######
なぜあんな遠いところに気軽に出かけたのか,今思うと大胆なことでした。
その国のこともほとんど知らなかったし,想いもなかったのに,オーロラ見るならここしかないということばだけでその気になって,しかも,英語圏でもないのに,ホイホイと車を借りて走り回ってきました。
しかし,今日載せた写真はたまたま晴れているけれど,いつも頻繁に変化して天気が悪いからオーロラどころか星さえ見えず,雨ばかり。物価は異常に高くて,人は不愛想だったし,しかも,私が適当に予約したゲストハウスがかなりひどい所で,到着早々気持ちが落ち込みました。だから,行ってきたあとも行ってきてよかったという実感がありませんでした。
この国にはそんな思い出しかないのです。
ところが,今になって,行ってきてよかったなあ,また行きたいなあと,しみじみ思い出してしまうのです。
それがアイスランドです。
・・
この大西洋の孤島,地図で見ても,よくもまあ,こんなところに行ったものだと思います。私が行った中で最も遠い距離にある国です。
しかし,実際は,私の住む愛知県のセントレアからフィンランドのヘルシンキまで直行便で行ってそこで乗り換えるだけで着くことができるので,アメリカのどこかの場所には,まず東京へ行って,そこからシアトルだのロサンゼルスだのまで行って,さらにトランジットしないと着けないから,アイスランドのほうがずっと簡単に到着できるのです。
この国に再び行きたいと思うようになったのは,人が少ないのでストレスがないということと,雄大な自然が最高に美しいということです。
このご時世,どこかしこも人だらけで,自然は破壊され,どんな場所もゴミだらけ廃墟だらけ,しかも,山の中のどこまで行っても人家があり,山小屋も混み合っていて,人の手が加えれていないところはどこにもないという,まったく救いのない日本には,行きたいと思うところも逃げ出す場所もありません。しかも,いつもどこでも,他人の目を気にしていて,主体性もなく,いい加減な情報を信じる人たちがうようよしていて,どうしようもない。おそらく,私がアイスランドを懐かしいと思うのはその反動なのでしょう。
というわけで,私が一度行ったときに期待外れだと思ったことを逆手に取れば,というか,はじめからそうしたことのすべてを想定内のことにすれば,アイスランドは何と魅力的なところだったのか,と思うようになりました。そう思うと,私が日本で予約しておいたゲストハウスのひどさから逃げ出して現地で見つけて1泊したポツンと1軒家のペンションはなんとすばらしかったことか,と懐かしくなりました。
考えてみると,私は,これまで大西洋を横断したことがありません。
アイスランドの首都レイキャビックの空港にアメリカの航空会社デルタの飛行機が停まっているのに驚いたのですが,アメリカからアイスランドは最も近いヨーロッパなのです。
であれば,もし,次回があるのなら,いっそのこと,アメリカから大西洋を横断してアイスランドに寄って,アイスランドからは,シベリア上空を通り帰国して,地球1周としゃれこんでみよう。そんな気持ちになってきたら,ますます行ってみたくなりました。
◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは