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お金が無尽蔵にあるような「本物の富裕層」はともかく,私のような「インチキ富裕層」は,浪費をすればたちどころに貯えは底をついてしまいます。そこで考えるのは「コストパフォーマンス」です。
男の道楽というのは限がありません。趣味として,単に鳥を撮るという楽しみのために,百万円以上もするような望遠レンズを買ったりする人もいれば,百万円の10倍もするような高級車を購入したりする人もいるわけです。
人それぞれ楽しみが異なるので,その人が納得の上で浪費をすることは自由であって,他人がとやかくいうこともないのですが,私のように,やりたいことが次から次へと湯水のように出てくると,真剣に「コストパフォーマンス」を考慮する必要が出てきます。「コストパフォーマンス」というのは,百万円の望遠レンズを買うのと,そのお金で10回旅行をするのと,どちらが自分には快適なのか,というようなことです。
実は,この3年間,私は「あること」のために,使う上限を決めた上で無駄遣いをしました。その目的は,そうした無駄遣いをすることで,自分の金銭感覚を確かめてみたかったということですが,その結果,いろいろなことを悟りました。だから,結果的にそれは駄遣いにはならかなったわけです。また,そうしたことによって,自分なりの「コストパフォーマンス」がわかるようになってきました。
自分なりの「コストパフォーマンス」は,たとえば,旅に出たとき,何にお金を使うか,ということです。
旅というのは,家を出てから戻るまでがすべて快適でなくてはいけない,と私としては思うわけです。だから,お金を節約して,混雑する車内で不快感を味わいながら何時間も移動する,などということは,なるべく避けたいのです。また,その反対に,高級旅館に泊まって大広間でバイキング形式の朝食をとる,などというのも,いくら食材が高級であっても,私には楽しくはないのです。
そこで,私は,往復の列車はグリーン車を利用し空いた車内で快適に過ごしつつも,泊るのは,安価であっても,小さな旅館,できれば,お客さんが私ひとり,どいうほうが好ましいのです。だから,そのようなお金の使い方をするわけです。
このように,ひとそれぞれ価値感や趣向が異なり,それに基づいてお金の使い方が異なるわけだから,何をもって贅沢か,というのは,一概にはいえないことになります。
それよりも,最も大切なのは,どうお金を使うことが自分にふさわしいか,ということを知っているかどうか,ということなのでしょう。よく,無駄遣いをしないように,といわれますが,小さいころより,無駄遣いをしないように,というよりも,自分としてのお金の使い方を知ることのほうが大切に思います。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは