しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:やっと晴れたか?冬2019

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☆☆☆☆☆☆
 2019年2月18日の早朝,今度は金星と土星が大接近しました。
 金星(Venus)は、太陽系で太陽に近い方から2番目の惑星で,太陽との平均距離は108,200,000キロメートルで地球の約3分の2,地球に最も近い公転軌道を持つ惑星です。太陽系内で大きさと平均密度が最も地球に似た惑星であるため「地球の姉妹惑星」と表現されることもあります。地球よりも太陽側にあるので,地球から見ると金星は明け方と夕方にのみに見ることができます。明け方に見えるのを「明けの明星」,夕方に見えるのを「宵の明星」といいますが,現在は明け方,太陽が昇る前に東の空に昇ってくる「明けの明星」です。
 一方,土星(Saturn)は太陽から6番目,太陽系の中では木星に次いで2番目に大きな惑星です。太陽との平均距離は1,400,000,000キロメートルで地球の約10倍になります。また,巨大ガス惑星に属する土星の平均半径は地球の約9倍にあたりますが,平均密度は地球の1/8に過ぎないので軽く,水に浮くという説明がされています。私が子供のころに読んだ図鑑には土星が水槽に浮いている絵が描かれていたのですが,土星が入るような水槽などありえないし,土星の重さなどどうやって測るのだろうと,私は納得がいきませんでした。要するにこれを書いた大人は,土星の比重が1より小さいといいたかったのでしょうが,こういうたとえは子供の頭を混乱させます。土星といえば恒常的な環をもっていることで有名ですが,この輪ができたのは最近のことで,地球上では恐竜が闊歩していたころということが近ごろわかりました。土星の環は小さな望遠鏡でも美しく見ることができます。
 金星はマイナス4等星と明るく,土星は1等星ほどですが,現在は明け方の東の空,地平線に近いので,地平線付近まで晴れ渡っていないと,都会では土星が見にくいものです。また,写真に撮っても,輪のある土星を写すには露出を切り詰める必要があり,そうすると金星も暗く写っていまい,せっかくふたつの惑星を入れた写真を写してもほとんど小さな点になってしまいます。しかし,今日の写真のように十分な露出で写すと土星が露出オーバーになってしまうので,改めて土星の写真を別の露出で写して合成してみました。

 ところで,2月19日は「スーパームーン」でもあります。日本時間では午後6時3分に月が最も地球に近づきます。2019年は1月21日についで2回目の「スーパームーン」となります。月と地球との距離は1月の「スーパームーン」では357,700キロメートル,今回が356,800キロメートルなので,2月の「スーパームーン」のほうが若干近いです。
 「スーパームーン」というのは,もともとは天文学の用語ではなく占星術の用語です(今回もまた占星術が出てきてしまいました)。この言葉を広めたのは,NASAの研究所のひとつであるジェット推進研究所(JPL)で,地球と月の距離が近いときの満月が平均的な満月よりも大きくそして明るく見えるために,これを「スーパームーン」とよぶとしています。しかし,地球と月の距離がどれだけより近い満月を「スーパームーン」とよぶかという明確な定義はなく,概ね月と地球との距離が360,000キロメートル以内の満月を「スーパームーン」とよんでいるらしいというのが実情です。
 残念ながら明日2月の「スーパームーン」は雨で見ることができないという予報なので,その前日2月18日に左下がわずかに欠けた月を写しました。今日の写真はその月齢13.6の月です。

☆ミミミ
やっと晴れたか?冬2019④-火星と天王星の大接近

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☆☆☆☆☆☆
 2019年2月13日,火星と天王星が大接近しました。
 火星(Mars)は太陽系の太陽に近い方から4番目の惑星で,太陽との平均距離は 227,936,640 キロメートルです。ちなみに,太陽と地球との平均距離は149,600,000 キロメートルなので,その約1.5倍です。直径は地球の半分ほどしかありません。また,自転周期は地球に近く,火星の1日は24時間39分35.244秒です。地球は780日,つまり2年と7週間と1日ごとに火星を追い越しますが,その時期に地球と火星は接近して,そのときの距離は約80,000,000キロメートルです。火星はオレンジ色や赤っぽい色に見え,地球に近いので明るく,肉眼で簡単に見分けることができます。
 一方,天王星(Uranus)は太陽系の太陽に近い方から7番目の惑星で,太陽系の惑星の中では木星,土星に次いで3番目に大きいのですが,太陽との平均距離が 2,871,000,000 キロメートルと火星の10倍以上も遠いので最大等級が5.6等と暗く,肉眼で見るのは困難です。なお,太陽の周りを84年かけて公転しています。
 そんなわけで,天王星は双眼鏡を使えば容易に見ることができるのですが,普通の恒星とかわらないために,双眼鏡の視野に入っても,それが天王星だとはなかなかわからないものです。

 子供のころに太陽の周りをまわる惑星の存在をはじめて知ったころ,土星までの惑星にくらべて,天王星,海王星,そして,今は準惑星に格下げされてしまった冥王星というのは異質な惑星でした。それは,日本語での名前の付け方がまったく違うことと,とても暗いということにありました。
 確かに,肉眼で見ることは困難ですが,天王星と海王星は思ったほど暗い星ではなく,双眼鏡を使えば容易に見ることができます。しかし,先に書いたように,なかなか見分けがつかないので,実際に見ていても,それが天王星だ,海王星だと判断するのがむずかしいのです。だから,火星を双眼鏡の視野に入れさえすれば簡単に天王星を見分けることができるこうした機会は貴重なのです。
 しかし,火星と天王星の接近は珍しいものではありません。天王星は遠いので,ほとんど位置を変えませんが,それに比べて,おおまかにいえば,火星は2年で天球を1周するから,2年ごとに天王星に接近してくるのです。であっても,実際に双眼鏡でこのふたつの惑星を同時に見ると,やはり感動します。

 今回,こうしたことを調べているうちに,私にはまったく興味のない「占星術」にこのふたつの惑星の大接近に関連する情報がたくさんあることに気づきました。曰く,
  ・・・・・・
おひつじ座の29度まで来ている天王星は3月6日のおうし座入りに向かっています。
火星も天王星も次元の切り離しの天体。古い次元への執着を断ち切り,新しい次元へ進化させる星たち。
火星とのタッグによって2011年から始まった天王星おひつじ座次元の切り離しがいよいよ始まり,戻れないポイントを越えます。
そしてこのエネルギーはやぎ座に集合している冥王星,土星,金星と響きあい,やり残した仕事を終わらせる力,新しい構造の創造作業をサポートします。
  ・・・・・・
 私には,なんじゃこれは? という感じですが,この大接近を「コンジャンクション」とかいう言葉で語っています。こういうのを読むと頭が痛くなるのですが,世の中にはいろんなことを考えている人がいるんだなあ,と改めて知ったことでした。
 ちなみに,私のブログでの天体の話題は,占星術とはまったくかかわりございません。

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 惑星や彗星の動きは3次元であることに加えて,地球の周りではなく太陽の周り回っているからかなり複雑です。小学生が星の動きを習いますが,これほど難しいものを小学校で習ってもなかなか理解できないことでしょう。それでも近ごろは,コンピュータソフトのおかげで,ずいぶんとわかりやすくなりました。
 今日の写真は2月6日の深夜から7日にかけて写したウィルタネン彗星(46PWirtanen)=1番目の写真 と岩本彗星(C/2018Y1 Iwamoto)=2番目と3番目の写真 ですが,このふたつの彗星の軌道と地球の軌道をステラナビゲーターというソフトからご覧いただきましょう。
 まず,4番目のものは昨年12月12日ウィルタネン彗星が地球に最も近づいたときのものです。彗星が地球にこれだけ接近すれば明るく見えるのも当然です。
 そして5番目が2月6日のものです。12月12日よりウィルタネン彗星は地球から遠ざかっていますが,地球から見て太陽と反対の位置になるので,彗星は太陽から遠ざかるにつれて光度は暗くなってきましたが,天頂付近にあるので,いまでも簡単に写真に写ります。そして,岩本彗星は次第に地球に近づいてきました。この彗星は5日後に地球に最も接近します。
 彗星は地球に接近するのではなく太陽に接近するので,ちょうどそのときにたまたま地球が彗星の近くにあれば,明るく見えることなるわけです。だから,これは単に運次第,ということになります。

 太平洋岸の冬はいつも晴れているように思われるでしょうが,実際は安定していません。日本海側からの寒気で,急に雲が出てきます。その点では,春や秋のように,移動性高気圧がおむすび型の気圧配置に乗っかって周期的にやってきて,日本の上空にあるときは安定して一晩中晴れるというものとは違います。そこで,この季節は,天気予報を見ながら晴れる日を探して星見に出かけなけばなりません。
 岩本彗星が最も明るくなるのは2月12日あたりがですが,そのころに晴れるとも限らないので,2月6日,深夜0時までは晴れるという予報だったので,写真を写しに行きました。
 前回1月29日の深夜に写したときは,彗星はおとめ座のスピカよりも低かったので地平線から昇るのが遅く,地平線に近ければ空が明るく,またそこころは彗星も暗かったのですが,わずか1週間で彗星の位置がどんどんと変わり,2時間も早く昇るようになりました。
 今日の2番目と3番目の写真は同じ日の30分違いのものですが,彗星の位置を周りの星々と比べるとわかるように,ずいぶんと彗星が動いているのです。彗星は今地球に近いので,このように,みるみる位置を変えていくのです。

 星のことに詳しくない人は,彗星と流星を混乱していて,彗星も流れ星のようにスーッと流れていくと思っている人がいます。しかし,彗星は月や惑星のように,星々の間をゆっくりと動いていきます。
 私がこれまで見た中でもっとも動きの速かった彗星はIRAS・荒木・オルコック彗星=6番目の写真 でした。IRAS・荒貴・オルコック彗星(C/1983H1 IRAS-Araki-Alcock)は,1983年5月11日に地球から約466万キロメートルのところを通過しましたが,これは1770年7月1日に接近したレクセル彗星(D/1770L1 Lexell)の226万キロメートル,1366年10月26日に接近したテンペル・タットル彗星(55P Tempel-Tuttle)の343万キロメートルに次いで史上3番目に地球に近いところを通過した彗星なのです。なお,地球と月の距離は38万キロメートルであり,地球と火星が最接近したときの距離は5,600万キロメートルです。
 最接近したときのIRAS・荒貴・オルコック彗星は3等級ほどの明るさで,その写真を写そうと山に向かって運転していた車の中からもよく見えました。30度をわずか1日で移動するほどのすごい速さで,見ている間に動き,びっくりした思い出があります。残念なことにこれだけ地球に接近したのに長い尾をもっていなかったので,彗星は月よりも大きな綿菓子のように見えました。

☆ミミミ
やっと晴れたか?冬2019①-ウィルタネン彗星と岩本彗星

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 この季節は夜明けが遅いので,朝6時ころに東の空を見上げると,とても幻想的で美しいです。今年はそんな明け空に,さらに,金星,木星,土星が毎日位置を変えていって,そこに月が月齢を変えながら惑星の間をかけぬけていくのが見られるので,さらに幻想的で,どれだけ見ていても飽きません。

 今日の1番目の写真は2月1日(金)のものです。この日は金星と月齢25.8の月が大接近しました。
 そして,2番目と3番目の写真はその翌日2月2日(土)です。月は月齢26.8。あっという間に金星から遠ざかりました。この3番目の写真には右手上方にさそり座が写っています。月のさらに下には土星があるのですが,残念ながら雲に隠れて見えませんでした。
 さらに,4番目と5番目の写真は2月3日(日)のものです。月齢は27.8。月の出はさらに遅くなって,土星が月より先に昇りました。月齢27.8の細い月は肉眼で見ることができるのかな,と思ったのですが,予想以上に明るく輝いていました。
 これらの惑星いる位置はさそり座からいて座にかけてなので,ひょっとしたら,もっと空の暗いところに出かければ,夏の銀河のなかに惑星が輝いているという美しい写真が写せたかもしれません。一度,遠出をして写してみたいものです。

 以前このブログに書きましたが,月はどの月齢まで写せるのでしょう?
 地球を回る月の軌道は楕円なので,月齢がいくつまであるかは毎回異なります。また,今回は月齢が25.8,26.8,27.8というようにコンマ8のまま毎朝1ずつ変化するので,この時期に26.5のようなコンマ5の月を見ることはできませんから,どの月齢まで見ることができるかを確かめるには長い年月がかかります。
 今回の周期では,月齢は29.3までで0.0,つまり新月になりました。月齢27.8の翌日2月4日(月)は28.8でしたが,月が昇ってわずか10分もすれば日の出なので,果たして月齢28.8の月が見れらるのかどうか。それを確かめてみたいと思って,月が昇ってくる場所を調べて翌日を楽しみに待ちましたが,残念ながら曇ってしまっていて確かめることができませんでした。

 これまでに私が写した中で,最も月齢が小さいのは0.9で,反対に最も月齢が大きかったのは28.4でした。ともに今から3年前に確かめてみたものですが,その月齢の月はどちらも肉眼でもはっきり見えたので,もう少し月齢の小ささものと大きなものも写せるような気がします。
 今は当時よりも機材を整備したので,もう少し月齢が小さいものと大きいものにチャレンジしてみたいと思ったことでした。

☆ミミミ
月の写真を撮る②-月齢29と月齢1は写せるのか?
月の写真を撮る③-ついに撮ったぞ! 月齢0.9
月の写真を撮る④-ついに撮ったぞ! 月齢28.4
月・火星・木星・土星-小さな望遠鏡で惑星を写すと…

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 前回遠出して星見に行ったのが12月10日でした。その後寒かったこと,12月10日にウィルタネン彗星を写してしまったこと,年末に壊れて新しく買いなおしたコンピュータの設定に忙しかったことなどで,しばらく遠出をする機会がありませんでした。そのうちアメリカで皆既月食を迎えたように月が明るくなったので,再び月明かりがなくなるのをまって,1月28日から29日にかけて,星見に出かけました。

 いつも書いているように,暗い夜空の望めない日本では近場では満足な星の写真など写せないので,そんな条件で落胆しながらも主だった星雲や星団を写し終えた私は,地球に接近する10等星より明るい彗星の写真を写すことを目標としています。そしてまた,なるべく少ない機材で身軽に楽しみたいと考えています。
 そこで,前回の星見から撮影する機材を変更しました。あまりメカのことは書かないのですが,前回に引き続いて,ここに少しだけ紹介しましょう。
 私が新しく使いはじめたのは中古の300ミリレンズ(4番目の写真)です。あまり期待もせず安価で購入して,前回写してみたのですが,思った以上に写せました。これまで使ってきた望遠鏡よりもピントが楽に合わせられるので,大変便利です。
 こうして望遠鏡で写していたのを望遠レンズに変えてみると,望遠鏡ではファインダーがあるのにそれがなくなるから,ファインダーに代わる何か適当なものがないかな,と思っていろいろ探しました。当然,カメラのファインダーでは星が見づらいのです。そこで見つけたのが4倍で口径12ミリの単眼鏡です。
 望遠鏡についているファインダー,私の持っているものは正立像の優れものですが,そんな良心的なものは少なく,ほとんどの市販品についているのは逆像のものです。それは,そういうことにコストをかけても値段が高くなるだけで,それが大切だということを認識している消費者が少ないから売れない,というのが理由でしょう。
 そこで,正立像が見えるファインダーがなかなか見つからず,単眼鏡(5番目の写真)に目をつけたのですが,視野が10度以上あるのは利点としても口径が12ミリしかないのが不安でした。しかし,実際に使ってみると予想以上に星がよく見えて,非常に実用的でした。
 こうしてあまりお金をかけずにいろいろと工夫することは楽しいものです。

 この晩は,試しにオリオン座の大星雲を写しました(3番目の写真)。空の明るい日本では光害カットフィルターが必須です。300ミリレンズのフィルター径は82ミリですが,私は72ミリのものしかもっていません。82ミリというものは入手困難だし,あったとしても非常に高価です。そこで,ステップダウンリングで72ミリのフィルタをつけることにしました。せっかく口径が大きいのにもったいない気がしますが,2段階ほど絞り込むので,かまわないと思いました。
 そうして写した星雲ですが,なかなかいい写真になりました。ただし問題なのは,写真でわかるようにゴーストが出るのです。理由はよくわかりません。これから先,いろんな写真を写して原因を探りたいと思います。

 さて,彗星の話題です。
 現在,見ることができる10等星よりも明るい彗星はウィルタネン彗星(46P Wirtanen)と岩本彗星(C/2018 Y1 Iwamoto)です。ウィルタネン彗星は天頂のおおさくま座にあって一晩中見られますが,ずいぶん暗くなって7.4等星くらいという予報でした。また,岩本彗星は明るくなってきていて8.2等星という予報でした。
 岩本彗星というのは,徳島県在住のアマチュア天文家・岩本雅之さんが発見した彗星です。2018年11月8日にマックホルツ・藤川・岩本彗星を発見したばかりの岩本さんがその1月後の12月19日に発見したものです。
  ウィルタネン彗星(1番目の写真)は暗くなったとはいえ,天頂付近の空の暗いところにあるので,きれいに写りました。一方,岩本彗星(2番目の写真)はおとめ座にあって,昇ってくるのが11時過ぎです。2時には月が昇るので,地平線低いところで写したのですが,意外と暗いものでした。もう少し高度が高くなるまで待ってもよかったのですが,寒かったのでこの晩は帰宅しました。これから先,もっと明るくなって,しかも,高度も高くなるので,また機会があれば写したいと思いました。ともかく,岩本彗星をはじめて写すことができて満足した晩になりました。

☆ミミミ
やっと晴れたか?秋2018②-ウィルタネン彗星を見よう。
やっと晴れたか?秋2018③-ウィルタネン彗星を見た。
やっと晴れたか?秋2018⑤-日本人の発見した新彗星
やっと晴れたか?秋2018⑥-再びウィルタネン彗星を見た。

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