しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:やっと晴れたか!冬2023

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 このところ,夕方の西の空で木星と金星が見かけ上どんどん接近していて,昨日2023年3月2日に離角が0.5度まで最接近しました。月の視直径(見かけの大きさ)も0.5度ほどなので,月の大きさ程度です。
 これを楽しみにして,連日写真を写していたのですが,当日の天気だけが心配でした。その前の日3月1日に前線が通過して,それまでのポカポカ陽気が一変して冬のような天気に変わり,そうなると,西の空に雲が出るので,見ることができるかな? と不安だったのですが,幸い,晴れ上がって,幻想的で美しい姿を見ることができました。
 今日の写真は,1番目のものが30ミリほどの広角で写したもので,ねらいどおり走っている新幹線も入れることができました。そして,2番目のものが,ここ3日載せたものと同じ300ミリで写したものなので,ここ3日間,次第に近づく様子を比べることができることでしょう。

 木星と金星が,見かけ上接近して見える現象自体はさほど珍しいものではありませんが,夕方,つまり,金星が宵の明星のときに木星が最接近した離角が0.5度以下であり,太陽が沈んで空が暗くなった30分後に高度が20度を超える見やすいものが起きたのは,実に8年ぶりのことでした。前回見ることができたのは,2015年7月1日で,日没30分後の高度は21度,木星と金星の離角は0.4度でした。しかし,このときの天気を調べてみると,やはり,梅雨末期で,全国的に雨だったので,実際は見ることはできませんでした。
 また,明け方,つまり,金星が明けの明星のときは,最接近した離角が0.5度以下であり,太陽が昇る30分前に高度が20度を超える見やすいものが起きたのは,ここ20年以上ありませんでした。条件を少し甘くして調べ直してみると,2015年10月26日は晴れで,高度は35度もありましたが,離角は1度も離れていたので,見栄えがしなかったし,2022年5月1日は雨だったので,離角0.25度,高度13度でしたが,見ることができませんでした。
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 そのようなわけで,ある意味,とても珍しい現象を,雲のない夕方の西の空に見ることができたのは幸運でした。
 このような天体現象は,文字で読んだりイラストを見るよりも,実際に見てみると印象がまるで違い,とても美しく,おもわず見とれてしまいます。特に,この季節は空が澄んでいるので,晴れさえすれば,「かわたれどき」の夕焼けの空に明るい星が浮かび上がるので,それはそれはすばらしいものでした。

 なお,2月28日には,月が火星と接近しました。これが今日の最後の写真です。以前にも書いたことがありますが,月と惑星の接近は月が明るすぎて,うまく写すことができません。月の模様を写せば露出が不足して火星が写らず,火星を写せば月が露出オーバーとなってしまいます。

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 このところ,星見にあわただしく過ごしています。とはいえ,何事もさら~っと片づけたいと思っている私は,惑星や月がきれいならばすぐにカメラと三脚を持ち出して写真を写し,彗星が明るければ近くの暗いところに出かけて望遠鏡を組み立てて写真を撮ってくる,といったことを短時間ですまそうと考えているのです。それは,星見に限らず,旅行でも同じです。行きたいと思ったら躊躇せずサッと出かける。わざわざ,ということをしたくないのです。

 このところ明るくなったZTF彗星(C/2022E3)ですが,そろそろ月が明るくなって,彗星も全盛期を過ぎていくので,これが最後と,2023年2月1日の早朝,写真を撮りにいきました。もう月の影響が強く,沈むのが午前4時過ぎになってしまったので,その後の30分程度が勝負でした。
 遠出をしたくなくなったこの時期に出かけている近くの場所は,着いてみたらめずらしく先客がいたので,少し場所を変えることにしました。寒空の下,私以外にモノ好きがいるのだなあと感心しました。星見というのは複雑な楽しみで,人と交わりたくないのです。私は釣りをしませんが,釣りの場合はどうなのでしょう?
 望遠鏡を組み立てたときは,3番目の写真のように,まだ,西の空に月が幻想的に輝いていたので,沈むのを待つことにしました。月の光が川に反射してとてもきれいでした。この日はおそらく彗星が最も明るくなるころなのですが,調べてみて驚きました。前回写したのがわずか数日前だったのに,位置がずいぶんと変わっていて,つまり,彗星が動いていて,きりん座にいたからです。きりん座という地味な星座には明るい星がありません。前回はこぐま座にいたので,明るい星を手掛かりに簡単に見つけることができたのですが,これには困ったな,と思いました。私は,お金をまったくかけないので,というか,余分なものを一切もたないので,自動導入装置などはありません。
 しかし,案ずるより産むがやすし,というか,彗星が明るかったので,双眼鏡を使うと簡単に見つかりました。そこで,頭の中に双眼鏡で見た北極星から彗星までの星の並びを覚えて,それを手掛かりに望遠鏡のファインダーで彗星を導入しました。今回は30秒露出を30回行って,家に帰ってからコンピュータでメトカーフコンポジットしました。それが今日の1番目の写真です。

