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前回,「シリウスB」の撮影記を書いたのですが,結局,「シリウスA」が明るすぎて,露出をかけ過ぎると「シリウスB」が飲み込まれてしまうことがわかりました。
再チャレンジをしようと準備をしていたのですが,なかなか晴れません。10月19日の早朝,やっとよい天気になったので,新たに,露出を少なくして,再び挑戦してみました。
写真に写っている多くの星は約8等星である「シリウスB」よりもずっと暗いことから,それほど露出をかける必要もなさそうでした。ということで,さまざまに露出を変えて写してみることにしました。
あまり露出を減らすと星が写らなくなったりと,その見極めが厳しく苦労をしたましたが,そのうちの数枚,なんとか「シリウスB」を捉えることができました。
比べるとわかるのですが,前回の写真よりも全体的に暗く,星像が小さいのは露出を絞ったためです。
おそらく,もっと大口径で倍率をかければ,それほど難しくなく写ることと思います。
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全天で最も明るい恒星シリウスは近いので固有運動が大きいのですが,1844年にフリードリヒ・ベッセルが50年の周期でふらふらとよろめくように運動していることから,きっと目に見えない何かがシリウスのまわりにあるのではないかと考えました。フリードリヒ・ベッセル(Friedrich Wilhelm Bessel)はイギリスの天文学者で,恒星の年周視差を発見し,ベッセル関数を分類したことで知られます。
1862年になって,アメリカのレンズ製造家アルヴァン・クラーク(Alvan Clark)がディアボーン天文台(Dearborn Observatory)から依頼された口径46センチメートルの屈折望遠鏡のテストをするためにシリウスを観察してみたら,偶然,伴星が見つかったのです。
その後,現在「シリウスB」とよばれるシリウスの伴星は,「シリウスA」とは30億キロメートルというちょうど太陽と天王星ほどの距離にあって,直径が地球のわずか2倍程度なのに重さが太陽ほどもある超高密度のガスからなる天体で,超巨星が進化の末期に段階である白色矮星だとということがわかりました。つまり,過去は,「シリウスB」のほうが「シリウスA」よりも大きな質量をもちずっと明るく輝いていたことになります。
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今でも非常に明るいシリウスがこれ以上に明るかったら,いったいどれほど明るく輝いていたことでしょう。想像するだけでもワクワクします。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは