しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

カテゴリ:星を見る > 2重星

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☆☆☆☆☆☆
 前回,「シリウスB」の撮影記を書いたのですが,結局,「シリウスA」が明るすぎて,露出をかけ過ぎると「シリウスB」が飲み込まれてしまうことがわかりました。
 再チャレンジをしようと準備をしていたのですが,なかなか晴れません。10月19日の早朝,やっとよい天気になったので,新たに,露出を少なくして,再び挑戦してみました。
 写真に写っている多くの星は約8等星である「シリウスB」よりもずっと暗いことから,それほど露出をかける必要もなさそうでした。ということで,さまざまに露出を変えて写してみることにしました。
 あまり露出を減らすと星が写らなくなったりと,その見極めが厳しく苦労をしたましたが,そのうちの数枚,なんとか「シリウスB」を捉えることができました。
 比べるとわかるのですが,前回の写真よりも全体的に暗く,星像が小さいのは露出を絞ったためです。
 おそらく,もっと大口径で倍率をかければ,それほど難しくなく写ることと思います。

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 全天で最も明るい恒星シリウスは近いので固有運動が大きいのですが,1844年にフリードリヒ・ベッセルが50年の周期でふらふらとよろめくように運動していることから,きっと目に見えない何かがシリウスのまわりにあるのではないかと考えました。フリードリヒ・ベッセル(Friedrich Wilhelm Bessel)はイギリスの天文学者で,恒星の年周視差を発見し,ベッセル関数を分類したことで知られます。
 1862年になって,アメリカのレンズ製造家アルヴァン・クラーク(Alvan Clark)がディアボーン天文台(Dearborn Observatory)から依頼された口径46センチメートルの屈折望遠鏡のテストをするためにシリウスを観察してみたら,偶然,伴星が見つかったのです。
 その後,現在「シリウスB」とよばれるシリウスの伴星は,「シリウスA」とは30億キロメートルというちょうど太陽と天王星ほどの距離にあって,直径が地球のわずか2倍程度なのに重さが太陽ほどもある超高密度のガスからなる天体で,超巨星が進化の末期に段階である白色矮星だとということがわかりました。つまり,過去は,「シリウスB」のほうが「シリウスA」よりも大きな質量をもちずっと明るく輝いていたことになります。
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 今でも非常に明るいシリウスがこれ以上に明るかったら,いったいどれほど明るく輝いていたことでしょう。想像するだけでもワクワクします。

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☆☆☆☆☆☆
 現在,アメリカMLBでは地区シリーズの真っ最中。テレビを見ていると,すっかり正常になったアメリカがあって満員の観客が大声を出して応援しています。私もそれを見て楽しんでいて,気分はすっかり3年前の状態に戻っています。
 私は,散歩などで外に出るのも,まだ暗い明け方か日が沈むころ。そして,お昼間にどこかに行くにもほとんど自家用車なので,すっかり忘れているのですが,たまにモールなどに行ったとき,日本では未だにぐだぐだとコロナコロナ,マスクマスクなどといっていることを思いだして,相変らずおバカな国だこととあきれています。何事もやったふりの日本らしき社会現象です。これは,学校の宿題を答えを丸写しして提出しても何も力がついていない生徒のようなものですが,子供のころからそんな教育を是として受けてきた成果でしょう。
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 そもそもマスクをしていても呼吸ができるということ自体,マスクの網目はスカスカで意味がないのは明らかですが,実際,網目の大きさはウイルスの200倍もあります。ウィルスを遮断するようなマスクをしたら窒息死することでしょう。
 マスクは今や通行手形と揶揄されているように,お店に入るときの儀式です。いい加減なアルコール消毒も誤差だらけの体温測定も同様です。すべてやったふりです。むしろ顎マスクなんて,顎についた細菌をマスクが拭って今度はそれを口に加えるのだから危険以外の何ものでもありません。
 私は生まれて以来,インフルエンザにもコロナにもかかったことはありません。風邪すらひいたことはありません。大切なのはこまめな着るものの調整と毎朝の体温測定と食事前の手洗い,そして,抵抗力をつけることです。このところの冷え込みで,巷ではすでにゴホゴホやっている人がいますが,よほど自己管理がなっていないのでしょう。

 さて,そんな余談はこれまでにして,今日は,久しぶりにお星さまの話題です。
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 これほど晴れないのか,と思うような夏が過ぎました。ただし,明るい彗星もなく,特に見たいという天体現象もなかったことと,ほかにやりたいことがたくさんあったことで,まったく残念でもなく,星見にも行かず,気がつけば秋になっていました。
 10月14日早朝,起床してカーテンを開けて外を見たら,久しぶりに星が輝いていました。この時期の明け方の南の空はオリオン座とおおいぬ座が見えます。ということで,思い出したのが「シリウスB」でした。
 以前書いたことがありますが
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 シリウスは,約マイナス1.4等級の主星「シリウスA」と約8等級の伴星「シリウスB」からなる実視連星です。「シリウスB」 は約50年周期で「シリウスA」の周囲を回っていて,ふたつの星の間隔が変化します。現在,「シリウスB」は「シリウスA」から最も離れて見える時期で観察好機となっています。
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 ということで,前回うまくいかなかったので,再び挑戦してみたのが今日の写真です。
 シリウス周辺の星図があったので,同じスケールで並べてみましたが,「シリウスB」が写っているのやらいないのやら…。いずれにしても「シリウスA」が大きく写りすぎています。
 このように,私の持っている望遠鏡の口径が76ミリメートルと小さいので,なかなかうまく行きませんが,見えないなら見えないということがわかるのも意味があると思って,勝手に楽しんでいます。また工夫して挑戦してみます。

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 以前,藤井旭さんの書いた「星座ガイドブック」を読んでいて,この本に2重星が詳しく描かれてあったことで,2重星なら街中でも見ることができるなあと興味が湧いて,いつか観測したいと,手元の星図で見ごろな2重星をチェックしたことがありました。
 それ以来,忘れかけていたのですが,先日,おおいぬ座α星「シリウス」の伴星シリウスBを見てみたいと挑戦していて,シリウスBどころか,これまで2重星というものをまともに見たことがないということを思い出して,オリオン座のいくつかの2重星を見てみたということをかきました。
 ところで,3月8日のことです。今年は異常気象で,3月だというのに,いつまでも暖かくなりません。この日はお昼間はやっと春の陽気になったのですが,夕方ごろから風が出て,再び寒く冬に逆戻りとなりました。しかし,空は快晴で,おそらく一晩中雲が出ないと思われました。
 これは星見のチャンスだと思ったのですが,寒いことと,月が沈むのが遅く午後11時過ぎだということと,見たいと思うようなめぼしい彗星がないということで,というのは言い訳で,齢のせいか,星見にいく気力もなくなって,そのまま寝てしまいました。
 そして,翌日の朝,目覚めたのが午前4時ごろでしたが,思ったとおりの快晴だったので,思い立って,ベランダから2重星を見ることにして,望遠鏡をセットしました。
 こうしてはじめたのが早朝の2重星観測ですが,それが今日の話題です。