 せっかくなので,もうひとつ別の彗星を写すことにしました。それがパンスターズ彗星(C/2022 A2)です。この彗星もすでに前々回に写したのですが,今回は複数枚写してコンポジットすることにしました。こちらもまた,位置を調べてみて驚きました。前々回よりずっと高度が下がり,しかも,街明かりのある東の空に埋もれていました。なんとか位置を決めて写したのですが,カメラのプレビューを確認しても,確かにその位置に彗星があるはずなのに,一見,彗星状の天体が写っていません。よくよく探すと,実は思ったよりずっと小さいのでした。何とか確認して数枚写しました。それが今日の2番目の写真です。
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 パンスターズ彗星(C/2022 A2)は2022年1月10日に20.5等星で発見された彗星です。名前のとおり,ハワイ・マウイ島ハレアカラ(Haleakala)にあるハワイ大学の1.8メートルPan-STARRS2 望遠鏡を使用するパンスターズ・プロジェクトの大規模の天体捜査網で得た画像から発見されたものです。
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 ところで,以前書いたことがありますが,「かわたれどき」(彼は誰時)ということばがあります。人の見わけがつかないから「彼は誰」時なのですが,はっきりものの見わけのつかない薄暗い時刻のことを意味することばで,万葉集の時代からあります。一方,2016年の映画「君の名は。」で「かたわれどき」ということばが生まれました。それ以来,「かたわれどき」は夕暮れどきや夕方のことを指し,「かわたれどき」は明け方や朝方を指しているとされるようになりました。
 「かわたれどき」と「かたわれどき」。私は,何にも増して,このころの空の美しさが最高だと思っていますが,特に,その空に,水星や金星,さらに,薄い月が輝いていればもっときれいです。
 1月31日の「かわたれどき」には西方最大離角を終えたばかりの水星が高い高度で輝いていたので,これを朝6時前に写したのが今日の6番目の写真です。また,この日の「かたわれどき」のころから輝いていたのが月と火星でしたが,さらに少し時間が遅くなって空が暗くなると,そのバックにあるヒヤデス星団とプレアデス星団がかろうじて見えるようになりました。しかし,なにせ月が明るすぎるので,これをはっきり写すことができないのです。それは,露出をかけると月がどんどんと大きくなってしまい,その影響で空全体が明るく星が消えてしまうし,露出少ないと月の表面の模様ははっきり写りますが,今度は星が写りません。人の目には月の表面の模様も星団も両方見えるのが私には不思議です。そんな中,なんとか露出の塩梅を見つけて写したのが今日の7番目の写真です。
 まだまだ寒い毎日ですが,晴れていれば,このように,夜空にはこんなにたくさんのときめきがあるのです。

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 1度は写そうと思っていたZTF(ズィーティーエフ)彗星(C/2022E3)ですが,2023年1月17日の深夜に写すことができたので,すっかり満足していました。それから1週間ほどした1月末から2月はじめにかけて,5等星くらいまで明るくなり,しかも北極星に近い,一晩中沈まない周極彗星となるので,晴れていたら最も高度が高い午前4時ごろに見にいこうとずっと思っていたのですが,寒波が襲来して,星見どころか雪の心配が強くなっていました。それでも,1月28日の早朝は,昨日の雪も消え,快晴の予報だったので,寒さに打ち勝って再び見にいくことにしました。
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 ZTF彗星(C/2022E3)は,2022年3月にパロマ山で行われている観測プロジェクト「ZTF」で発見された,オールトの雲からやってきた彗星です。この彗星は発見からおよそ10か月後の今年2023年1月13日に太陽に最接近しましたが,その距離は太陽と地球間の距離よりも遠く,あまり明るくなりませんでした。その後,彗星は地球に接近し,2月2日の地球との最接近では約4,250万kmと,太陽と地球間の距離の30パーセントという近い距離になるので,現在,次第に光度を増しています。
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 午前3時に起床して,出かける準備をして,観測場所に着いたのが午前3時40分ごろでした。今回はZTF彗星(C/2022E3)を写すことだけが目的だったで,望遠鏡を組み立て,極軸を合わせ,彗星を視野に入れて,午前4時に撮影をはじめて,午前4時40分には帰宅していたので,その間わずか1時間でした。
 彗星はとてもわかりやすい位置にいて,望遠鏡のファインダ―でそれらしき位置を確認すると,簡単に彗星をファインダーで見ることができました。5等星くらいで,双眼鏡を向けると,感動的な美しさでした。彗星は地球に近い位置にいるので動きが早く,町に近く空が明るいので露出は30秒として,10枚程度撮影して,帰宅してからコンピュータでメトカーフコンポジットすることにしました。メトカーフコンポジットというのは,彗星の動きに合わせて写した複数枚の写真を合成してくれることで,天体画像処理ソフトウェアの「ステライメージ」を使うと,自動でやってくれます。便利な時代です。
 もっと暗いところで写せば長く尾が伸びた姿が写せることでしょうが,この寒さでは行く気になりません。
 ZTF彗星(C/2022E3)は,次第に地球から遠ざかります。見かけ上は,おうし座の方向に進み,次第に光度を落とします。また,月齢が増すので,明かりの影響で,見るのが困難になってきます。その先は太陽系の彼方に飛びさってしまうのですが,太陽に接近したことで離心率が小さくなりつつあり,現在の双曲線軌道から楕円軌道に変化し,将来的には,周期5万年程度の長周期彗星となるそうです。

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 天気がずっと悪かったことと,めぼしい彗星がなかったことと,引っ越しで忙しかったことで,しばらく星見に行くこともありませんでしたが,明るい彗星が近づいてきたので,2023年1月17日の早朝午前3時,家の近くに,彗星の写真を写しに出かけました。

 明るい彗星の名前は,ZTF彗星。ZTFはズィーティーエフと読むそうですが,変わった名前です。これまで聞いたこともありませんでしたが,調べてみると,すでに,2020V2,2021D2,2021E3,2021N1,2022P2,2022P3,2022E3と,7個の彗星にZTFの名前がつけられています。
 ZTFはウェイブページに
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 The Zwicky Transient Facility (ZTF) is a public-private partnership aimed at a systematic study of the optical night sky. Using an extremely wide-field of view camera, ZTF scans the entire Northern sky every two days. The resulting large area survey will enable the astronomical community to pursue a broad range of time-domain science ranging from near-Earth asteroids to the study of distant superluminous supernovae. ZTF is funded in equal part by the US National Science Foundation and an international consortium of universities and institutions.
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 (天文学者フリッツ・ツビッキー(Fritz Zwicky)にちなんで名づけられた)ツビッキートランジェント天体探査装置(The Zwicky Transient Facility=ZTF)は,光学を使って夜空の体系的な研究を目的とする官民パートナーシップです。ZTFは非常に広い視野カメラを使用して,2日ごとに北の空全体をスキャンします。広い領域を調査することで,地球に接近する小惑星から遠方の超新星に至る幅広い領域を天文学的に追求できる結果をもたらします。
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とありました。
 どうやら,この,ZTFによるサーベイもまた,地球接近天体の大規模検出プロジェクトのひとつのようです。使われる機材は,カリフォルニア州パロマ天文台にある「サミュエル・オシン望遠鏡」(The Samuel Oschin telescope)に取りつけられた新しいカメラです。「サミュエル・オシン望遠鏡」は,口径48インチ,126センチメートルのシュミットカメラで,9.75 インチのシュミット補正板と72インチ反射鏡で構成されています。ここに新しく取りつけられたのが,6,144×6,160ピクセルの16個のCCDで,1回の露出で47平方度の領域をカバーし,超新星,ガンマ線バースト,ふたつの中性子星の衝突,彗星や小惑星などの移動物体など,明るさが急速に変化する一時的な物体を検出するように設計されているということです。
 日本でも,木曽観測所にシュミット望遠鏡があって,少ない予算の中で現在はトモエゴゼンという名のついたCCDで天体の捜索をしていますが,さすがアメリカ,日々進化して,最新の装置に次々交換して成果をあげているようです。
 なお,フリッツ・ツビッキーは,1898年に生まれ1974年に亡くなった,アメリカで活動したスイス国籍の天文学者です。1930年代にウォルター・バーデ(Wilhelm Heinrich Walter Baade)とともに超新星が中性子星に移行する過程であること,超新星が宇宙線の発生源であることを示唆する論文を発表しました。また,パロマ天文台にサムエル・オシン望遠鏡の前身となる超新星探索用のシュミット望遠鏡を設置させるのに成功し,100個以上の超新星を発見しました。

 さて,私の目的は,ZTF彗星のうちC/2022E3という符号のついたもので,現在は北極星近くのうしかい座にいて,深夜に昇ってきます。やっと月明かりの影響がなくなってきて,しかも,天気がよさそうだったので出かけたのですが,午前3時の気温は2度でした。東の空低く,昇ってきたばかりの月齢25.4の月が赤く輝ききれいでした。このくらいの月齢だと星の光にはあまり影響はありません。街中だというのに,空は澄んでいて,うしかい座の星の並びが確認できたので,簡単に位置を特定し,写すことができました。約6等星で,彗星らしい姿が写りました。今日の1番目の写真です。
 さらに星図を見ていると,その下方,りゅう座に約9等星のパンスターズ彗星(C/2022A2 )が,そして,北極星を挟んで反対側のカシオペア座に約10等星で別のZTF彗星(C/2020V2)がいたので,これもまた,簡単に場所がわかって,写すことができました。それぞれ今日の2番目と3番目の写真です。
 C/2022E3は北極星を巻くようにして東から西に動いていって,1月下旬から2月上旬にはさらに明るくなるようなので,今後が楽しみです。

キャプチャ

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太陽面に黒点がいっぱい。

左下の最も大きなものは
日食グラスを使って
肉眼でも見ることができました。New1az


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