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数年に一度くらい飛行機で旅行をする人にはどうでもいいことでしょうが,航空会社にも買い物をするときのようなポイントというものがあります。それがマイレッジです。
世界中の航空会社は大まかに3つのグループにわかれていて,これをかっこよくエアラインアライアンス(Airline alliance)という名前でよびます。エアラインアライアンスは「スターアライアンス」(Star Alliance),「ワンワールド」(Oneworld),「スカイチーム」(SkyTeam)があって,それぞれのグループで飛行機を利用するとエアラインアライアンスごとに共通のマイレッジという名前のポイントがつきます。
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日本では,数年前にポイントカードとかいうものがブームになって,そのときに,TポイントだのRポイントだのPontaだのというものができました。1,000円で1ポイントとかだと,1,000買い物をすると1円の割り引きという感じです。考えてみれば,大した得にもならないので,ポイントなどはどうでもよいと私は思うのですが,買い物をするたびに「ポイントはどうですか」と聞かれるのが面倒で,そのためにポイントカードを作りました。
それが,今では,ポイントが共通になったり,スマホ決済で自働的にポイントが加算されたするようになったりで,何がなんだかわからなくなってきました。大した得にもならないと先に書きましたが,であるのに,ここで買ってもポイントがつかないから,というような理由で,モノを買うのが面倒になったりもするから,ポイントはメリットでなく,デメリットであることも多いようです。
そしてまた,持っているポイントはどんどん使うほうがいいのです。これは少し考えればわかります。
この国の政府は,消費者にとって便利であるように,ポイントを交通整理すればいいのに,その逆に国自体もまた,新たにマイナポントとかいうのをはじめて,火に油を注いています。それはまるで,若者の話についていけない親父がむりやり話を合わせて白けるようなものですが,これもまた,日本らしきはなしです。これでは,スマホも使えないお年寄りはさらについていけなくなります。
それはそれとして,エアラインアライアンスに戻りますが,このマイレッジといわれるポイントは,まったくもって利用者には迷惑極まりないものです。それは,このエアアライアンスのマイレッジは,それをため込んだ量によって,乗客を格付けするような感じになっているからです。楽しいはずの旅行なのに,一見さんは自分が何か劣る人間のような心理に貶めされることになります。
それでも,海外旅行なら,いつも使っている人が便宜を図ってもらうのはそれなりに利点はあるのでしょうが,国内線にほんの1時間ほど乗るのに,マイレッジの量で優先搭乗とかしたところで,手間と時間がかかるだけでほどんど意味がないし,まして,そんな短時間の搭乗にファーストクラスなど設定しても必要もないと私は思っています。
こうした格づけというのは何でも金で人をランクづけするアメリカ人の発想なのです。アメリカを旅行するときには,こうした「格」がないとやたらと混雑してしまうから,それは必要悪であろうけれど,たかが日本の空港など,そんな「格」があろうとなかろうと別に何も困ることなどないのです。
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デルタ航空の属する「スカイチーム」のマイレッジは期限がないのですが,JALの属する「ワンワールド」やANAの属する「スターアライアンス」のマイレッジには1年とか3年とかの有効期限があって,なるべく早くたくさん利用してもらおうと煽るわけです。
これが絶好調の時代の戦略でした。ちょっと調子に乗りすぎていたのでしょう。
であったのですが,2020年来のコロナ禍で,海外旅行もできなくなり,多くの人は飛行機を利用する機会が減ってしまいました。そのために,マイレッジという企業戦略が破綻をきたす結果となったのは皮肉というかなんというか…。
コロナ禍が終息したのち,これまでの戦略がどうなるかというのが,私には興味のあるところです。
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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは