しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:やっと晴れたか!冬2021-22

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 シリウスはシリウスAとシリウスBから成る実視連星ですが,シリウスAが明るすぎるために,暗いシリウスBを見ることが困難です。シリウスBはシリウスAの周りを楕円軌道で周っていて,現在,もっとも離れた場所にあるからひょっとして見ることができるかも,ということで,「シリウスBを見てみたい」として挑戦したのですが,私の小さな望遠鏡ではうまくいかず,そのとき,これまでシリウスに限らず,実視連星を見たことすらなかったことに気づいた私は,まず,手ごろな実視連星を例に,どのように見えるのか試してみることにしました。
 このブログは天体現象の紹介ではないので,うまくいかなければそれはそれでいいし,そんなことを書いているようなブログも他にはほとんどないので,これはこれで意義があることでしょう。
  ・・
 その前に,実視連星とは何か? について書きますが,実視連星と似た言葉に2重星というものがあって,混乱します。また,星図には実視連星は2重星として記載されています。
  ・・・・・・
 2重星(double star)とは天球上で極めて接近して見えるふたつの星のことをいいます。
 天球上で接近して見えるふたつの星には,①距離の大きく異なるふたつの星がたまたま視線方向が近いために接近して見えるものと,②実際に万有引力によってお互いの周りを回っているものがあります。前者①を「見かけの2重星」といい,後者②を「実視連星」(visual binary star)といいます。
 また,連星は実視連星だけでなく,眼視ではわからないものもあり,それらは,分光連星(spectroscopic binary star),食連星(eclipsing binary star),位置天文的連星(astrometric binary star)と分類されていますが,星見の対象ではありません。
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 2重星については,以前紹介したことがある藤井旭さんの書いた「星座ガイドブック」に,星座ごとに見ることができる主だったものについて詳しい紹介があります。この本のすごいところは,藤井旭さんが実際に2重星を見てそれをもとに書いていることです。
 そこでまず手はじめに,おおいぬ座のおとなりの星座で,明るい星の多いオリオン座=5番目の写真 にある比較的容易に見ることができると書かれた2重星をいくつか見てみることにしました。
  ・・
●オリオン座δ(デルタ)星「ミンタカ」 (Mintaka) =1番目の写真
 中央の三つ星の一番右側の星は,2.5等星Aaと53秒あまり離れた6.9等星Abから成る実視連星です。
 この連星は望遠鏡を通して,眼視でもとてもきれいに見えて,思わず引き込まれました。写真でもはっきりとわかります。
 実際は,δ星は,5.732日の周期で周回するAa1とAa2からなるAa星系とその周囲を346年以上の周期で周回するAbの3重連星で,さらに,これらに加えて,B,Cが存在する5重連星だそうです。
  ・・
●オリオン座ζ(ゼータ)星「アルニタク」 (Alnitak) =2番目の写真
 三つ星の一番左側の星は,2.1等星Aと2.4秒はなれた4.2等星Bから成る実視連星です。
 私の小さな望遠鏡ではなかなか見づらいものでした。写真では,明るい星の左下に重なるようにくっついて写っています。
 この星も,実際は、Aは2等星で太陽の33倍の質量と20倍の半径を持つ青色超巨星Aaと太陽の14倍の質量と7.3倍の半径を持つ青白い準巨星Abから成っていて,7.3年で公転しあっています。そして,BはAの周りを約1,500年かけて公転する青色巨星だそうです。
 また,10等星Cもあるのですが,これはたまたま同じ方向にあるだけで連星系を成していないということです。
  ・・
●オリオン座β(ベータ)星「リゲル」(Rigel)=3番目の写真
 オリオン座の右下の星「リゲル」は0.3等星Aと9度離れた7.0等星BCから成る実視連星です。
 簡単に見えると思ったのですが,明るい星はその明るさが邪魔をして,暗い星が隠れてしまいます。実際見てみると,想像以上に明るいほうの星がキラキラと輝いて暗い星が隠れてしまうのでまったく手に負えませんでした。写真では明るい星の右下にこれもまた重なるようにかろうじて写っていました。
 実際は,Aは青色超巨星であり,BCはBとCからなる連星で,さらに,BはBaとBbからなる分光連星だそうです。

 このように,2重星というのは,はっきりと分離して見えるととても感動するのですが,小さな望遠鏡では見るのには苦労するものが多いことがわかりました。私はそれがわかればそれで満足だったのですが,多くの人は,こうしたことが理由で,次第に大きな望遠鏡が欲しくなっていくのでしょう。こうして「望遠鏡沼」にはまるのです。
 私は,自分の望遠鏡ですら,今回はじめて2重星を見たのだからよくわからないのですが,おそらく,2重星は望遠鏡のレンズの性能によってずいぶん見え方が異なるのではないかと思います。性能のよい望遠鏡を買おうという人は,こうした2重星を見比べてから判断するのがいいのかな,と思いました。しかし,お店ではなかなかそれができません。
 なお,4番目の写真はこの日新たに写したシリウスです。今回は何枚も写して比べてみたのですが,やはり,シリウスBは写っているのやらいないのやら,判断がつきかねました。いずれにしても,2重星なら遠出しなくても家のベランダからでも眺めれるし,見えたは見えたで,見えなければ見えないでどちらもおもしろいことがわかったので,これからも,オリオン座以外の多くの2重星を見て楽しみたいと思います。
 いい経験をしました。

マウイ島ハレアカラ 3


◇◇◇

◇◇◇
2のそろい踏み。

昨晩の2022年2月22日22時22分22秒。
ちょうどこの時間,外の気温は摂氏2度,月齢は22でした。
222222


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 冬の夜。都会ではほとんど星が見えない秋とは違い,今日の1番目の写真のように,南の空には多くの明るい星を見ることができます。三つ星で有名なオリオン座の左下にひと際明るく輝いているのが,おおいぬ座のα星シリウスです。 
  ・・・・・・
 シリウス(Sirius)は太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星です。
 肉眼ではひとつの恒星に見えますが,実際にはマイナス1.4等星のシリウスAとよばれるA型主系列星と約8等星のシリウスBとよばれる白色矮星から成る実視連星です。
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 1844年,ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル(Friedrich Wilhelm Bessel)がひとつの恒星に見えたシリウスの軌道の揺らぎを観測し,伴星の存在を予想しました。
 1862年,アメリカの望遠鏡製作者アルヴァン・グラハム・クラーク(Alvan Graham Clark)が,ディアボーン天文台(The Dearborn Observatory)に完成したばかりの当時アメリカ最大の口径18.5インチ,470ミリメートルの屈折望遠鏡のテスト観測中に予想された伴星を発見しました。
 シリウスは億年から3億年前にできたふたつの恒星ですが,ふたつの恒星のうち,質量が大きかったシリウスBは1億2000万年前にすでに寿命を迎え赤色巨星になり,その後外層を失い白色矮星になったとされています。
  ・・
 このように,シリウスAとシリウスBは互いの周囲を公転する実視連星で,シリウスBは約50年周期でシリウスAの周囲を回っています。シリウスBのシリウスAからの距離は8.2天文単位から31.5天文単位の間で変化します。ちなみに,太陽から天王星までの距離が約20天文単位です。
 シリウスAは明るすぎるので,単独の星なら簡単に見ることができるシリウスBを見分けることがなかなか困難らしいということです。らしいと書いたのは,これまで私は見たことがなかったからです。そして,2番目の図のように,現在,シリウスBはシリウスAから最も離れて見える時期を迎えているので,通常は見にくいシリウスBをこの絶好の機会に見てみようと盛り上がっているわけです。
 ネット上に大きな望遠鏡で写したシリウスBの写真が数多く載っています。ここに載せるのは3番目の写真,兵庫県立大学西はりま天文台で撮影したものです。中央の明るい星がシリウスAで,その左の小さな星がシリウスBです。この写真を撮影するのに使用した天体望遠鏡が4番目の写真のものです。

 で,今日の話題は,このシリウスB,いったいどのくらいの望遠鏡を使えば見ることができるのか,また,写すことができるのか,というお話です。
 シリウスAとシリウスBの離角は2秒から11秒ということですが,現在は11秒ほど離れています。であれば,私の持っている口径7.6センチメートルの小さな望遠鏡でも挑戦する価値はある… のかもしれません。モノの本には口径10センチメートルは必要とありましたが,これもまた,調べれば調べるほど異なることが書いてあってよくわかりません。
 趣味に際限なくお金をかけることはしないという方針なので,見るために今回大きな望遠鏡を手に入れて… とはならない私です。そんな,見えて当たり前なら天文台に見学に行けばすむことなのでやる意味もありません。
 と強がってみたものの,これまで実視連星の観測など一度もやったことがないものだから,塩梅も見え方も見当がつきません。とりあえず,私の小さな望遠鏡に接眼レンズをつけてシリウスを見てみました。しかし,正直,明るいシリウスAが美しくキラキラと輝いているだけで,シリウスBがその脇に見えているのやら見えていないのやらさっぱりわかりませんでした。そこで次に写真を写してみました。それが今日の5番目のものです。これもまた,シリウスBが写っているのやらいないのやら,さっぱりわかりませんでした。
 ということで,第1回目の挑戦は,あえなく敗北感と疑問と課題だけが残りました。

 まずは,シリウス以外の実視連星を観察して,実視連星というのはどういうふうに見えるかを調べることからはじめる必要がありそうです。そして,その次に,どのような露出をすれば写真の限界に挑戦できるかも確かめてみなければなりません。でも,これがまた楽しいのです。見えないのならそれはそれで見えないということがわかればいいのです。
 ともかく,何事もやってみなくてはわかりません。そんなわけで,この先,しばらくは,いろいろと楽しめそうです。

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 今日の1番目の写真はずいぶん前に写した国際宇宙ステーションの写真です。自らは光らないので,月と同じように太陽の光を反射して夕方の太陽が沈んがあとと明け方の太陽が昇る前に予報通りの時間に簡単に見ることができます。国際宇宙ステーションは巨大なので,1等星よりずっと明るく,都会でも確かめられます。
 写真を撮るには,見えはじめてから消えるまで5分程度あるので,そのまま5分間露出をしてもよほど空が暗い所でなければ露出オーバーになってしまいます。そこで,20秒ほどの露出で何枚も写して,後で画像処理をして写真を合成することになります。
 写真を撮る以上に,肉眼で見たときに,そこに人が乗っていると思うと,それだけで感動的です。
  ・・
 ということですが,夕暮れ時に散歩したり望遠鏡で星を見ていると,国際宇宙ステーション以外に結構多くの人工衛星を目撃することがあります。しかし,これまでは関心もなく,また,そうして見ることができる人工衛星が何であるかも知りませんでした。

 国際宇宙ステーションを見飽きたこともあって,そうした人工衛星に興味をもつようになったので調べてみると,見ることのできる人工衛星のさまざまなデータが載っているサイトを見つけました。
 そうした中で,ハッブル宇宙望遠鏡が肉眼で見ることができることがわかりました。これはぜひ見て見たいと思いました。そこで「百聞は一見にしかず」ということで,ハッブル宇宙望遠鏡を撮ってみることにしました。
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 ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope=HST)は,1990年4月24日に打ち上げられた地上約600キロメートル上空の軌道上を周回する宇宙望遠鏡です。長さ13.1メートル,重さ11トンの筒型で,内側に反射望遠鏡を収めていて,主鏡は直径2.4メートルです。地球の大気や天候による影響を受けないので,地上から困難な高い精度での天体観測が可能です。
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 データを見ると,幸運にも,1月10日くらいから1週間ほど,毎朝,明け方の南の空で見られるということがわかったので,連日期待しました。早起きしてカメラを構えます。ところが,雪雲があって,なかなか晴れません。
 なんとか雲が切れてその間から星が見られたのが1月15日の早朝でした。
 南の空にはからす座の四角形が見えていました。
 ハッブル宇宙望遠鏡は,そのあたりを西から東に飛行するようですが,これまで見たことがないので,どのように見られるかわかりません。時間になったので凝視していると,雲の間を約2等星ほどの星がゆっくりと動いていくのが見えました。これが待望のハッブル宇宙望遠鏡でした。こちらは人間が乗っているわけではないのですが,これがあの有名なハッブル望遠鏡かと思うと,別の意味で感動しました。
 思っていたよりよく見えた,というか,国際宇宙ステーションよりかなり暗かったというか,そんな感想をもちました。やはり「百聞は一見にしかず」で,どのようなものかもよくわかりました。こうして,この日写したのが2番目の写真です。合成をしたものですが,薄雲に隠れてしまって,ちょっと残念な結果となりました。拡大してみると,記入した矢印の先に細い線のように見えるのがハッブル宇宙望遠鏡です。
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 これでは満足できないので,翌日に期待しました。
 1月16日早朝。昨日とはうって変わって快晴になりましたが,あいにく月齢13.0の月が沈みきらず,西の空に明るく輝いていました。月明かりは空を白くし,星や人工衛星を見るには大敵です。それでも,思ったより明るいハッブル宇宙望遠鏡がゆっくりと南の空を西から東に進んでいくのが見えました。それが今日の3番目の写真です。
 肉眼で見ていたときは気づかなかったのですが,この写真には同時に何か別の人工天体が写っていました。それが何か,調べてみてもよくわかりません。
 ということだったのですが,ハッブル宇宙望遠鏡がどのように見られるかがわかったので,これからまた作戦をねって,さらに満足な写真が撮れるように色々と工夫をしていきたいと思います。またひとつ楽しみが増えました。

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 自分の楽しみで日々空を見上げているだけなので,高価な機材を持っているわけでもなく,買う気もないのですが,それでも,長年楽しんでいると,安価であっても愛着のあるものがけっこうあります。
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 そのひとつが2017年8月にアメリカ・アイダホ州で皆既日食をみるために買った小さな屈折望遠鏡です。それだけで役目を終えるのも気の毒なので,写真用の三脚に微動装置のある架台に載せて,太陽や月を写すのに使っています。
 今日の写真は2022年1月9日の朝写した日の出ですが,大きな黒点があったので,ピントを調節して,少し高度が高くなった時に再び写してみました。
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 太陽活動領域(solar active regions)は太陽フレアなどが発生するコロナ中の局所的な発光領域のことですが, アメリカ海洋大気庁 (National Oceanic and Atmospheric Administration=NOAA)によって1972年以来,番号づけがされています。
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 この日の黒点は,上側のペアが12924で,下側の小さなほうが12925です。
 太陽には活動周期があって,2020年ころはほとんど黒点がなくなってしまったのですが,このごろは結構大きな黒点が見られるようになったので,それなりに楽しめます。

 ふたつめは,オーストラリアで南半球の星空を写すために購入した簡易赤道儀です。海外に持っていくためになるべく軽いものということで選んだのですが,こちらは広角レンズや魚眼レンズで星野写真を写すのが目的でした。
 この機材もまた,海外旅行ができないこのご時世,遊ばせておくのもかわいそうだと思っていたのですが,レナード彗星(C/2021A1 Leonard)が夕方の西空低く見られるようになったので,少し荷が重いのですが,180ミリの望遠レンズをつけたカメラをこの機材にとりつけて,1秒程度の露出で写るかを試してみることにしました。
 とはいえ,まったく恒星が見えない街中なので,頼るのは水星,土星,木星といった惑星です。まず,この3つの惑星が入る広角レンズで構図を決めてレナード彗星のある位置を特定してからレンズを交換して写すことにして,数日楽しみました。こうして数日写した結果,レナード彗星の位置が地上の景色を基準にしてわかるようになりました。
 今日の写真は2022年1月8日のものです。もう,ほとんど限界だったのですが,なんとか写りました。それが3番目のものですが,これではわかりにくいので,レナード彗星のあるあたりだけ拡大したのが4番目のものです。なお,3番目の写真には,レナード彗星の位置のめやすとなる2つの恒星が写っています。左側のものがつる座のガンマ星GSC7494.1748(γ Gru)で,上右がみなみのうお座のイオタ星GSC7490.1839(ι PsA)です。また,4番目の写真の右上の恒星はみなみのうお座の暗い恒星GSC7493.1118です。
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 GSCはガイドスターカタログ(Guide Star Catalog) といって,ハッブル宇宙望遠鏡が軸外の恒星を捉えるのを支援するために編集された星表です。15等星までの約2,000万個の恒星が含まれ,さらに,21等星までの9億4,559万2,683個の恒星が加えられました。これは,外宇宙の航行のために特別に作成された初の全天の星表です。
 また,昔からあるバイエル符号(Bayer designation)は,ドイツの法律家ヨハン・バイエル(Johann Bayer)が1603年に星図「ウラノメトリア」(Uranometria: Omnium Asterismorum Continens Schemata, Nova Methodo Delineata, Aereis Laminis Expressa =ウラノメトリア:新しい方法で描かれ銅版印刷されたすべての星座の図を集めたもの) で発表した恒星の命名法で,星座ごとに原則として等級順にギリシャ文字の小文字α, β, γ, …… と名づけたものです。
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◇◇◇
月,木星,土星,水星。

1月10日。日没後の快晴の西の空。
月齢8.6の月は天頂に。
水星が地平線ぎりぎりに写りました。
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 2022年1月4日の早朝,夜明け前。2021年12月,ふたご座流星群を見てから流星群に興味が出て,もし晴れていればしぶんぎ座流星群を見てみよう,と思っていたその当日。
 しかし,あまりに寒いので,すっかりやる気がなくなりました。なんとか気力を振り起し,出かけたのはいいのですが,30分くらいで帰宅しました。その理由は寒かったことに加えて,ぜんぜん流れ星が見えなかった,ということにありました。
 私が写した写真がかろうじて今日の1番目のもの,これでは情けない限りです。とはいえ,ネット上にあるような写真は6時間も粘って写してそれを合成したとか,私とは別世界の話です。
 いずれにしても,ニュースではいつも流星群と大きく取り上げられているのに私は疑問をもっていて,その記事を書いた人は実際に流星群を見たことがあるのかなあと記事を見るたびに思います。日ごろ星ひとつ満足に見られない自然を破壊された日本。この国のマスコミもまた,みんなこの程度です。
 愚痴が出たところで,今日はしぶんぎ座流星群が満足に楽しめなかったので雑感でした。

