しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場・47都道府県を制覇し,南天・皆既日食・オーロラ,空の3大願望を達成した「不良老人」の日記

タグ:やっと晴れたか!冬2019

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 昨年末ごろから,ペテルギウスが減光していることが大きく取り上げられていて,明日にでもペテルギウスが超新星爆発を起こすのではないかと期待? されています。実際,私の写した写真を見ても,ペテルギウスはずいぶんと減光しています。
 星の一生というのは人間の時間感覚とはまったく違うので,明日にでもというのは数百年とか数千年のことなのですが,いずれにしても,ペテルギウスがその生涯の99パーセント以上を終えていることは確実です。

 今から200年ほど前,南アフリカの喜望峰天文台でジョン・ハーシェルがペテルギウスを観測して,ペテルギウスが変光していることを見つけました。それから80年後,アメリカのウィルソン山天文台で,アルバート・マイケルソンが口径100インチの「ヘール望遠鏡」に干渉計を取り付けてペテルギウスの大きさを測定し,太陽の300倍と発表しました。
 そのさらに40年後,パリ天文台での観測により,ペテルギウスの直径は14億キロメートルで太陽の1,000倍あって,しかも,大きさが1億キロメートルも変化する脈動星だということがわかりました。その結果,ペテルギウスはほとんどその生涯が終わっている赤色超巨星であるとされました。
 また,ドイツのマックスブランク研究所では,チリのパラナル天文台にある3台の望遠鏡からなるVLT干渉計で干渉縞を観測した結果から,ペテルギウスは球形ではなく,なんと7億キロメートルものコブが飛び出している落花生形をしていることを突き止めましたが,これは星の中心部まで対流を起こしていることが原因とされました。また,2006年に打ち上げられた日本の天文衛星「あがり」が赤外線を使ってペテルギウスを観測し,ペテルギウスのまわりに直径3光年(30兆キロメートル)にもおよぶ範囲でガスやチリを放出していることがわかりました。
 現在,ペテルギウスはこのような姿で,その生涯を終える日を待っているわけです。

 ペテルギウスが超新星爆発を起こすと次のような姿になると予想されています。
 まず,爆発の3時間後には満月の100倍の明るさになって輝き,昼間も見えるようになります。これが3か月ほど続き,しだいに星のまわりのガスが輝くようになります。やがて,4か月もすると,温度が下がることで星の色が青色から赤色に変わり,まわりのガスが大輪の花のように広がっていきます。その4年後,ペテルギウスは肉眼で見えなくなってしまいます。そうして何百年もすると,超新星残骸として,望遠鏡で観測できるようになるのですが,オリオン座の四角形の星の並びはペテルギウスを失ってしまいます。また,冬の大三角形も存在しなくなります。
 これまでに銀河系内で起きた超新星爆発で,人類が目撃したものは7個あるのですが,そのなかで地球からもっとも近いものは1054年に爆発した現在の「かに星雲」で6,500光年,その次が1572年に爆発した「チコの星」で7,800光年です。それらと比べて,ペテルギウスはわずか642光年と,とても近いものです。
 では,超新星爆発によって放出されるガンマ線が地球に降り注ぐ心配はないのでしょうか?
 ガンマ線が降り注ぐのは,爆発を起こした星の自転軸から5度の範囲です。ハップル望遠鏡で観測したところ,さいわいペテルギウスの自転軸は地球と20度ほど傾いていて,そうした心配はないそうです。

IMG_0079wDSC_8531PanSTARRS

 2019年もあと数日となりました。今年は本当に月明かりのない晩に晴れない日が多く,満足に星見をしたのも数えるほどでした。12月は26日が新月で日食だったのですが,今年は,こうした天体イベントのあるときも決まって天気が悪く見ることができませんでした。
 その2日前,12月24日のクリスマスイブはひさびさの快晴という天気予報だったので,星見に行きました。この日の目的はオリオン座とパンスターズ彗星(C/2017T2)でした。
 オリオン座が目的のひとつだったのは,オリオン座のα星「ペテルギウス」がこれまでにないほど減光しているという情報を知ったからです。また,パンスターズ彗星は2020年の5月ごろに6等星くらいまで明るくなるといわれていて,前回星見に行ったときは12等星だったのがどれだけ明るくなっているかが楽しみでした。

 「ベテルギウス」(Betelgeuse)はオリオン座α星で,おおいぬ座の「シリウス」,こいぬ座の「プロキオン」とともに「冬の大三角」を形成している1等星です。地球からの距離は約642光年です。
 「ペテルギウス」は非常に大きな恒星で,太陽系の中心に置いたとすると火星軌道を大きく超え木星軌道の近くまで達します。赤色超巨星で星自体の形状が半規則的に変化するSRC型の脈動変光星です。ガスが恒星表面から流出し表面温度が不均一になるなど星自体が不安定な状態にあり,その形状は球形ではなく大きな瘤状のものをもっていて,近いうちにII型超新星爆発を起こすであろうといわれています。超新星爆発すると,満月よりも100倍明るく数日間は昼でも輝いて見えるといわれています。また,爆発後はブラックホールにはならず,中性子星となると考えられています。
 この「ベテルギウス」の明るさがこのところ観測史上類を見ないほど低下していて,この現象が超新星爆発の兆候ではないかと指摘されています。
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 Betelgeuse, a bright, very large star in the constellation of Orion has been dimming since October suggesting it might go supernova, according to astronomers.
 Dozens of scientists from around the world have taken to Twitter to discuss the phenomenon and speculate over whether it will soon explode.
 The star has a very variable brightness and a pattern of regularly dimming, but astronomers say the latest dimming period appears to be different.
 Researchers from the Astronomer's Telegram - a place for experts to share astronomical findings - say it is the faintest it has been in 50 years of observations.
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 オリオン座の明るくて非常に大きな星であるベテルギウスが10月から暗くなってきており,超新星になる可能性を示唆しています。
 世界中の多くの科学者がTwitterでこの現象を議論し,間もなく爆発するかどうかを推測しています。
 ペテルギウスは非常に可変的な明るさと規則的な減光のパターンを持っていますが,天文学者は最新の減光パターンは通常とは異なっているように見えるといいます。
 天文学者の情報網-専門家が天文学上の発見を共有する場所-で,研究者はそれが50年間の観測で最も弱いといっています。
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 肉眼で見てもそれほど違いを感じないのですが,もし超新星爆発すれば,今の姿の写真が貴重になると思って写しました。生きているうちにぜひ超新星爆発を見てみたいものです。

 一方,パンスターズ彗星(C/2017T2 PanSTARRS)は現在ペルセウス座にあって,午後10時ころには天頂に近いことと近くに明るい星もないので,ファインダーを覗くのも大変だし彗星の位置をたどるのも困難で逆に探しにくいのですが,なんとか見つけて写真に撮ることができました。私は自動で天体を導入するなどという現代的な武器をもっていないのです。
 この彗星,発見当初は2020年の夏に1等星になるのではと予想されたのですが,どうもそういう状態でなないらしく,今は楽観的に考えても6等星,実際は8等星どまりでないかと思われています。今はまだ暗くて9等星くらいなのですが,それでも,すでに彗星らしいかわいい尾をもった姿をしています。彗星の明るさの予想はいつも外れるので,今後どのくらい明るくなるかが楽しみです。

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 翌25日の早朝は月齢28.3。晴れ渡った明け方の東の空に,糸のような美しい月を見ることができました。

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