しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:ウィルソン山

IMG_5746IMG_5787DSC_2803DSC_2789

 私は,星を見ること以上に天文台に興味がありましたが,それは,子供のころに買ってもらった「原色現代科学大事典」の第1巻「天文」に載っていた世界中の天文台を実際にこの目で見てみたいというのが動機でした。
 そうした望遠鏡は,ウィスコンシン州のヤーキス天文台にある口径102センチメートルの屈折望遠鏡,サンノゼ郊外のハミルトン山にあるリック天文台の口径91センチメートル屈折望遠鏡,サンディエゴ郊外のパロマ山にあるパロマ天文台の口径500センチメートル反射望遠鏡と口径122センチメートルシュミット望遠鏡,ロサンゼルス郊外のウィルソン山にあるウィルソン天文台の口径152センチメートルヘール望遠鏡と口径254センチメートルフッカー望遠鏡,アリゾナ州フラグスタッフにあるローウェル天文台の口径33センチメートル屈折写真儀などでした。
 しかし,ウィルソン山,パロマ山という名前だけは知っていても,それがどこなのかは全く認識がありませんでした。

 その後,知識も増して,そうした望遠鏡の多くが今は時代遅れのものとなっていることは知ったのですが,子供のころの夢はそんなこととは関係ありません。
 そこで,私はこのような望遠鏡が現在公開されているのならぜひ見てみたいものだという想いがどんどん強くなってきて,ついに出かけることにしました。
 しかし,一般の観光地とは違って,わざわざ行っても見られるものかどうかわかりません。ホームページを見ても,どんな様子なのか要領を得ません。行かなくてはことが進まないので,とにかく行ってみようと,2018年と2019年に天文台を見るためにカリフォルニア州に旅に出たのですが,今では,本当に行ってきてよかったと,強く思います。
 これもまた,もし,行っていなければ,今ごろはものすごく後悔していたことでしょう。

 実際は,2018年に行ったときは,もっとも期待したパロマ天文台は見ることができず,逆にあまり期待していなかったウィルソン天文台は偶然にも特別公開の日にあたって,そのすべてを見ることができたのは不幸中の幸いでした。
 2018年には行くことができなかったパロマ天文台は,その翌年にまた出かけて,ついに,念願のパロマ天文台にも行くことができて,しかも,見学ツアーに参加することができて,私は,長年の夢をすべて実現したのです。
 ここでもまた,私の強運が発揮されました。

  ・・・・・・
 1917年11月に完成したウィルソン天文台の口径254センチメートルフッカー望遠鏡でエドウィン・ハッブル(Edwin Hubble)は,星雲が実際には我々の天の川銀河の外にある銀河であると結論,さらに,ハッブルと助手のミルトン・ヒューメイソン(Milton L. Humason)は,宇宙が膨張していることを示す赤方偏移の存在を発見しました。
 この望遠鏡は世界最大のものとして君臨していましたが,1948年にパロマー山に口径500センチメートル反射望遠鏡を完成したことでその座を明け渡すことになりました。1986年に口径254センチメートル反射望遠鏡は一度は運用を終了しましたが,1992年に再び使用が開始されました。フッカー望遠鏡は20世紀を代表する傑出した科学装置なのです。
  ・・・・・・
 パロマ天文台については次回。


◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

IMG_5719IMG_5725IMG_5726IMG_5723IMG_5728IMG_5886

●ウィルソン山に向かう険しい道●
☆6日目 2018年6月30日(土)
 今日が最終日で,明日の朝帰国の途に着くことになる。
 長年行きたかったセコイア国立公園と一度は行ってみたかったデスバレー国立公園,そして,口径5メートル反射望遠鏡のあるパロマ天文台とフッカー望遠鏡のあるウィルソン山天文台,さらには,新設のサンディエゴ・パドレスのホームグランドであるペトコパークに加えてしばらくぶりのドジャースタジアムと,盛りだくさんの場所を巡ってこようと旅に出た。その中で最も行きたかったパロマ天文台には振られてしまったが,その代り,この日はすてきな出来事が起きる。

 早朝サンディエゴを出発して,私はロサンゼルスに向けてインターステイツ5を北上した。サンディエゴに向かうときにわかったことは,インターステイツ5は,ロスアンゼルスからサンディエゴ間は多いところでは8車線もあるのに,ロスアンセルスに近づくにしたがって車線が減り,ついには2車線にまでなってしまうから,渋滞しないわけがないということだった。これはシアトルでも同様だが,悪しき日本の道路のようなものだ。
 アメリカでは,大都市のインターステイツ網が先に完成して郊外に伸びていった。やがて,車が増えるにしたがって,郊外では車線が拡張したのに,都会では拡張する土地がないものだから取り残されてしまい,慢性的な渋滞が解決できなくなっている。もはや飽和状態なのである。そこで,都会に流入する車を減らそうと,ニューヨークではマンハッタンに入るだけで通行税を取るといった対策を講じているといわれる。
 私は渋滞を避けてできるだけ早くロサンゼルスに到着しようと早朝に出発したわけだった。

 今日の予定はウィルソン山天文台に行くことと,その後にドジャースタジアムで前田健太投手を見ることであった。今晩は寝るだけだからロサンゼルス国際空港近くの安価なモーテルを予約してあった。
 ウィルソン山天文台はロサンゼルスから北東にあるウィルソン山の山頂にあって,ロサンゼルスのダウンタウンからは1時間ほどのところだ。天文台がロサンゼルスからそんな近くにあっては天文台としての機能はすでに終わっていると思うが,ここは歴史的にはパロマ天文台など比較にならないほどの老舗なのである。
 事前に調べたところでは,公開しているのは週末のみということであったから,私はこの旅で唯一の週末であるこの日に行くことにはじめから決めていた。その反対にパロマ天文台は年中無休ということであったが,それがとんでもないことになってしまったわけだった。

 パロマ天文台のように突然の公開中止ということもあるとまずいので,私は前日の夜,事前にウィルソン山について調べてみた。すると,この週末は「スペシャルウィーク」ということで,毎週末に実施している天文台の公開ツアーが中止となっているではないか! 私は一瞬己の再びの不幸を嘆いた。しかし,よく読んでみると,それは大いなる誤解であって,この週末はウィルソン山天文台を造った偉大なるヘールさんの生誕150年祭で,天文台すべてを無料で公開するとあった。
 これはすばらしい偶然であった。この日を選んで来たわけでもないのに,まさに最高の日であったわけだった。それにしても,パロマ天文台だって同じく偉大なるヘールさんの生誕150年記念の日である。その日を休みにしていいものだろうか。一体何を考えているのだろうか,と不思議に思った。
 そんなわけで,旅は人生と同じ,よからぬこともあれば,その分よいことも起こる。これは私にとってパロマ天文台に行くことができなかった代償として有り余るものであった。

 渋滞する前にロサンゼルスのダウンタウンに差しかかったが,週末ということもあり,まわりは閑散としていた。私は一旦インターステイツ5を降りてマクドナルドで朝食をとった。この旅ではマクドナルド以外のハンバーガーショップに行くことにしていたが,一旦行ってみたインアンドアウトバーガーが土曜日ということで早朝やっておらず,それ以外にもおもしろそうなハンバーガーショップも見つからず,しかたがなくこの日だけマクドナルドに行ってみたわけだ。しかし,マクドナルドに入ってそのなじみのある雰囲気にもホッとしたのもまた,おかしなことだった。
 その後,ロサンゼルスのダウンタウンを抜け,ウィルソン山に向かった。ウィルソン山に向かう道路は,想像以上に険しい山道であった。

このページのトップヘ