では今日はこの旅の最後に,写してきた写真をご覧ください。
1番目の写真はさそり座,いて座,へびつかい座あたりのもっとも天の川の濃い部分です。日本からも見ることができるところですが,南半球では天頂高く昇るので一段と美しく見ることができます。さそり座が天頂に輝いているなんて,日本では想像ができません。
へびつかい座ζ星のあたりには散光星雲があって,今回はそれを写すもの目的のひとつでした。この部分を大きく写したのが2番目の写真です。この散光星雲は大きく広がっている上に大変淡いので日本のような空の明るいところでは写真写りがよくありません。この淡い星雲の中にもしっかりとした構造があって,へびつかい座ζ星の少し上の東から西方向へと延びていく星雲部分は大変特徴的な形をしています。また,星雲の右を南北に走っている 暗黒帯も興味深い形をしています。この暗黒星雲の根元がさそり座のアンタレス,その左にある白い雲が「青い馬の首星雲」(Blue Horsehead Nebla)です。
3番目と4番目の写真は「マゼラン雲」です。この時期「マゼラン雲」は地平線に近いので,肉眼では思ったほど明るくは見えませんが,それでも,南半球へ行かなくては見られないこの銀河は南十字星と並んでわざわざ見にいく価値があるものです。
「マゼラン雲」(Magellanic Clouds)とは,銀河系の近くにあるふたつの銀河「大マゼラン雲」 (Large Magellanic Cloud = LMC)と「小マゼラン雲」 (Small Magellanic Cloud = SMC)のことです。ともに局部銀河群に属する矮小銀河で,「大マゼラン雲」と「小マゼラン雲」は互いには7万5,000光年離れています。
3番目の写真が「大マゼラン雲」で,かじき座とテーブルさん座にまたがってぼんやりとした雲のように見えます。太陽系からは約16万光年の距離に位置し,直径は銀河系の20分の1程度の小さい銀河(矮小銀河),質量は太陽の10×10⁹です。4番目の写真が「小マゼラン雲」で,きょしちょう座にぼんやりとした雲のように見えます。太陽系から約20万光年の距離に位置し,直径は「大マゼラン雲」の半分ほど,質量は太陽の6×10⁹です。ちなみに,天の川銀河の質量は太陽の2,000×10⁹,アンドロメダ銀河は太陽の1,230×10⁹です。
「マゼラン雲」は銀河系の伴銀河であると最近まで見なされてきたのですが,現在は,どこかからやってきた銀河で今たまたま銀河系の近くにあるというだけで,数十億年後には銀河系の引力を振り切ってどこかかなたに去ってゆき,再び出会うことはないだろうと理解されるようになりつつあります。
5番目の写真は「ηカリーナ星雲」です。
「ηカリーナ星雲」(Eta Carinae Nebula)はいくつかの散開星団に囲まれた大きく明るい星雲で,りゅうこつ座η星とHD93129Aという銀河系最大級の重さと光度を持つ恒星のふたつがこの星雲の中にあります。地球からは6,500光年から1万光年離れていると推定されています。「ηカリーナ星雲」は散光星雲としては最も大きく,オリオン星雲よりも4倍も大きく明るいものです。この大きな明るい星雲の周囲により小さな星雲があって「人形星雲」として知られていますが,これは1841年にりゅうこつ座η星が大きな擬似的超新星爆発を起こしてできたものだと考えられています。
そして,6番目の写真が今回ぜひ写したかった「ガム星雲」です。
「ガム星雲」(Gum Nebula,Gum 12)はほ座からとも座にかけて41度にもいたって広がる超新星残骸です。太陽系からおよそ1,300光年の距離にあります。暗くて識別することが困難な星雲であり,日本からは低緯度なのでうまく写せませんが,これもまた,南半球では天頂付近にあって簡単に写せます。この星雲は約100万年前に起こった超新星爆発の残骸が大きく拡散したもので,今も拡散していると考えられています。
7番目の写真は左上の淡い天体「パンスターズ彗星」(C/2016M1 PanSTARRS)と右下の淡い天体「バーナードの銀河」とよばれる系外銀河NGC 6822(Caldwell 57)を同じ画面に写したものです。
「パンスターズ彗星」は2016年6月22日,ハワイ・マウイ島ハレアカラ(Haleakala)にある1.8メートルPan-STARRS1望遠鏡で発見されたものです。現在9等星でいて座を動いていますが,40センチの反射望遠鏡を使って肉眼でも美しく見ることができました。また「バーナードの銀河」は棒状構造のみられる不規則銀河で,局部銀河群に属しています。1881年にアメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナード(Edward Emerson Barnard)によって発見されたものです。
そして最後の8番目が天の南極を中心とした日周運動です。ぼんやりとしたところは「大マゼラン雲」です。
このように,日本では見られない,あるいは見にくい天体が南半球にはたくさんあります。それらを見るだけでも感動するのに,空が暗いのでひときわ美しく輝いているので,何度見ても見飽きるものではありません。また,日本で高価な機材を購入して苦労して写してさらに時間をかけてコンピュータで画像処理をする,などという苦労をしなくても,安価で小さな機材を持ってオーストラリアへ行けば簡単にこれだけのものが写せてしまいます。
こういった写真を写すことができると,次回もまた南半球に行って,別のテーマを決めてもっとすばらしい写真をたくさん写したいものだと,さらに夢が膨らんできます。
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特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑮
6日目。帰国の日です。
早朝3時に目覚めました。私は起きたい時間を決めて眠ると,どんなに早くても目覚まし時計なしでその時間に目覚めます。それでもやはり起きられないのを恐れていて,iPhoneやiPadで設定をしていますが,使ったことがありません。しかし,万一起きられなかったら大事だという心配はいつもしています。海外に出かけるときは最終日が一番心配です。
外に出てみると星は見られるのですが霧っていました。これで諦めがつくというものです。今回は全ての夜に晴れましたが,到着した日,1夜目は晴れていたけれど露が多くてしかも寒い晩でした。2夜目も快晴でしたが,時折雲が出ては消えました。しかし,寒くもなく美しい星空が見られました。そして,3夜目はもっとも条件のよい夜になりました。4夜目は早く寝たので数分間だけ星を見ましたが,どうやらその後霧がでたようです。
部屋に戻ってかなり早い朝食をとり,コーヒーを飲みながら帰る支度をして,午前4時過ぎに車に乗り込みました。
オーストラリア深夜の国道はもう走りなれているのですが,気をつけなければならないのはカンガルーです。制限時速は100キロメートルですが,片側1車線の道路です。深夜は交通量が少ないので時速80キロメートルくらいで慎重に走りました。今回は1度カンガルーを目撃しました。
1番目の写真にあるように,オーストラリアの道路は街灯はなく,しかし,きちんと白線が引かれ,センターラインは黄色の蛍光板が埋め込まれていて光るので安全です。日本でも星見に行くために深夜の道路を走りますが,街灯が照らされてそれが道路に反射して,しかも,白線がなかったり消えていたりとめっちゃくちゃで,何を信じて走ればいいのかわからず,疲れるし危険です。これもまた日本らしさ満載です。
やがて夜が白んできて,日の出が見られました。かなり霧が多くて,場所によってはそれが深くなって幻想的でした。ずっと国道15を走っていって,イプスイッチを過ぎてブリスベンに近づくと車線の多い日本のような高速道路になります。ブリスベンの空港の標示があるのでそれにしたがって走るだけなのですが,それが,前回2年前のときもそうだったのですが,私の思っているルートとは違うのです。ともかく到着できるからよいのですが,どうもこのブリスベンという町の道路がくねくねとしていて,しかもバイパスがたくさんあって私にはよくわかりません。
やがて,ブリスベン川を跨ぐ大きな橋を越えると空港が見えてきました。空港到着は午前8時少し前でした。フライトの出発は午前9時55分。チェックインを済ませ,カバンを預け,オーストラリア政府観光局のアンケートとかに答えていたらすぐに搭乗となりました。
機内は空いていて,行きと同様に隣は空席でした。お昼間で時差もほぼないので眠る必要もなく,音楽を聴いていると日本時間午後7時前に日本に到着しました。この時間ではセントレアに行くフライトはないので,成田空港から東京駅までバスで行き,新幹線で帰っても寝るだけだから深夜バスに乗ってもどることにしました。
それにしても,ブリスベンから成田までよりも成田から自宅までのほうが時間がかかるというのも ??? という感じでした。
不思議なことに,帰国後,2か月前に行ったナラブライと今回のバラディーンの記憶がつながって,私の2018年のオーストラリア旅行は時空を超えて結びついてひとつになったのでした。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑭
3夜目は一晩中まったく雲もなく,寒くもなく,露も降りず,快適に星見をすることができました。そうなると写真を写すよりも自分の眼を通して,あるいは望遠鏡で直に星を見ることがとても楽しく,あっという間に時間が過ぎていきました。9等星の彗星も口径40センチの望遠鏡を通して見ることができました。
この晩写した写真とその説明は後日改めて,ということにして,今日は時間を進めます。
5日目。
夜は星を見てから寝るので遅く,したがって朝はゆっくりです。ここはこういった宿泊客が多いので,朝食は事前に部屋に準備されていて,好きな時間にとることができます。食事をして,コーヒーを飲んで,少しのんびりして,午前11時前に部屋を出ました。今日はまず,泊まっているバランディーンの町を少し散策して,その後でスタンソープまで行ってくることにしました。
バランディーンは小さな町です。タバーンというレストランが1軒,コーヒーの飲めるお店が2軒くらい,ホテルも2~3軒,それに郵便局とよろず屋さんしかありません。ただし,小学校はあります。町の周りはワイナリーが広がっています。
以前は鉄道が通っていたらしく,バランディーンには線路と駅の跡があります。バランディーンから南に向かってニューイングランドハイウェイを走っていくとずっと鉄道の線路がそれに沿ってつながっているのですが,ワランガラを過ぎたあたりで鉄道のレールが乗った橋が崩れているのが右手に見えるので,私はてっきり鉄道はすでに廃線なのだと思っていました。
ところが,私がバンディーンの駅のあたりに車を停めて散歩をしていると,なんと,蒸気機関車が4両の客車を引いて煙を吹いて駅に向かってきました! これはまるで映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」です。本当にびっくりしました。後で聞くと,なんでも観光用に月に1回ほどの割合で観光用に走らせているのだそうです。しかし,ワランガラの先はレールが崩れているのでどうなっているのだろうとさらに聞いてみると,機関車が走っているのは北のウォリックから南のワランガラの間だけなのだそうです。
そういえばこの日は土曜日なのでした。しかし,月に1回ほどだけの運行で,しかも,偶然ちょうど走っているときに私が駅にいたというのは,あまりに幸運なことでした。しかも,2か月前に緊急で帰国しなかったらこういう偶然も起きなかったわけです。
その後,スタンソープまで行って,公園で散歩して過ごしました。
帰りがけ,ガソリンスタンドに寄りました。オーストラリアではガソリンは自分で入れ終わったら店内に行ってお金を払うというシステムです。それは当然知っていてこれまでも何度か入れたのですが,この日に入ったお店の器械にディスプレイがついていて何かそこで入力をしなくてはならないのかと思って戸惑っていました。すると隣でガソリンを入れ終わった女性がやってきて親切に教えてくれました。この国の人はフレンドリーで親切です。
明日は9時55分のフライトで帰国します。バランディーンからブリスベンまでは3時間ほどかかるので,出発は早朝午前4時過ぎです。深夜のドライブになるので,いつカンガルーが飛び出てくるかもしれず,制限速度100キロメートルの片側1車線道路ですが80キロメートルほどで慎重に走ることにしているので,余裕をもって出発するのです。そこで,この晩は遅くまで星見をすることははばかれるのですが,この夜もまた快晴,これを見逃すのも惜しい気がしました。そこで,空の南極を中心とした日周運動を固定撮影で写してから寝ることにしました。
こうして,今回の南半球の星空を見る旅は4夜とも全て快晴となって,大満足で終了しました。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑬
旅の3日目。1日目は機内泊で2日目の早朝に到着したのでオーストラリア滞在2日目となります。お昼間はテンターフィールドに行き,帰りにギラウィーン国立公園に寄って午後3時過ぎに戻ってきました。
この日の夜も快晴で,日が沈んだころには,西空に月齢1の月と金星が輝いていました。日本とは月の欠けた場所が左右逆でちょうどフィルムの裏焼きのような感じです。この晩も深夜12時頃まで星を見たり写真を写したりしました。途中少し雲が出てきて心配したのですがすぐに消えました。この晩は昨晩とは違って暖かく,露もほとんどつかなかったのが幸いでした。この晩の空はひときわ澄み渡っていて,空には絶景の天の川を心置きなく見ることができました。
写した写真は次の晩に写したものと合わせて後日載せることにします。
時間は進み,翌日4日目。
お昼間は北に100キロ走ってウォリックへ行くことにしました。この町は近くの町のなかでも大きくて楽しい町です。昨年来た時はあまり見る時間もなかったので,今回はと思っていました。ウォリックの中心街には気の利いたレストランがたくさんあるのですが,事情があってレッドルースターというチェーン店にしました。
町の中心部に向かって走っていくと観光案内所を示す「i」 マークが目に入って「この先400メートル先」とあるのですが,その指示に従って走っていっても観光案内所はなくて,中心街の入っていってしまいます。案内所が見つからなかったのは前回も同様でした。
そこで今回は車を停めて観光案内所を探し回ること約5分,やっと念願の? 案内所を見つけてなかに入りました。親切な女性が暇そうにしていて,私がどこか見所はないかと聞いて教えてもらったのがクィーンメアリーフォールズという滝でした。
その場所もまた,前回ニューイングランドハイウェイをウォリックに向かって走っていたときに道路標示で見つけてそのときも行こうとしたのだけれどわからなくなったところでした。私は勘違いをしていて,クィーンメアリーフォールズ右に250メートルと読んでしまったのです。実際は,クィーンメアリーフォールズへ行くには250メートル先を右に回る,ということだったのです。
今回はもらった地図とカーナビを頼りに行ってみることにしました。思ったよりずっと遠くてウィリックからさらに西に20キロほども走りましたが,途中には牧草地帯が広がり,ニュージーランドのように美しく,荒れた大地ばかりだと思っていたので,私はオーストラリアを見直しました。
やがてこの滝のある国立公園に着きました。山に沿って周回道路が続き,いくつかの滝があり,特にクィーンメアリーフォールズにはキャンプ場が併設された駐車場に車を停めて,散策道を20分くらい歩いて目の前まで降りていくことができました。滝を過ぎてさらに行くと展望台があって。美しい景観を見ることができました。
午後4時過ぎにゲストハウスに戻って来ました。この日の天候も素晴らしく,昨日は少し雲が出たのですが,打って変わって,間違っても雲ひとつ出てくる心配すらないという状況でした。これで今回は滞在3日全て晴れたということになります。
バランディーンには個人が作ったピラミッドがあるのです。敷地は柵がしてあって目の前までいくことはできないのですが,柵の外の道路脇に車を停めてそこで写真を写すことができるので,夕食前にピラミッドまで出かけていって写真を写すことにしました。反対側には月齢2の三日月と金星が幻想的に輝いていました。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑫
オーストラリア滞在2日目,旅の3日目です。お昼間,テンターフィールドという町が私のいるバランディーンから南に30分程度行ったところにあります。前回行ってみてこの町が気に入ったので今回も行ってみることにしていました。
私の宿泊したゲストハウスからは車で30分から1時間くらい走ると,北にはウォリック,スタンソープ,南にはワランガラ,テンターフィールドといった,日本人の観光客には無縁の素敵な町があります。こうしたオーストラリアの小さな町は,気候も厳しくなく,ゆったりと時間が流れ,気持ちが落ち着きます。2か月前に行ったクーナバラブランやナラブライも同様でした。
オーストラリアの人口は約2,400万人で面積は日本の約20倍です。ちなみにニュージーランドやフィンランドは共に人口が約500万人で面積は日本の0.8倍,カナダは人口が約3,000万人,アメリカ合衆国は人口が約3億3,000万人もあって,カナダとアメリカ合衆国の面積はオーストラリアと同じくらいです。
そこで,アメリカ合衆国に比べると人口がその10 の1もないオーストラリアは,その大きさを持て余しているように感じます。シドニー,メルボルン,ブリスベンといった大都会は別として,一旦郊外に出てしまうと悠久の大地が広がるだけです。さらに,国立公園はたくさんありますが,アメリカほど変化に富んだ地形はあまりありません。しかし,オーストラリは最大の特徴は星空が美しいことで,これは世界一です。
連日の晴天で夜は忙しいのですが,お昼間は特にすることがありません。そこで,私は南に行ったワランガラやテンターフィルド,北に行ったスタンスロープやウィビックといった美しい町まで散歩に出かけるのです。このあたりにも国立公園がいくつかありますが,アメリカの国立公園とは違って閑散としてます。昨年は大張り切りで行ってみたのですが,けっこう大変でした。でも岩山を頂上まで登りきると雄大な景観が楽しめます。
オーストラリアに来て私が思うのは、この国で生きる人の楽しみは日本人の楽しみとは全く違うのではないかということです。というよりも,日本人が生まれて以来ずっと学校や家庭で習うことというのは,日本以外の国に生まれた人が習ってきたこととは何か決定的に違うように思うのです。私は住んだことがないので感覚的なものですが,それはおそらくこの国に1年くらい生活してみれば実感としてわかることでしょう。
私の周りに,オーストラリアに憧れてやってきて,オーストラリアで実際に生活をしているうちに日本に帰らなくなってしまった人が何人かいます。そうした人たちの姿からも,実際そうなのだろうと思うのです。
日本人は自分の生活から仕事を引いたら何が残るというのでしょう。私はこの国に来るたびにそんなことを思います。いくら仕事が生きがいと強がっていても,所詮フリーランスでなければ,国や組織の奴隷のようなものでしかありません。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑪
昨年の6月にはじめてここに来てからまだ1年も経っていないのに,何かそれがものすごく昔のような気がしました。そのときははじめて来たということでさまざまな思い入れがあったのですが,歳をとったせいなのか,いろんなところへ行きすぎたせいなのか,昨年の自分がまぶしいくらいです。
2か月前に来たときはいよいよ今日からゲストハウスに行く,という日に帰国しなければならなかったのですが,天気はずっと快晴でした。それが悔しかったのですが,幸い,今日からの天気予報も快晴です。
今回持ってきた撮影道具は昨年と同じですが,あれから使い慣れたので,もはや戸惑うこともありません。機材は慣れが必要なのです。露出時間が少なくても星は動いていくので,星の写真を点像に写すには赤道儀が必要です。しかし,重たいものは持っていけないのでビクセンのポラリエというポータブル赤道儀を使っています。極軸をしっかり合せないと意味がないので,極軸望遠鏡が組み込まれてあります。しかし,北極星というのはあっても南極星というものはないので,南半球では慣れていないと極軸合わせが大変です。いろいろ勉強して,きしちょう座にある小マゼラン雲の近くにあるみずへびβ星からすぐの場所にあるはちぶんぎ座の3つのくっついたようなγ星を見つけ出してそれを極軸望遠鏡に入れてしまえばあとはコツさえつかめば難しいものではないということがわかりました。実際やってみると非常にうまくい きました。
カメラもレンズも前回と同じものを持ってきました。カメラはキヤノンのEOSX8iを散光星雲が写るようにIRカットフィルターを天体写真用に換装した改造カメラです。レンズは,ニコンの対角魚眼と広角の35ミリ,それに加えて2か月には荷物が多くて持ってこられななかったタムロンの90ミリマクロレンズを昨年同様今回は持ってきました。これらのレンズはニコンマウントなのでアダプタを使ってキヤノンのマウントに合わせてあります。
赤道儀の稼働と夜露よけ用のヒーターの電源はANKERのPowerCoreを使っていますが,今回はPowerCoreを2個持ってきました。この時期はものすごく露が降りるので夜露よけのヒーターは必需品です。昨年バッテリーが消耗して困った経験があるので予備のつもりで2個目を用意したのですが,特別参加のステラナビゲーターをインストールしたiPad mini 用の電源としても重宝しました。
では,この晩に写した写真をいくつかご覧にいれましょう。
上から6番目の写真が南の地平線付近の天の川です。マゼラン雲も見えます。この付近の星空が日本では見られないのです。7番目の写真はηカリーナ星雲です。ηカリーナ星雲は地球から6,500光年から1万光年離れているいくつかの散開星団に囲まれた大きく明るい星雲です。天の川銀河で最大級の重さと光度を持つふたつの恒星が星雲の中にあります。この星雲は肉眼でもとてもよく見えます。
8番目はさそり座,9番目はいて座のあたりを写したものですが,天の川が見事過ぎて星の並びがわかりませんが,天の川に宝石をちりばめたような散光星雲や球状星団,散開星団がきれいです。そして最後の10番目はガム星雲を写したものです。昨年取り忘れたので,今回このガム星雲が最も写したかったものです。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑩
午後7時55分離陸。飛行機が離陸状態から脱してから出てくる遅めの夕食をとったらすぐに眠くなってそのまま寝入ってていたら,客室乗務員に起こされたときはすでにオーストラリア大陸の上空でした。着陸1時間前に朝食が運ばれて,やがて現地時間午前6時前に着陸となりました。時差はわずか1時間で時差ぼけもありません。これではまさに夜行バス状態です。
日本とは季節が逆のブリスベンは晩秋なのですが,早朝のが気温は14度くらいありました。前回キャセイパシフィック航空で来たときはもう少し到着時間が遅かったので空港で入国をするのにごった返していたのですが,今回は早朝だったので空いていて,すぐに入国ができました。レンタカーを借りていよいよ出発です。
3月に来たときには帰りの最後の1日で行こうと思っていたのに緊急帰国したために行くことができなかったブリスベン郊外にあるローパイン・コアラサンクチュアリィというコアラがたくさんいる動物園へ,まず向かいました。
レンタカーにはカーナビがついていたのが幸いで,土地勘のないブリスベンでは地図だけで行くことができるとは思えないところにあったのですがすんなりと到着しました。
通勤時間で,郊外に向かう方の私の走っていた道路は大丈夫だったのですが,ブリスベンのダウンタウンに向かう方の車線は大渋滞をしていました。これはランアバウト(ロータリー)が原因なのです。通行量の多い主要道路にいまだにランアバウトが残っているものだから1台ずつランアバウトで一旦停車しなくてはならないのでこういうことが起きてしまうのです。
動物園には開園時間午前9時より1時間も早く到着したので,開園時間が来るまで近くにあるマウントクーサ展望台に行ってみることにしました。ここはブリスベン郊外の高台にあって,展望台からはブリスベンの美しい街並みを見渡すことができました。この展望台の近くには植物園やプラネタリウムもあるそうですがパスしました。
再び動物園ると開園まで後数分でした。少し待ってチケットを買って中に入りました。
ここにはコアラ以外にもカモノハシとか,いろんな動物がいますが,特にお目当てのコアラはなんと200頭近くもいるそうです。コアラを抱いて写真撮影ができるということだったので,それをすることにしました。私にあてがわれたのは5歳のオスのコアラでした。
お昼をとってから動物園を出て,目的地のバランディーンにあるゲストハウスに向かいました。午後4時くらいにまでに到着すればよくて急ぐ旅でもなかったので,途中で休憩を繰り返しながら行きました。それでも午後3時過ぎに到着しました。
今日からここで4泊して南半球の星を見るのです。幸い天気予報では滞在中ずっと晴天ということなので,今晩からの星見が楽しみです。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑨
今回は名鉄も順調に動いていて,セントレア・中部国際空港から乗ったANA便も定刻に成田に着きました。それにしてもいつも思うのは,日本の国内線はたかだか1時間くらいのフライトなのにプレミアムの優先搭乗もないでしょう,ということです。時間と手間がかかるだけでまったく意味がありません。優先搭乗は体の不自由な人と小さな子供づれだけを考慮すればいいのです。そしてまた日本人のバカ丁寧な対応がより搭乗を遅らせます。
到着した成田空港第1ターミナルは相変わらずわかりにくくボロいです。これが日本の首都の空港かと思うと悲しくなります。
ANAは第1ターミナル,カンタス航空はは第2ターミナルなので,ターミナル間をバスで移動しなければなりません。今は知っているからいいけれど,知らなかったときはわけがわからず迷いました。日本人の考えるおもてなしとかいうバカ丁寧な事のほとんどすべてはどうでもいいことばかりで,肝心なことはすべて抜けているのです。第1ターミナルの案内板の標示は第1ターミナル間を移動する人だけを対象としているので,私のように航空会社が別でターミナル間を移動しなければならない人のことなんて1%も考慮されていません。そもそも第1ターミナルと第2ターミナル,さらに第3ターミナルがあるといったことすらどこにも書かれてありません。それに加えて,ターミナル間を移動するバスの乗り場の不便なこと。しかも,移動距離の長いこと。専用の道路すらありません。海外の空港はターミナル間の移動はどこも鉄道が走っています。売店を作る以前にターミナル間の鉄道を作るべきなのです。これぞ日本人らしさ満載です。旅行をするたびに私はそれを再認識します。
セントレアから成田まで乗ってきた機内からは知多半島や浜名湖,大井川,伊豆七島などがきれいに見えましたが,今回,富士山は霞んでいてあまりよく見えませんでした。条件がよければ乗ってから降りるまでずっと見えているのですが,日本の空はに日に日に汚くなっているようです。
成田空港の第1ターミナルは非常に混雑しているのですが,第2ターミナルはガラガラで,セキュリティを通過するのは非常に楽です。この空港で快適に時間をつぶすコツはセキュリティ前のレストランや売店でうろうろするのではなく,早めに出国ゲートを抜けてしまい,搭乗口までのコンコースにあるふかふかのソファをキープすることなのです。ここのソファとカフェテリアはラウンジに行くよりもずっと快適です。
私はソファを占拠するのに成功して,寝っ転がってインターネットで遊んでいたらすぐ搭乗時間間近になってしまいました。意外と知られていないのですが,第2ターミナルの搭乗ゲート前には吉野家があります。ここの吉野家は一般のメニューと異なっているのですが,ちゃんと牛丼もあります。すべての物価が高い空港内のレストランですが,ここでは,一般よりは高いけれど,わずか420円で牛丼が食べられるのです。ということで,予定通り軽く牛丼の夕食を済ませて,機上の人となりました。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑧
オーストラリアに出かけたのに,滞在わずか3日,ホテルで眠ったのが1晩だけという状況で,それ以後の予定をすべてキャンセルして緊急に帰国したのが2018年3月12日でした。あれから様々なことがあった2か月が過ぎ落ち着いたことと,ちょうど新月で星空が見られるので,5月15日から私はそのときに中断した旅の続きをすることにしました。
前回は,成田まで行くのが面倒で,どうせ乗り換えるのならセントレア・中部国際空港からキャセイパシフィック航空を利用して香港で乗り換えてオーストラリアのブリスベンに行ったほうが便利で楽だと思ったので,往復ともその予定で出かけました。しかし,中国語と英語のごちゃまぜの機内,中国語なまりのひどい聴きとりにくい客室乗務員の英語,混雑してセキュリティのめんどうだった香港の空港,さらには,遠まわりなので時間がかかることと,期待に反して,まったく快適でありませんでした。
帰りも同じルートを予定していたのですが,緊急に帰国することになってしまったのでキャンセルして,ブリスベンから成田までカンタス航空の直行便で帰ったら,ずっとこの方が快適だということを納得したので,今回もまた,以前までのように,セントレアから成田まで行って,成田からカンタス航空の直行便でブリスベンに行くことにしました。セントレアから成田までは,探しに探してANAの格安航空券を手に入れました。
セントレアからブリスベンまで直行便があればオーストラリアへ行くのがどれほど便利かと思います。そういう意味では,名古屋からは,セントレアから直行便のあるフィンランドのヘルシンキは近いところです。
さて,今回の旅は,前回の続きということで,緊急帰国したためにキャンセルしたゲストハウスで南半球の星を見ることだけが目的です。
これまで私はアメリカを中心として,世界中のさまざまなところに出かけましたが,結局のところ,私にとって魅力のあるところ,そしてまた,私がしたいことというのは,オーロラを見ることと南半球の満天の星空を見ることだということがわかりました。特に,南半球の美しい星空を知ってしまった今となっては,日本の汚い星空にはまったく興味がなくなってしまいました。今でも一番に思い出すのは,前回緊急帰国したときにナラブライの町から空港のあるブリスベンに向けて深夜に700キロの道のりをドライブしていたとき,小休止で車から降りて眺めた,この世のものとも思えないほどの星空でした。
南半球の星空は最高です。まさに宝石をちりばめたような南十字星あたりの星々やマゼラン銀河は日本では決して見ることがかなわないものです。とはいえ,私がはじめて南半球で「満天の」星空を見たのが,今からわずか1年と半年ほど前だったのを考えると,こんなことができるようになったことが夢のようです。
では行ってきます。晴れますように。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑦
今回の旅のLIVEのはじめに「私の場合,というか,これが普通のことなのかしれませんが,旅の予定がその通りにいったためしがありません。しかし,これこそが旅の醍醐味ということでしょうか。人生だって将棋みたいなもので,その時点での最善手を探せばいいだけで,その次のことは相手が指してからまた考えればいいのです」と書いたことが,まさに現実となりました。こうして私はこの旅をわずか4日で終了することになってしまったのです。しかし,得たものも多く,旅というのは人を強くするものだと改めて思いました。とにかく何事も経験が第一です。そしてまた,おそらく,こうした経験こそが,ずっといつまでも貴重な思い出として残っていくことになることでしょう。
では,今日は今回の「旅行LIVE」の締めくくりとして,まとめを書いておきます。
少し前にフィンラドンドでオーロラを見て,南半球の星空よりもオーロラのほうがずっと魅力的だと思ったのですが,それは大きな間違いでした。オーロラも南半球の星空も,両方ともすばらしいものです。やはり,南半球の星空,特に真っ暗なオーストラリア大陸で眺めた満天の星空は筆舌に尽くしがたいものでした。
帰国した日本も快晴でしたが,夜空の気持ち悪いほどの灰色の荒んだ姿が衝撃的でさえありました。私はつくづくいやになりました。そしてまた,オーストラリアの片田舎ののどかさは北海道の比ではありませんでした。特にサイデンスプリング天文台(Siding Spring Observatory)のあったクーナバラブラン(Coonabarabran)という町はとても素晴らしいところでした。今回はブリスベン(Brisbane)から行ったのでかなり遠かったのですが,シドニー(Sydney)からならそれほど遠くもないので,ぜひ,次回はシドニーから行ってみたいものだと思ったことでした。
そして,この旅最大の収穫はオーストラリアが非常に身近になったということです。
利用した飛行機は,成田まで行くのが面倒だということで,セントレア・中部国際空港から香港経由のキャセイパシフィック便でブリスベンに行きました。帰りは予定を変更したので,カンタス航空でブリスベンから成田に戻ってきたのですが,このふたつの航空会社の旅客機の機内と,そして香港の空港での乗り換えはまさに雲泥の差がありました。
これは私の主観でしかないのですが,圧倒的にカンタス航空のほうが快適でした。そしてまた,乗り換えが便利だと思った香港の空港は広すぎ混雑しすぎていて,しかも乗り換えにもセキュリティチェックが2度もあって最悪でした。こんなことなら,成田からブリスベンに直行便で行くほうがずっと快適でした。
また近いうちにこの旅の続きをしたいと思っています。
それにしても返す返す残念に思うのは,私が帰国したあとの現地の天気予報がまさに快晴だったということです。快晴の空の下で南半球の星空を心置きなくもういちど見てみたいと思います。
ところで,はじめの予定では「7泊10日」だったという理由は,帰りのフライトが深夜12時過ぎで機内泊だったためというのが答えですが,今となってはそれも虚しい話です。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑥
もともと私は「古きよきアメリカの田舎」に憧れてアメリカを旅してきたのですが,この頃のアメリカはどこも人多すぎ,車多すぎです。しかもやたらとセキュリティが厳しくて入国が面倒です。そこで,オーストラリアのほうがずっと私が夢見ていた「古きよきアメリカの田舎」に近そうだと感じます。
今回の旅のように,観光地でないオーストラリア,大都市でないオーストラリアを旅していて,この国のことが少しずつわかってきました。年寄りが旅するにはとてもいいところです。泊まるところはどこにでもありますし,予約も必要ないようです。ただし,この国での最大の魅力であり問題なのは,町と町の間の距離が「ものすごく」遠いということです。
さて,ナラブライ(Narrabri)に2泊して,クーナバラブラン(Coonabarabran)まで寄り道しました。いよいよあす3日目はこの旅の本当の目的地であるバランディーンを目指して北上します。しかし,バランディーンはナラブライの走るA39沿いではなくそれよりも1本東を走るA15沿いにあるので,どこかで東に向かって行かなければいけないので結構面倒です。いろいろと調べた結局,ナラブライからすぐに東に走ってA15を目指すことにしました。ナラブライからバランディーンまでは390キロの道のりです。
・・・・・・
という予定で,ホテルで明日からの準備をしていると,夜の9時過ぎに日本にいる家族から電話がありました。急な事情ができたのですぐに帰国してほしい,ということでした。これには参りました。今いる場所がブリスベン(Brisbane)の空港まで2時間と少しのバランディーン(Ballandean)ならともかく,ここはブリスベンからは700キロも離れていて,この距離を再び戻らないと日本に帰れません。しかし,今は夜の9時過ぎです。帰国するために帰りのチケットをネットで探すにしても,いつここを出発して何時に空港に着けるのかがわからなければどうにもならないのです。
さすがにこれから出発して深夜の道路を走るのは気がひけました。なにせ,オーストラリア大陸の深夜なんて真っ暗です。走ったことがないから道路状況もわかりません。しかし,明日の朝まで待って出発するとなると,今度は空港に到着するのがその日の夕方になってしまい,そうなると,結局,そのさらに翌日の便で帰るしかなくなります。こうして,どんどんと帰国が遅れていきます。夜を無駄にするのは効率が悪い気がしてきました。
そこで私は意を決して,今からホテルを出て夜通し700キロを走ることにしました。順調にいけば,おそらく夜明けごろには空港に着けることでしょう。そして,空港でファーストクラスだろうがビジネスクラスだろうが,またまたどの航空会社だろうが,チケットが手に入ればそれで帰ろうと思いました。
オーストラリア大陸の深夜のハイウェイ(片側1車線の一般道路)は真っ暗で,いつカンガルーなどの動物が飛び出してくるか予想がつきません。しかし,私はシカが飛び出してくる日本の深夜の道路は走り慣れているし,一晩くらいの徹夜でも平気です。しかも,アラスカやハワイで深夜の道路を走った経験もあるので,決して無謀でなく,何とかなるという確信がありました。
荷物を詰め込んで,ホテルをチェックアウトして走り出しました。ガソリンは70%くらいありましたが,若干心配でした。途中どこかのガソリンスタンドで補充しようと思いましたが,オーストラリアの田舎でガソリンスタンドが深夜に営業しているのかどうかもわかりませんでした。もし,不足しそうなら,ガス欠になる前にどこかで休憩して夜が明けるのを待とうと思いました。季節は夏です。そして,偶然,眠気防止のための冷たい水はすでに用意してありました。
ホテルを出て,まず,ナラブライでガソリンスタンドを探したのですが,どこも営業を終了していました。仕方がないので少し走っていったら,途中で営業しているガソリンスタンドを見つけたのでガソリンの補充に成功しました。
それにしても長い道のりでした。すれ違うのは時折走っているトレイントラックと呼ばれる貨車を数両連結したコンボイばかりでした。私の走る方向には全く車は追いついて来ませんでした。あたりはずっと真っ暗で,自分の車のヘッドライトが道路に引かれた白線を光り輝かせているのだけを頼りに時速100キロで走り続けました。この世には私の車しかないような感じでした。しかし,非常に走りやすい安全な道路でした。路肩の白線が消えていたり,眩しいだけの市街灯が視野を邪魔するような日本の夜道とは雲泥の差でした。
私は地図ももたず,ひたすらA39をブリスベンと書かれた道路標示だけを頼りにひたすら北向きに走り出して6時間,遠くに街の光がやっと見えてきました。私はその街をブリスベンと勘違いしました。しかしその町はブリスベンよりまだ100キロ手前のトゥーンバ(Toowoomba)でした。トゥーンバをブリスベンと勘違いしていた私は空港を探しているうちに道に迷いました。実はA39はこのトゥーンバで終わり,ここから先ブリスベンまではA2を走らなければならなかったのです。営業していたガソリンスタンドで道を聞いて体制を立て直し,さらに1時間と少し走って,5時過ぎに無事に夜明けの空港にたどり着きました。
レンタカーを返してしまうとあとで必要になったとき困るので,とりあえず空港の駐車場に車を停めてターミナルに入り,カンタス航空のカウンタで案内をしていた恰幅のよいおじさんにチケットは購入できるかと聞くと,購入カウンタを案内してくれました。ここでもまた親切なスタッフがこの日の9時55分のフライトチケットを手際よく発券してくれました。その後レンタカーを返却して,30分遅れで離陸しました。機内は語学留学を終えて帰国する日本の女子中学生でいっぱいでした。
そんなわけで,滞在わずか3日,ホテルで眠ったのが1日だけという今回のオーストラリア旅行は,残念ながらこうして終わりを告げました。そして最短で帰国し,成田からJR を乗り継いで,連絡があった24時間後には,オーストラリア・ナラブライから自宅に帰ることができました。
それにしても空港までの深夜のドライブの途中,ドライブインで休憩したときに見上げた星空の何と美しかったことでしょう! それは今までに見たこともない,途方もなく雄大で,そして,本当に「満天」の星空でした。周りにはローソクの光ひとつさえなく,完全に真っ暗でした。おそらく,私はこのときの星空を一生忘れないことでしょう。それは,こうして帰ることになったがために体験することのできた貴重な経験でした。
◇◇◇
今日の1枚目の写真は2017年6月にオーストラリアで撮影したものです。今回私の見た筆舌に尽くしがたい星空を写真として再現できないのが残念です。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⑤
2日目。もったいないほどの快晴になりました。この天気,後までとっておいてほしいくらいですが,予報ではこの先も晴れです。
日本でいうなら今は9月です。お昼間の気温が30度くらいになるのですがちょうど過ごしやすい陽気です。
今日は天文台巡りです。まずは滞在しているナラブライ(Narrabr)にあるポールワイルド電波天文台(Paul Wild Observatory)からです。町から25分ほど行ったところにあります。
ホテルの近くのマクドナルドで朝食をすませて出発しました。道路案内にしたがって走って行くとすぐに郊外になりました。やがて天文台の入口があったので入って行くと,まあ,いるではないですか。カンガルーの群れです。そっと車を走らせると飛び跳ねて去って行くのですが,マヌケなヤツは車の前を横切って行きました。しかし,見れば見るほど奇妙な姿をした生き物です。合理的とは思えませんけれど。今日はこのあと走った道路でずいぶん多くのカンガルーの死体を見ました。車に激突するんです。アラスカやフィンランドではトナカイを,ニュージーランドではウサギを,アメリカや日本ではシカを道路で見かけますが,オーストラリアではそれと同じくらいカンガルーを見かけます。電波天文台,予想したよりずっと広くしかも巨大でした。日本の野辺山の比ではありません。広いというのはすごいことです。次に行くのはクーナバラブラン(Coonabarabran)にある有名なサイデンスプリング天文台(Siding Spring Observatory)です。クーナバラブランはナラブライから120キロなので1時間ちょっとです。オーストラリアの地方の道路はハイウェイといっても片側1車線で,制限時速が100キロから110キロです。時々追越車線があるのもニュージーランドと同じですが,オーストラリアの追い越し車線の面白いのは2車線になったときは車線に引かれた破線が左側に誘導するようになっているのに,追い越し車線がなくなるところでは追い越し車線のほうが優先になるように引かれていることです。
やがてクーナバラブランに着きました。小さなすてきな町でした。
まず観光案内所で地図やパンフレットをもらって係りの人とお話しをしました。この町は星見の里で多くのモーテルに天文台が設置されています。観望会もやっていますが,どこからでも満天の星空が見られそうです。今度来るときはここに泊まろうと思いました。
町から小高い山を登ること20分で天文台に着きました。ここにあるにはオーストラリア最大の4メートル反射望遠鏡です。ガラス越しに見ることができました。さすがに今となっては旧式ですが,この時代の望遠鏡は風格があります。こうしたオーストラリアの小さな町というのは最高です。ゆっくりくつろげます。まず食事がいい。お肉と野菜とパンがパランスよくとれます。物価は高くなくて,というか,オーストラリアドルのレート次第なのですが,1豪ドル80円くらいならずいぶんと安く感じられるものです。私はこのクーナバラブランという町のカーディアンズというレストランで昼食のステーキアンドサラダサンドウィッチなるものを食べました。朝はマクドナルドでパンケーキとコーヒーだったので,野菜が胃にこごち良いです。天気がいいこともあって,窓から外の景色を眺めていると幸せを感じました。
この町も住みたいところになりました。なにせ気候がいいのと星がきれいです。
蒸し暑い夏に寒い冬。黄砂とPM2.5で汚染された霞んだ春。自然が破壊されて人里にクマやらシカがさまよい出てくる秋。渋滞だらけでわかりにくいゴミだらけの道路に狭い公園。休むことも知らず趣味もなく仕事と酒だけの大人と,休みの日まで部活に補習に明け暮れるまるで軍隊のような学校に通う子供たち。真っ黒なリクルートスーツに身を包んで就活をする個性のかけらもない大学生。人だらけ渋滞だらけの観光地。汚れた川やゴミだらけの海岸と灰色の腐ったような夜空。そして狭い国土を痛めつけてどこもかもコンクリートで固めることを国土開発と名付ける政治家たち。そうした日本なんて,さらにどうでもよくなってきました。かつては美しかった,そして私の好きだったこの国をどうかこれ以上壊さないで欲しいものです。
今の日本が素晴らしいという人は,その前にハワイの美しい海岸とオーストラリアの星空とフィンランドの美しいオーロラとカナディアンロッキーの景観とゴミひとつないアメリカの国立公園,そして,人々が自分たちの生活を楽しんで知る姿,そうしたものを見て体験して,それでも本当にそう思うのか判断して欲しいものです。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE④
今回の旅は,昨年の6月に来たバランディーン(Ballandean)にある天文台つきのゲストハウスに5泊して,今度は夏の南半球の星空を見にきたのが目的です。しかし星を見るにはまだ月が明るい(月齢が大きい)ので,5泊滞在する前に,ゲストハウスからさらに南に行って,そこで2泊追加して,いくつかの天文台を見て回ることにしました。
ブリスベン(Brisbane)からシドニー(Sydney)まで約1,000キロメートル,内陸を走る道路A39に沿ってポールワイルド電波天文台(Paul Wild Observatory),サイデンスプリング天文台(Siding Spring Observatory),パークス天文台(CSIRO Parks Radio Telescope)といった世界的に有名な天文台が次々とあるのです。さすがにパークス天文台は遠すぎるので断念して,残りのふたつを見ることにしました。いろいろと考えたあげく,ブリスベンから約600キロメートル先のポールワイルド電波天文台のあるナラブライという町で2泊して,その先のクーナバラブランにあるサイデンスプリング天文台へは2日目に日帰り旅行をしようということにしました。
実はこの到着後早々の長距離のドライブがこの旅の一番の問題で,無事到着できるかが不安でした。なにせオーストラリアは広すぎるのです。どこへ行くにも移動が大変です。実際来てみると,この国自体がこの大きさを持て余しているような気さえしました。
レンタカーを借りたところまではよかったのですが,走りはじめてまず道を間違えました。前回も来ているので軽く考えて高速道路のジャンクションを反対方向に曲がってしまったのが原因です。道路標識の高速道路番号ではなく行き先の地名を優先すべきでした。ということで危うくゴールドコーストへ行きかけてしまったのですが,なんとか修正して立て直すのに1時間ロスしました。その後もイプスウィッチで渋滞に巻き込まれたりしましたが,それを抜けると順調になりました。しかし,問題は郊外になるほど車が走ってないことで,これはかなりの不安でした。おそらく先進国でこれほど人も車もない道を走ることができるのはオーストラリアくらいのものでしょう。
この日は天気がよくなくて,一面曇っていて時折雨が降っていたのですが,夕方になるにつれて回復し,快晴になりました。予定より遅れて午後5時半過ぎにナラブライに着きました。私は勘違いしていたのですが,ニューサウスウェルズは時差が違いしかも夏時間ということで,到着したときは午後6時半でした。ほかに誰も泊まっていないような(実際は満室でしたが)モーテルでした。道を隔てたところにマクドナルドがあったのでテイクアウト(こちらではテイクアウェイといいます)して部屋で荷物の片付けをしながら食べました。なにせ飛行機で食べ過ぎたので今日は食欲がわきません。
食事の後部屋を出ると空には一面星が輝いていました。オリオン座が日本と上下反対の変な形なのがいつ見ても不思議です。東の空には昇って来たばかり(南半球では天の南極を中心に時計周りします)の明るい星がたくさん輝いていて,どういう星座なのだろうかと思ったらそれらは南十字星とケンタウルス座の明るい星々でした。天の川にマゼラン雲と,何度見ても南半球の星空は最高です。ずっと晴れるといいなあ。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE③
香港に着きました。時差は日本より1時間遅くなります。空港はやたらと広く乗り換え便のゲート番号を探す掲示が英語と中国語で頻繁に変わるので探している間にわからなくなって,なかなか探せません。これ作った人かなりアホです。やっとのことでゲート番号を見つけたら偶然私の座席番号と一致していました。
ともかく,まず保安検査場を通り必要があるのですが,そこに大挙して現れたのがインド人の集団でした。彼らはやたらとうるさいし秩序ないし,うんざりしました。中国人の比ではありません。
げんなりして並んでいてふと後ろを振り返ったらひとりの日本人の若い女性がいました。彼女はここで乗り換えてタイへ遊びに行くんだとかいう話でした。彼女は朝早いタイ行きの直行便だったのに,名鉄が不通になってそのために常滑から動けなくなり,やっとの思いでタクシーで着いたときにはすでに予定の飛行機には間に合わず,その場で新たな便を探して,来るはずのなかった香港で乗り換える羽目になったという話でした。えらく余分にお金がかかったと言って怒っていました。
常滑まで行けば何とかなると言われたのにタクシーも来ず間に合わなくなったのに何の補償もしてくれなかったそうです。日本らしいせこい話です。しかし,世界中,どこに来ても日本の女性は元気です。一体男はどうなっているんでしょう。
私は名鉄が不通になってからずいぶんと時間が経ってからだったので余裕があったからよかったものの,事故が起きてすぐは大変だったようです。代替バスもなくタクシーも来なかったようです。やはり名鉄は絶対に信用してはいけません。私も今回はお昼過ぎの便だったからなんとかなったけれど,前回フィンランドへ行ったときのように朝早い便だったらどうなっていたのかと思うと,いつも通り3時間前には空港に着くような余裕がやはり必要だと改めて思ったことでした。
保安検査場を出て,私の次に乗るブリスベン(Brisbane)行きの便の搭乗ゲートは空港の一番端の場所でした。案内に従って歩いて行くと地下鉄の乗り場になって,1分ごとに来る地下鉄に乗り,やっと到着しました。私はアジアの空港なんてはじめて来たのですが,欧米の空港とはえらく違っていて,土産物屋やらキャラクターグッズが並んでいたりして日本みたいでした。人も多いしうるさいしごちゃごちゃしてるし,私の好みではないなあ。
すぐに搭乗の時間になったのでともかく飛行機に乗り込んであとは到着するだけです。それにしても搭乗ゲートを入ったあとでまたひとりずつ手荷物検査をしているなんてどうかしているわ。ここは。
セントレアから香港の便とは異なり,香港からブリスベンへの便の機内は混んでいました。それにしても中国人はよく席を立つしうるさいし,通路で体操しているし,着替えまでしているし,座席にいても落ち着きません。飛行時間が8時間と少しで,その間にまた二度も食事が出ました。もう前の便で夕食食べたのにまた夕食です。一晩に夕食が2回と朝食が1回,これでは食べ過ぎです。
うとうとしていたらなんと2度目の朝食が出てきました。そしていよいよ朝のブリスベンに到着しました。セントレアから成田までの方が一度成田へ行くのが面倒だけど,それでも香港経由よりは楽かも知れんと思ったことでした。次回はどうしよう?
