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 先日「ジッツオ」の三脚のことを書いたばかりなので気が引けるのですが,私はこの度「バンガード」(VANGUARD)というブランドの三脚を購入しました。というよりもしてしまいました。私は何事もさらっと8割の力でいい加減にするのが好きです。精一杯なんて似合いません。旅行に行くときも,できるだけ持ち物は少なく,無駄なものは持ちたくないのです。
 南半球に行って星を写すときに携帯用の小さな赤道儀に取り付けるために使用する「ジッツオ」の三脚ですが,フィンランドへ行ってオーロラを写すためにカメラを固定するだけの目的にはちょっと重すぎるのです。以前持っていたのは日本のメーカーの軽い三脚でしたが,わずか数年使っただけでガタガタになってしまい,この度の「断捨離」で捨てました。
 そこで小型でしかも作りのよい三脚を探していたのですが,ネットで見ても質感がまったくわかりません。そこで,ヨドバシカメラの店舗に行って直接触ってみることにしました。

 店内には三脚が文字通り林立していて,何が何だかよくわかりません。事前に目をつけていたものなんて,実際に触ってみたらあまりにやわで話になりませんでした。「ジッツオ」には私の欲しいくらいの小さなものがありません。「ジッツオ」の精度で小さなものを作ればいいのにと思いました。 迷いに迷い,あまりに迷っているので店員さんが代わる代わる来ては相談に乗ってくれます。で,ついに選んだのが「バンガードVEO2 204AB」というものでした。
 「バンガード」知りませんでした。三脚を見ても,製品についてきた説明書を読んでもどの国の製品なのかわかりません。ふつう製品には「Made in ...」という表示があるのですが,それさえありません。なくてもよいものなのでしょうか?
 「ガードフォースジャパン」という会社が取り扱っているということなので,ネットで会社の情報を調べてみると,どうやら「バンガード」というのは台湾のメーカーということがわかりました。「バンガード」,実はOEMでニコンのバカメラバッグなども作っている信頼のある会社です。

 OEMといえば,ブランドなんていうものは虚構だということを教えてくれる存在です。
 たとえば,高性能の天体望遠鏡を作っている「高橋製作所」,この会社自体もともとは別のメーカーのOEM製品を作っていましたが,自社のブランドで名が通りはじめたころに双眼鏡を販売していたことがありました。この双眼鏡,私もそのころに購入して今も使っているのですが,ものすごく性能がよい,しかも安価なものでした。実はその製品は「勝間光学機械」という会社の作ったもので,この会社はとりわけ安くて性能のよいものを今も作っています。
 今から何十年も前に多くの天体望遠鏡メーカーがあったとき,それらの望遠鏡についていた部品もまた別会社の作ったOEMでした。特に接眼レンズはほぼ「谷光学研究所」の製品でした。
 このように,製品には別の会社に委託して作ってもらったOEMがとても多いのです。そして,そうした委託を受けた会社の技術力はとても高いものです。これこそが日本の製造業なのです。

 日本の大手の会社の製品には「日本製」をうたってそれを付加価値にして高級ぶって高い値段をつけた製品を売りにしているものがありますが,結局は今の時代,組み立ては日本で行っていてももともとの部品のすべてを日本製ではまかなえるような時代ではありません。私は,そもそも「日本製」自体に価値を認めていませんけれど…。

 そんなわけで,私は店員さんに薦められて「バンガード」の三脚を買って帰りました。
 家に帰って改めて調べてみると「バンガード」のサイトに私の購入した「VEO2 204AB」という製品がないのです。「VEO 204AB」ならありましたが,値段は私が1万と少しで購入したものの2倍もしました。推測するにこの製品はヨドバシカメラだけで売っているもののようなのです。つまり,ヨドバシカメラがバンガードに委託して作ってもらって安価で販売しているOEMでしょうか? アマゾンコムを調べてみると,そこには「VEO2 204AB」は存在していましたが,そこにあったものもまた私の買ってきた値段の倍ほどもしました。
 要するに,私はものすごくお値打ちに理想の三脚を手に入れたわけです。しかもその出来のよさに満足しました。新年早々,いい買い物をしたものです。