 「3大〇〇」というのは語呂がいいのでいろいろありますが,ここでも「3大流星群」というのだそうです。国立天文台のホームページによれば
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 毎年ほぼ安定して多くの流星が流れる3つの流星群「しぶんぎ座流星群」(Quadrantids),「ペルセウス座流星群」(Perseids),「ふたご座流星群」(Geminids)は「3大流星群」とよばれます。
  ・・・・・・
ということでした。
 「ペルセウス座流星群」は8月の中旬なので見やすいのですが,この時期は晴れません。それに対して,「ふたご座流星群」と「しぶんぎ座流星群」は天気はよいのですが,とても寒いです。若いころ,こたつに入って寝転んで流れる星の数を数える,といった観測方法が当時の「月刊天文ガイド」に載っていたのですが,こんなことは尋常ではありません。風邪をひきます。それに,前回も書いたように,ビュンビュンと流れるのならともかく,5分に1個程度では耐えられません。やはり,私には,流星観察は性にあいません。

 ところで,しぶんぎ座ですが,こんな名前の星座はありません。
 Wikipediaによると
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 しぶんぎ座(Quadrans Muralis)は1795年にフランスの天文学者のジェローム・ラランド(Joseph-Jérôme Lefrançais de Lalande)が設定した現在使われていない星座のひとつ。現在のりゅう座・ヘルクレス座・うしかい座の境界付近にあった。
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とあります。「四分儀」(Quadrant)というのは,天体の位置を観測するために使われた機器で,360度の4分の1,つまり,90度まで測れるわけです。同じように,「六分儀」(Sextant)「八分儀」(Octant)があって,それぞれ,360度の6分の1と8分の1,つまり,60度と45度まで測れるというわけですが,これらは,星座にあります。
 ろくぶんぎ座(Sextans)はしし座とうみへび座の間にある地味な星座で,日本から見えます。しかし,はちぶんぎ座(Octans)は天の南極にあって,ちょうど天の北極に当たるこぐま座の反対ですが,これもまたすごく地味な星座です。今日の2番目の写真はハワイ,3番目の写真はオーストラリアで写したものですが,改めて見ると,とてもなつかしくなりました。数年前,毎年オーストラリアに出かけていたころは,極軸を合わせるために,この地味な星座にずいぶんと詳しくなったものですが,今では,これもまた,遠い世界の出来事のようです。

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◇◇◇


◇◇◇
月,木星,土星,水星,
レナード彗星。

日没後の西の空。
月齢2.6の月の周りの惑星,そして,レナード彗星が幻想的でした。
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 西の空にある沈みゆく3個の彗星を写し終えたので,今度は天頂付近に望遠鏡の視野を移し,別の3個の彗星をねらいました。
 新たな3個の彗星は,アトラス彗星(C/2019L3 ATLAS),フェイ彗星(4P Faye),そして,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)という,これまでに何度も写してきた彗星です。
 こちらはこれから高度が高くなるので時間に追われることもなく,いささかのんびりムードでした。この中で,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が明るくなって,長いダストの尾を見せているという情報だったので期待しました。

 まず,最も探しやすいアトラス彗星からです。場所はふたご座α星「カストル」の近くです。
●アトラス彗星(C/2019L3 ATLAS)
 これまでに何度も書きましたが,アトラスというのは小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS=Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)のことです。この観測プロジェックはハワイ・マウイ島のハレアカラ (ATLAS-HKO)とハワイ島のマウナロア (ATLAS-MLO)に設置した口径0.5メートルのふたつの望遠鏡を使って,地球近傍小天体が地球に衝突する数週間から数日前に検出するために最適化されたロボット掃天観測システムで,これによって発見された彗星です。
 今回も簡単に写すことができました。

 次がフェイ彗星です。場所はふたご座の隣のいっかくじゅう座です。この時期,このあたりに見られるオリオン座やおおいぬ座などの冬の星座がきれいです。
●フェイ彗星(4P Faye)
 フェイ彗星は1843年にエルヴェ・フェイ(Hervé Auguste Étienne Albans Faye)によってパリ王立天文台で発見された周期7.54年の周期彗星です。
 この彗星,何度写しても私は苦手で,なかなかうまく写ってくれません。今回は楽勝モードだったのですが,写した写真を何度確認しても,彗星が特定できません。また,このあたりは天の川銀河で,ものすごく星が多いのです。自宅に帰ってから確認すると,どうやら9等星の恒星とほぼ重なってしまっていたようです。いずれにしても,この10等星から12等星という明るさの彗星は,等級と写り方が彗星によってまちまちで,写してみなければわからないものです。

 さあ,最後が,今日最も期待していたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星だったのですが,少しでも高度が高くなるまでと最後にしてありました。この晩は天気が回復基調だったのですっかり安心していたのですが,天気予報に反して,次第に東の空低いところから雲が出てきて,焦りました。
 それでも,なんとか写すことができました。長い尾があって,みごとでした。
●チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)
 これも何度も書いているのですが,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は,1969年にクリム・チュリュモフ(Klim Ivanovich Churyumov)とスヴェトラナ・ゲラシメンコ(Svetlana Ivanovna Gerasimenko)によって発見された周期6.57年の周期彗星です。
 2014年,ヨーロッパ宇宙気候が探査機「ロゼッタ」を送り込んだこの彗星は,撮影した画像から,ふたつの彗星がゆっくりとぶつかってそのまま結合したような2重の構造を持つアヒルのオモチャのような奇妙な形状をしていることがわかりました。この彗星がそれなのか,と思うと,特別な感慨があります。

 これで終了です。
 2021年12月28日が終わるころ帰宅したら,すでに空一面雲で覆われていました。


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 このところ,レナード彗星(C/2021A1 Leonard)を追いかけていましたが,レナード彗星以外にも多くの彗星を見ることができます。私は星見の楽しみとして10等星より明るい彗星をすべて写そうと思っているのですが,2021年12月28日の夜はここ数日の寒波も一休み,天気も回復傾向にあったので,遠出して,そうした彗星を写しに行くことにしました。
 調べてみると,この晩写すことができそうな彗星が7個ありました。そのうちのひとつであるパンスターズ彗星(C/2017K2 PanSTARRS)は夜明け前直前の東の空に昇るので断念して,それ以外の6個の彗星を写すことにしました。
  ・・
 今日はそのうちの3個を紹介します。3個の彗星とは,ボレリー彗星(19P Borrelly),ダレスト彗星(6P d'Arrest),そして,コワル第2彗星(104P Kowal2)で,3個とも日没後の西の空,くじら座からみずがめ座にあります。
 私は自動導入などというしゃらくさいモノは持っていませんが,くじら座β星(βCeti)をファインダーで見つけることができれば,あとは赤経と赤緯のどちらかを固定したまま移動していけば簡単に見つかるというとても幸運な位置にありました。
 なお,くじら座のβ星は「ディフダ」(Diphda)といい,アラビア語で「二匹目の蛙」を意味する 「الضفدع الثاني」(aḍ-ḍafdaʿ aṯ-ṯānī )に由来しているそうです。

 くじら座β星は2等星なので簡単に見つかって,そこから経度だけ動かして,ボレリー彗星にたどりつきました。
● ボレリー彗星(19P Borrelly)
 ボレリー彗星は公転周期6.85年の短周期彗星です。1904年,フランス・マルセイユのアルフォンス・ルイ・ニコラ・ボレリー(Alphonse Louis Nicolas Borrelly)がマルセイユ天文台で定期的に天体を観測している間に発見しました。
 ボレリー彗星は,2001年,アメリカの探査機「ディープスペース1」(Deep Space 1)が2,171キロメートルまで接近してその姿を撮影しました。このときの画像が今日の最後のもので,当時の彗星の画像の中では最高の解像度でした。「ディープスペース1」は,アメリカ航空宇宙局(NASA)が1998年に打ち上げたもので,イオンエンジン,自動航法など12の新技術の実地試験を主な任務とし,小惑星ブライユ (9969) とボレリー彗星の近接探査も行いました。

 次がダレスト彗星でした。
 ボレリー彗星から再び経度を下げていくとたどり着き簡単に写せるはずだったのですが,撮影直後にカメラの画像を見ても彗星状の天体が見つかりません。あとで自宅でコンピュータ画像を確認して,何とか見つけ出しました。暗く淡いものでした。
●ダレスト彗星(6P/d'Arrest)
 1851年,ドイツの天文学者ハインリヒ・ダレスト(Heinrich Louis d'Arrest)によりライプツィヒで発見された周期6.56年の周期彗星です。
 ハインリヒ・ダレストは,1846年,べルリン天文台でヨハン・ゴットフリート・ガレ(Johann Gottfried Galle)のもとで助手として働いていました。ヨハン・ゴットフリート・ガレは,ユルバン・ルヴェリエ(Urbain Jean Joseph Le Verrier)から「天王星の摂動の原因として存在が予測される新惑星を見つけるために空のある領域を観測して欲しい」という依頼を受け取り,その晩にハインリヒ・ダレストとともに星図にはない天体を見つけたことで有名です。これが新惑星であることが確認されて海王星 (Neptune) と命名されたものです。

 西の空にある3個の彗星の最後がコワル第2彗星です。コワル第2彗星はダレスト彗星(のいるはずの場所)から緯度だけを上げていくと簡単に見つかりました。
● コワル第2彗星(104P Kowal2)
 1979年にチャールズ・T・コワル(Charles Thomas Kowal)によって発見された木星族の公転周期5.90年の周期彗星です。チャールズ・T・コワルは,太陽系での観測と発見で知られるアメリカの天文学者で,ウィルソン天文台とパロマ天文台で,多くの発見をしました。
 2003年,ゲイリー・クロンク(Gary Kronk)とブライアン・マースデン(Brian Marsden)が,1973年にレオ・ブーティン(Leo Boethin)が観測した物体がコワル彗星と同一のものであることに気づきました。フィリピン人司祭神父のレオ・ブーティンは,1949年,ルソン島アブラ州の牧師に任命され,ルソン島の非常に暗い空を利用して,口径8インチ(20センチメートル)の望遠鏡で彗星や流星群を観測しました。

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 流星群といえば,私は,1946年にアメリカで雨のように流れ星が降り注いだというジャコビニ流星群のことを小学校の国語で習ったとき,そんなすごいものが一度でも見られたらいいなあ,と思ったのを覚えています。その後,1972年に,1946年のときのようなジャコビニ流星群が日本で見れれるのではと話題になったのですが,期待外れに終わりました。
 また,1999年,2000年に,しし座流星群がものすごいといわれ,毎年山まで見にいって予想が外れ,それですっかりあきらめて見にいかなかった2001年に期待以上の流星群が起き,私はそれを見逃してショックを受けたのが今でもトラウマになっているのです。
 実際,2001年のしし座流星群というのは,どんなものだったのか,私には想像ができません。流星群といって,多くの人はどんな状況を期待するのでしょう。10分に1,2個明るい流星がみられるものなのでしょうか。私が期待するのは,1分に10個程度なのです。しかし,調べてみると,2001年雄のしし座流星群でも,そんなすごいものではなかったようなのです。
 そんな幻想もあって,私は,自分のもっている流星群のイメージが現実のものとは違うことを知り,期待もなくなり,また,あまり興味が湧きませんでした。

 このところ,レナード彗星を見ているうちに朝4時に起きる習慣ができてしまい,12月14日の早朝もまた早起きでした。しかも,快晴でした。
 そこで,近場までふたご座流星群を見にいくことにしました。
 私がこれまで流星群をまともに見たのは,ずいぶん前のペルセウス座流星群だけです。このときは意外にもずいぶん多く流れ星が飛んで,結構楽しめました。しかし,星見に行くと大概1個や2個の流れ星が見られるので,流れ星などめずらしくもないし,また,三大流星群といったところで,先に書いたように大したことないと思っていたので,わざわざその日に星見にいくこともありませんでした。
 この晩は,1個でも写真にうつせればいいや,くらいの気持ちでした。
 しかし,流れ星の写真は,雷光の写真と同じくらい難しいのです。見えたときにシャッターを切っても手遅れだし,広い空のどこに飛ぶかもわかりません。また,流れ星がどのくらいの画角で,また,露出をすれば写せるのかも知りません。そこで,今回は,簡易赤道儀に対角魚眼レンズをつけて,ISO1,600にして10秒露出を繰り返すことにしました。

 という次第だったのですが,午前4時30分ごろから30分間挑戦して,結局,30分余りで10個程度の流れ星を見ました。流星群といってもこの程度なのだな,と思いました。たくさん写した写真を後でしらべると,3枚,流れ星が写っていました。今日の写真はその中の1枚です。
 よく報道写真で1コマにたくさんの流れ星のある写真が載りますが,あれは流れ星の写っている何コマかの写真を合成して1枚にしたものです。
 それにしても,実際やってみると,意外におもしろく,今ごろになってすっかりはまってしまいました。次は来年2022年1月4日早朝のしぶんぎ座流星群です。今度はもう少し工夫して,また,挑戦してみようという気になりました。

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 2021年1月3日,アリゾナ州のレモン天文台(Mount Lemmon Infrared Observatory)でグレゴリー・レナード(Gregory J. Leonard)さんが19.0等星で発見したレナード彗星(C/2021A1 Leonard)は,2021年12月12日に地球から約0.233天文単位(1天文単位は太陽から地球までの距離, 約1億5,000万キロメートル)まで接近しました。2022年1月3日には太陽に最接近します。
 予報では,最も明るくなる12月12日ころにレナード彗星は4等星ほど,ひょっとしたら1.5等星かも,といわれていました。夜明けの東の空に肉眼で美しく尾を引く姿が見えるのでは,と期待したのですが,残念ながらそれまでは明るくなりませんでした。それでも,12月9日には肉眼で確認できるほど明るくなりました。さらに,双眼鏡では尾を引いた姿を見ることができました。
 レナード彗星は秒速70キロメートルの速さで運動しているので,数分でものすごく早く動く姿を確認することができました。
  ・・
 レナード彗星の公転周期は約80,000年であったと考えられ,約3,700天文単位(5,500億キロメートル)の彼方から約4万年をかけてやってきました。2022年1月3日に太陽を周ったのちは双曲線軌道となって太陽系から飛び去っていき,二度と戻ってきません。

 私は,この1週間,天気がよければ早起きしてレナ―ド彗星を追いかけていましたが,12月11日はその数日前よりも明るくなったはずなのに,高度が下がってしまったことと霧が出たので,2番目と3番目の写真のようにむしろ暗くなってしまったように感じました。結局,今日の1番目の写真を写した12月9日のころの姿が最も美しいものとなりました。
 ちなみに,夜明け前に見ることができる最終日12月12日の早朝は曇っていたのですが,西の空から雲が切れてきたので急いで出かけて,午前5時30分ごろに広角レンズでレナード彗星の位置あたりを数枚写してみました。雲が切れるのがもう数分早ければよかったのですが,それでも薄雲の中にレナード彗星が確認できる写真を写すことができました。それが今日の4番目の写真です。
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 このあとレナード彗星は太陽を回り,12月15日過ぎには夕方西の空低く見ることができるようになるのですが,月が明るいのと高度が低いのと街灯の明るい夕方であることから,期待はできません。
 いずれにしても,この1週間,ずいぶん楽しむことができました。


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 今週末は大阪に行って「メトロポリタン美術館展」を見て,その後,紀伊半島を下る旅をする予定でした。しかし,レナード彗星が接近するというので延期して,彗星の写真をできる限る写すことに変更しました。
 そうした経緯もあって,とにかく晴れていれば,早朝,レナード彗星を写しに出かけるのです。
 とはいえ,天気が安定しません。そんな状況では遠出する気にならず,空が明るいのは仕方がないと,近場で撮影をしていました。
 そんな中,12月9日は安定した晴天となりました。長年星見をしていると,天気の予測ができるよになります。
 そこで,この晩は久しぶりに遠出することにしました。
 午前3時に出発して1時間,現地に到着しました。私が今回星見をする場所は南はダメですが,東から北にかけては暗く,また,地平線まで開けているのです。

 さっそく望遠鏡を組み立てて,まずは双眼鏡で手持ちで彗星を探し,それをもとに,望遠鏡のファインダーで目的の天体を入れます。自動導入装置といったこじゃれたものは持ち合わせていませんが,これで大丈夫です。
 レナード彗星は非常に明るく,すぐに見つけることができました。今は双眼鏡でもはっきりと見ることができるようになりました。また,目を凝らすと,肉眼でも確認できます。
 こうして撮影したのが今日の写真ですが,わずか30分程度でみるみる動いていきました。
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 今回は口径10センチメートルの双眼鏡も持っていったのですが,意外とレナード彗星を見つけるのに苦労しました。視野が狭いからです。やっと見つけたのですが,非常に大きな綿菓子状の天体はとても美しいモノでした。
 さらに,焦点距離35ミリの広角レンズでも写しました。
 レナード彗星はうしかい座アークトゥルスよりはるかに下にまで動いていて,かんむり座の東にあるのが写真でよくわかるでしょう。
 この後,レナード彗星はさらに下り,へび座からへびつかい座に達します。この日の午前5時過ぎの状況ではやはり12月12日までは見ることができそうですが,高度は残念ながら4等星止まりでありそうなので,さすがに,12月13日以降の日の出前の明るくなった空で確認するのは難しそうです。

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 今日の写真は12月4日早朝のレナード彗星(C/2021A1 Leonard)です。
 このような写真を写すことができるのはおそらく12月12日までなので,この1週間が勝負,ということで,晴れていれば毎晩でも写真を写しに行くことにしていました。
 太平洋岸の冬は天気に恵まれるのですが,どうもこの数年は,日本海側のような天気になってしまい,安定しません。絶えず雲が湧き,わずか数分ですっかり曇ってしまったり,また,その反対にすっかり晴れ上がったりします。こうなると,私のような観測所もない単なる愛好家は,わずかな晴れ間を狙うしかないので,早朝に起きて絶えず空とにらめっこです。レナード彗星は午前5時ごろの東の空で写すことができるので,さほど早起きをする必要がないのですが,なにせ寒いです。

 ということで,この日の朝,午前3時ころは曇っていて,まったく星が見られませんでした。ところが午前4時になるとすっかり雲がなくなったので,写しに行くことにしました。いつもの場所に着くと,次第に雲が湧き出てきます。焦りながら望遠鏡をセットしてなんとか雲が切れるときを待ってうつしたのが今日の写真です。
 非常に太陽に近く,動きが早いので,わずか数分でその位置が変わります。
 1番目の写真は球状星団M3と一緒に写したものです。そして,2番目と3番目の写真は動きがわかるように並べてみました。2番目の写真は4時36分,そして3番目の写真は午前5時6分,わずか30分でこれだけ位置がかわります。
 これからますます明るく輝くので,天気がよい日が続くといいなあと思います。

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