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日本の天文台について,これまで三鷹,飛騨,岡山と,3回書きましたが,その続きです。
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木曽観測所は,長野県南西部に位置する木曽町三岳の標高1,120メートルの尾根伝いに広がった緑豊か な台地に建設されています。
木曽観測所は,1974年(昭和49年)に東京天文台の観測所として開設されました。1988年(昭和63年)に国立天文台に改組されたのに伴って,国立天文台の組織から離れて,現在は,理学部附属天文学教育研究センターの観測所となっています。
木曽観測所の設立目的は,口径105センチメートルシュミット望遠鏡による銀河系内外の諸天体の観測的研究,並びに夜天光の観測を行なうことでした。
●口径105センチメートルシュミット望遠鏡
木曽観測所のシュミット望遠鏡は,補正板口径が105センチメートル,主鏡は150センチメートル,焦点距離は330センチメートルで,F比は3.1です。
木曽観測所では,シュミット望遠鏡の広い視野を活かした様々な観測プロジェクトが実施されていました。
木曽観測所におけるシュミット望遠鏡の観測プログラムは,パロマ天文台のシュミット望遠鏡である「サミュエル・オシン望遠鏡」(The Samuel Oschin telescope)のように全天域を隈無く観測するのではなく,掃天探査を要する研究テーマを主とし,個別の研究 テーマをこれに加える形で月ごとに編成されました。
建設当時は写真乾板が観測の主流だったのが,最新の固体撮像素子技術を導入して微光天体を高感度かつ精密に測定する必要が生じたため,1987年にCCDカメラの開発が開始され,さらに,2012年には超広視野モザイクCCDカメラに置き換わりました。また,2019年からは,さらに超広視野のCMOSカメラ「Tomo-e Gozen」が本格運用を開始しました。
私は,このシュミット望遠鏡にとても親しみがありました。そして,ついに,2019年の公開日に,その実物に触れることができました。
こうしていろいろと書いていると,何もかも,このコロナ禍の前に夢が実現したことに幸運を覚えます。
見学してわかったことは,この望遠鏡もまた,老朽化したものをなんとか生き延びさせて活躍の場を与えようと苦労していることです。しかし,シュミット望遠鏡という形式自体が今では古いことと,赤道儀という架台の形式もまた,時代に取り残されていることから,現状を維持することがたいへんだということです。
そうしたことも,何だか,30年以上前に買って,今も使っている私の古びた望遠鏡と同じように,親近感を抱きます。
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「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
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