自分では何も新しい発想ができないのに,人まねだけは得意な日本です。これまで,人まねをした上でそれ以上の性能の製品を開発することでこの国は伸びてきました。しかし,現在は,もともとの製品の完成度が高いので,それ以上の製品というより,やる必要もないような改良(改悪)を施して,使いにくくするだけになっていると私は感じています。
そんな「日本人の知恵と発想の限界」,今日は観覧車のお話です。
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遊園地にある観覧車はとてもよく考えられています。乗り物としての楽しみもあるし,展望台としての役割もあるし,さらに,円運動は正弦曲線を描くので,高さ(y軸)を考えれば,昇っていくときは早く,最上部に達したときと最下部に来たときは動きが遅くなるので,展望をする時間が長く,また,乗るのが楽といった利点があります。
この観覧車,私は,日本国内だけでなく,数年前,オーストラリアのブリスベンで,フィンランドのヘルシンキで,また,オーストリアのウィーンで乗る機会がありました。今日の写真はそれぞれ,そのときのものです。そこで,驚くべき経験をしました。それはまさに,私の発想にはなかったことでした。
日本では,観覧車は常にゆっくりと回転していて,乗るときも動いたままの状態で乗り込み,1周したら終わりです。2,3周できるようなオプションがあってもいいと思うのですが,そんなことはしゃくし定規の日本人は考えません。
私も,乗ってみるまでは,海外の観覧車も日本と同じものだと思っていました。それがそうではなかったのです。
それぞれの国で少しずつ異なってはいましたが,そのどれにも共通していたことは,乗るときに観覧車が停止するということと,1周ではなく,何周も回るということでした。
日本人はそんなことは考えません。これぞまさに「日本人の知恵と発想の限界」だと思いました。おそらく,海外で観覧車に乗ったことがない人は驚くことでしょう。しかし,考えてみれは,観覧車が日本のようなシステムである必要などないのです。
観覧車は乗り込むときに一旦停車します。乗り込むごとに少しずつ回転していくので,先に乗り込むと少しずつ回転していくのを乗ったままの状態で待機することになります。そして,すべての車に人が乗りこむとやっとスタートです。回転しはじめるわけですが,それも1回転ではなく,2回転とか3回転とかします。降りるときはその逆になります。
オーストリアの観覧車では,中で食事ができるようなものもあり,カップルが何かのお祝いをしていました。その車には最下部に達するごとに料理が運び込まれていました。当然,食事が終わるまで何周も楽しめます。また,フィンランドの観覧車にはサウナが併設されているものもあって,それは,水着で乗り込むことになります。
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このような海外の観覧車,私ははじめて乗ったときに本当にびっくりしました。
日本の観覧車も,高さだけ競うのではなく,こうしたさまざまな趣向のものがあってもよいと思うのですが,もともと日本人にそんな知恵が浮かばないのと,海外の観覧車を視察するような発想がないのか,見たことがないのが残念です。
人まねだけは一流の日本で,どこかでだれかそんな観覧車,考えませんかねえ。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは