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情報を遮断した私ですが,実は,2冊購読しているものがあります。それも電子媒体でなく紙媒体です。そのひとつは,NHKラジオ語学講座のテキスト「まいにちドイツ語」です。一時,電子書籍にしたのですが,気楽に書き込めないので戻しました。紙は紙の利点があるものだと思いました。ただし,保存が大変です。ここ何年もやっていると,保存しても新しいものが出てくるから結局過去のものはほとんど見ないことがわかったので,1年終わったら破棄することにしました。
もうひとつは,「Sky & Telescope」というアメリカの天文雑誌です。これは,電子媒体はpdfなのでダウンロードすれば,どのタブレットでもPCでも読めるので便利ですが,電子媒体とともに紙媒体のものもアメリカから取り寄せています。家で手軽に読むには紙媒体もまた捨てがたいものです。
今日は,その「Sky & Telescope」のお話です。
私がこの雑誌を知ったのは,今から55年以上も前のことでした。当時は「月刊天文ガイド」が創刊して2,3年過ぎたころでしたが,「月刊天文ガイド」は「Sky & Telescope」をお手本にして作られたものだと友人から聞いたのです。その真偽はわかりませんんが,そのころから,この雑誌を一度読んで,というか,そのころは英語は読めなかったので,見てみたいと思ったのでした。しかし,今とは違って,外国の雑誌を入手するのは簡単でなく,名古屋市内で洋書を取り扱っていると聞いた「丸善」という書店に時折置いてあったのを発見して,感激したものです。しかし,値段は定価の数倍しました。
年月が経ち,インターネットが普及しはじめたころ,ネットで注文できるようになって,私は定期購読をはじめました。アメリカから直接送られてくるのです。そのうち,アプリができて,電子媒体でも読めるようになったのですが,あるときから,電子媒体のダウンロードができなくなってしまい,私は,サブスクをやめました。噂では,出版社がつぶれたとかいう話でした。
それからまたしばらくして,どんな経緯があったのか詳しくは知らないのですが,「Sky & Telescope」の発行が継続されていて,以前とは別の方法でしたが定期購読ができたので,復活しました。以前よりも雑誌は薄っぺらくなり,アプリもないのですが,先にかいたように,pdfでダウンロードできるようになりました。いつまで存続するのかわかりませんが,今はそれで十分満足しています。
以前ずっと購読していた雑誌「TIME」などもそうですが,アメリの雑誌と日本の雑誌は,もともと,本質的にまったく異なるもののように思えます。簡単に言うと,日本の雑誌は,カタログ雑誌だということです。
子供のころ,私のまわりはみな「月刊天文ガイド」を購読してたのですが,その中のひとりが家で父親が広告だらけの「月刊天文ガイド」を見て,これは広告収入で成り立つ雑誌だから,こんなものにおお金を出すことはない,と言ったというのです。社会の仕組みを知らなかった私は驚きました。また,そのころの「月刊天文ガイド」の人気記事に「望遠鏡をテストする」というものがあったのですが,ある号で,旭精光研究所という今は亡きハイアマチュア向けの望遠鏡が取り上げられ,酷評されて怒ったメーカーが,それ以降,雑誌に広告を載せるのをやめたということがありました。新聞も雑誌も,結局は利益の多くはそういう媒体に載せる広告収入がもととなっているので,広告主の意に反するような記事はないし,記事自体も,広告の一環だったりするのです。
そう考えると,むしろ,アメリカの雑誌にはほとんど広告がないから,購読料がその収益の多くを占めているわけで,それで成り立っていることの方が不思議な気もしますが,内容は日本の雑誌とは比べものにならないほど充実しています。
物欲が煽られないだけでも,読んでいて,こころが休まります。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは