しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:「ブラタモリ」

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 2022年1月15日に放送されたNHK総合の「ブラタモリ」のテーマは和歌山でした。
 私の住む愛知県から和歌山県というのは,縁遠い場所です。あえて行こうと思わないとなかなか行くことができないところです。その和歌山県の県庁所在地和歌山市へ,あえて行ってみようと,2019年に出かけたことはすでにこのブログに書きました。
 現在の和歌山県,江戸時代の紀州藩は,徳川御三家のあったところです。立派な城があり,私はぜひ行ってみたかったところでした。実際に行って,和歌山市というのは,言葉は悪いのですが,さびれた都会でした。現在は大阪市のほうに目が向いてしまい,発展する要素があまりないように感じました。また,江戸時代の御三家のひとつである紀州藩の城が平城というよりもけっこう険しい丘の上の城であったことにも驚きました。
 私は,江戸時代にどうしてこの地が重要だったのか,ということに疑問をもって,和歌山城に行ったときに,そのことを聞いて納得した覚えがあります。
 そしてまた,この1か月前,私は,紀伊半島を1周する旅に出て,今度は紀の川を下ってみました。番組で説明していたように奈良から平地を南に下ると簡単に紀の川に出られるし,紀の川を使って紀伊山地から木材を運搬していたこともまた,実際に川の姿を見て納得しました。
 「どうして和歌山に御三家が置かれたのか?」 それが今回のテーマだったので,私は興味をもってこの番組を見ました。番組の紹介は次のように書かれてありました。
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 江戸時代に御三家のひとつだった紀州藩。江戸から離れていながら全国有数の大都市となった秘密をタモリさんがブラブラ歩いて解き明かす!
 「ブラタモリ#195」で訪れたのは和歌山県・和歌山市。紀伊国で旅のお題「和歌山に御三家が置かれた鍵は?」を探る。
 ▽紀の川で和歌山の立地の秘密を解き明かす!
 ▽カギは中央構造線?
 ▽豊臣秀吉がたった3か月で和歌山城をつくることができた理由とは!?
 ▽結晶片岩の石垣で考える。和歌山には巨大な砂丘があった?
 ▽その成り立ちとは?
 ▽梅干し・みかん…
 ▽徳川頼宜が和歌山にもたらしたものは?
 ▽そして,徳川家康と頼宜・父子の絆。
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 実際に歩いてみると,この番組で説明されていたことがとてもよくわかりますし,和歌山城がどうして平城というよりも小高い丘の上の城だったのかということも納得できました。
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 水は高い所から低いところに流れる。
 これが人間の築いた歴史のすべてです。だから,地図帳を眺め,そして,その地に行ってみれば,私の抱いてた疑問はすべてわかるのです。すべては,必然のなせる業なのです。だから,紙の上で学ぶ知識よりも,体験することのほうがずっと重要だということを身にしみて感じるわけです。
 先月行った和歌山で,丘の上のいたるところにミカン畑があるのも,とても自然に思える風景でした。南を向いて日当たりがよく,しかも,平地が少ないから,そこにミカン畑を作るというのは当然の成り行きだったのでしょう。しかし,今は,ミカンだけでなく,白桃もたくさん作られているようで,「ミカン,桃」と書かれた販売所がたくさんありました。
 桃のほうが高額なので経済効率がいいからなのかな?
 このことに関連して,話は飛躍しますが,ニュージーランドでは,近年,需要の少なくなった羊を飼うことより,馬や牛を飼うことに移行しつつあるというのもまた,実際に行って見てくるとわかることです。これもまた「和歌山=ミカン」「ニュージーランド=羊」などと参考書から丸暗記したところでわからない現実の姿なのです。
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 今,日本は共通テストやらの真っ最中。新聞に載っている問題の量を見るだけでめまいがします。
 今どきコンピュータを使えば簡単にわかる情報や過去の入試問題の解き方を,貴重な若者の高等学校の3年間という時間を費やして覚えさせた結果がこれ。これでは日本がさらに劣化します。人と比べたり点数争いばかりをさせれば,若者の精神が病むはずです。
 体験のない知識は絵にかいた餅以下です。

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 NHK総合「ブラタモリ」は近頃マンネリで,私にはあまりおもしろくありませんでした。しかし,#85の高知県は久々にとても興味深く見ることができました。どうやら,おもしろいかどうかは番組のできではなく,私の興味がある場所かどうかが問題だということです。
 私にとって高知県というか高知市は,今年の2月,ある事情で高知市のホテルを1泊予約することになってしまったので大急ぎで往復してきたというだけのことでしかないのですが,その折に私がこれまでずっと一度は行きたかった場所を訪れることができました。今回の「ブラタモリ」で取り上げられた場所が,まさにその私が行ったところばかりだったのです。

 幕末から明治にかけての歴史で活躍した雄藩を「薩長土肥」といいます。しかし,薩摩,長州,土佐,肥後では,幕末と明治初期にかかわった歴史上の存在位置と価値はずいぶんと違います。
 薩摩というところは,島津家が戦国大名でなくもっと歴史が古く,また,天守閣を作るくらいなら民にお金を使うほうがいいというようなその土地に根付いた考えをもっていたほどなので,国全体に揺るがぬ地位を持っていました。しかし,明治になって西郷隆盛が反政府側から担ぎ出されてしまったために,藩全体が悲劇を背負ってしまったところとなったことが行ってみてみて実感しました。
 長州もまた,島津家と同様に毛利家も戦国大名でなかったのですが,地理的な事情からまわりにたえず気を配らなくてはならず,そのために内政は保守的な支配層と急進派がしのぎを削るという構図になりました。そこに幕末の動乱時,急進派のなかに吉田松陰という核が生まれることで,倒幕の先導を配するに至りました。
 肥前は幕末には大したことをせず明治以降政府に人材を登用したことで同列に扱われているだけですから幕末には大した位置を占めていません。
 そうしたなかで,土佐という地は,山内一豊といういわば「落下傘大名」がその地を支配するために江戸初期にずいぶんと醜いことを行い,上士,郷士という差別を生み,その怨念の結果が幕末に坂本龍馬を排出したという経緯になるわけです。今回の「ブラタモリ」のテーマはまさにこのことでした。

 こうした政治家として単なるシロウトが政治をつかさどるという「落下傘大名」は,関ヶ原の戦いで勝利をした徳川家康がその論功行賞から各地に領土を与えたために生まれました。
 彼らは,いきなり縁もゆかりのない地を収めることが必要となったためにもとからいた地の武士たちをてなづけたり融和を図る必要があったのですが,大名の力量によって,それがうまくゆかず,その結果多くの悲劇が生まれました。その典型が土佐の山内家というわけです。
 そうした「落下傘大名」の領地であったところを旅行してみると,たとえば,肥後(熊本)では今でも加藤清正公は人気があり,反対に細川家はさっぱり,といった空気を直に感じることができます。

 こうしたことが現在も同じように続いているのがこの国の本質です。
 たとえば,学校の校長も縁もゆかりもない学校に突然赴任します。そうした場合,教師たちは「よそ者」である校長を距離を置いて傍観するわけです。そして,そこにも,後で書くような「6:3:1」の派閥が生れるのですが,そうした組織がうまくいくわけがありません。
 こういうのがこの国に根ざしているわけです。管理職として「落下傘」で赴任するものもまた,論功行賞ですが,この国の考える組織とか権力とか地位というものはすべてそうしたものなのです。要するにシロウトなのです。
 政治の世界でも後で書くいわゆる「6」の割合で群れる「主流派」たちは,「3」の割合の集まりを「野合」といって非難するのが常ですけれど,この国の集団というのはそもそも思想などでまとまっているわけではなく,単に「錦の御旗」を掲げたものが「正義」となって,そこに身の保全を図るものたちが群れているだけのことです。そんなことは後醍醐天皇の時代も明治維新の時代も同じです。そして,そうした「正義」にたかって多数派を作るわけで,そうした人々がおよそ6割いるのが日本という国なのです(これを「体制派」あるいは「主流派」と称します)。そこに,深い思慮をもつ人たちがおよそ3割いて,彼らは思慮があるから同じ意見をもっているわけではありませんからまとまれば「野合」と言われるのです。さらに,ぶれない人たちが1割いて,その結果「6:3:1」の構図となっているのです。それはそれでよいのですが,ときとして3割が6割に巻き込まれるような一大事が起きたときに残りの1割を弾圧しはじめ,そこから悲劇が訪れるのです。
 今回の「ブラタモリ」で訪れた高知という場所は,日本の歴史上のこうした姿を我々に思い起こさせてくれるところです。

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私は価値がわからない④-「6:3:1の法則」とは?

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