 明け方の南の空には,すでに夏の星座であるさそり座が輝いています。先日,このさそり座と右隣のおおかみ座のめぼしい2重星は調べてあったので,それをいくつか見て,そして,そのあとで写真を撮ることにしました。
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●さそり座α(アルファ)星「アンタレス」(Antares)=2番目の写真・星図①
 さそり座α星「アンタレス」は実視連星なのですが,前回見た「シリウス」同様,主星アンタレスAが明るすぎて,肉眼ではよくわかりませんでした。右側に小さな伴星アンタレスBがあるということなのですが,写っているのやらいないのやら。
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●さそり座β(ベータ)星「アクラブ」(Acrab)=3番目の写真・星図②
 2.9等星と5.1等星が13.6秒の離角で見えていて,とてもきれいでした。写真でもはっきりとふたつの星が離れて見えるので,このくらいの2重星が私の小さな望遠鏡で挑戦するにはちょうど適当のようです。実は,2.9等星の主星はAa,Ab,Bの3重連星,5.1等星の伴星はC,Ea,Ebの3重連星。つまり,さそり座β星は6重連星だそうです。
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●さそり座ν(ニュー)星「ジャバハー」(Jabbah)=4番目の写真・星図③
 4.3等星Aと6.5等星Cの実視連星が41.4秒の離角で見えていて,とてもきれいでした。さらに,4.3等星Aのほうはさらに7.0等星Bが,6.5等星Cのほうは8.1等星Dの星がくっついている4重連星ということで,写真を拡大して見ると,4.3等星のほうは左側にかわいい小さな星がくっついているのがわかります。実は,AはAa,Ab,Acの3重星であり,DはDa,Dbの2重星。つまり,さそり座ν星は7重連星だそうです。
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●おおかみ座η(エータ)星=5番目の写真・星図④
 3.6等星Aと7.9等星Bが雪だるまのように写りました。 
 実際は,さらに,離れたところにD,そして,見かけの二重星Cがあるそうです。
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●おおかみ座ξ(クシ)星=6番目の写真・星図⑤
 5.3等星と5.8等星の実視連星が10.37秒はなれて見えます。
 同じような明るさのふたつの星が並んでいるのが写真でわかります。写すときにぶれてしまって,星像が点ではなく線になってしまいました。
 さそり座にくらべて,おおかみ座は地味なのでしょうか,あまり情報が見つかりませんでした。
 余談ですが,私は,南半球やハワイのような暗く,緯度の高いところででこのおおかみ座を見て,星の並びが確かにオオカミの姿に見えるのに感動したことがあります。しかし,残念ながら,日本で,かつ,街中ではさそり座の右手にあるこの星座の星々はほとんど見えません。

 早朝の空は透明度も高く,よく分離している2重星はなかなか見ごたえがありました。
 こうして,なんとか,2重星はどういう状態でみることができるのか,どのように写せるのかということがだんだんとわかってきました。
 おそらくこうして夢中になると,多くの人は,それに適した機材が欲しくなるのでしょうが,「いんちき富裕層」の私は,現状のもので満足してそれ以外は望まないことにしているので,今持っている機材でどれくらい見ることができるかを目標に,これからも楽しみたいと思います。

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 シリウスはシリウスAとシリウスBから成る実視連星ですが,シリウスAが明るすぎるために,暗いシリウスBを見ることが困難です。シリウスBはシリウスAの周りを楕円軌道で周っていて,現在,もっとも離れた場所にあるからひょっとして見ることができるかも,ということで,「シリウスBを見てみたい」として挑戦したのですが,私の小さな望遠鏡ではうまくいかず,そのとき,これまでシリウスに限らず,実視連星を見たことすらなかったことに気づいた私は,まず,手ごろな実視連星を例に,どのように見えるのか試してみることにしました。
 このブログは天体現象の紹介ではないので,うまくいかなければそれはそれでいいし,そんなことを書いているようなブログも他にはほとんどないので,これはこれで意義があることでしょう。
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 その前に,実視連星とは何か? について書きますが,実視連星と似た言葉に2重星というものがあって,混乱します。また,星図には実視連星は2重星として記載されています。
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 2重星(double star)とは天球上で極めて接近して見えるふたつの星のことをいいます。
 天球上で接近して見えるふたつの星には,①距離の大きく異なるふたつの星がたまたま視線方向が近いために接近して見えるものと,②実際に万有引力によってお互いの周りを回っているものがあります。前者①を「見かけの2重星」といい,後者②を「実視連星」(visual binary star)といいます。
 また,連星は実視連星だけでなく,眼視ではわからないものもあり,それらは,分光連星(spectroscopic binary star),食連星(eclipsing binary star),位置天文的連星(astrometric binary star)と分類されていますが,星見の対象ではありません。
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 2重星については,以前紹介したことがある藤井旭さんの書いた「星座ガイドブック」に,星座ごとに見ることができる主だったものについて詳しい紹介があります。この本のすごいところは,藤井旭さんが実際に2重星を見てそれをもとに書いていることです。
 そこでまず手はじめに,おおいぬ座のおとなりの星座で,明るい星の多いオリオン座=5番目の写真 にある比較的容易に見ることができると書かれた2重星をいくつか見てみることにしました。
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●オリオン座δ(デルタ)星「ミンタカ」 (Mintaka) =1番目の写真
 中央の三つ星の一番右側の星は,2.5等星Aaと53秒あまり離れた6.9等星Abから成る実視連星です。
 この連星は望遠鏡を通して,眼視でもとてもきれいに見えて,思わず引き込まれました。写真でもはっきりとわかります。
 実際は,δ星は,5.732日の周期で周回するAa1とAa2からなるAa星系とその周囲を346年以上の周期で周回するAbの3重連星で,さらに,これらに加えて,B,Cが存在する5重連星だそうです。
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●オリオン座ζ(ゼータ)星「アルニタク」 (Alnitak) =2番目の写真
 三つ星の一番左側の星は,2.1等星Aと2.4秒はなれた4.2等星Bから成る実視連星です。
 私の小さな望遠鏡ではなかなか見づらいものでした。写真では,明るい星の左下に重なるようにくっついて写っています。
 この星も,実際は、Aは2等星で太陽の33倍の質量と20倍の半径を持つ青色超巨星Aaと太陽の14倍の質量と7.3倍の半径を持つ青白い準巨星Abから成っていて,7.3年で公転しあっています。そして,BはAの周りを約1,500年かけて公転する青色巨星だそうです。
 また,10等星Cもあるのですが,これはたまたま同じ方向にあるだけで連星系を成していないということです。
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●オリオン座β(ベータ)星「リゲル」(Rigel)=3番目の写真
 オリオン座の右下の星「リゲル」は0.3等星Aと9度離れた7.0等星BCから成る実視連星です。
 簡単に見えると思ったのですが,明るい星はその明るさが邪魔をして,暗い星が隠れてしまいます。実際見てみると,想像以上に明るいほうの星がキラキラと輝いて暗い星が隠れてしまうのでまったく手に負えませんでした。写真では明るい星の右下にこれもまた重なるようにかろうじて写っていました。
 実際は,Aは青色超巨星であり,BCはBとCからなる連星で,さらに,BはBaとBbからなる分光連星だそうです。

 このように,2重星というのは,はっきりと分離して見えるととても感動するのですが,小さな望遠鏡では見るのには苦労するものが多いことがわかりました。私はそれがわかればそれで満足だったのですが,多くの人は,こうしたことが理由で,次第に大きな望遠鏡が欲しくなっていくのでしょう。こうして「望遠鏡沼」にはまるのです。
 私は,自分の望遠鏡ですら,今回はじめて2重星を見たのだからよくわからないのですが,おそらく,2重星は望遠鏡のレンズの性能によってずいぶん見え方が異なるのではないかと思います。性能のよい望遠鏡を買おうという人は,こうした2重星を見比べてから判断するのがいいのかな,と思いました。しかし,お店ではなかなかそれができません。
 なお,4番目の写真はこの日新たに写したシリウスです。今回は何枚も写して比べてみたのですが,やはり,シリウスBは写っているのやらいないのやら,判断がつきかねました。いずれにしても,2重星なら遠出しなくても家のベランダからでも眺めれるし,見えたは見えたで,見えなければ見えないでどちらもおもしろいことがわかったので,これからも,オリオン座以外の多くの2重星を見て楽しみたいと思います。
 いい経験をしました。

マウイ島ハレアカラ 3


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2のそろい踏み。

昨晩の2022年2月22日22時22分22秒。
ちょうどこの時間,外の気温は摂氏2度,月齢は22でした。
222222


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 冬の夜。都会ではほとんど星が見えない秋とは違い,今日の1番目の写真のように,南の空には多くの明るい星を見ることができます。三つ星で有名なオリオン座の左下にひと際明るく輝いているのが,おおいぬ座のα星シリウスです。 
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 シリウス(Sirius)は太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星です。
 肉眼ではひとつの恒星に見えますが,実際にはマイナス1.4等星のシリウスAとよばれるA型主系列星と約8等星のシリウスBとよばれる白色矮星から成る実視連星です。
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 1844年,ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル(Friedrich Wilhelm Bessel)がひとつの恒星に見えたシリウスの軌道の揺らぎを観測し,伴星の存在を予想しました。
 1862年,アメリカの望遠鏡製作者アルヴァン・グラハム・クラーク(Alvan Graham Clark)が,ディアボーン天文台(The Dearborn Observatory)に完成したばかりの当時アメリカ最大の口径18.5インチ,470ミリメートルの屈折望遠鏡のテスト観測中に予想された伴星を発見しました。
 シリウスは億年から3億年前にできたふたつの恒星ですが,ふたつの恒星のうち,質量が大きかったシリウスBは1億2000万年前にすでに寿命を迎え赤色巨星になり,その後外層を失い白色矮星になったとされています。
  ・・
 このように,シリウスAとシリウスBは互いの周囲を公転する実視連星で,シリウスBは約50年周期でシリウスAの周囲を回っています。シリウスBのシリウスAからの距離は8.2天文単位から31.5天文単位の間で変化します。ちなみに,太陽から天王星までの距離が約20天文単位です。
 シリウスAは明るすぎるので,単独の星なら簡単に見ることができるシリウスBを見分けることがなかなか困難らしいということです。らしいと書いたのは,これまで私は見たことがなかったからです。そして,2番目の図のように,現在,シリウスBはシリウスAから最も離れて見える時期を迎えているので,通常は見にくいシリウスBをこの絶好の機会に見てみようと盛り上がっているわけです。
 ネット上に大きな望遠鏡で写したシリウスBの写真が数多く載っています。ここに載せるのは3番目の写真,兵庫県立大学西はりま天文台で撮影したものです。中央の明るい星がシリウスAで,その左の小さな星がシリウスBです。この写真を撮影するのに使用した天体望遠鏡が4番目の写真のものです。

 で,今日の話題は,このシリウスB,いったいどのくらいの望遠鏡を使えば見ることができるのか,また,写すことができるのか,というお話です。
 シリウスAとシリウスBの離角は2秒から11秒ということですが,現在は11秒ほど離れています。であれば,私の持っている口径7.6センチメートルの小さな望遠鏡でも挑戦する価値はある… のかもしれません。モノの本には口径10センチメートルは必要とありましたが,これもまた,調べれば調べるほど異なることが書いてあってよくわかりません。
 趣味に際限なくお金をかけることはしないという方針なので,見るために今回大きな望遠鏡を手に入れて… とはならない私です。そんな,見えて当たり前なら天文台に見学に行けばすむことなのでやる意味もありません。
 と強がってみたものの,これまで実視連星の観測など一度もやったことがないものだから,塩梅も見え方も見当がつきません。とりあえず,私の小さな望遠鏡に接眼レンズをつけてシリウスを見てみました。しかし,正直,明るいシリウスAが美しくキラキラと輝いているだけで,シリウスBがその脇に見えているのやら見えていないのやらさっぱりわかりませんでした。そこで次に写真を写してみました。それが今日の5番目のものです。これもまた,シリウスBが写っているのやらいないのやら,さっぱりわかりませんでした。
 ということで,第1回目の挑戦は,あえなく敗北感と疑問と課題だけが残りました。

 まずは,シリウス以外の実視連星を観察して,実視連星というのはどういうふうに見えるかを調べることからはじめる必要がありそうです。そして,その次に,どのような露出をすれば写真の限界に挑戦できるかも確かめてみなければなりません。でも,これがまた楽しいのです。見えないのならそれはそれで見えないということがわかればいいのです。
 ともかく,何事もやってみなくてはわかりません。そんなわけで,この先,しばらくは,いろいろと楽しめそうです。

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