しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

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 私は,ゴールデンウィークの間,新たな「ときめき」とその持続を求めて過ごしていたら,これまでに出かけた旅について,さまざまなことを思い出しました。
 旅というのは誠に不思議なものです。旅をしているときにはさほど感動がなくとも,帰ってからしばらくするとまた行きたくなる場所もあれば,かなりの想い入れがあってそれが実現した時点では満ちたりた感があったのに,時間が経つとほとんとその記憶に残っていない場所があったりするのです。特に,想い入れが強ければ強いほどそれがかなった後ではほとんど記憶に残らないもののようです。
 そんなわけで,私にも意外なのですが,このごろ再び行きたいなという想いがさらに募ってきたのがハワイ島なのです。この春に出かけたマウイ島は確かにとてもよいところでした。自然もいっぱいあったし過ごしやすかったし星もきれいでした。しかし,なぜか,マウイ島にはまた行きたいとは思わないのですが,昨年の春に行ったハワイ島への想いは募るばかりなのです。
 その理由は,マウイ島にはハワイアンミュージックが似合わないからです。しかし,どうしてそう思うのでしょう? それに比べたら,ハワイ島はとてもハワイアンミュージックが似合うのです。それは,私が宿泊していたカイルアコナからハワイ島の西海岸をドライブしていたとき,ラジオから流れていた「Over the Rainbow」それが本当に素敵だったからなのです。

 「Over the Rainbow」は本来はハワイアンミュージックではなく,ミュージカル映画「オズの魔法使」(The Wizard of Oz)でジュディ・ガーランド(Judy Garland)が歌った劇中歌でしたが,のちに,ハワイ州出身のシンガー,イズリアル・カマカヴィヴォオレ(Israel Kaʻanoʻi Kamakawiwoʻole)が1993年に発表したアルバム「Facing Future」にハワイアンにアレンジした「Somewhere Over the Rainbow / What a Wonderful World」を収録し,数多くの映画やテレビ番組,及び広告で使用されるようになったものです。
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  私には「Over the Rainbow」で思い出すテレビドラマのシーンがあります。それは「ER」の第8シーズンで描かれたドクター・グリーンの死です。このシーンは15シーズンまで続いた「ER」のなかでも特に素晴らしかったシーンとして有名です。死期を悟ったドクター・グリーンことマーク・グリーン(Mark Greene)は再婚した妻エリザベス・コーデイ(Elizabeth Corday)とその子エラ(Ella=エラはエリザベス・コーデイを演じたAlex Kingstonの実の子供が出演),反抗期で手のやける娘レイチェル(Rachel)を連れてその最後の時間をハワイで過ごすのです。そして,そのシーンで「Over the Rainbow」がバックミュージックとして流れ続けるのです。
 私がこのドラマを見たときには,まだ,ハワイには全く想い入れがなかったのですが,実際にハワイに出かけて,ラジオから「Over the Rainbow」が聴こえたときに,このシーンが浮かんできたのです。
 このシーンが撮影されたのは,ハワイ島ではなくオアフ島の真珠湾戦艦ミズーリやカウアイ島の浜辺だそうですが,そんなことよりも,イメージとして描かれていた素朴なハワイは,まさに,私の走っていたハワイ島の西海岸そのものでした。
 私は,実際の景色はそれほどでもない日本の旅はこころで感じるものだといつも書いていますが,海外に出かけても,やはり,旅はこころでするもののようです。だからこそ,私は今でも,ハワイ島と 「Over the Rainbow」とMark Greene が重なって想いが募るのです。きっと,そうしたさまざまなことが新たな「ときめき」となって,また旅に出かけたいという情熱につながっていくのでしょう。

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Dear ER Gang,
So here I am out on the beach at 5:30 in the evening. Elizabeth is sitting with me drinking juice, but I'm all about the Mai Tais. The sun is going down; Rachel is dipping Ella's toes in the ocean as they head off on a quest to find the perfect seashell. Weirdly enough, I find myself thinking, you know what would make this moment complete? Some jogger dropping to the sand, short of breath, so I can swoop in with a piece of bamboo to perform a nice clean intubation, fix the guy up and send him off with a good dispo. Which, I guessis my way of saying that I miss you all and that dingy place. Lots of times I thought I should have chosen a different career or gone into private practice, something easier, less grinding, more lucrative, but since I've been gone, I realize that outside of what I am doing right now, sitting on this beach with my family, staying at County are those years, doing what we do on a daily basis was the best choice I ever made. I know what your thinking, but trust me, it's not hard to appreciate once it's over. As much as part of me would like to believe that the ER can't go on without me, the smarter part realizes that you are an incredible group of doctors and nurses who approach everyday with skill, compassion, and thoroughness, that when it comes to patient care, I know my absence will hardly be felt. As for friendship and comradery, well that's another matter. In order to leave, I had to go the way I did, but I wouldn't want any of you to think that meant I didn't value each of you and the years that we worked together, or that I didn't have things of a more personal nature to say. Most of you, I think, have an idea of what those things might be without me writing them down, but still... Ella is laughing and waving for me. Rachel found her shell.
Mark
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Mark died this morning at 6:04 a.m. The sun was rising, his favorite time of day. I sent this on so that you might know he was thinking of you all and that he appreciated knowing you would remember him well.
Elizabeth
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「ヨブ記」-光への道を知っているか
「ER XV」-私もある決意をした
「不良老人」の勧め⑦-「ときめき」こそが生きる糧


 私は,アメリカのテレビドラマでは,「ER」と「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing),そして,「グッド・ワイフ」がおもしろいと思っています。
 病院を舞台にした「ER」は,はじめのころは苦手だったのですが,このブログに以前書いたように,自分がアメリカの病院に入院した経験から非常に興味がわいて,それ以来, このドラマの虜になりました。この「ER」の最終シーズンは15ですが,このシーズン「ER XV」の作品には,数々の哀愁がただよっていて,いつ見ても,涙が出てきます。
 今回,これを機にもう一度,このドラマを見直してみました。そして,自分のこれまでの様々な経験,入院していたモンタナ州の病院のこと,このドラマの舞台シカゴに行ったときのこと(写真)などを懐かしく思い出しました。それとともに,私は,自分の人生のこれからのあることを決意しました。それは,また,後日わかること…。

 アメリカの映画やドラマは,「マジソン郡の橋」などとともに,アクション物よりも,こうした人間ドラマが特に素晴らしいと思います。
 先日のブログで,「ヨブ記」を取り上げたとき,この「ER」について,少し書きました。また,現在NHKBSプレミアムで放送中の「グッド・ワイフ」の第4シーズンには,「ER」でヨブ記を朗読していたアビー・ロックハートを演じていたモーラ・ティアニーさんが登場しています。
 そこで,ここでは,モーラ・ティアニーさんについて書いてみたいと思います。

 テレビドラマ「ER」でアビー・ロックハートを演じたモーラ・ティアニー(Maura Tierney)さんは,1965年2月3日アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン生まれの女優さんです。彼女はニューヨーク大学に入学しましたが,卒業せずに演劇学校で演技を学びました。
 アビーは「ER」の第6シーズンに産科の看護師として,はじめて登場しました。アビーは当初はERの中でもサブキャスト的な部分があったものの,シーズンを重ねるごとにメインキャストとして出演していくようになりました。
 最終の第15シーズンまでの間に,アビーは離婚し,別れた夫が約束の学費を出してくれないので医学部の勉強が続けられなくなり,アルコール依存症に苦しみ,母マギーと弟エリックとの関係に悩み,アパートの隣人に顔の形が変わるほどボコボコに殴られ,アフリカの伝染病が持ち込まれたERに何日も隔離され,カーターには結局プロポーズされず,妊娠中に銃撃戦に巻き込まれ,ストーカーに家宅侵入されて夫コバッチュを拉致され,アルコール依存症が再発し,モレッティと一夜の過ちをおかし,コバッチュとは離婚寸前まで行き,救急車の爆破事件に巻き込まれる… という破滅的な人生を送ってきました。
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 結果としてコバッチュとは離婚をすることなく復縁をすることになるのですが,コバッチュがカウンティーを去るときに一緒に来て欲しいといわれて,コバッチュの元へ行くことを決意するのでした。
 こうして,アビーは「ER」最終第15シーズンの第3話でカウンティ―を去っていくのです。
 アビーが第3話の冒頭のロッカーのシーンで引用していたのが,神に対する疑念を示したヨブの言葉でした。
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 懸命に生きてきた私がなんでこんな苦しい目に遭うのか? という思いがアビーにあって,それがヨブの疑問の声に重なったのでしょう。
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 そして,ヨブの疑念に対して神が語りかける言葉が,ドラマの終わりのほうで引用されます。
 第15シーズンの第3話は,生きることを決してあきらめなかったアビーにふさわしい素敵な幕切れになりました。アビーがヨブ記を朗読することで,アビーのこれまでの人生が深く美しいものになっています。そして,これからの幸せな人生を予感させているのです。

 モーラ・ティアニーさん本人は,「ER」を卒業後「Parenthood」というドラマシリーズへの出演を決めたのですが,パイロット版が完成したところで乳がんが発見されて「Parenthood」を降板せざるをえなくなりました。
 乳がん治療を終えたモーラさんが次に出演を決めたのが,ジェリー・ブラッカイマー製作総指揮の法廷ドラマ「ジャッジメントNY法廷ファイル」でしたが,残念ながら視聴率がふるわず,第1シーズンの途中で放送は打ち切られてしまいました。
 「グッド・ワイフ」第4シーズン。モーラ・ティアニーさんは,マディ・ヘイワード役でわれわれの前に再び姿を見せました。

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