,そうした場所は,帰ってから,なぜか,忘れられなくなってしまうのです。

 これは以前にも書いたと思うのですが,はじめてグランドキャニオンに行ったとき,人の作ったものなんてそれに比べたら何とちっぽけなものだとしみじみと思いました。ニューヨークの摩天楼もカリフォルニアのディズニーラドも,むなしいものだと感じましたが,まさに,それと同じです。
 私が忘れられなくなってしまったのが,ニュージーランドとオーストラリアで見る満天の星空であり,アラスカで見たオーロラなのです。
 今日はそのなかでオーロラについて書きましょう。

 2017年の夏,せっかくシアトルに行くのだからと,ふと出かけることにしたアラスカでした。夏でもオーロラが見られるということを知って思い立ったのですが,期待は淡いものでした。が,その夢がかなってしまいました。
 今でもその旅で滞在したフェアバンクスの街並みをはっきりと思い出せるのですが,特に何があるか,といっても思い浮かぶものもないのに懐かしいのです。しかし,考えてみればアラスカは遠い,遠い,遠い,…… 遠いのです。今すぐにでも行けそうな気がするのですがそれは錯覚です。
 と思っていたら,なんと,フィンランドという近い場所を見つけちゃいました。私はスカンジナビアなんてまったく眼中にありませんでしたし,行こうとも思っていませんでした。それにはひとつ誤解があって,それはフィンランド語がわからない,ということでした。しかし,フィンランドでは英語通じる(らしい)のです。ということを知って,急に行きたくなってきました。フィンランドならアラスカよりずっと近いのです。セントレア・中部国際空港からは直行便があって10時間足らずでヘルシンキに着きます。オーロラを見るにはそこから北にさらに800キロほど北上しなけらばなりませんが,その場所にあるロヴァニエミまではヘルシンキから空路で1時間ほどで行けるのです。ということで,さっそくこの春に出かけることにしました。さて,極間の地,どんな素敵なことが待っているでしょうか?
 世界はいつもときめきに満ちているのです。

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今日の写真はアラスカで写したものです。

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 いきなりですが問題です。
  ・・・・・・
 トナカイは英語でカリブー(caribou)とレインディア(reindeer)というふたつの言い方があるのですが,この違いは何でしょうか?
 答え:レインディアは空が飛べるのです???
  ・・・・・・
というのを外輪船ツアーで聞きました。夢のある素敵なジョークです。レインディアの引くそりに乗るサンタクロースさんもさぞうれしいことでしょう。

 さて,今回の皆既日食の旅では,欲張ってついでにアラスカまで足をのばして,オーロラも見てしまいました。
 もともとは,アメリカ50州制覇をした後の行き先として,これからはハワイとアラスカとオセアニアを中心に旅をしようと思ったこと,オーロラは夏でも見られると知ったこと,さらには,この春にオーロラを見にいった知人が複数いてとても羨ましかったこと,そしてまた,これはすでに書きましたが,50州制覇とはえアラスカをまともに観光したことがなかったこと,アラスカは個人旅行では直行便がなくシアトル経由で行くことになるから,せっかくシアトルに行ったのならついでに行ってみようと思ったこと。それが,今回アラスカまで足をのばした理由でした。
 しかし,この旅の主の目的は皆既日食だったので,オーロラについては事前に何も調べておらず,行けば何とかなるだろうと,そうしたいい加減さでフェアバンクスに降り立ったわけです。

 夏とはいえ,機内からみたアラスカは雄大な大地が広がっていました。着陸後,空港も小さくのんびりしているところだなあ,というのが第一印象でした。他に到着した便もなく,バゲッジクレームも動いていませんでした。しばらく待ってカバンが出てきたので取り上げて,空港内のカウンタで予約しておいたレンタカーのキーを受け取って外に出ました。道路も空いていて,30分ほどでフェアバンクスのダウンタウンに着きました。
 夏のアラスカは冬のオーストラリアのようなところでしたが,広くはないとはいえダウンタウンは夜は街灯が明るくてオーロラどころか星もほとんど見えませんでした。ダウンタウンから郊外に出れば真っ暗な場所ばかりですが,オーロラは深夜に現れるので夜通し起きている必要があるから,オーロラを見るにはどこに行けばよいかを事前に調べておく必要があるのでした。ただし,晴れていて空が暗ければオーロラが現れる確率は思っている以上に高いものでした。
 すでに書いたように,私は偶然、チナホットスプリングスリゾートへ行き,結局オーロラを見ることができたわけですが,この私の行った日本からの団体ツアー御用達の場所が最適とはいえませんでした。結局,個人でオーロラを見にいくときは,私のようにフェアバンクスのダウンタウンに宿泊するのではなく,自由に車で移動できる夏の時期ならばフェアバンクス郊外に適当なロッジでも見つけてそこを定宿にするか,極寒の季節ならば,空港から送迎のあるロッジを予約しておくといった準備をする必要があったのでしょう。

 それよりも今回私が印象に残っているのは,ニュージーランドのテカポ湖畔同様,アラスカのチナホットスプリングスリゾートもまた,日本から脱出した多くの若い人(特に女性)がそこに住み着いて日本人観光客相手の仕事をしている姿でした。彼らがこの先どういう人生設計を立ててそこにいるのかは知りませんけれど,そして,それがどういうことを意味しているのかはわかりかねますけれど,私にはそのことのほうがとても衝撃的でした。
 しかし,考えてみれば,何年勤めてもキャリアアップもできず早朝から深夜まで仕事をするか,結婚して小さな家を買っても住宅ローンに追われるか,子供ができても何も身につかないのに他人と競うだけの教育に,そして,そんな子育てが終われば今度は親の介護にとお金と時間を浪費するかしかなく,若いうちから自分の老後の心配をして今の自分の夢に投資することもできず貯蓄に励み,日々の楽しみといっても仕事の後に飲みに行くか,大型連休になれば混雑する観光地で渋滞に巻き込まれるか,走る道路もないのに車を磨くのに精を出すしかない,そんな狭い日本で生きるよりはるかに幸せなのかもしれません。
 外の世界を見たことのない,あるいは,ツアー旅行でしか行ったことのない人たちの多くはこの国の異常さを知らず,日本はすばらしい国だと信じていますけれど……。

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 今日はまずオーロラを写す方法を簡単に紹介しましょう。オーロラを写すには,一眼レフカメラにできるだけ広角のレンズを用います。私は魚眼レンズを使いました。ISOは1600程度の高感度にして,絞りをできるだけ開きます。シャッタースピードは2秒から20秒くらいまで段階的に写して,その中から一番いいもものを選べばいいです。もちろん三脚は必要です。
 オーロラは簡単に写ります。肉眼で見えないオーロラも写りますし,肉眼で見えるものでも実際に見るよりも鮮やかに写ります。星空を写すのと同じ要領です。

 前回書いたように,オーロラを見るにはアラスカに出かけるのがおすすめですが,団体ツアー旅行が利用するチャーター便でなければアラスカへの直行便はありません。シアトル経由のツアー旅行もありますが,それではツアー旅行のメリットがまったくないので論外です。
 そこで個人旅行でアラスカ初体験をするにはまずシアトルまで行ってそこからアラスカに向かわなければいけません。そのとき,最ももよいのはシアトルからはアンカレッジに飛んで,アンカレッジからフェアバンクスまでドライブするかアラスカ鉄道に乗ってフェアバンクスに行くことです。帰りはフェアバンクスからシアトルに戻ります。アンカレッジからフェアバンクスに行く途中にはテナリ(マッキンレー)を見られます。
 ただし,アラスカ鉄道は日本からの団体ツアー客の定番コースなので,たくさんの日本人が乗っていると思われますから,個人旅行では,紅葉の美しい9月ならドライブの方がおすすめです。
 私は今回,残念ながら時間がなかったのでこのコースが取れず,直接フェアバンクスに行くことになったのが心残りです。 

 フェアバンクスは小さな町ですから,2日もあれば見どころはすべて回れます。少ない見どころのなかでは,3時間かけてチナリバーを往復する外輪船クルーズが一番のおすすめです。
 これは5月から9月の間だけ運行していて,事前予約が必須という話です。私は現地に着いてからネットで予約しましたが,個人なら何とかなりそうです。
 それ以外の見どころとしては,アラスカ大学フェアバンクス校にある博物館や,ファウンテンヘッドアンティークオート博物館があります。アラスカ大学フェアバンクス校の広さには驚きます。また,オート博物館はクラシックカーがたくさんあるのでお勧めですが場所が極めてわかりづらいです。 

 フェアバンクスはこれくらいしか行くところがありません。ただし,クリーマーズフィールドという野鳥公園では8月の終わりだけカナダヅルが渡ってきていて,すごくたくさんの野生のカナダヅルを見ることができます。また、パイオニアパークという古びた遊園地がありますが,子供向けです。ただし,ここは5月から9月ならば夕方に行くとサーモンベイクができます。
 ダウンタウンは狭いのでぶらぶら歩きも楽しいのですが,食事どころは,タイハウス(Thai House),バンタイ(Bahn Thai)といったタイレストランが有名です。というか,それくらいしかありません。私も食事に行ってみましたが,なかなかでした。
 このように,フェアバンクスは北海道の田舎町のようなところですから,もし,夏に行くのであれば車で遠出することも可能なので,4時間ほど北に走って北極圏まで行くとか,デナリを満喫するとかすれば可能性は無限にひろがります。また,冬に行くのであれば,スノーモービルとかアイスフィッシングとかスキーといったウィンタースポーツができるのでそれに挑戦すればオーロラ以外にも楽しみが広がります。

 9月のこの時期。成田からフェアバンクスまでのデルタ航空の往復航空券は8万円でおつりがきます。とても安いです。ただし,先に書いたように直行便がないので乗り換えの待ち時間も含めると21時間もかかります。ツアーならその10倍の値段がしますが,チャーター便を利用すれば6時間で行くことができまます。このように個人で行くとなると,一旦シアトルまで行ってそこで乗り継ぐことになるのですが,何がくだらないかというと,フェアバンクスからシアトルに向かった同じコースを,再びシアトルから成田に向かうときに飛ぶことです。
 こんなわけなので,アラスカに個人で行く人がほとんどいないのです。私も今回アラスカへ行ったのはシアトルに行ったついででした。したがって,アラスカについてはハワイと違って情報があまりありませんし,現地でも日本人の個人旅行者相手のツアーもほとんどありません。
 このように,個人旅行でアラスカに行ってオーロラを見るのは日本から遠いという意味で大変です。確かにオーロラは魅力的ですし,ハワイとはまったく違った魅力がありますが,私ですら再び行くとなると二の足を踏みます。もし今回オーロラを見ることができなかったら,またいつか行かなければ…… といった大きなトラウマになることでした。
 この夏シアトルに出かけてふと足をのばして寄っただけのアラスカで偶然オーロラを見ることができた,というのは,そういう意味でも非常に幸運なことでした。

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 オーロラが見られるのは北極点を中心としたベルト状の場所(オーロラべルト)で,そこに存在する町としてはアラスカ州のフェアバンクス,カナダのイエローナイフ,フィンランドのロバニエミ,スウェーデンのキールナ,ノルウェーのトロムソなどが有名です。南極点にも同様にオーロラベルトはありますが,海の上です。
 オーロラは寒い冬にしか見られないと思っている人も多いのですが,実際は1年中見られます。ただし,一般のオーロラは天の川程度の明るさなので,空が暗くないと見えません。また,北極に近いと夏は夜がほとんどないので空が暗くならないから,夏至のごろは見られないというだけです。それとともに,街灯がある都会もだめです。
 ただし,いくら空が暗くとも,晴れることが第1条件です。そこで,降水量を調べてみると,アラスカとカナダのほうがフィンランド,スウェーデン,ノルウェーよりも少ないです。また,降水量が少ないというアラスカやカナダでも,最も降水量が少ないのが3月と4月ですが,この時期はとても寒いです。
 冬の最低気温は,フェアバンスが-28度,イエローナイフが-31度,ロバニエミが-15度,キールナが-19度,トロムソが-7度となります。したがって,寒さからいえばノルウェーのトロムソほうが温度は高いのですが先に書いたように晴天率が低いのです。
 このように,フェアバンクスの真冬は降水量が少ないのですがかなり寒いので,オーロラを見るには決死の覚悟が必要になるわけです。

 そんな理由で,軟弱な私は,オーロラは見たいけれど寒くない季節にしようと,シアトルに行ったついでに8月の終わりにフェアバンクスに足を伸ばしてみることにしました。
 しかし,行ってみてはじめて知ったのは,アラスカの中でも晴天率が最も高いと聞いていたフェアバンクスだったのに,実際は8月は雨ばかりでした。曇っていても突然雨が降ってきます。9月になれば8月よりは晴れる確率が高くなるらしいのですが,本当のところは知りません。
 私が滞在した4日間で1日だけとはいえ晴れ上がり,その晩にオーロラが見られたのというのはかなり幸運だったといえるでしょう。
 宿泊したB&Bで聞いてみると、フェアバンクスでは9月の下旬にはすでに雪が降りはじめるということですから,オーロラを見るには,寒くてもよければ3月から4月,寒いのを避けたいのなら9月の中旬まで,ということになります。
 当然,10月から2月もオーロラは見ることができますが,10月になると雪が積もりはじめるし,フェアバンクスでは一番の見ものである外輪クルーズのようなアトラクションが休止になります。また,3月よりも晴天率が幾分低いということで,どちらをとっても中途半端な感じです。でも,この季節は日本からの観光客が少ないので穴場ともいえます。

 さて,アラスカ第二の都市であるフェアバンクスですが,市内は明るくてオーロラの観察には不向きです。しかし,市内はさほど広くないので,30分も走れは真っ暗な郊外に出ることができます。
 フェアバンクスの近郊では1年で300日程度オーロラが出現するということなので,そうした暗い場所に行って晴れれば,おそらく90%以上の確率でオーロラは見られます。ただし,オーロラはいつ出現するかわからないので,空を眺めながら出現を待たなければいけないことと,また,どこにオーロラが出たかは慣れていないとわかりづらいので,個人でフェアバンクスに宿泊して深夜に郊外に出かけるのはあまり得策ではありません。
  ・・
 フェアバンクスから出発する現地オーロラツアーがあるとガイドブックなどに書いてありますが,オーロラツアーの開始は9月からです。また,ツアーで郊外に出かけても,深夜1時ごろには観察は終わり帰ってこなければなりません。こういうのがツアーの欠点です。それはハワイ島の星空観察ツアーも同様です。オーロラが出現するのは午後の10時頃から深夜の2時くらいが多いそうなので,それでは楽しくありません。したがって,フェアバンクスの市内に宿泊するよりも,郊外に数日(3~4日程度)泊まってオーロラの出現を暖かい室内で待ち,お昼間にフェアバンクスに観光で出てくるほうがいいと思われます。
 フェアバンクス郊外の宿泊先は,フェアバンクスから30キロほど行ったところにいくつかログハウスやロッジのような宿泊施設があるとガイドブックには書かれています。そうした本には私がこの夏に偶然行ったチナホットスプリングス(China Hot Springs)もよく紹介されていて,そこには1泊300ドルもするロッジがあります。しかし,ここは日本人団体ツアー客御用達のところで,ツアーで来た日本人が山ほどいるので,個人で行くにはおすすめしません。また,マウントオーロラスキーランド(Mt.Aurora Skiland)も定番スポットということですが,やはり,シーズン中は混み合うそうです。
 そんな有名なところでなく,フェアバンクスの郊外には安価なホテルやロッジが結構あって,フェアバンクスの郊外なら晴れさえすればオーロラは高い確率で見られます。しかも9月は空いていますし,まだ雪がないのでレンタカーを借りれば車で空港からホテルへ移動できます。この時期は成田からフェアバンクスまでの航空券も安く容易に手に入るので,オーロラとアラスカ観光をするのなら,まずはこうしたホテルやロッジを予約して気候のよい9月にとりあえず出かけてみるのがおすすめです。

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