しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:「不良老人」の暇つぶし

DSC_1240

######
 先日「もしも徳川家康が総理大臣になったら」という映画を見てきたというお話を書いたのですが,見てきた場所は,県営名古屋空港のとなりのエアポートウォーク名古屋に併設されたミッドランドシネマ名古屋空港でした。
  ・・・・・・
 エアポートウォーク名古屋は,旧名古屋空港国際線ターミナルビルを再利用したモール型ショッピングセンターで,2008年(平成20年)に開業しました。 2005年(平成17年)のセントレア・中部国際空港の開港に伴って,閉鎖されたターミナルビルを活用するためにつくられたものです。
 建物は,南側の1階,2階はアピタ,他の部分は専門店で,フードコートとアミューズメントパーは空港のチェックインカウンターのまま再利用し,吹き抜けになっています。
 南東側にミッドランドシネマ名古屋空港が新置され,さらに,2017年(平成29年)には,北東側にあいち航空ミュージアムが設けられました。
  ・・・・・・

 現在は,県営名古屋空港からよくFDAを利用して旅をしているので,この場所のことは知っていたのにもかかわらず,エアポートウォーク名古屋に寄ったことはありませんでした。今回,行ってみて,こりゃいいや,と思いました,この暑い時期に1日暇つぶしをするにはちょうどいいところでした。よく賑わっていました。
 以前,この場所が国際空港だったころに,たびたび利用して海外へ行きました。そのころは,ほかの空港に比べて,小さく貧弱な空港だなあ,と恥ずかしく思っていました。しかし,今は,公共交通機関によるアクセスが名鉄のみで,しかも,頻繁に事故や故障で不通になってしまうことと,車で行こうにも,駐車料金がとても高いことで,不便極まりないセントレア・中部国際空港よりも,この場所のほうがずっと便利なのに,と思うようになりました。

 エアポートウォーク名古屋は,さまざまなところに国際線ターミナルだったころの面影があって懐かしく,ここから旅に出たころのことを思い出していました。とはいえ,この場所に国際ターミナルができたのは,1999年(平成11年)のことで,それ以前は,現在FDAが利用している国内線ターミナルだけでした。あまりに手狭だということで国際線ターミナルができたのですが,利用されたのはわずか6年ほどの期間に過ぎませんでした。
 私はこの日,フードコートで昼食をとって,映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を見て,あいち航空ミュージアムで遊んで,さらに,レストラン街で夕食も食べてきました。

IMG_3778IMG_3780IMG_3781IMG_3775IMG_3783


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_4039sDSC_4082DSC_4062

######
 以前,「プロ野球の2軍戦でも見にいくか」を書いてから,行く機会をさがしていたのですが,2024年6月25日に,実現することができました。2軍の公式戦,中日VS阪神,ナゴヤ球場です。
 試合開始は午前12時30分ということで,午前11時に自宅を出て名鉄電車で山王駅まで行って,そこから歩きました。山王駅は,以前はナゴヤ球場前駅という名前でした。そして,その前は中日球場前駅でした。久しぶりに歩いてみると,けっこう距離があるのにおどろきました。

 私は,20代前半までは,地元名古屋の中日ドラゴンズのファンで,よくゲームを見にいきました。当時の球場が,このナゴヤ球場でした。座席は狭く,観客のガラは悪く,場末感にあふれていました。その当時,読売巨人の本拠地であった東京の後楽園球場を見て,えらく違うなあ,と衝撃をうけたものです。
 現在,中日ドラゴンズの本拠地は「バンテリンドーム ナゴヤ」,つまり,ナゴヤドームです。移転したのは,1997年といいますから,今から27年前のことになります。このころには,私は,日本のプロ野球というものに,まったく興味がなくなっていたから,ナゴヤドームには1度しか行ったことがありません。ロサンゼルスのドジャースタジアムは5度も行っているのに。
 私が日本のプロ野球に興味をなくしたのは,アメリカでMLBを見て,その違いに衝撃をうけたことと,そのころ,広島カープのスタジアムでやっていた鳴り物入りの応援がほかのチームにも広がり,うるさくてそれに嫌悪感を抱いたことです。そもそも,ベースボールというのは,ピッチャーが構えたときに球場内がシーンとなることが醍醐味だったはずです。
 それ以来,阪神タイガーズのスタジアムでやっていた風船飛ばしも他球団に伝染し,もう,これは絶望的な状況です。それに比べて,MLBの何とすばらしいこと!

 私は,アメリカではメジャーリーグよりマイナーリーグのほうが好きなくらいです。日本でも,マイナーリーグ,いや,2軍のゲームなら,1軍のゲームよりのんびりと楽しく観戦できるのでは…,という期待を持って,行ってみました。ゲームがはじまる前は,アメリカのマイナーリーグの雰囲気を思い出し,購入したコカ・コーラもアメリカサイズのカップで,これなら,と思ったのですが,それも,わずかな時間でした。
 ナゴヤ球場が中日ドラゴンズの本拠地でなくなってから,幾度かの回収を経て,外野を後ろに下げてグランドの広さはナゴヤドームの広さと同じにしたそうです。客席は少なくなり,スコアボードも新しくなり,以前の場末さはなくなりました。せっかく改修するのなら,もっと徹底的にやればいいのに,と思ったのですが…。また,アメリカのボールパークは,グランドに手が届くほどフェンスが低いのに対して,何だこれは! 周囲が異常に高い金網で囲まれていて,まるで檻の中。格闘技の金網デスマッチではありませんか。
 それにしても,選手にとっては修行の場でも,見にきた観客には娯楽の場。お金を取って見せている以上,アメリカのマイナーリーグのように,とまではいかずとも,もっと楽しませる工夫があってもいいのに,と思いました。これもまた,国民性の違いなのか。
 そもそも,日本の野球に興味がなく,ひとりの選手も知らないから,そんな私が見にいくのが場違いなのでしょう。3回まで見て,退屈になって,引き揚げました。

DSC_4041 IMG_3160DSC_4044DSC_4053DSC_4056IMG_3159DSC_4061DSC_4063DSC_4081DSC_4085


◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

USA1998 (9)DSCN1542DSCN1548

######
 アメリカへよく出かけていたとき,興味をもったのがベースボールのマイナーリーグでした。
 アメリカでは,プロベースボールのすそ野が広く,ルーキーリーグからはじまり,1A,2A,3Aとあって,その上位にメジャーリーグが存在します。国が広いので,マイナーリーグも全国の中小都市にまたがってしますが,特に,多くのチームがスプリングキャンプを行うフロリダ州に多くのチームがあります。
 私は,今から30年近く前,夏にフロリダ州をドライブしたとき,毎晩のようにマイナーリーグのゲームを見ました。夜,走っていると,大平原の向こうに明かりが見えてくるのですが,それがそれがマイナーリーグのゲームなので,思わず寄ってしまうのでした。
 メジャーリーグとは違って,スタジアムも小さく,観客席もさほどいないのですが,それでも,ちゃんとした娯楽興行で,楽しいものでした。

 日本では,マイナーリーグは2軍といって,1軍の予備的な扱いとなっていて,若手の修行の場やベテランの調整のために存在しているという位置づけで,ファンを対象としたものではありませんでした。
 現在は,2軍の扱いは,チームによってずいぶんと違うようです。アメリカのベースボールを手本にして野球をショービジネス化しようと力をいれている日本ハムのようなチームでは,2軍もそれなりにファンサービスに力を入れているようです。その一方で観客席もないようなところでゲームをしていたりする場合もあります。私は,アメリカのマイナーリーグを見て,日本ももっと2軍戦を大々的に宣伝して,特に,子供たちを無料で入れたり,選手のサイン会でもやればいいのに,と思っていました。

 ということを書こうと考えながら調べていると,なんと,つぎのような情報を手に入れました。
  ・・・・・・
【プロ野球2軍 2024年から14球団へ】
 プロ野球の2軍の公式戦に2024年から新たに静岡,新潟のふたつの球団の参加が内定しました。 
 「ハヤテ223(ふじさん)」と「新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」です。
 2軍の公式戦は,イースタン・リーグ7球団とウエスタン・リーグ5球団にわかれて行われていますが,野球のすそ野を広げることを目的に,2軍の試合に参加する新たな球団を公募し,その結果,オーナー会議で,静岡市を本拠地とする球団の創設を目指す「ハヤテ223」と,独立リーグ BCリーグの「新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」のふたつの球団が2軍の試合に参加することが内定しました。
  ・・・・・・
 新規に参加する球団の選手でこれまでプロ野球でプレーしたことがない選手が12球団に入団するためには、ドラフト会議で指名される必要があるということです。それ以外の選手については、人数を制限した上で、シーズン中に12球団へ移籍することも可能になる見通しだということです。

 新球団の地元で様々な球団との試合を見てもらおうと、来シーズン、2軍の公式戦で既存の12球団がリーグを超えて新球団の本拠地を訪れて試合を行う日程が組まれることになりました。 これまでもリーグを超えて戦う交流戦は行われていますが、1軍と異なりチームによって試合数にばらつきがあり、シーズンによっては組まれないカードもあるのが現状です。

 私は,アメリカのマイナーリーグを見にいくのは,今では難しいので,日本の2軍戦でものんびり見にいきたいなあ,と思ったりします。大相撲でも,幕下の取組を見ることがおもしろいように。

K10014210561_2309291625_0929163232_01_03


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

IMG_4337

 前回は,悪徳な権力を正義の味方が退治する,という「クラス」,つまりパターンの過去のドラマを紹介しました。しかし,現実に目をやれば,ドラマ以上の悪徳な権力がはびこっているこの国です。ドラマの方がずっとマシです。
 さて,今回は,別の「クラス」,つまりパターンである,この国に生きるさまざなま世代や職業の人たちの現実を描いたものを紹介します。老人の介護で家族が葛藤をする姿,女性が社会で生きにくい姿,才能のある者が変人扱いを受ける姿など,こちらもまた,日本という国の置かれた日本人の幸せあり方の葛藤をそのまま描こうとするものです。これじゃあ,少子高齢化は解決しないなあ,とドラマを見るたびに思います。この国で生きていても幸せじゃないもの。

●「俺の家の話」
 2021年の冬ドラマ。宮藤官九郎さん脚本というだけで,何が描かれるか期待されます。
 長瀬智也さんが演じるのは,ブリザード寿というリングネームをもつ現役プロレスラーの観山寿一ですが,父親に反発して,家出中。一方,西田敏行さんが演じる父親の観山寿三郎は,27世観山流宗家にして重要無形文化財「能楽」保持者ですが,要介護となり,戸田恵梨香さんが演じるしたたかな介護ヘルパーの志田さくらと婚約して遺産もすべてさくらに譲ると宣言します。
 観山寿一はプロレスラーを引退し,父親の介護を手伝うことになるのですが,介護と遺産相続を巡る激しいバトルが繰り広げらます。
 能の世界という身近でない舞台設定に,身近で切実な介護という話が絡み,見ていると切実な思いになりますが,とても内容が深い,娯楽だけでなく社会性のあるドラマです。
  ・・
●「不機嫌なジーン」
 少し古いドラマです。主人公は今は亡き竹内結子さん演じる動物行動学者のタマゴ・蒼井仁子。
 「男性=オス」はゼッタイ浮気をする生き物であるが「それはオスが悪いんじゃなくてオスの遺伝子(=ジーン)が自らを複製していくために指令を出して人間を操っているのだから仕方ない」のが生物学の通説だといいます。そんな蒼井仁子が,日々、恋に研究にと四苦八苦のラブストーリーです。
 舞台は大学の研究室で,ドラマ「ガリレオ」もそうですが,私は大学の理系の研究室を舞台とするものは好きなので,このドラマは見ていて楽しいです。しかし,ドラマで描かれる主人公・蒼井仁子は不機嫌というより,いつも悲しげです。女は社会で苦労するより家庭に入ったほうが幸せ,みたいな描かれかたをしているのがつらいです。
  ・・
●「デート~恋とはどんなものかしら~」
 いつのころからか「人生に恋愛は不要だ」と考えるようになった「恋愛力ゼロで恋愛不適合者」の女と男が,それぞれのやむにやまれぬ事情から結婚を目指すことになり,日々つたないデートを積み重ねていく,横浜を舞台にしたロマンチック・ラブコメディー。
 主演は,東大卒で内閣府の研究所で働く藪下依子を演じる杏さんと,自身を「高等遊民」と称する谷口巧を演じる長谷川博己さん。
 物語の展開は見るまでもなくわかりそうなものですが,その過程を楽しむものでしょう。
 このドラマによって「高等遊民」という言葉が有名になったそうですが,私がこのブログで「私は「高等遊民」になりたい」をかいたのは,このドラマとは関係がなかったのですが,奇しくも同じころだったようです。

◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

IMG_4346

######
 日本のドラマは,オブジェクト指向のプログラミングにたとえると,いくつかの「クラス」があって,ドラマは,それぞれの「クラス」をもとに「オブジェクト」を生成しただけのものに思えます。
 わかりやすくいうと,いくつかの基本のパターン(=クラス)があって,そこに毎回少しだけ異なる登場人物とストーリーという実態を入れた(=オブジェクト)だけ。だから,自分の好きな基本パターンに沿ったドラマを見れば,いつもストーリーは同じだから,安心して見ることができて,難しくもなく,いい時間つぶしの娯楽になります。
  ・・
 私は,これまであまり日本のドラマを見ていなかったので,こういった,ドラマ好きの人には当たり前のことを知りませんでした。「不良老人」の私が暇をもてあまし,FOD や AmazonPrime といったサブスクを契約したら,そこに過去のドラマがたくさんあったので,これまで見ていなかったことを幸いに,それらを新鮮な気持ちで見ることができるのです。
 現在見ることができる過去のドラマの多くは,今後,劇場版として映画化され,公開されるので,その宣伝で見ることができるのだと思いますが,それは承知で,まんまとその戦略にのせられています。

 日本のドラマのひとつの「クラス」,つまりパターンは,悪徳代議士とか悪徳弁護士とか悪徳医者がいて,正義の味方である何某かが主人公となり,それらを懲らしめる,というものです。アメリカのドラマの多くが,政府や裁判所や警察や病院というものが正義で,そこに働く人たちが主人公となって,悪。すなわち法を犯す犯罪者を懲らしめるという筋書きであるのとは対照的です。大学生は,こうしたテーマで卒論を書くとおもしろいかもしれません。
 日本では,権力者は実はとんだ悪人という想定です。そのようなドラマの設定が,実際にもありそう,と思うのが,まさにこの国のあり様なのです。しかし,現実には,ドラマのような正義の味方がいないから,多くの人はいじめや圧力に遭っても,我慢し,耐え,あるいは,私のように仕事を辞めるといったことになるわけで,だからこそ,こうしたドラマを見て,日ごろの憂さをはらしているのでしょう。
 現実はドラマとは違う,という人もいますが,それは世間知らず。ドラマ以上の現実をいやというほど経験した「不良老人」の私は,私の人生にも,ドラマに出てくるような正義の味方がいたらよかったのに,といつも思うのです。
 しかし,もっと深く考えると,というか,長く生きてみると,結局,人は,権力や地位や名誉を手に入れても,それが勝ちではなく負け。ということを知りました。私が経験した当時の「悪徳」な輩たちが,今,どういう人生をおくっているのかな? と考えるだけで,私は愉快になってきます。実際の社会に正義の味方がいなくても,現実がドラマ以上に「悪徳」を裁くのです。
 そんなドラマの中から,私が気に入ったものをいくつか紹介しましょう。

●「イチケイのカラス」
 2021年の春ドラマ。刑事裁判官を主人公とする,めずらしいものです。
 このドラマでは,竹野内さんが演じる東京地方裁判所第3支部第1刑事部(イチケイ)の刑事裁判官・入間みちおが正義の味方として,つねに「職権を発動します」といって,真実を明らかにするために再調査をするという,自由奔放で型破りな裁判を展開します。この,ゆるい空気ととぼけた雰囲気の根底にある「正義」に私は憧れます。その一方で,黒木華さんが演じる東大法学部卒の世間知らずの堅物新人裁判官・坂間千鶴が,入間みちおの影響を受けて,次第に柔らかく,人間らしく,やさしくなっていくのが,粋な味付けとなっています。
 アメリカには裁判官(判事)を主人公とするドラマ「オール・ライズ 判事ローラ・カーマイケル」(All Rise)という私の好きなドラマがありますが,それと比べると日本とアメリカの裁判の在り方の違いがわかって,それもまた興味深いのですが,共に,心温まる結末となるという類似点があり,いつも救われます。
 2023年冬に映画が公開されます。
  ・・
●「七人の秘書」
 中園ミホさん脚本の痛快「秘書」ドラマです。
 「名乗るほどの者ではございません」というのが合言葉で,木村文乃さん,広瀬アリスさん, 菜々緒さん,シム・ウンギョンさん,大島優子さん, 室井滋さん,そして,江口洋介さんが演じる「七人の影の軍団」が,理不尽な目に遭う社会の弱者を救い出すべく,のさばる上級国民に鉄槌を下すというものです。
 銀行の常務秘書を務める主人公・望月千代を演じる木村文乃さんがすてきです。
 このドラマは,「ドクターX」と同じようなものですが,「ドクターX」ほどワンパターンでなく,また,「七人の秘書」たちが「ドクターX」の大門未知子ほど強くないのがいいです。また,「ドクターX」で名医紹介所の所長を演じる岸部一徳さんが,「七人の秘書」では悪徳大臣を演じて,最後に「七人の秘書」たちにぎゃふんといわされるのが痛快です。
 2022年秋に映画が公開されます。
  ・・
●「アンナチュラル」
 1話完結の法医学ミステリーで,石原さとみさんが日本に170名ほどしか登録がない「法医解剖医」の三澄ミコトを演じます。
 ドラマの舞台は,死因究明専門のスペシャリストが集まる「不自然死究明研究所=UDIラボ」。そこに運び込まれる「不自然な死=アンナチュラル・デス」の怪しい死体から,「不自然な死は許さない」と,亡くなった人だけでなく,今を生きる人々を救い,未来への希望を見出すために死因を究明します。
 医療ものにいつも出てくる権威とか既得権に,勇敢に戦う姿がスカッとしますが,いつも思うのは,現実の医学界というのは,いつもドラマで揶揄されるような,偉い人が権威主義で威張り散らしていて金に執着する,そんなひどいところなのでしょうか。


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

IMG_4202

######
 2022年の夏ドラマ。夏ドラマは手抜きと聞いたのであまり期待していなかったのですが,手あたり次第に第1回を見てみたら,予想に反しておもしろいものが多かったので,そのいくつかを見はじめました。
 私は,数年前まで日本のドラマにはほとんど興味がなく,アメリカのドラマオンリーだったので,一般的なことも知りませんでした。このごろ見はじめて,いろんなことがわかりました。それは,局によってドラマの性格がちがうことや,どのドラマも結局のところシーズンが変わっても同じパターンの繰り返しで出演者もいつも同じようなものだということです。人気が出ると何シーズンも継続するアメリカのドラマとはまったく違います。
 それはそれとして,そう割り切って,私には楽しく時間つぶしができればいいのです。
 私がどのドラマを見るかという基準は,原則的には,1話完結であって,ハッピーエンドになるもの,そして,深刻な内容ではないものです。あくまで私個人が楽しめればいいので,巷のうわさやら視聴率やら口コミはまったく気にしません。

●「競争の番人」
 舞台は「公正取引委員会」。坂口健太郎さんと杏さんがW主演で,原作は私が断念した春ドラマ「元彼の遺言状」と同じ新川帆立さんだそうです。
 坂口健太郎さんが演じる天才で理屈っぽくひねくれ者の小勝負勉と杏さんが演じる実直で感情のままに行動する元刑事の白熊楓が,公正取引委員会・第六審査の職員として,独占禁止法に関わる違反行為を取り締まり,経済活動における自由で公正な競争の場を守るために目を光らせ,談合やカルテルなど不正を働く企業の隠された事実をあぶり出していくというものです。
 初回から1話完結でなく,3話で完結しましたが,それなりに楽しめました。私は,天才で理屈っぽくひねくれ者の小勝負勉というキャラクターが好きです。また,途中で見るのをやめた「元彼の遺言状」よりずっとマシです。が,これで原作は尽きたということなので,この先が心配です。
  ・・
●「魔法のリノベ」
 住まいに新たな価値を創り出す住宅リノベーションをテーマとして,依頼人が奥底に抱えている家や家族に対する問題に立ち向かう主人公たちが,毎話,五感と機転と根性を駆使したリノベ提案という魔法で華麗に解決していくという仕事ドラマです。
 春に「正直不動産」というドラマを見ました。住宅というテーマ,ライバル社がいる,などの点が似ています。このドラマは1話でスカッと解決するので楽しいですが,日本のドラマの多くはそれだけでいいのに,何か余分な横の糸,つまり,「クセ」をつけるので,この先の展開で,それだけが気がかりです。私には,縦の糸,スカッと解決だけで十分です。
  ・・
●「純愛ディソナンス」
 このドラマだけこの中では異質です。
 中島裕翔さんが初の教師役で生徒と禁断の恋… 吉川愛さん演じる女子生徒との決して一線を越えてはいけない関係を描く令和の新・純愛×ドロドロエンターテインメント!!
 ということで,まったく私好みではないのですが,かつて引かれ合った2人。5年後の再会をきっかけに再び動き出した微妙で繊細な関係が「ディソナンス=不協和音」を生みだし,破滅へと向かいはじめる… というサスペンス的な前向上にまんまとのせられ,ドロドロということばが妙に魅力的に思えて見はじめたのですが,原作のない5年前の高校時代という第1部で,すでに私は挫折気味です。
 やっと第2部に入りましたが,この先おもしろければ見続けるし,そうでなければ,きっと挫折することでしょう。果たしてどうなるか?
  ・・
●「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」
 有村架純さんが演じる4回司法試験に落ちた崖っぷち東大卒パラリーガル・石子と,中村倫也さんが演じる1回で司法試験に合格した高卒の弁護士・羽男がが誰にでも起こりうる珍トラブルに挑むという 異色のリーガル・エンターテインメント! だそうです。
 「競争の番人」と似ていなくもない。また,昨年のドラマ「イチケイのカラス」とも似ていなくもないわけですが,日本のドラマというのは,悪徳政治家に悪徳医者がいて,東大卒というのはなぜかみな世間からずれていて,キャリアでない人が情に厚く能力がある… そんな同じような価値観ばかりです。そしてまた,こういうドラマを見て,実際の社会もそうじゃないか,とみんなが思ってしまうのは,おそらく,実際の社会でも多くの人がさまざまなことで苦しんでいて,ドラマを見てスカッとしたいからなのかもしれません。
 そうした中で,このドラマは,ほのぼのとした,なかなかいいものです。
  ・・
●「初恋の悪魔」
 ミステリーとコメディー,ラブストーリーの要素を組み合わせた見ごたえたっぷりの作品という触れ込みです。鹿浜鈴之介は境川署刑事課所属の警察官。元捜査一課所属だったにもかかわらず,とあるヘマをやらかし現在は停職処分中。一方,馬淵悠日は境川署総務課に勤める職員で,捜査とは縁遠い日常を送っていて,雑用ばかり押し付けられてもヘラヘラ笑っているのは,楽にストレスなく生きたいから。しかし,そんなある日,鰐淵悠日は署長から鹿浜鈴之介の監視を任されて…。
 というちょっと変わった事件ドラマです。
 はじまる前は,巷のうわさではいち押しのドラマだったようですが,期待が大きかっただけに多くの聴視者は落胆をしているとか。でも,私は,好きですよ,このドラマ。ただし,ドラマの名前の意味がよくわかりません。

 これだけの夏ドラマを見はじめたのですが,果たして,私の期待を裏切らず,最後まで見続けられるのがこの中でいくつあるのでしょうか。
 私は,こられのほかに,NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とスーパー!ドラマTVで放送している「NCSI・ハワイ」を見ているのですが,実はこのふたつが最もいいです。


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

IMG_3884

######
 2022年春のテレビドラマの予想と期待について3月27日に書いたので,今回は,それらを見た感想を書きます。まず,そのときのブログに書いたものからです。

●「 元彼の遺言状」
 綾瀬はるかさん主演のミステリー。
 思ったほどではなかったなあ,というのが第1印象でした。脚本が悪いです。整理整頓ができていないので,ごっちゃごっちゃになってしまいます。いい素材を使いながら,それを生かし切っていない料理みたいです。特に,第1話と第2話がだめでした。
 大泉洋さんの演じる篠田敬太郎に何か裏があるということらしいので,この先の展開に少し期待しているのですが,どうせまた裏切られるかな,という懸念のほう強いです。
 その大泉洋さんですが,「鎌倉殿の13人」の源頼朝同様,無邪気な善人面していながら,実はかなり癖のある悪人という役がはまりです。
 身近にもいるでしょう。味方だと思っていたら実はとんだ食わせ物だったという人。
  ・・
●「インビジブル」
 高橋一生さん演じる強烈な正義感を持つ刑事・志村貴文と,柴咲コウさん演じる犯罪コーディネーター「インビジブル」。
 柴咲コウさんのこれまでとはあまりに違う姿にはじめは驚きましたが,とてもいいです。何をやっても同じイメージになってしまう綾瀬はるかさんとは対照的です。
 このドラマは好きです。とてもおもしろいです。「インビジブル」が刑事たちを手玉にとっているのが権力が嫌いな私には痛快です。
 同じようなものはアメリカのドラマによくあって,それに比べればかなり安っぽいのが,まあ,日本らしいといえば日本らしいのですが,いずれにしても,現実離れしているのがとても愉快です。所詮,ドラマなんて暇つぶし。現実離れしていて,空想的でいいのです。
  ・・
●「 パンドラの果実 〜科学犯罪捜査ファイル〜」
 ずいぶん期待したのですが,このドラマは最悪でした。
 天才科学者という役を演じる岸井ゆきとかいう女優さんは完全なミスキャストです。この女性は,とても天才科学者というキャラではないです。
 さらにこのドラマがだめなのは,ドラマで出てくる最新の科学技術とやらが安っぽすぎることです。
 ということで,第1話で失望し,もう1回は,と第2話を見たところでやめました。その後は知りません。

 ブログに書いたドラマはこれだけだったのですが,そのときには書かなかったおもしろいドラマを見つけました。

●「吉祥寺ルーザーズ」
 吉祥寺にある謎めいたシェアハウスに引っ越して来た「人生の負け組」の6人が織りなすシチュエーション・コメディドラマ。ということですが,この設定で,配役が適切ならば,どうやったっておもしろくできそうです。実際,おもしろいです。
 私は第4話でこのドラマを知って,過去のものが見られるかをネットで探したら第1話と第3話はTVerにあったのですが,第2話だけParaviでないと見ることができませんでした。「まずは2週間無料」だそうですが,そこまでして見ることもないので,第2話は見ていません。
  ・・
●「持続可能な恋ですか? 〜父と娘の結婚行進曲〜」
 「誰かと共に生きること」を一生懸命に考える娘と「第二の人生」へと向かう父の奮闘を描くオリジナルラブストーリー。ということで,上野樹里さん演じるヨガインストラクターに,松重豊さん演じる「生活能力ゼロ」の辞書編纂者が父娘で「ダブル婚活」を。という内容です。
 これは第1話から見ています。
 私には「のだめ」の印象が強い上野樹里さんですが,あれからずいぶんと齢をとりましたが,ときどき,そのころの片鱗が垣間見えるのが愛嬌というか,ほどよく感じのよいドラマになっています。であるのですが,ちょっとまどろっこしいというか,脇を占める男たちがだらしないのが私にはなじめません。
  ・・
●「正直不動産」
 「嘘もいとわないセールストーク」で成績1位を維持し続ける不動産営業マンが,突然,たたりで嘘がつけなくなってしまい,契約寸前の案件まで次々と台なしに。しかし,そのことで,逆に好感がもたれて,すべてがうまく収まる。という軽いおとぎ話です。
 たわいもなく,しかし,最後はハッピーエンド,という安心感があります。
 このドラマも第3話から知ったのですが,NHK+で第1話からすべて見ることができました。
 営業マン永瀬財地を演じる山下智久さんの演技がいまいちでわざとらしくてたいしたことないけれど,新人営業マンの月下咲良を演じる福原遥さんの笑顔が好感がもてるので救われます。
  ・・ 
●「クロステイル 〜探偵教室〜」
 行方不明になった父親を探すためにジョーカー探偵学校に入学した男性が,地道な調査の連続に幻滅しそうになりながらも課題や実習などの経験を重ねていくうちに人間の心に寄り添う探偵という仕事にやりがいを見出していくさまを描く。という非現実的でたわいもないドラマです。
 鈴鹿央士さんが演じる探偵学校の生徒である飛田匡はいい人過ぎて,私はちょっとイライラしますが,それがこのドラマの核であり,まあ,全体的に軽く,アニメそのままの展開は,暇つぶしにはいいかな,という程度のものです。第1話から,なぜか毎回見ています。

 以上なのですが,実は,これらのドラマよりも,スーパー!ドラマTVで放送されているアメリカの法律テレビドラマシリーズ「グッド・ファイト」(The Good Fight)のシーズン4と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」,このふたつのドラマが秀逸です。格が違います。

A1TJgjWuIiL._RI_

◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_55922019-08-26_15-53-20_787

######
 ここ数年,テレビドラマを見る環境が大きく変わりました。
 今や,テレビの番組欄を事前にチェックして,タイマー録画などをする時代ではなく,TVer,FOD,PrimeVodeoなどの動画配信サービスを利用すれば,好きなときに見ることができます。しかし,動画配信サービスもたくさんの種類があるので,自分にとって何が便利なのかがわからないと,うまく利用できません。また,完全無料のTVer以外は有料の会員になれば,ストレスなくすべてのコンテンツを利用できるのですが,むやみに有料の会員になっても,利用しなければお金を散財するだけになってしまいます。
 いずれにしても,動画配信サービスを利用することに慣れてくると,旧時代的なNHKの受信料が,いかに高く,しかも無駄な出費なのか,また,古いシステムなのか,ということが身に染みるようになりました。受信料を払っておいて,しかも,さらに,オンデマンドを見たければ,別途お金を払うなどというサービスは他に聞いたとことがありません。
 私は,これまで,あまり連続ドラマを見ていなかったので,今になって,動画配信サービスで過去のものが見られるのがうれしいのですが,そうして多くの番組を見ているうちに,自分が何を見ると楽しいのかが,次第にわかってくるとともに,また,自分の好みの番組が意外に少ないことに落胆しました。ここで,私の好みの番組をいくつか紹介します。

●「 ガリレオ」
 「ガリレオ」は東野圭吾の連作推理小説「ガリレオシリーズ」を原作としたフジテレビ系列が制作したドラマで,帝都大学理工学部物理学科准教授である湯川学が,新人女性刑事内海薫の依頼を受けて,明晰な頭脳で事件のさなかに起きる超常現象を解き明かして事件を解決する。という内容です。主演は福山雅治さんでした。
  ・・
●「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」(NUMB3RS)
 FBI特別捜査官ドン・エプス(Don Eppes)と,彼に協力する弟の天才数学者チャールズ・エプス(Professor Charlie Eppes)の活躍を描くアメリカCBSのテレビドラマで,番組では,兄と弟に加えて父アラン(Alan Eppes)との関係,そして,兄弟で力を合わせて,主に,ロサンゼルスで起こる犯罪と戦う姿について描かれています。
 ドラマでは,まず,犯罪が起こり,FBI捜査官チームによる捜査は,チャールズ・エプスによる数学的な解析から重要な捜査情報やヒントによって,犯人の特定とその検挙が描かれるというものです。
  ・・
●「インスティンクト -異常犯罪捜査-」(Instinct)
 同性の夫がいる元CIAスパイのディラン博士(Dr. Dylan Reinhart)は異常行動学に詳しい大学教授兼作家です。膨大な知識に加えて,鋭い観察眼・分析力をもち,ニューヨーク市警のコンサルタントとして,刑事リジー(Elizabeth "Lizzie" Needham)の相棒として異常事件に挑む,という内容のアメリカCBSのテレビドラマです。
 ディラン博士の「インスティンクト」(直感)が数々の事件を解く鍵となるのですが,時にはタフな腕利き刑事のリジーを困惑させることも…。ふたりが自己流で事件を解決していく様子は痛快です。

 これらのドラマは,みな似たところがありますが,私の好みのドラマです。
 そこで,こうした好みに合わせて,2022年の春ドラマで,私がおもしろいかな,と期待しているドラマを探してみました。

●「 元彼の遺言状」
 新川帆立の同名小説を原作に綾瀬はるかさんを主演としてドラマ化するものです。
 大手法律事務所で働く容姿端麗で超優秀な弁護士・麗子が法的視点で難事件を解決していくミステリー。
  ・・
●「インビジブル」
 高橋一生さん演じる強烈な正義感を持つ刑事・志村貴文と,柴咲コウさん演じる犯罪コーディネーター「インビジブル」が異色のタッグを組み,凶悪犯罪者を追う「中毒系ジェットコースターサスペンス」。相いれないはずふたりが,犯罪のプロフェッショナルに立ち向かう姿を描くものです。
  ・・
●「 パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜」
 ディーン・フジオカさん演じる科学犯罪対策室を創設した警察官僚小比類巻祐一が,天才科学者と共に法整備や警察機構の対応が追い付いていない犯罪に立ち向かっていく「サイエンス×サスペンス」ドラマです。

 さて,これらの中で,私が気に入るドラマは果たして…。


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

5cbe3cb6 (2)

######
 報道番組は一切見ないので,暇つぶしに楽しめるテレビドラマを,現在放送中のものだけに限らず,AmazonPrimeなどからも探して見ています。それがなかなか自分の好みにあうものがないで,選ぶだけでもたいへんです。いずれにしても,コマーシャルがうざったいので,テレビのものはすべて録画して,翌日,コマーシャルは30秒送りを連打して見ます。また,AmazonPrimeはコマーシャルがないので助かります。
 今回は,そんな私が見ているテレビドラマから紹介してみます。

●「ミステリと言う勿れ」
 本作はこれまでにないミステリーと会話劇を融合させた意欲作。見どころは「僕は常々思ってるんですけど…」という語り出しではじまる主人公・久能整(くのうととのう)の言葉の数々。当人は言いたいことを言っているだけで,それは単なる屁理屈のようにも聞こえるのですが,既成概念に縛られて苦しんでいる人にとっては勇気を与えてくれる救いの言葉となります。
 というのがドラマの紹介ですが,このドラマは人気コミックのドラマ化だそうで,コミックに描かれている主人公とちょっと違うとかいうことで賛否両論があるそうです。私はコミックを見たことがないので,それについてはまったくわかりませんし,テレビドラマの主人公は気に入っています。
 ドラマの第1回を見た限り,おもしろいので引き込まれてしまいました。作者の思想が出ているのがいいです。「どうして人を殺してはいけないの」という犯人の問いに対する答えなど感心しました。1話完結だと思っていたのですが,予想と違って第2回が第3回との連続ものだったこと,しかも,第3回の結末がこの先の何某かの伏線となっているのが私にはちょっと凝りすぎ? に思えるので,今後の展開で気がかりです。
  ・・
●「ドクターホワイト」
 「それ、誤診です!!」 社会性が皆無にも関わらず,天才的な診断能力を持ち,現役医師の誤診を正す -自らの名を「白夜」と告げ,素肌にたった一枚,白衣をまとって現れたナゾの女性。 彼女はいったい何者なのか-
 よくある病院ドラマです。病院とか警察を舞台としたドラマは描きやすいので定番となっているようですが,現実とはまったく違えども,どこかありそう,と思わせるところが見る者を引きつけるのでしょう。この種のドラマは最後にスカッと水戸黄門のごとく終わるので,私のような老人にはいいです。
 また,主人公を演じる浜辺美波さんがいい感じを出しているので,おもしろいドラマになっています。このドラマに限らず,多くのドラマを見ていると,ドラマは,脚本はもちろんですが,キャスト次第だなあといつも思います。なかなか嫌われ役をうまく演じることができる役者さんが少ないです。
  ・・
●「ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○」
 本作は,大手出版社が運営するニュースサイトの編集部員を主人公に,そこで働く者たちの仕事・生き方・恋愛を通して,新時代の“人と人とのつながり”を描く,完全オリジナルの社会派“風”お仕事エンターテインメント。
 このドラマは独特な「暗さ」があって,私はそうした雰囲気が嫌いではなので見ています。この「暗さ」が主人公を演じる黒木華さんの持ち味なのでしょう。このドラマもまた,キャストが違ったらどう変わっていたのかな,ということに私は興味があります。
 しかし,見終わるいなや,どんな物語だったのかスパッとわすれてしまうのはどうしてなのでしょう。
  ・・
●「鉄オタ道子,2万キロ」
 家具メーカーで働く大兼久道子には誰にも言えない秘密があった。それは鉄道オタクであるということ。別れた恋人との間に起きた出来事がトラウマとなってしまった道子は休みになると,誰にも干渉されず,誰にも邪魔されることのない鉄道ひとり旅を楽しむ。本作は鉄道オタクである女性が日本全国様々な場所を旅することで,そこかしこで出会う人々との交流や普段見れない景色などを楽しみながら本当の自分を探していく物語。
 このドラマは大した展開もなく,さほど凝ったものでもなく,ローカル線の景色と旅情を楽しむもののようです。もう少し話にふくらみがあるといいとおもうのですが,何せ,出てくる人が少ないので,工夫の仕様がないのでしょう。
 このコロナ禍でこのようなドラマを流すのはメリットでもありデメリットでもあり,といったところでしょうか。私は,このようなドラマでは出てくる場所にすぐに行きたくなってしまうのですが,今は公共交通機関を利用するのを避けているのでそれが実現しないのが残念です。

 これらのドラマ以上に楽しみにしているものが,連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」です。今シーズンは,このふたつのドラマがおもしろいので助かっています。少しはNHKの高額な受信料を払った元が取れているのかな。

◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_3577DSC_0912DSC_1085sDSC_1353s

 このごろは遠出もしないで,もっぱら家の付近を散歩しています。散歩のお供に,多くの人は犬を連れているのですが,長年,単に趣味で写真を楽しんでいる私は,犬を飼っていないので,その代わりにカメラを持っていきます。
 スマホで事足りるという理由からカメラが売れなくなってしまったということですが,実際はディタルカメラが発売される以前の水準に戻っただけのことでしょう。私はそんな流れとは逆に,魚眼レンズやマクロレンズ,さらには望遠レンズなどを使って,スマホでは写すことができないもの,そしてまた,暗くてスマホでは画像が荒れてしまうような被写体を写すのが楽しくなって,カメラを見直しています。
  ・・
 以前は,新しいカメラが発表されれば,カタログを手に入れて飽きるほど眺めたり,写真雑誌に載った記事を見てはそれを手にする思いを巡らせていました。そして,時には実際にカメラやレンズを買って満足していました。
 長年にわたって計画的に買いそろえてきたために,現在では,買いためたものを使えば,ほぼ,どんな被写体でも写すシステムができあがりました。しかし,そうして長年カメラに熱中した結果,写真はカメラではなく被写体で決まるものだなあと,改めて思うようになってきました。
 そんな折,各社のカメラが,従来の一眼レフカメラからミラーレス一眼レフカメラに変わり,それとともにマウントを変更しました。そんなことをされても,私は困るだけです。「インチキ富裕層」の私が今更新しいマウントのシステムを構築する気持ちなどありません。新しいシステムのほうが性能がいい云々といわれても,私にはその違いを引き出せるような腕はないし,スポーツの瞬間瞬間を失敗なく捉えなければならないようなプロのカメラマンでもありません。私は,今持っているもので楽しめればそれで十分なのです。大きくて重たくて高価なカメラなんていらないし。それに,写真はカメラでなく被写体で決まるのです。

 さて,先日,家の近くで花火大会がありました。
 これまで,私は,花火に限らず,春の桜も,秋の紅葉も,どうしてこの国の人は静かにそれを眺め,楽しむことができないのかな,と思っていました。何もかも,屋台が出たり酒がでたりしてお祭りにしてしまうのです。そうしたことが大嫌いな私は,コロナ禍の自粛ムードやらでそんな状態がなくなったので,むしろホッとしています。
  ・・
 花火は,すごい人混みが嫌で,私はこれまで写したことがありませんでした。それが家の近くで花火大会が行われるということだったので,それならよく見える場所まで歩いていくことができるなあと,そこまで行って写真を撮ってみることにしました。
 いい加減な私は,いつものように,事前に何も調べず,準備もせず,まあ,こんなもの写すだけだと高を括り,三脚も持たず,カメラを持って花火を写そうとしました。その結果,当然のこと,どうしていいかわからず,戸惑うことになってしまいました。
 結果的に,まあ,何とか自分なりに写せたのですが,これもまた,いつものようにあとで後悔し,どうしたら花火が上手に写せるか,終わったあとに調べることとなりました。そこで,「次回」があるかどうかわかりませんが,花火を上手に写す方法をまとめておくことにします。

  ・・・・・・
●露出
 花火の撮影は花火の開花に合わせて長時間露出をします。露出時間は,中型の単発打上花火だと4秒から6秒,大きな尺玉だと8秒から10秒間,また,三尺玉になると20秒から30秒間となります。ならば,三脚が必要です。
●感度
 感度は,ISO100またはISO200などの最低感度にするということなので,星を写すのとは,ここが異なります。また,絞りは,ISO100の場合はF13,ISO200の場合はF19が適当ということです。それは,花火が非常に明るい被写体なので,露出オーバーを防ぐためです。しかし,絞ると回析現象が出てしまうことがあるので,露出オーバーと回析現象を少しでも防ぐためにNDフィルターを使用するといいといわれます。
●ホワイトバランス
 花火の種類によってふたつのホワイトバランスを切り替えて撮影します。色鮮やかな花火は「電球」または色温度設定3,200ケルビン。錦冠菊や和火などは「晴天」または色温度設定4,500ケルビンから4,800ケルビンです。
●ピント合わせ
 ピントは,最初に上がる花火をオートフォーカスで合わせたのち,マニュアルフォーカスに切り替えます。
●シャッターチャンス
 単発打ち上げを撮るときのシャッターボタンを押すタイミングは花火が打ち上がると同時にシャッターボタンを押し,花火が上空で消えるのを確認したらシャッターボタンから指を離します。
  ・・・・・・
 このように,たかが花火でもそれを写すには,カメラの性能以前に,きちんとした写し方があるものです。私のようにぶっつけ本番ではだめです。
 やはり私にはカメラ云々などと機材のよし悪しを語る以前に,被写体を選び,それを写し止める「腕」を磨くほうが大切だと改めて思い知りました。


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

IMG_0120IMG_0103IMG_0104IMG_0087

######
 BS-TBSで放送されている「ヒロシのぼっちキャンプ」の影響なのかどうかは知りませんが,アウトドアが「ブーム」なのだそうです。ホームセンターのチラシにも,アウトドアグッズがいっぱい載っています。
 何事も,本当に好きな人だけが楽しんでいるときはよいのですが,日本では何かのきっかけで「ブーム」になると,大概はめっちゃくちゃになって終焉を迎えます。自分をもたない,いつもブームに乗っかるだけの多くの人があやかろうとしてマネごとをはじめ,常に金になる材料はないかと商魂たくましいメーカーが,そうした人を対象にわけのわからぬ製品を売り出すわけです。そして,まずは形からと買いあさり,しかし,実際には何もできず飽きて,それで終わりです。
 ブームにあやかろうと,テントを買ったりBBQ用品を買ったりした人は,それをほとんど利用しないままで粗大ごみと化するのでしょう。みなさん,よくもまあ,そんなにお金があることです。
  ・・
 こんなことは,長年生きていると容易にわかります。私は,この繰り返しをこれまで何度見てきたことでしょうか。

 かくいう私は,アウトドアというよりも,星空が美しく見られる場所がないかと,昔から山の中を放浪しました。その結果,残念ながら,そんな場所は日本にはどこにもない,という結論に至りました。
 アウトドアを扱ったテレビ番組は,風景の一部分だけいいとこ撮りで放送しているから,それはやらせではないけれど,正しい情報ではありません。たとえば,いかにも大自然の中でたったひとりで自由にキャンプをしているかのように見える場所も,実際にその場所に行けば,カメラの写さないところには多くの人が殺到していたり,あるいは,その場所に入るには事前に許可が必要であったりと,実際に行ってみると,イメージとはまったく違ったり,思い描いていたようなところではないこと疑いなしです。
 そもそも,日本のような,狭く,自然破壊の大好きな国でアウトドアなんて,所詮は無理です。

 アメリカやオーストラリアには多くのキャンプ場があります。そこには,実際に,日本人が夢を抱くような世界があります。
 私は,幸運にもどういう縁か誘われて,アメリカでは,そうしたキャンプ場で夜を過ごしたことが何度もあります。オーストラリアのキャンプ場にも,泊まる機会はありませんでしたが,行ったことがあります。そこで体験して思ったのは,こうしたアウトドアに対する訓練を受けていない日本人は無力だということです。自然との楽しみ方もわからないし,何か事があってもまったく対応ができません。自然は美しいけれど,過酷でもあります。
 日本にあるオートキャンプ場は,近くに売店があったり,水洗トイレがあったりと,至れり尽くせりで,あんなところは,本当のアウトドアではなく,単なるままごとです。それだけならまだしも,マナーが守れない人が少なからずいて,不快になることが多々あります。しかも,土地が狭いから,ぎっしりと混み合っています。
 
 行政は,自然を守り,そこに人が溶け込んで楽しめるような施設を作ればいいのですが,施設を作る側の人にも知識がないから,結局はわけのわからぬものをこしらえて,その結果,自然破壊となり,設備は朽ちはて廃墟と化していくのです。そんな名ばかりのキャンプ場が近くにもごろごろあります。
 また,民間の施設だと,お客様は神様と,わがままな要望を聞くので,安全第一とばかりに,夜になれば街灯を灯し,トレイにはウォッシュレットを設置したり,自動販売機を設置したり,おまけにレストランを作ったりして,手ぶらでキャンプができますよ,などと言い出す始末です。
  ・・
 まあ,何をするのも人様に迷惑をかけなければ自由ですが,せめて,自然を破壊することや,ゴミを捨てることや,意味のない設備を作ってそれが朽ちるままにすることだけはやめていただきたいものだと,私はつねづね思うのですけれど,そんなことを声を大にして言ったところで,何の意味もなく,懲りずに自然破壊を繰り返していることもまた,長年生きているとわかります。
 それが,この日本という国なのです。


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

IMG_8641IMG_9037IMG_9043

 この時期の私は,通常だと,新年度の海外旅行の計画を立て予約をするのに忙しいのですが,今年はそういうこともないので寂しい年度末になってしまいました。
 とはいえ,実際は,どこかぜひ行ってみたいというところもなく,その代わりの新たな楽しみがたくさんできたことでもあり,相変わらず,日々充実した生活をおくっています。
 また,何かを買いたいという物質欲も皆無となったので,ポイント還元セールとかのダイレクトメールが来たところで,そもそも,買わないのだから意味もなく,はたまた,時折送られてくる迷惑メールも,お金に誘惑されないのだから,アホかと軽蔑するだけで相手にもせず,私は,やっと,長年目指してきた「高等遊民」の真似事ができるようになったと自己満足するこのごろです。
  ・・
 私の朝の日常は,午前5時に起床します。まず空を見て,晴れていれば,ふらっと外に出て,明かりのない田んぼのあぜ道まで行って星を写したりすることもあります。そうでない日はNHK BSPで放送されるクラシック音楽の室内楽を聴きます。その後は,新聞を読みながら朝食をとります。
 一時期,紙媒体の新聞を読むのをやめていたのですが,ネットやテレビの煽るだけの押し付け情報にほとほと嫌気がさし,意味がないと悟り,紙媒体の新聞だけに改めました。よほどの自然災害でもない限り,新聞からの情報だけで必要十分であり,これ以外の情報は必要ないと確信するようになりました。どうやら,それは私だけのことではないようで,私の周りの人たちの多くも,もう,テレビの報道番組は不愉快なだけだから見ないよと言っています。
 さて,食後は,雨が降っていなければ1時間ほど散歩に出かけます。家の周りは自然がいっぱいで,人とも会わないので,とても幸せです。そして,帰ってからは,コーヒーを飲みながら音楽を聴く,という感じです。天気が悪い日は,音楽を聴く時間が増えます。

 こうして,静かに音楽を聴くようになってみると,新たな驚きがありました。それは,音楽のよし悪しがすごくよくわかるようになってきたということです。
 これまでは,ノルマのようにNHK交響楽団の定期公演に出かけたり,あるいは,興味のあるコンサートのチケットを買って聴きにいったりしていたのですが,今考えてみると,じっくり味わうという余裕がなかったように思います。それが,今のように,耳から音楽をじっくりと味わうようになると,これまで気づかなかった発見がたくさんあるのです。
 このごろ私が聴いているのは,自分の持っている音源やNHK FM放送,さらに,YouTube にあるすぐれた演奏です。通常は「ながら聴き」で,音楽を流して本を読んだりしているのですが,時として,ものすごく上手なものが聞こえてきて,そういうものに出会うと,思わず本を読むのを止めて音楽にのめり込んでしまいます。
 あとで知るには,そうしたものは,やはり,もともと評価の高いものが多いのですが,このごろはそのよさがとてもよくわかるようになってきたのです。それはたとえば,ギュンター・ヴァント(Gunter Wand)の指揮するものであったり,パーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Jarvi)の指揮するものであったりします。同じ譜面で演奏するのに,聴き手にどうしてこれほど感動の度合いの違いが生まれるのか,それがとても不思議なことです。

 コロナ禍でほとんどコンサートに行く機会がなくなってしまいましたが,これまでこのブログにも書いたように,その期間に出かけたふたつのコンサートは,そうしたものに比べたら,格段の差があったのが,とても残念なことでした。逆に言えば,これ以前は,それほど気にもしなかったのに,なんとすばらしい音楽をコンサート会場で聴いていたのか,と思うわけです。1日も早く,また,そうした音楽に出会えるようになりたいものです。
  ・・
 と,ここまで書いていて…
 2021年3月7日にNHK Eテレクラシック音楽館で,昨年12月5日に行われたNHK交響楽団 12⽉公演を放送していました。指揮は井上道義さんで,ピアノを松田華音さんが弾きました。演奏会当日にNHK FMで生放送があって,すでにそのとき聴いてすばらしいと思ったのですが,改めてテレビで放送されたので,見ることにしたのです。
 このところ,音楽は耳から聴くもの,映像が感動の妨げになると思っていたので,今回も期待していなかったのですが,そんな予想に反して,思わず引き込まれました。ぜひ生で聴いてみたいと思ったコンサートでした。
 こうして,本当に久しぶりにすばらしいコンサートに出会いました。でも,一体このように感動できるコンサートは何が違うのだろう,と思いました。きっとこういうのを「オーラ」というのでしょう。このコンサートの様子を見て,コロナ禍以前にコンサートを聴くためにわざわざ東京まで出かけていたときの,今はすっかり忘れていた情熱と感動を思い出しました。

zzzvvvvbbb


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

2020-03-23_11-08-39_937DSC_3859DSC_3864DSC_3866pht_large_1977

 この国には,その建設の是非が問われながら,強硬され作られたものが数多くあります。そして,それらは,建設する目的やら建設することによって失われるものやらなどが,計画されたときには盛んに議論されつつも実際には聞く耳など全くもたず,常に建設が強硬されますが,一旦作られてしまうと,その後はどうなったか,一般にはほとんど報道さえされません。
 たとえば,そのひとつに長良川河口堰があります。
 長良川河口堰は,海水の逆流を防ぎ,貯めた水を愛知・三重両県と名古屋市の工業・上水道用水として取水することを目的として,長良川下流に設置された可動堰です。1988年に着工され,1995年に運用が開始されました。
 旧東海道・桑名宿からその巨大な不気味な姿を見ることができます。
 もうひとつは,徳山ダムです。
 徳山ダムは,岐阜県揖斐川町の揖斐川上流に建設された多目的ロックフィルダムです。1971年に着工され,2008年に完成しました。ダム湖の総貯水量は6億6000万立方メートルで,奥只見ダムをしのぎ日本最大の容量を誇ります。
 徳山ダムを建設したことで徳山村が水没しました。

 少しまえ,徳山ダムを見にいく機会がありました。そこで思い出したのが,増山たづ子さんのことです。
 増山たづ子さんは1917年(大正6年)に生まれ,2006年(平成18年)に亡くなったアマチュア写真家です。
 徳山村で農業のかたわら民宿を営んでいたのですが,徳山ダムの建設が計画されて徳山村が水没することを知ります。個人的にはダム建設に反対であったようですが,「国がやろうと思うことは戦争もダムも必ずやるから反対するのは大河に蟻がさからうようなもの」としてこの事実を受け止め,その後は徳山村の記録を残したいという思いから写真を撮りはじめ,消え行く村の人々の表情,四季,自然,家,建物,風景,祭り,風習,民俗などのありとあらゆるものを撮り続けました。生涯に撮影した写真は8万枚に及んだといいます。
 このことがニュースで取り上げられたとき,この愛称「カメラばあちゃん」が使っていたカメラが「ピッカリコニカ」であることに驚きました。写真を撮りはじめた当初はフィルムも入れられなかったのですが,民宿のお客さんに「素人の自分でも写せるカメラはないか」と相談したところ「猫がけっころがしても(蹴飛ばしても)写るものがある」と勧められたからといいます。

 スマホでだれでも写真が写せる今とは違って,その時代,写真を撮るのはカメラマニア以外には難しいことでした。コニカ・小西六写真工業(現コニカミノルタ)は,1968年にコンパクト35mmカメラ「コニカC35」通称「ジャ~ニ~コニカ」を発売しました。このカメラは自動露出機能により「手軽に撮影できるカメラ」として女性需要層を核とした新規需要創生に成功しました。それに次いで,1974年,室内撮影需要に応えるべく,世界ではじめて小型ストロボを搭載した「コニカC35EF」通称「ピッカリコニカ」を発売して,販売台数100万台超を達成しました。
 私が驚いたのは,たいそうな高級カメラでなくとも,これだけの写真を写すことができるということでした。それまでの私は,写真好きというよりカメラ好きで,カタログを眺めては満足し,高級カメラに憧れていたからです。
  ・・
 今,増山たづ子さんの残した写真はインターネット上で見ることができますが,その写真の上手なこと! 写真の中で,人が息づいています。私は,このとき,自分の愚かさに気づかされました。写真のよさはカメラのよさで決まるものではないのです。
 私を含めて,世に多くのにわかカメラマニアがいます。しかし,その多くは,昔の私のように,写真好きというよりカメラ好きで,インターネット上にもそうした話題で盛り上がるサイトが数多くあります。そして,新製品が出るたびに,やれ買いだ買いだと騒いでいます。しかし,私は,それ以来,写真はカメラでは決まらないという思いから,そうしたカメラ好きからは,一歩ひくことにしたのです。
 それにしても,私が一向に写真がうまく撮れないのは,増山たづ子さんとは違って,才能がないからでしょう。そしてまた,消えていく自分の故郷を思うようなひたむきさが足りないからなのでしょう。 

◇◇◇
Doctor Yellow.

3月5日,家の近くをドクターイエローが走りました。
あいにくの雨模様でしたが,動画を写しました。
今日3月6日も走ります。


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

IMG_5955 main_pc ワトソン main_pc (1) main_pc (2) title main_pc (3)

######
 今日は私がCSの「スーパー!ドラマTV」で見ているアメリカのテレビドラマを紹介しましょう。字幕付き英語版で見ています。

●「インスティンクト・異常犯罪捜査」(Instinct)
  ・・・・・・
 元CIAのスパイでゲイの大学教授兼作家であるディラン・ラインハート博士(Dr. Dylan Reinhart)とニューヨーク市警の女刑事エリザベス・ニーダム(Elizabeth "Lizzie" Needham)がコンビを組み,異常犯罪をスタイリッシュかつコミカルに捜査するさまを描くクライムドラマ。
  ・・・・・・
 このドラマはおもしろいです。現在第2シーズンですが,女性刑事に恋人ができて,性格が変わっていくのが興味深いです。しかし,このドラマも第2シーズンで打ち切りのようです。
  ・・
●「エレメンタリーホームズ&ワトソン in NY」(Elementary)
  ・・・・・・
 アーサー・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle)が生み出したキャラクターであるシャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)を主人公として,舞台をイギリスのロンドンから現代のアメリカ合衆国に置き換えて,現代のニューヨークを舞台にシャーロック・ホームズがワトソン女史と難事件に挑む犯罪捜査ミステリー。
  ・・・・・・
 現在放送しているのは最終シーズンです。私はこのドラマのおもしろさは今ひとつわからないのですが,なぜ人気なのか不思議です。ジョーン・ワトソン医師(Dr. John H. Watson)を女性のルーシー・リュー(Lucy Liu)が演じているのですが,はじめのころに比べて魅力がなくなってしまったのが私には残念です。
  ・・
●「ママさん刑事ローラ・ダイヤモンド」(The Mysteries of Laura)
  ・・・・・・
 ニューヨーク市警の殺人課に所属する刑事ローラ・ダイヤモンド(Detective Laura Diamond)は,事件解決に向けた捜査のため日々ニューヨークの街を駆け回る一方,やんちゃな双子の息子たちのシングルマザーとして奮闘している。離婚協議中で別居している夫もニューヨーク市警の警部補だが,自分勝手な性格で頼りにならない。
  ・・・・・・
 これもおもしろいです。第1シーズンは終わってしまいましたが,3月から第2シーズンが放送されるということなので楽しみにしてます。
  ・・
●「ビッグバン★セオリー・ギークなボクらの恋愛法則」(The Big Bang Theory)
  ・・・・・・
 ふたり合わせたIQが360という20代の仲良しオタクコンビ,レナード(Leonard Hofstadter)とシェルドン(Sheldon Cooper)はカリフォルニア工科大学の物理学者。頭脳は明晰で博士号を得るほど賢いが,どうも世間からズレていて,友人もみんな変わり者。ある日,そんなふたりの部屋の向かいにキュートなブロンドの独身美女が引っ越してきたことから始まるコメディ・ドラマ。
  ・・・・・・
 このドラマはアメリカに行ってテレビをつけるといつも放送されています。アメリカ人好みのソープオペラの流れを汲んでいるのでしょう。このドラマに出てくるメイム・ビアリク(Mayim Bialik)という女優さんはかつてNHKで放送された「ブロッサム」(Blossom)というドラマで主役を演じていたのですが,それが懐かしいです。
 私は,このドラマの理系的な会話には魅力を感じるのですが,下ネタが多いのが気に入らないです。これもアメリカ人には好みなのでしょうか?
 このドラマのすごいところは,月に立った宇宙飛行士のエドウィン・オルドリン(Edwin Eugene “Buzz” Aldrin)やスティーブン・ホーキング博士(Dr. Stephen William Hawking)など,数々の有名人が実際に出演したことでした。このドラマもまた,今回のシーズンで見終めです。
 ちなみに「ギーク」(geek)というのは,もともとは見世物でヘビやニワトリを食いちぎったり昆虫を呑み込んだりするパフォーマーのことを指していました。それが転じて日本語の「オタク」となり,インターネットの普及がはじまったときに,一般の人より先に「ギーク」たちがそれを使いこなしていたために「ギーク」たちが羨望の的となって以来,卓越した知識がある者を指す肯定的な言葉として市民権を得ました。
  ・・
●「SCORPION/スコーピオン」(Scorpion)
  ・・・・・・
 IQ197の頭脳を持つ天才,凄腕の行動心理学者,機械工学の天才,天才数学者の4人組とアメリカ合衆国国土安全保障省のベテラン捜査官,さらに,天才4人組の渉外係を引き受けたシングル・マザーで構成される天才集団チーム「スコーピオン」が,解決不可能に思える様々な難事件に,最新テクノロジーと頭脳を駆使して挑む最新犯罪捜査ミステリー。
  ・・・・・・
 現在第4シーズンですが,これもまた,このシーズンで終了です。天才集団で一般人の常識をもっていないという設定が「ビッグバン★セオリー」と似ていますが,私にはこちらのほうが好みです。
 毎回ハッピーエンドで終わるので,安心して手に汗握って楽しめます。
 「ギーク」に対して「ナード」(neard)という言葉があります。「ナード」は,もともとはドクター・スース(Theodor Seuss "Ted" Geisel)という絵本作家の「If I Ran the Zoo」に登場する怪物の名前で,「ドリップ」(drip=面白くないやつ),「スクエア」(square=くそまじめなやつ)を意味するスラングでした。現在,「ナード」は「ギーク」と同じく,頭がいいが社交を苦手とする者を意味しますが,「ギーク」が社交の適性があるのに対して「ナード」は見た目が変わっていて行動が予想外でコンピューターやSF以外については話ができない者を指します。このスコーピオンに出てくる天才集団はまさにこの「ナード」です。
  ・・
●「TAKE TWO/相棒は名探偵」(Take Two)
  ・・・・・・
 俳優の婚約者に恥ずかしいフラれ方をされた上に,長年続けていたドラマまで打ち切られどん底になった女優サマンサ・サム・スウィフトに,私立探偵役で映画への出演のチャンスが巡ってきた。実際の私立探偵であるエディに,役作りのための実地体験をさせるよう依頼,凄腕私立探偵とタッグを組んで様々な事件を解決する。
  ・・・・・・
 3月からはじまる新シーズンを楽しみにしています。

 アメリカのドラマは英語の勉強にもなるので,昔から見ていたのですが,暴力シーンがやたらと多いものばかりなのが欠点です。その中でも比較的そうしたシーンのないドラマを探してみていますが,日本のドラマのように「ながら見」しているとわけがわからなくなるのが長所というか欠点というか。
 いずれにしても,アメリカ人は犯罪モノや弁護士モノ,そして,政治モノが好きなんだなあと思います。こういう国で生きるは大変です。

◇◇◇
ISS.

野口聡一さんを乗せた国際宇宙ステーションが,連日,明け方の空に見えますが,2月21日の早朝にも写しました。とても明るく見えました。

ISSs


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

IMG_8173 天国と地獄 nijikaru_title1 知ってるワイフ ドリームチーム

######
 「エール」と「麒麟がくる」が終わり,ロスになった私は,はじまったドラマを片っ端から見て,気に入ったものだけを見続けることにしました。私が気に入るドラマというのは,とにかくおもしろいこと,そして,いじめだのいびりだのという要素のないもの,深刻でないもの,そして,ワクワクするものです。とはいっても,軽すぎてはいけません。また,世間の評判や視聴率は気にしません。
 ということで,好みが結構うるさいのですが,そんななかで,気に入ったものを紹介します。
 今日はまず,国内のものから。

●「天国と地獄~サイコな2人~」
  ・・・・・・
 ドン詰まりな女性刑事とサイコパスな殺人鬼の魂が入れ替わる⁈
 人生が逆転した2人の愛と運命が交錯する,究極の入れ替わりエンターテインメント。
  ・・・・・・
ということですが,綾瀬はるかさんと高橋一生さんの演技が見ものです。見はじめると,最初から最後までワクワクしどうしで,時間が経つのを忘れるドラマです。
 ドラマの展開はだんだんとぐっちゃぐちゃになってきていて,どう決着がつくのか予想ができません。今後がとても楽しみです。
  ・・
●「にじいろカルテ」
  ・・・・・・
 秘密を抱えた“ポンコツ女ドクター”は山奥の怪しい“ぽつんと診療所”へ。ヘンテコな外科医&看護師とまさかのひとつ屋根の下でシェアハウス!? 手術をしたら終わり? そうじゃない。
 全然スーパードクターじゃない3人の笑って泣けるチーム医療ドラマ!
  ・・・・・・
 さすが朝ドラ「ひよっこ」の脚本家である岡田惠和さんが書くと,こういうほっこりドラマとなります。見終わってすがすがしくなるので,元気が出ていいです。今後,高畑充希さん演じる主人公“ポンコツ女ドクター”の病気が気がかりです。ハッピーエンドを期待します。私は暗いのは嫌いです。
  ・・
●「知ってるワイフ」
 韓国で放送されたテレビドラマの日本版だそうですが,私は韓国ドラマは見ないので,内容はまったく知りません。
  ・・・・・・
 結婚を後悔した恐妻家の男性が,ある日突然車で過去に戻り妻を取り替えてしまおうと目論む中で,「自分にとって大切な人とは」「誰かと人生を生きていくとはどういうことか」という夫婦の普遍的なテーマを描く。
  ・・・・・・・
ということですが,家で奥さんと一緒に見ている旦那さんがみんな気まずくなっているという話です。
 それにしても,恐妻家の男性さん,本当にバカですし,生きるのが下手すぎます。まったく共感できません。こういう無能男がもし身近にいたら私は腹立ってくることでしょう。それだけならドラマの役の上だから問題ないのですが,その役を演じる大倉忠義さんが下手すぎます。これではまるで学芸会です。もっと上手な人が演じていれば,また,ドラマの印象も変わったことでしょう。
  ・・
●「ドリームチーム」
  ・・・・・・
 ステキ主婦からふびんな妻へ転落した主人公の39歳・香菜,突然の左遷と彼の浮気発覚に沈む51歳・優子,“盛った”ことがばれてSNSが大炎上した27歳・茜。
 彼女たちの共通点は,高校時代バスケットボール部のキャプテンとして青春をかけたということ! ドン底にいる彼女たちの背中を後押しするのはバスケットボール部の恩師の言葉「最後まで攻めろ!」。逆境を乗り越え,一度はつまずいても新たな人生へと一歩踏み出していくすがすがしい姿を描く物語。
  ・・・・・・
 これは,いかにもNHK名古屋制作らしい安っぽくて垢抜けしないドラマです。朝ドラと大河ドラマ以外のNHKのドラマに多くを期待してはいけません。ニコンの販売する大衆向けのOEMカメラと同じです。そもそも私は体育会系というのが嫌いですが,私の地元の町でロケをしているので,それを見るのがこのドラマの楽しみです。
 それにしても,このドラマは「知ってるワイフ」の反対で,山口紗弥加さんが演じるパワハラ夫を足蹴にできない弱い妻が,見ていて情けないです。あっ,そうか。そんな男の本性も見抜けないでブランドにつられて結婚したことがそもそもの間違いだ,という教訓でしょうか? それなら自業自得ってやつです。

 ということで,洪水のごとく作られるドラマで,その存在を光らせるのに苦労しているなあ,と思ってしまいます。作る側もたいへんですが,その多くはアニメの焼き直し。安直なんです。また,それを見て,ネット上でああだこうだと批評している人も,私は暇だなあと思います。そうか,このブログも同じか。
 ともかく,所詮,テレビは娯楽。本音は視聴率がほしいだけなのに,勝手に大騒ぎをして,見たくもない情報番組を視聴者に押しつけて社会的使命と正義を担っているつもりよりもずっとマシ。テレビなど楽しく暇つぶしができれば,私にはそれで十分です。
 お願いだから,L字テロップやQRコードなんてドラマにかぶせないでね,NHKさん。

◇◇◇
ISS.

野口聡一さんを乗せた国際宇宙ステーションが,連日,明け方の空に見えます。実際に見るととても感動します。
動画に挑戦したり,広角レンズで写したりしていますが,なかなかカメラに収めるのは難しいものです。上の写真が2月19日の早朝,下の写真が2月20日の早朝です。

DSC_6263zzNew1zz


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

DSC_0175

######
 近年の将棋ブームで,プロの棋士が,将棋を指す姿だけでなく人間的な様々な姿を見る機会が増えました。スナックでお酒を呑みながら将棋の話をするというニコニコ生中継もありました。私は,プロ棋士のこうした姿を見ると,本当にこの人たちは将棋が好きなんだなあとしみじみ思うとともに,あれだけひとつのことに打ち込めるということがうらやましくもあります。それほど熱中できれば,暇で困るということは決してありますまい。おそらく9時間飛行機に乗っても,ずっと詰将棋でも解いていれば時間がつぶせることでしょう。
 ところで,私の亡くなった両親は何かに夢中になるということを嫌った人たちで,私が子供のころに興味をもったことに夢中になると叱りました。それは,子供の可能性を潰しただけの,いわば毒親の行為だったと今の私には思えるのですが,そうして育ったために,何かに打ち込むことは悪いことだというトラウマができました。その結果,私には,何をしても80点主義,そして飽きっぽいという性格が形成されました。そんな性格では,大学で研究をするとか,何かのスポーツに打ち込むとか,そういう仕事は不可能です。まあ,それは私の負け惜しみであって,おそらくは,それ以前に,才能がないというのが実は一番の問題なのでしょうけれど…。

 私のことはさて置いて,本題に戻します。
 朝から晩まで頭の中に将棋盤があって,それを考えていれば幸せ,という生き方は,私には想像ができません。それが仕事だろう,といってしまえばそれまでですが,仕事とはいっても,始終そのことを考えていれば楽しいというのがすごいことです。そして,うらやましいことです。
 ところで,はじめに書いたスナックでお酒を呑みながら… を見ていて,そこに出演していた棋士の先生を,はじめはうらやましく思っていたのですが,そのうちあることに気づきました。
 将棋というのは学問ではなく勝負の世界なのです。したがって,結果が出ます。結果が悪ければ,挫折もします。だから,この人たちは,その結果を忘れさるために酒が必要なのです。そのことに気づいたら,棋士の悲哀を感じずにはいられませんでした。何かに打ち込むというのは,実は悲しいことでもあったのです。
  ・・
 将棋に限らず,どんな世界でも,超一流,という人がいます。それは,神様がその天分を授けた選ばれた人なのでしょう。そんな天分を授かった人だけが,凡人には見えない世界に到達できるのであって,凡人がそうなりたいと思ってどれだけ努力をしても,それは無理なことなのです。もともと,人が鳥のように空が飛べないのと同様,人間の質そのものが違うのです。
 しかし,そうした天分があって,その世界で何かを成し遂げるということが人生のすべてとなることが,私にはうらやましくはあっても,本当に幸せなのかなあ,どこかで飽きてしまうということはないのかなあ,と,飽きっぽい私はそんないらぬ心配をしてしまうのです。


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

IMG_1957161225-0002blog_import_5c97ae81a066cblog_import_5c97ae879600e

######
 再放送ばかりのテレビ番組ですが,その中でも,旅番組がずいぶん多いものです。が,玉石混交です。
 私にとって,はじめて見た旅番組は「兼高かおる世界の旅」(KAORU KANETAKA'S "THE WORLD AROUND US")でした。「兼高かおる世界の旅」は,1959年から1990年にかけて30年10か月もの間,TBS系列局で毎週日曜日朝に放送されたものです。旅で収録してきた映像を会話形式で振り返りながら見るという番組でした。今にして思うに,海外渡航が夢の時代に世界中を訪れてさまざまな体験をした兼高かおるさんは,すごい女性でした。そもそも,当時,外国語を自由に操るという人がとてもうらやましかったのを覚えています。
 その次が1975年から1980年までTBS系列で放送された「おはよう720」もしくは「おはよう700」という番組の中の「キャラバンⅡ」のコーナーでした。この番組は今でいう朝のワイドショーなのですが,そのなかのコーナーで,車1台で,ポルトガルのリスボンから東京といった距離を横断する番組でした。そのころは,私が子供だったというだけでなく,お金があってもだれもが自由に海外旅行ができるという時代でなかったから,外国が本当に遠かったのですが,そうした時代にこれらの番組を見ては,いつかは行ってみたいとあこがれたものでした。今,当時のテレビ番組を記録した写真を見ていると,そのころの夢いっぱいの自分を思い浮かべて涙がでてきます。

 私の子供のころは,こうした,できないことをうらやましいという気持ちが夢を育てたのです。しかし,現代はその逆に情報があふれていて,やる気になればなんでもできるから,夢を夢と思わなくなっているので,その点では,むしろ今の若者のほうが不幸なのかもしれません。
 そしてまた,私の親の世代は,憧れても実現できなかったのですが,ちょうど私くらいの年代は,子供のころに憧れたことが大人になって実現できたというとてもいい時代だったのです。そこで,私はその夢を実現して,行きたかったところのそのほとんどに行くことができたわけです。
 ところが,2020年のコロナ禍で,私が憧れていたあの時代よりも,さらに外国が遠くなってしまいました。そうした折,テレビをつけると,そのほとんどが再放送ですが,旅番組が目白押しです。しかし,そうした旅番組を見ると,国内,国外にかかわらず,その多くは本当につまらないものです。
 その理由はふたつあります。
 そのひとつめは,レポーターが無知な場合です。旅というのは,その人のもつすべての経験や知識が反映されるものです。そこで,あまりに不勉強な人や騒がしいだけの人がレポーターをやっても,不快ななだけなのです。そこで,こういう番組に出演する芸能人はリスクだらけだといえます。ドラマなら台本があるので,虚像が作れますが,旅番組ではその人の能力,つまり実像が問われるからです。旅番組でイメージが崩れてしまった芸能人が私には少なくありません。
 ふたつめは単に名所や旧跡,食べ物屋を紹介するものです。そんなものなら,ガイドブックを見れば事足りますし,そのような番組は山ほどあるので,いい加減見飽きました。特に,お笑いタレントが受けを狙ってやっているようなものは最低です。

 ということで,私が今おもしろいと思って見ている旅番組は,NHKBSPの「にっぽん横断こころ旅」と「世界ふれあい街歩き」です。前者は日本国内の,そして,後者は主に海外のさまざまな場所を対象としています。ともにいえるのは,その地に住む人との触れ合いが主となっていることです。そして,どちらも,名所・旧跡の紹介でないということですが,私が行ったところが出てくるとうれしくもなります。ただし,「にっぽん横断こころ旅」での火野正平さんの喫煙シーンは止めてもらいたいし,「世界ふれあい街歩き」はやらせ感満載ですけれど。
 私は,これまでさまざまな場所に出かけましたが,観光客が群れる名所・旧跡はもうどうでもよく,思い出すのは,むしろ,無名な場所の小さな食堂であるとか,そこに住む人との会話とか,そんなことばかりです。


◆◆◆
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

💛

DSCN7040 (2)

######
 テレビの報道番組を一切遮断してこころ穏やかに過ごすことができるようになった日々です。そうしてみると,それがまあ,いかに快適であるかということが身に染みました。巷にあふれる情報のほとんどは自分にはいらないものでした。
 そこで,「人生暇つぶし」の次のステップとして,肩の凝らないドラマを,NHK,民放問わず見ることにしました。番組表からよさそうなものを探して一度見てみて,自分に合わなければそれでやめ,気に入ったら見続けることにしたのです。今日は,こんな次第で私が見はじめたドラマについての話題を書くことにします。

●「エール」「麒麟がくる」
 まずは定番の朝ドラ(連続テレビ小説)と大河ドラマです。ともに,このごろはあまり見たこともなかったのですが,今年は朝ドラの「エール」と大河ドラマの「麒麟がくる」,ともに出来がよいので気に入りました。
 私がこれまでに見た朝ドラは「あまちゃん」「おひさま」「ちゅらさん」「ひよっこ」です。それらの何がよかったかというと,元気が出るドラマだったということです。とにかく私は暗いものやいびりのあるものはダメです。そして,脚本にきちんとした主張がないとさらにダメです。「エール」はヒロインの二階堂ふみさんがいいです。あんな役柄の女性なら妻にしたいとほれ込みながら見ています。二階堂ふみさんはなんとなく宮崎あおいさんとイメージがダブるのですが,いろいろな表情を見せるのが魅力的です。こんな女優さんがオーディオを受けにきたらほかの人はたまったものではありません。
 大河ドラマの「麒麟がくる」もとてもおもしろいです。これまでに見た大河ドラマの中でもこれは最高です。ただひとつ,しかし,そしてそれが最も残念な問題は,コロナ禍で一度中断したのち,まったく帰蝶さんが出てこなくなってしまったことです。巷では「帰蝶ロス」が起きているとか…。私もそのひとりです。漏れ聞こえてくる噂では,帰蝶を演じている川口春奈さんが別のドラマで忙しいかららしいということでした。そこで,その別のドラマである「極主夫道」を,単に川口春奈さん見たさに,チャンネルを合わせてみました。
  ・・
●「極主夫道」
 「極主夫道」は,
  ・・・・・・
 史上最強の専業主夫が降臨! 主夫力高すぎる“元極道”が筋を通し,世の中と仁義を斬りまくります!! 裏社会に数々の伝説を残した最凶の極道“不死身の龍”。そんな彼が極道から足を洗い,選んだ道はなんと専業主夫だった!
  ・・・・・・
とまあ,実にくだらないドラマです。このドラマを見ても得るものは何もありません。が,暇つぶしにはいいです。というより,「帰蝶ロス」を治療するにはこの妙薬しかないのです。なので,ひき続き見ます。
  ・・
●「一億円のさようなら」「危険なビーナス」
 それ以外のドラマで見はじめたのは「一億円のさようなら」と「危険なビーナス」です。
 「一億円のさようなら」は,
  ・・・・・・
 つつましく平凡に暮らしてきた鉄平は,妻・夏代が48億円の遺産を相続していたことを知る。なぜ妻はそれを隠していたのか。会社での戦いに傷つく鉄平は人生の後半戦に逆転できるか。極上のファミリーストーリー!
  ・・・・・・
ということですが,とにかく,私には内容のすべてにおいて共感できないドラマです。主人公の鉄平の生き方にはまったく理解できません。すぐにキレるし,話し方がねちっこいし,ぜったいに友達になりたくない人物です。しかも,男のくせにぐだぐだしていてなさけない。頭悪そうだし。すぐぶちキレるくせに頭が切れない… まるで私の昔の上司のような輩です。
 ストーリーに「わけ」をもたせるためにいろんなエピソードを絡ませるのですが,そのいずれもが無理があって不自然だし,ありえない話ばかりだし,非現実的だし,できの悪いドラマです。そもそも,子供ももう大人なのでどう生きようと親がとやかく言う必要もないし,金持ちの妻なんてこの先不倫しようとどうしようとひとりでどうにでも生きられることでしょう。で,私なら,そんな薹が立った妻から1億円といわず3億円ほど頂いてさっさと会社も家族も縁を切り,若い女性と再婚でもして楽しい別の人生をはじめます。と思うのですが,まったく共感ができないことが逆に魅力となって,このドラマもまた見続けます。この先何か話が展開するような噂もありますし。相続税はどうなっているんだとかツッコミどころも満載です。
 一方,「危険なビーナス」は,
  ・・・・・・
 東野圭吾の同名小説を原作とする,ある失踪事件をきっかけに,主人公が謎の美女と共に遺産をめぐる名家の争いに巻き込まれていく壮大なスケールのミステリー。東野ミステリーは「引き込まれる世界観」「緻密なトリック」そして「魅力的な登場人物たち」で多くの読者を魅了しているが,本作はそれだけではなく,誰もが驚く「ラストの大逆転」もみどころのひとつ。そんな東野ワールドを黒岩勉の脚本で,連続ドラマならではのスリリングな手法とタッチで描いていく。 
  ・・・・・・
というものです。こちらは48億円に比べたら大したことない30億円の遺産をめぐる骨肉の争いです。私が見はじめた「極主夫道」「一億円のさようなら」「危険なビーナス」のなかでは,これだけがまともなドラマです。あえて原作も読まず,ネタバレ情報も手に入れず,この先の大逆転とやらを楽しみたいと思います。

 こうして,本格的なメインディッシュ(「危険なビーナス」)に安物のぱっさぱさのケーキ(「一億円のさようなら」)とあま~くカロリーの高いジュース(「極主夫道」)をデザートにお付けいただいて,おいしい上等なパン(「麒麟がくる」)と美味な味付けのスープ(「エール」)ともども,私はおなか一杯で秋の夜長を楽しむのです。
 これぞまさに「不良老人」の暇つぶしにうってつけです。

💛

 2年ほど前,私は突如「人恋しい病」にかかったということは前回書きました。そしてめでたく全快しました。すると今度は「人恋しくない病」になったようです。私は本来人嫌い,そこに戻ってしまったのです。
 学生さんは,普段,学校で多くの級友に囲まれて生活しているので,人恋しいという感情より,人が煩わしいという感情のほうが多いように思います。職場で仕事をしている人もまた,人間関係で煩わしい思いをするほうが多いように思います。
 その反対に,退職したあとのお年寄りは孤独に悩まされていることが多く,そういった孤独にどう対処するかといった内容の本もたくさん出版されています。このことも前回書きました。そこで,人恋しくなると,だれでもいいから人と接したいという思いが募ってきます。しかし,実際に人と接すると,よほどその人と価値観や人生観が一致しないと今度は煩わしいことのほうが多いというのが実態です。特に,子供のころならともかく,人生経験が豊富になればなるほど,価値観や人生観は強固になっていくので,他人と合わせることはより難しくなります。

 私が「人恋しい病」になったというのは,ひとりで旅をするときに孤独を感じるということではなく,何かがあったときに助けてくれる人が欲しい,ということが理由のひとつでした。しかし,考えてみれば,そんな事態になったとしても,それはそれで,何がしかの手段で助けを得ることは可能なので,心配には及ばないのです。そんなことは,これまで実際に何度も経験しました。
 それよりも,「人恋しい病」にかかった私がやたらと人と接してみた結果,そこで体験したことは不思議なことばかりでした。私と接した相手は,私にとって,いったい何を考えているのやら,ということだらけでした。そうした経験を通してわかったのは,結局,失望ばかりでした。
  ・・
 たとえば,相手の希望を聞いて,集合場所や時間を決めたとします。朝10時に京都駅前集合がいいな,と言われるとします。そのとき私は,朝7時に京都に行って,ひとりで10時までゆっくり食事をしたり観光をして集合時間までを過ごします。孤独を楽しむわけです。そして10時に相手と落ち合ったときに,私が会うまでにそうした行動をしていたと話すと,相手は,そんなことならどうして7時に集合にしてくれなかったのか,と言うわけです。私は,相手の希望を聞いて集合時間を決めたことなので,それ以前に何をしようか相手には関係がないと思うのです。
 あるいは,どこかに連れて行ってくださいと頼まれたとします。そのときもまた,相手の都合を聞いて,日時を決めます。私は,よほどのことがなければ自分の都合を変更してでも相手に合わせますが,誘った相手自身が,突然都合が悪くなったといってドタキャンをしてくるのです。

 「人恋しい病」にかかった私が人と接点をもってみたら,そんなことばかりが起こりました。そんなこんなで,私は,善かれと思って人に合わせても,結局は身勝手な相手に振り回されるだけで,何のメリットもない,というあたりまえのことを改めて思い知ることになったのです。
 そうした現実がよみがえって,私は「人恋しい病」がすっかり全快してしまったのでした。

IMG_3896

 書店で目につくのは「孤独」と名のつく本です。それは,歳をとるとだれでも「孤独」を感じるからでしょう。
 たとえば 下重暁子さんの書いた「ああ極上の孤独」。この本は,
  ・・・・・・
 現代では「孤独=悪」だというイメージが強く,たとえば孤独死は「憐れだ」「ああはなりたくない」と一方的に忌み嫌われる。しかし,それは少しおかしくないか。そもそも孤独でいるのは,まわりに自分を合わせるくらいならひとりでいるほうが何倍も愉しく充実しているからで,成熟した人間だけが到達できる境地でもある。 
  ・・・・・・
 また,諸富祥彦さんの書いた「孤独の達人 自己を深める心理学」では,
  ・・・・・・
 私たちは必要なつながりを持てずにいるとき,惨めでさみしくつらい気持ちになることがある。しかし,このひとりの状態を「どうせひとりでいるのなら」と主体的に選択し直すと全く異なる意味合いを帯びてくる。大きな自由と解放感が得られる。さらに世間の喧噪から離れて徹底的に孤独に徹し,「深いひとりの時間」を持つことではじめてより深く自分自身であることができ,真実の自己と内面的な充足が得られる。そして同時に,説的に,もっとも強く他者とのつながりを感じ取ることができるのだ。
  ・・・・・・
 齋藤孝さんの「50歳からの孤独入門」には,
  ・・・・・・
 いよいよ「人生の後半戦」という覚悟を迫られる50歳。後悔の念や喪失の不安といかに折り合いをつけることができるか? やがて訪れる「孤独」をむしろ楽しむにはどうすればよいか? 古今東西の賢者に学ぶ齋藤流「後半生をよく生きるメソッド」!
  ・・・・・・
とあります。
 3番目に紹介した本の題名には「孤独」に加えて「50歳」という言葉があります。そうすると今度は大江英樹さんの「定年前50歳から始める「定活」」とか,楠木新さんの「定年後50歳からの生き方,終わり方」と,よく似た類の題名の本がいくらでもでてきます。

 このごろ私は,自分が若いころから抱いていた価値観や人生観が,どうやら多くの人のそれとはまったく違っているようだ,ということに気づきました。こうした本の題名にあるような,多くの人が孤独を感じはじめた50歳を過ぎたころに感じる現実が,私には多くの人とは正反対のものだったということです。
 それは,多くの人が定年退職をするとそれで人生が終わりだと考えるのとは違って,私はやっとこれからが自分の人生のはじまりだと思っていたということです。つまり,人の最大の幸福とは自由を手に入れること,という価値観に基づくと,現役時代に地位とか名誉いう要らないものを手に入れるということは,それで自由が制限されるから,私の価値観とは真逆のこと,だから,そんなものにこだわるのは究極の負け犬だということなのです。
  ・・
 そんな私に,2年前,突然「人恋しい病」が襲ってきたのですが,このことはずっと以前に書きました。そして,その結末はまた後日。

◇◇◇

IMG_2767

DSC_5308DSC_5289DSC_5269

 朝日新聞に連載されている鷲田精一さんの「折々のことば」#1575に次のような文章がありました。
  ・・・・・・
 翔太はパパと,施設で暮らす祖母を訪ねるが,誰かわからないようで悲しくなる。帰りに寄った動物園で,檻のなかで安楽に暮らすのと,アフリカで怯えながらも気ままに暮らすのと,どっちがしあわせかと語り合う。
  ・・・・・・
 さて,どちらがしあわせでしょう。
 この文章は,痴呆症になった祖母を見舞った帰り,パパが,施設にいても親身になって世話をしてくれる介護の人がいるのはしあわせだといったという内容なのですが,どっちがしあわせかという二者択一の質問が私にはどうもひとつ意味がはっきりしません。

 昨年亡くなった私の母は,晩年,サービスつき高齢者住宅(=サ高住)にいました。そこはオートロックがあってプライバシーが守られ,ボタンひとつでお湯が出る浴槽があり,トイレがあり,キッチンがあり,BS放送も見られ,また,広い食堂がありと,至れり尽くせりのところでした。今の若い人ならば,そんなところに住めるのがうらやましいような部屋でした。
 それでも,老人は,そうした部屋にひとりで過ごしても孤独を感じるだけで,本人はしあわせそうでありませんでした。かといって,グループホームのようなところで,人間関係に悩みながら日々を過ごすのは,孤独を感じることはないでしょうが,今度は逆に,人との付き合いがわずらわしく感じるかもしれません。

 話は変わりますが,個人旅行をするのと,ツアーで旅行をするのを考えても,同じようなことがいえます。
 「安心・安全・快適」なツアー旅行は,至れり尽くせりですが,そこには自由がありません。どこか自分だけ行きたい場所があっても,そこに行くことはできません。それに対して,私がいつもそうしている個人旅行は,自由にさまざまなところに行くことができますが,絶えず不安がつきまとっています。しかも,何か起きたときには自己責任で対処しなければなりません。
 
 このような相反した二者からどちらをとるかといった選択肢そのものが正しくないのです。何事も,こうしたふたつのことには,メリットもデメリットもあるわけので,そのどちらを選ぶのかということでそれに結論づけてしまうのはまちがっているし,そうしなければならないこともあるのです。
 そこで,そのもととなることがどちらであっても,あるいは,どちらにされたしまっても,そのデメリット少しでも改善していくといったそうした工夫こそが大切なわけです。また,そのどちらも,メリットを生かしていくことが大切なのです。
 つまり,何事も受け身ではいけないのです。もともと自分が置かれた環境が決まってしまっていても,その上で,それを少しでも自分に快適なものに変えていく,そうした能動的な行為が,いつも場合も大切なことなのでしょう。そしてまた,自分でそれができないときは,周囲がそうしてあげることが必要なのでしょう。

 定年退職したら旅行をするのを楽しみにしていた人も多いことでしょう。しかし,定年が65歳になり将来は70歳にもなろうというときに,これからの若い人は,退職後などと言わず現役のときもお盆とお正月以外の期間に最低6日,土日も含めて8日のお休みがないと,人生,死ぬまでどこへも行かれずに終わってしまいます。この春のゴールデンウィークは10連休だそうですが,そんなバカ高いときに海外旅行をしなければ行くときがないなんて,悲劇以外の何ものでもありありません。
 私は早期に退職して55歳からの5年間で世界中の行きたいと思っていたところはほとんど行ったのでよかったのですが,それでも60歳を過ぎたら,長い期間旅行をすることが億劫になってきました。今は最大でも8日くらいが適当でいいや,と思うようになりました。だから,65歳で定年ともなると体力的にも旅行をすることは限界があります。まして,70歳なんて論外です。
 国内旅行では,一度は行ってみたいと思っても,リピートしたいという場所は少ないものです。しかし,海外旅行ともなると,行ってみた後で,新たに興味のわく場所がたくさん出てくるので,65歳から旅行をはじめるというのは完全に手遅れです。私はずっとアメリカ合衆国50州制覇とMLB30球場にすべて行くということに情熱を傾けていましたが,今はもう,そんなことに時間を費やす気持ちはなくなりました。そしてまた,日本でも海外でも,人混みだらけの都会にはまったく興味をなくしました。

 今,BS放送では国内・海外問わず,さまざなな旅番組があって,家に居ながらにして旅行をした気持ちになれますが,見ている分には楽しくとも,行ってみたいかというと,それはまた別のものです。また,旅は見知らぬ人との出合いが楽しいのですが,それも,テレビという媒体であればこそできても,実際に個人で出かけて同じことができるかといえば,それもまた,別の問題です。そのことに加えて,これだけ世界中観光客が多くなってしまうと,有名な場所はどこに行っても人だらけ,そうなると,ストレスを溜め込むために旅行をすることになりかねません。
 自分にも意外なことでしたが,歳をとったら私は急に人恋しくなってきました。昔は旅に出ても孤独などはまったく感じなかったのですが,今は人恋しいのとツアー旅行が嫌いという両極端な面が出てきて困っています。これでは旅行をするのが大変です。というわけで,個人で現地まで出かけて,現地でツアーに参加するという妥協点を見つけたのですが,幸い,今のところ,現地ツアーで一緒になった人はいい人ばなりなので助かりました。そうした現地ツアーは,ツアーの中味自体よりも,そこで偶然出会った人によって,旅の楽しさが変わってしまうのです。理想の海外旅行をすることはなかなか難しいのです。

DSC_2858s

 たとえば信州の八ヶ岳にでも住んでいるのなら別ですが,都会育ちの人にとっては,星を見るというのは非常に困難な趣味です。そこで,今では,多くの人は惑星の写真で満足しています。それなら都会でもできるからです。しかし,本格的に惑星の写真を写そうと思うと,大きくて重い望遠鏡が必要です。
 星を見るという趣味は,星を見ることのできる空の暗い場所があるかということと,星を見るための機材をもっているか,というふたつの問題を抱えているわけです。それはつりという趣味に似ています。しかし,星を見ることはつりよりもずっとハードルが高いから,これでは若い人は寄ってきません。
 そこで,現在,こんな楽しみをしているのは,今から50年も前に子供だった人が退職して時間とお金ができて戻ってきた人ばかりです。実際は私が子供のころも,すでに都会では星を見ることはできませんでしたが,それでも少し郊外に出れば今とは違って何とかなりました。望遠鏡は今のような優れたものはありませんでしたが,その結果,自作をする,つまりモノを作るという別の楽しみがありました。

 ところで,どんな機材を使うかということはお金が解決するとしても,どこで見るかということがもっと大きな問題なのです。どこで見るかという場所は自分で探さなければなりません。いわゆる「穴場」でないといけません。しかし,なかなかそうした場所がないのが現実です。星が見えることをウリにした「観光地」がありますが,そうした一般の人が押し寄せる場所は,何を勘違いしたのか,むしろ観光用にライトアップしたりイベントをしたりして,本当の天文ファンにとれば迷惑な場所と化してしまい,逆に対象外となってしまいます。
 機材のほうはお金を出せばいくらでも優れたものが買えるとしても,今度はカメラなどとは違って,置き場所に困ります。歳をとったときに私設天文台などを建ててしまうと,今度は処分に困ります。「断捨離」を旨とする私としては,たとえお金があろうと,この歳になって何でも買えばいいという選択肢はありません。所詮,趣味などというものは自己満足の世界なので,他人と比べるものではありません。自分が何をすれば楽しいか,ということを第一に考えることが大切なのです。しかし,この国は子供のころから何でも人と競争するように育てられてしまっているので,これもまた,そうした心境にならない人が多いものです。それでは「不良老人」にはなれません。

IMG_0672

 いくらお金を使って欲しいものを手に入れてもむなしさは残るものです。
 結局のところ,人の原点は精神的に満ち足りることに回帰するのですが,そうした場合,俗に「教養」とよばれるものに身も心もゆだねることがもっとも充実した時間になります。この国の教育の最大の欠点は,生きることに 哲学がなく,単なる点取り競争と受験指導に明けくれていることなので,そうした「教養」を教えないのです。あるいは,教えても,これもまた点取り競争にしてしまうことです。
 NHKのラジオ第二放送には優れた語学番組がたくさんあります。かつては「ラジオ英会話」という50年以上も前から放送されているものがあったのですが,何を勘違いしたのか,この番組も豹変し,文法重視となってしまいました。現在の「ラジオ英会話」という同じ名前の番組は長年続いたものとはまったく別のものです。それはおそらく,受験に毒された多くの視聴者の要望によるものでしょうが,そもそも語学というものは受験の手段ではないわけです。しかし,NHKにも良識と意地があったのか,従来の「ラジオ英会話」は「英会話楽習」と名前を変えて存続しています。そのうち,今度は視聴者の「ご要望」にお答えして「皆様のNHK」はTOEICの点取り競争番組をはじめるかもしれません。
 それはともかくとして,,以前の「ラジオ英会話」,現在の「英会話楽習」のような,受験に毒されていない番組を聴いているだけでも満ち足りた暇つぶしになります。なにしろお金がかかりません。

 NHKの良識といえば,かつて「N響アワー」という優れた番組がありました。2013年にほとんど何の予告もなく突然姿を消したこの番組の録画を私は一杯もっていて,このごろ改めて見直すと,その番組のよさを再認識します。これもまた,満ち足りた暇つぶしになります。
 「N響アワー」は,当時,視聴率重視に豹変したNHKの番組の大幅改編でEテレの多くの番組が幼稚化し,そのあおりをくらってなくなってしまったのですが,このことに腹をたてて,私はずっと続けていたN響の定期会員を辞めました。そのころの私は今より人間が青かったので,クラシックのコンサートは大学の講義でも聴きに行くつもりでいたのですが,あれから歳をとって,今は,心が満ち足りる時間を手に入れるために聴きにいくものに変わりました。そうすると,音が悪いといわれるだだっ広いNHKホールは,逆に,座席数が多いのでチケットが取りやすいという利点になります。定期会員だったころは1階のS席のなるべく「いい席」を求めて優先予約で散々苦労をしたものですが,今は,いつでもチケットの手に入るNHKホール2階の最上段C席でのんびりと聴くのを楽しみにしています。それでも,会場の雰囲気を味わうには十分だし,周囲に気を使わなくていいのが最高だからです。聴きに行くたびに本当に音楽はいいものだと思います。
 結局のところ,歳を重ねると人は物質ではなく精神性に幸せを求めるという人としての原点に返るものなのだなあと「不良老人」はしみじみ思うわけです。若いころにクラシック音楽に接することのなかった人を本当にお気の毒に思います。歳をとったときに不幸です。

IMG_0634

 日本で暮らしていると,やはり,日本の有名な場所にも一度は行ってみたいものです。
 雄大なアメリカに行ったことのなかった若いころは北海道に憧れて,毎年のよう出かけたこともありました。また40代になったころ,紅葉の時期の前の静寂な京都に行ってすっかり魅せられて,それ以降は毎月のように京都にも行きました。私はどういうわけか沖縄には行ったことがないのですが,それ以外の日本の都道府県にはすべて行きました。さらに,穂高を縦走したこともあるし,利尻富士も伯耆大山も登りました。有名な「見どころ」といわれる場所にもほどんど行きました。
 しかし,私はそうした場所に行ってみて,この国の観光地のほとんどは,一度行けば充分だと思うようになりました。とにかく,どこへ行っても人が多すぎます。どこへ行くにも渋滞しています。そして,交通費と宿泊代が高価です。日本は食べ物だけは世界一といわれますが,歳をとると,旅館で食べきれないほどの料理を出されても困るし,観光地で食事をしようとしても,どこも満員です。
 数年前に行った阿蘇の外輪にある温泉も,温泉に入っても日本人はほとんどおらず外国人ばかりで,ルールも知らず,せっかくのんびりと湯につかりたいのにストレスだけが増えました。白川郷も,外国人が大挙して観光バスで押し掛けて,奇声を発したり自撮り棒を振り回し,山里の雰囲気は台なしでした。これでは日本のよさを味わうなどということは不可能でだなあ,と落胆しました。

 そんな日本の観光地であることは重々承知しているのですが,それでも頻繁に海外に行くこともできません。さらに,歳をとれば今のように遠くまで旅に出かけることもできなくなるでしょうから,どこか,近場で落ち着いて旅を楽しめるところがないものかと思案をしてるこのごろです。
 日本国内の旅で私が楽しみにしているのは,旧街道を歩くことです。それも,観光地ではないところです。そうした場所を歩くためにJRで出かけて最寄りの駅から半日ほど山里を歩くのです。馬篭とか箱根とか,そういった有名な場所は観光客であふれかえっています。しかし,車を使わず歩いて少し横道に入れば,急に人が少なくなって風情が残っている場所がないとは限らないので,あえて事前にガイドブックも読まず出かけたりもします。
 日本では,人や車をかけわけてでも行きたいと思う場所もないので,結局,この国の旅はこころでするものだということに落ち着くわけですが,そんな場所でこころを感じるためには,その地に残る歴史やその地を詠んだ歌などを知ることだと,いつも思うのです。

DSC_0376

 私は昭和30年代の生まれです。この年代は,生まれたときからずっと,その上の「団塊の世代」に蓋をされて,ゆく手を阻まれてきた世代です。その「団塊の世代」,つまり,昭和20年代生まれがリタイヤして自由な時間を謳歌するようになってきました。そうした人たちの日頃の様子が報道されることはほとんどありませんから,会社勤めをしている人は知らないことでしょうが,実は,彼らは平日の早朝から街中にあふれているのです。そして,彼らのいる場所は,図書館でありスーパー銭湯でありスーパーマーケットです。
 そこで,図書館やスーパー銭湯にでも行けば,常連さんばかりで一見さんの入り込む余地すらありませんし,スーパーマーケットでは朝からずっと休憩所でテレビを見たり,顔見知りの人同士が話をしている様子が見うけられます。しかし,図書館もスーパー銭湯もスーパーマーケットも,開店は早くても午前9時,そのほとんどは午前10時なので,それまでの時間を持て余すのです。私の家の近くに午前7時30分からやっているスーパー銭湯がありますが,そこは朝食のサービスもあり,開店から大賑わいです。
 この世代の人たちの多くは,働き盛りのときにバブル景気を経験したので,堅実なひとはお金をもっています。その逆にそのころに高い金利で借金をしてしまった人は老後不安を抱えています。さらに,団塊ジュニアといわれる,この世代の人たちの子供が就職をするころは就職氷河期だったので,そうした重荷を背負ってしまっている人も少なくありません。そしてまた,仕事仕事で趣味もなく働いていた人は,リタイアした後ですることがなく暇を持て余していたりします。
 
 この国では,何事も「赤信号,みんなで渡れば怖くない」とばかりに,多くの人がやっていることが,本当はその是非もわからないのに,それが「常識」となり,そこに疑問をもつ人はそこに入り込めないので「村八分」にされます。以前書いたことがありますが,この国の人たちは,何事も6:3:1のバランス感覚で成り立っているのです。だから6の仲間でいないと生きづらいのです。
 それは,受験だから塾にいく,学校に入ったら部活をする,みんなが帰らないから残業をする,みんながスマホを持つから自分も持つという人生をおくっているのです。リタイヤしても同じです。だから,同じように主体性もなく巷にあふれ,生き方のハウツー本が売れるのです。
 しかし,そうした「常識」は果たして是なのでしょうか? たとえば,近頃,悪名高き学校の「ブカツ」にしても,学生時代に「ブカツ」に打ち込むことが本当に大切なのでしょうか? 運動をすることが体によいのでしょうか? 私のまわりにも学生時代「ブカツ」に青春を捧げ,毎日遅くまで運動をしていた人がいますが,そうした人の多くは私と同じ年齢となったときに,むしろ若いころの無理がたたって健康を害していたり,若くして亡くなってしまったりした人が少なからずいるのです。そうした人たちを見ると,若いころにスポーツをすることは必ずしも健康的なことではないのかな,と思ったりします。まして,猛暑の真昼間に外で運動をすることが体にいいわけがありません。
 何事も,主体的にほどほどに行って自己管理するからよいのであって,人がやっているからやらされているからというのはよくないのでしょう。

◇◇◇
「不良老人」の日常⑤-3度失敗した団塊の世代Ⅰ
「不良老人」の日常⑥-3度失敗した団塊の世代Ⅱ
「不良老人」の日常⑦-3度失敗した団塊の世代Ⅲ

DSC_3089

 若いころは何ともなかったのですが,このごろ,ひとりで旅に出ると人恋しくなってきました。これはいけません。これでは旅に出られません。と思っていたら,私は忘れていた大事なことがあったのを思い出しました。それは,「夢と勇気と知恵」という言葉だったのです。これからもこの言葉を忘れずに,旅に出たいと思います。
 ところで,私が不思議なのは,海外からどうして日本にこれほどたくさんの人がやってくるのか,ということでした。狭い日本,わざわざやってきてまで特に見るべき場所もないのに,と私は思いました。確かに,日本の観光地は無防備に歩いていても,なんの気兼ねも必要ありません。狭いことが逆に利点となって,どこに行くにも便利だし,食べるところも事欠きません。珍しい食べ物もたくさんあります。しかし,どこも「異常に」混んでいます。
 そこで,海外に出かけるたびに,その理由を聞いてみるのですが,その答えとして,日本に出かけるのは「お得感」なのだそうです。安い。そして,対価が大きい。ということでした。そりゃそうです。自分の国の半分ほどの値段でお腹いっぱい食べられて,店員さんは親切ですから。
 そんなわけで,この国はゲストとして来るにはとてもよい国のようです。

 日本に住む私は,これまでに,白川郷も鹿児島も四国も,一度は行ってみたいと思っていたところには,ここ数年ですべて行くことができました。どこもそれなりに思った通りでしたけれど,また行きたいと思うようなところはまったくありませんでした。私が日本に期待するのは自然と古き日本の持っていたのどかさです。しかし,そんな自然など,いまやどこに行ってもありません。のどかさもどこかに消え失せました。これまではいいなあと思っていたところも少なからずあったのですが,そうした場所は開発され,破壊されていきました。
 そこに,観光というお墨付きが付くともういけません。すべては金儲けの媒体と化してしまうのです。恐らくそれでいいのでしょう,観光立国としては。国がお金を稼ぐには車1台売るよりも,外国人に来てもらってお金を落としてもらうほうがずっと効率がいいのですから。そしてまた,過疎地は投資をせずとも潤うわけですから。国はしたたかなものです。
 こうして,星がきれいな場所だといえば1泊2日で5万円もするツアーが組まれます。とにかく人が来てお金を落としてくれればいいのです。しかし,客の側は天候が悪ければそれで終わりです。星を見るのに5万円はないでしょう,と私は思うのでそんなものには興味が向きません。

 そこで私は海外に目を向けるのです。しかし,いつまでも今のように海外に出かけて車に乗って旅をすることは,歳をとればできなくなることでしょう。そこで困っているのです。
 おそらく,この先も私ができることといえば,海外であるなら,現地まではひとりで行ってそこで現地ツアーに参加することでしょう。国内旅行なら,それでもひとり旅ができるうちは,鉄道に乗ってどこかに定宿を見つけて,そこでゆっくりと過ごすような旅が理想です。
 そろそろ,人恋しいというのを利点として,新たな楽しみ方を考えたいと思っているこのごろです。

IMG_3392

このページのトップヘ