【Summary】
The 2024 NHK Taiga Drama Hikaru Kimi e far exceeded my initial low expectations. Initially skeptical about its historical accuracy and polished portrayal of the Heian era, I was soon captivated by its profound script, depicting courtly power struggles, poetry, and culture. It revealed the depth of Heian politics and art, akin to modern human nature. The drama, with its rich themes and messages, became an unparalleled masterpiece, demonstrating that greatness lies in depth, not mere appearance. I now eagerly await its final two episodes.
######
2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」。
放送される前は,まったく興味がありませんでした。一体全体,平和ボケしていた平安時代を舞台として,「源氏物語」を書いただけのような紫式部の人生をドラマにして,1年間何をやるのだろうか? と思いました。そして第1回で母親が殺されてしまうといった,そんな史実とは違うらしいことからはじまるのでは,先が思いやられるなあ,と思いました。いつギブアップするか,だけが私の関心でした。
さらに,同じく平安時代を取り扱った大河ドラマ「平清盛」が画面がきたないという評判であったのとは正反対に,「光る君へ」は雅で,この時代がこんなに美しいばかりではなかったはずなのに映像がきれいすぎるなあ,とも思いました。
私ははじめそんな印象だったのですが,それがそれが…。自分の愚かさを悟ることになりました。
結局,ドラマは脚本に尽きるのです。このドラマはすばらしいです。最高の大河ドラマです。見なかった人かわいそう。
ともかく,高等学校の日本史の教科書にわずか10ページほど書かれた摂関政治と国風文化がこれほど奥の深いものであったか! と思いました。これまでのほとんどの大河ドラマが「戦」を取り扱ったのとは違い,貴族の権力争い,いわば,歴史的に見ればどうでもいいようなことですが,これは,現代の政党内の権力争いと同じで,人はまったく変わっていない。それが私には興味深いものでした。
また,ドラマのいたるところにちりばめられた和歌や漢詩。こちらは高等学校の古典の教科書で習うよりはるかにさまざまなことを学ぶことができました。そして,興味をもちました。
私は,以前,すばらしい芸術というのは何か? ということを考えたことがあるのですが,それは,どれだけ奥が深いか,だということがわかりました。それは人も同じで,どれだけ見かけがよくても,その人深い教養や知識がなければ,魅力的とはいえないということと同じです。このドラマにはそれがありました。
また,大河ドラマに関しては,史実と異なる云々といわれ批判されることがあるのですが,大河ドラマは史実をその通りに演じるものではないので,そうした批判はあたりません。それよりも,歴史を媒体として,どれだけ奥が深いドラマになるか,だと私は思います。そのためには,ドラマに主張があるかどうか,なので,「光る君へ」は,その点でも,すばらしいドラマだと私は思います。
毎週,日曜日の夜が楽しみでした。それも,あと2回。
◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは
◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。