【Summary】
On December 25, 2024, a Spica occultation was visible in Japan, following another on August 10. Though initially unmotivated, the clear night led to photographing the event. Spica disappeared abruptly behind the Moon's bright edge and reappeared dramatically at its dark edge, showcasing the unique beauty of such phenomena.
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2024年12月25日の深夜,スピカ食が見られました。2024年に日本から見られたスピカ食は,8月10日の夕刻に次いで2回目でしたが,私は8月10日のほうはまったく印象にありません。天気が悪かったか,暑すぎてそれどころでなかったか…,と思ったのですが,調べてみると,このときのスピカ食もちゃんと写真に撮っていました。
スピカ食は午前3時12分にはじまり,午前4時13分に終わるということで,深夜のことゆえ見るつもりもなかったのですが,天気がよかったので気が変わって,午前2時45分に起床して写真を撮りに外に出ました。
去る2024年12月8日に土星食があったのですが,こちらは午後6時19分だったから,楽しく観望しました。
土星はスピカに比べるとずいぶん地球に近いので視直径が大きいから,月に完全に潜入するまで,また,出現するまでに1分以上の時間がかかるので,のんびりと,隠れるのを,また,出てくるのを見ることができました。
しかし,スピカは恒星だから非常に遠いので点光源でしかなく,突然消えたり現れたりするように見える,ということでした。実際,月の光っている側の縁(=明縁)から月に隠されたときは,月面の強い輝きに負けてすっと消えていったのですが,スピカが再び現れたときは,月の暗い縁(=暗縁)からなので,暗い場所から「忽然と」スピカが現れたのには感動しました。
こういう感動は,実際に見てみないことには味わえません。
地球の周りを公転している月は,地上から見ると星空を背景に東側へと少しずつ移動していくので,この黄道にある星々は月によって隠されます。しかし,黄道付近にある1等星は,おうし座(Taurus)のアルデバラン(Aldebaran=αTau),しし座(Leo)のレグルス(Regulus=αLeo),さそり座(Scorpius)のアンタレス(Antares=αSco),おとめ座(Virgo)のスピカ(Spica=αVir)しかないので,1等星が月に隠されるのはこの4つの星のみです。
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●アルデバラン食
前回のアルデバラン食は2017年4月1日で,これは写真に撮りました。次回は2034年11月26日です。
●レグルス食
前回のレグルス食は2018年2月2日だったのですが,これはまったく知りませんでした。次回は2026年1月7日ですが,2026年はレグルス食の当たり年で,1月7日のあとは3月2日,11月13日と3回も見られます。
●アンタレス食
前回のアンタレス食は2024年6月20日でしたが,これはまったく記憶にありません。次回は2042年6月3日です。
●スピカ食
次回のスピカ食は2032年4月25日です。つまり,今回のスピカ食はけっこうレアな現象だったのです。
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月が背景にある天体を隠す現象を月による「掩蔽」(えんぺい occultation),あるいは「食」(eclipse)といいます。「掩蔽」は,見かけ上大きな天体が見かけ上小さな天体の間を通過する際にその天体を隠す現象をいいます。このとき,近いほうの見かけ上大きな天体は遠いほうの見かけ上小さな天体を完全に隠してしまいます。また,「食」は,ある天体が別の天体の影に入るような場合を指すので,「掩蔽」よりも広義です。つまり,「掩蔽」が起こっているときにはいつも「食」も起きています。
2024年4月5日にチリの天文台で発見されたアトラス彗星(C/2024G3 ATLAS)が,2025年1月13日に太陽に0.09天文単位まで近づきます。計算上は-3等星まで明るくなるのですが,おそらくそれ以前に消滅するといわれています。
もし崩壊しなければ,夜明け前の東南東の地平線の近くで,すごい姿が見えるかもしれません。
図は1月12日午前6時40分の予想です。
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「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
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