今回の旅は7泊10日なんです。7泊9日ではありません。その謎はいずれまた書くとして,今回は観光というより星を見に行くだけなので,到着後に特に書くことがあまりなさそうです。ということで長々と到着までを3回に分けてレポートしました。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE②
キャセイパシフィック航空ははじめて乗りました。機体はエアバスで,この前に乗ったフィンランド航空と同じでした。飛行機オタクではないので詳しいことはわからないのですが,私はこれまでずいぶんと旅客機に乗って思うのは,どう考えてもボーイングよりもエアバスのほうが快適に感じられることです。その理由というのはわからないのですが。
キャセイパシフィック航空は香港の航空会社です。客室乗務員もほとんどが中国人だし,英語は話すけれど訛りが強くてよく理解できません。というか,まず(中国人だと思われて)中国語で話しかけられるので参りました。機内誌も英語と中国語しか書かれていないので,英語だけがたよりです。ともかくそれ以上に,はじめて乗る航空会社というのは勝手がわからないものです。
セントレアから香港までは3時間と少し,乗り換えてブリスベン(Brisbane)までは8時間程度というのは非常に楽だと思ったので今回はこれを選択しましたのですが…。往復の料金が8万円ほどというのもまた魅力的でした。
名鉄の次の予定変更はフライトでした。香港からの到着が遅れていて,出発時間が30分ほど遅れるという掲示があったのです。しかし,次の乗り換え便が間に合えば待ち時間が少なくなるだけなので問題ありませんでした。香港までの機内は空いていて隣も後ろも空席だったのは助かりました。
飛行機は乗っている時間が9時間を越すといい加減にしてくれと思います。今回は乗り換え時間を含めて到着まで,合計すると15時間ですが,3時間と8時間というように乗っている時間が小分けされるのがいいのです。そしてまた,日本とオーストリアの時差はたったの1時間なので楽なのです。しかし,いつ何回食事が出るのかが疑問でした。事前に調べておけばいいのですけれど,私は楽しみがなくなるのでそんなことはしません。困った性格です。
フィンランドに行ったときは日本人ツアー客ばかりが目立ちましたが,今回はほとんどが中国人でした。
ところで,私は大韓航空というのには乗ったことがありません。都市伝説では機内がキムチくさいとかいう話ですが,実際に乗った人によれば,機内でカップヌードルを食べられるので,辛ラーメンくさくてたまらなかったというのは聞きました。私がこれまで乗った航空会社で最も衝撃的だったのはロシアのエアロフロートでした。
ともかく,私はこの先少しでも長く数多く旅行がしたいのだけれど,行き先はハワイも含めたアメリカ以外にはフィンランド,アイスランド,ニュージーランドの3ランド,それにできればオーストリアとオーストラリアなどなどに絞られてきました。そこで利用する航空会社は,デルタ航空,フィンランド航空,そしてカンタス航空ということになるのでしょう。こうなったらスカイチームに加えて,今後はワンワールド・アライアンスのゴールド会員狙いです。
「将棋世界」を読みながらノイズキャンセリングイヤホンでブラームスを聴いて,機内食を食べていたら香港に到着しました。生まれてはじめての中国大陸です。いやここは香港島なのか?
乗り換え時間は1時間と少し。急がなくては…。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE①
私の場合,というか,これが普通のことなのかしれませんが,旅の予定がその通りにいったためしがありません.しかし,これこそが旅の醍醐味ということでしょうか。人生だって将棋みたいなもので,その時点での最善手を探せばいいだけで,その次のことは相手が指してからまた考えればいいのです。
などということを考えていたら,私が今日(3月の9日)乗るはずだった名鉄の路線が,朝発生したら架線事故で,常滑からセントレア・中部国際空港間が不通というニュースが,藤井六段が師匠の杉本七段に勝利したというニュースを報じているテレビ番組にテロップで流れてきました。もともと私には信頼度0の名鉄とはいえ,これでは予定通りお昼に家を出ては午後4時過ぎのフライトに乗り損ねる懸念があります。なにせセントレアは常滑湾に浮かぶ島。名鉄と有料道路以外に歩いて渡ることができないのです。まあ以前からずっとこんなことがあったときはどうするのだろうと思っていたから,その謎を解く絶好の機会だとも思って,予定を変更してさらに2時間早く家を出ました。
駅に着いて駅員にセントレア行きは不通なんですか? と聞くと,常滑から代替バスが出ているとのことで拍子抜けしました。そんなことはネットのどこにも書かれていないじゃないですか。で,私が先日購入した特急の座席指定券ももっと早い時間にすんなりと変更されて,それで全てが解決しました。もしそうでなかったときはおそらく常滑駅ではタクシーもなかろうから,もっと手前の駅で降りてそこからタクシーを利用するか,あるいは名古屋駅からバスに乗るつもりでした。
途中で降ろされた常滑駅ではテレビ局がニュースの中継をしていました。代替バスにはすぐに乗れて,バスが橋を通るときに見えました! 故障の原因を作った列車が停車しその後ろに無残に垂れさがった架線の姿です。
それにしても私はなんと運がいいのでしょう。これまで台風の直撃で台風の目の中に降りた関西国際空港で足止めになってしまったり,アメリカから成田国際空港に戻ってきて東京駅から乗ろうとした新幹線が車内で自殺騒動を引き起こして不通になってしまったりと,滅多に起きないニュースが発生するときは,いつもそこに居合わせているのです。なんて楽しい限りではないでしょうか。
そんなわけで,出発の4時間も前に空港に着いてしまった私は,自動チェックイン機で搭乗券を手にいてから,ゆっくりと昼食をとり,さらにコーヒーを飲んで,まだまだ時間があるので,ラウンジでこれを書いているわけです。
さて,オーストラリアのブリスベンまでセントレアからは直行便がないのですが,今回は成田国際空港まで行くのも面倒なので見つけ出したキャセイパシフィック航空の香港経由で出発です。はじめて行くことになる香港が楽しみです。
オーストラリアの今は夏,行ったばかりのフィンランドとは気温差が何と50度です。
特別編・2018春オーストラリア旅行LIVE⓪
気温-25度のフィンランドから帰国して10日,今度は気温25度の夏のオーストラリアへ,南半球の星空を見に行くことにしました。もともとはこちらの方を先に決めていたのですが,そのずいぶんと後になってフィンランドに行くことにしたので,こうしたおかしなことになってしまったわけです。
前回オーストラリアに行ったのが昨年2017年の6月だったので,つい8か月前のことでしたがずいぶん昔のように思われます。そのときオーストラリアは晩秋だったわけですが,すばらしい南半球の星空を見ることができて満足しました。そこで,今回はその続編というわけです。
私の手元に1986年当時の天文雑誌があります。当時はハレー彗星が地球に接近したときでしたが,不幸にも条件が非常に悪く,肉眼では見えないほどでした。それは,ハレー彗星が地球の軌道に来たとき,地球がその反対側にあったためですが,それに加えて北半球は南半球に比べてさらに条件が悪かったので,多くの天文マニアが南半球までハレー彗星を見に出かけました。そこで,当時の天文雑誌には南半球で星を見るという特集が多く載っていました。そのころの私にとれば,南半球なんて遠い世界のことだったのですが,あれから30年以上も経って,こうして南半球に何度も星を見に出かけることができるのが夢のようです。
そして,ついで,と言っては何ですが,海外に出かけるなら,ということで,オーロラを見にいくという記事もそのころの天文雑誌にはたくさんありましたが,それもまた,私は今になって実現することができるのが不思議な気がします。
いずれにしても,オーロラ,そして,南半球の星空,その魅力を知ってしまうと,もういけません。日本で星を見ることも,どこかに観光に出かけることも,そうしたことがすべてど~でもいいことに思えてしまいます。どうやら,禁断の実を食べてしまったようです。どうしましょう?
前回は成田国際空港から直行便でブリスベン(Brisbane)まで行きましたが,名古屋から成田まで戻るのがめんどうなので,今回はセントレア・中部国際空港からはじめてキャセイパシフィック航空を利用して,香港経由で行くことにしました。
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今日の写真は前回行ったときのものです。