日本で開催される美術展はいつも混雑していて,絵画を見るというより人の頭を見るようなものなので,行くのをためらってしまいます。主催者も何とかしようと工夫していて,少し前に東京でフェルメール展をやったときには入場に時間制限があったので,快適に見ることができました。先月行ったオーストリアのウィーン美術史博物館の特別展も同様のことをしていたので,これが世界標準なのでしょうか。
それに比べていつも最悪だと思うのは奈良の正倉院展です。時間制限もなければ,展示方法もまた悪くて人が集まると全く見ることができません。もう少し高く展示すればいいのにと思います。
東京でやっていたコート―ルド美術館展が終わって,1月3日から名古屋で展示がはじまりました。いつ行こうかと思っていたのですが,お正月の明けた1月8日は平日,かつ,朝のうち雨だったので,これがチャンスだと行ってきました。
開場時間の午前10時に到着すると,拍子抜けするくらい空いていました。この美術展の目玉である「フェリー・ベルジェールのバー」(Un bar aux Folies Bergère)のある部屋まで行くと,絵画は私ひとりの独占でした。
エドゥアール・マネ(Édouard Manet)が最晩年に描いた「フェリー・ベルジェールのバー」は19世紀パリの文化を象徴するカフェ・コンセールで働くバーメイドを題材として,女性がひとりで生きる厳しさや社会における疎外感を描いた作品です。絵画の大部分を占める鏡像がおかしいと議論されますが,だから絵画であって,その味が謎を秘めているからこそ,作品に奥行きが生まれ,見る人を引き込むわけです。
余談ですが,私は,音楽に比べて絵画に親しみはじめたのが遅いので,絵画にはあまり詳しくありません。ただし,海外旅行に出かけるたびに美術館には行くので,多くの作品と接した経験だけは負けませんが,何をどこで見たのかあまり覚えていません。記録しておくべきだったなあと後悔しています。
その程度の知識なので,名前が似ているというだけで,ずっとマネとモネがごっちゃになっていました。今はやっと違いがわかるのですが,ここで,そのふたりの画家について,自分のために書いておくことにします。
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エドゥアール・マネは1832年に生まれ1883年に亡くなった西洋近代絵画史の冒頭を飾る19世紀のフランスの画家です。近代化するパリの情景や人物を伝統的な絵画の約束事にとらわれずに描き出し,絵画の革新の担い手となりました。代表作は「草上の昼食」「オランピア」などがあります。印象派の画家に影響を与えたことから,印象派の指導者あるいは先駆者として位置づけられています。
一方,クロード・モネ(Claude Monet)は1840年に生まれ1926年に亡くなった印象派を代表するフランスの画家です。代表作は「印象・日の出」(Impression, Sunrise),また,睡蓮を描いた連作で知られています。モネは典型的な印象派を代表する画家で、時間、季節とともに移りゆく光と色彩の変化を追求し続けた「光の画家」ともいわれる画家です。なお,印象派(Impressionism)ということばは,モネの「印象・日の出」から皮肉まじりに揶揄されたことからでてきたものです。当時の保守的な評論家が「あの,印象なにがしとかいうしょうもない絵画を描いている輩たちが…」というような評論をしたわけです。
ふたりの出会いは1866年に「モネ」が出品した作品が「マネ」の作品と間違えられたのがきっかけといわれています。「マネ」は「モネ」の水の描写する卓越した能力を見抜き「水のラファエロ」と讃えました。
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1時間以上かけて美術展を見ました。見終えて,会場の同じ階にあるレストランでゆっくりと昼食をとりました。休日だと入るのも大変なレストランですが,この日はここもまたほとんどが空席で,落ち着いた時間を過ごすことができました。
名古屋は何もない都会ですが,それでも,平日に,美術館や東山公園,名古屋港水族館などに出かけて,見学後にゆっくりとお昼を食べ,午後は科学館でプラネタリウムを見たり図書館へ行ったり,夜はコンサートに行くというのは,人も少なくて,とても幸せな時間を過ごせます。こうした,東京や大阪では不可能な落ち着いた楽しみができる街でもあります。
☆ミミミ
この日の早朝は,北西の空から南東の空に約5分間かけて,ISS(国際宇宙ステーション)が飛行している姿を快晴の空に美しく見ることができました。ISSは太陽の光を反射しながら地球を周回しているので,条件がよければ,結構頻繁に見ることができます。太陽の光を受けて見えはじめるところから地球の影に入って見えなくなるまでの軌跡をすべて収めたいと思っていたので,試してみました。5分間ほど露出しなければならないので,うまく写るかなと思ったのですが,きちんと収めることができました。次は動画に挑戦したいと思っています。






