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ツアーに参加しなければ,きっと,この汽車には乗らなかったと思うので,参加して本当によかった。ヒルシティーでトレインを下車して,再びバスに乗り,クレイジーホースモニュメントに行った。
クレイジーホースモニュメントは,かつて白人と戦ったインディアンのスー族の英雄クイジーホースの彫像で,完成時には世界最大の彫像となるとのことだけれども,現在完成しているのは頭の部分のみ,いつ完成するかもわからず,正直言って,なんだこりゃ,という感じだった。
遠くの展望台と売店のある場所から眺めるだけで,近くに行くには,さらに,お金を出して乗り物に乗る必要があるけれど,それほどの価値があるとも思えない。ちょっと興ざめであった。 さらに輪をかけたのが中国人観光客の団体だった。彼らがただひとつしかないカフェテリアに押しかけたために,昼食を食べることすらままならない。ほとほといやになった。
クレイジーホースは,いかにも,マウントラッシュモア観光の団体客を目当てにした観光施設であった。アメリカ合衆国の歴史上の微妙なことはよくわからないが,そうしたいろんな問題があるので,ツアーはここを避けないように配慮しているだけのような気がした。
きょうのツアーの最後は,カスター州立公園で,この公園を車窓から眺めてから帰路についた。カスター州立公園では,野生のバッファローの群れを見ることができた。
このツアー,6年前,イエローストーン国立公園へ行ったときに参加したような小型のバスによる少人数のツアーであれば,いろいろな出会いもあったり,小回りのきく観光ができたりしたのになあ,という点は残念だったけれど,マウントラッシュモア国立モニュメントは素敵だったし,1880トレインにも乗れたし,とても楽しかった。
観光シーズンを避けて,ゆっくりと過ごすことができるのなら,キーストンという町も素敵なところだし,もっともっと楽しめるのではないかと思った。
いずれにしても,2日間にわたって,サウスダコタ州ラピッドシティ近郊のおもな観光名所を訪れることができて,ここにはたくさんの見所があるのだなあ,と再認識した。
マウントラッシュモア国立モニュメントにしても,日本では,有名ではあっても,どこにあるか知らない人が多い。ノースダコタ州ほどではないにしても,サウスダコタ州というのは,あまり馴染みがない。遠いということが最大のデメリットなのだろうが,次の日に訪れたバッドランズ国立公園も加えれば,このあたりは,ラスベガスとグランドキャニオンに行くよりも,ずっとずっと魅力があるところだなあと思った。
午後5時ごろ,ホテルにもどった。きょうの夕食は,昨日行ったモールへ再び出かけて,フードコートで中華料理を食べることにしようと,外に出た。
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2012アメリカ旅行記-サウスダコタ州の夜が明けて②
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次の目的地,デッドウッドにむかう途中の町サンダンスに,1軒だけあるというアロという名前のレストランで昼食をとった。地元のレストランというのは,その地に住んでいる人の様子がよくわかるし,食べ物もおいしいし,素敵なところだ。きょうは日曜日でもあったので,お店の中は家族連れが大勢いた。
デッドウッドは,1876年に金が発見されてゴールドラッシュが勃発,こうしてできたこの町には,当時,西部映画に名を連ねる人々が暮らしていた。現在は,歴史的なランドマークとして観光地化されていて,ワイルドウエストの雰囲気とアンティークな町並みが,西部開拓時代のアメリカを思い出されるところだ。
有名な殺し屋ワイルド・ビル・ヒコックがポーカーの最中に殺されたサロンもそのまま残っていて,殺されたときに座っていた椅子が展示されていた。殺されたといわれる場所でカウボーイ帽子をかぶって写真を撮った。このサロンは,床も当時のままで,西部劇そのままだったし,素敵だった。子供の頃に駄菓子屋で買った絵本に載っていたアメリカの西部の風景が蘇った。
ミッドナイトスターというサロンは,ケビン・コスナーが経営していて,主演した映画で使用された衣装などが展示されていた。
デッドウッドには「幽霊ホテル」というのもあって,幽霊の出るという廊下で写真を撮った。ひょっとしたら,写真に幽霊が写っているかもしれない。
きょうは,このようにして,ツアーガイドの高木さんのおかげで,ディープなサウスダコタ州やワイオミング州を味わうこともできたし,すっかり,アメリカの感覚も戻ってきた。
もう一度来ることができるのであれば,ケビン・コスナーやいろんな西部劇の映画をたくさん見てから,このあたりに宿泊して,ゆっくりとワイルドウエストを味わいたいものだと思った。
午後4時前,ホテルに戻った。
少しゆっくりとして,その後,ホテルの近くを散策しようと思って,インターチェンジの橋を北に渡った。ホテルやファミリーレストラン,そして,モールがあった。
まず,モールへ行った。広すぎて,着くまでが大変だったが,中は,閉店している店舗があったり,人があまりいない場所があったりと,これも不景気の影響なのかな? と思った。フードコートで食事をしようと考えたが,日曜日だけは午後6時に閉まってしまうので,片付けが始まっていた。
ホテルへ帰る途中,デニーズがあったので,そこで夕食をとることにした。
夕食後,ホテルに戻って,ベッドに寝転んで,テレビを見ていたが,こちらのテレビは,映画をやっているかコマーシャルをやっているばかりで,以前は,そんなことは感じなかったが,あまり面白くない。やたらとロムニー候補のネガティブキャンペーンのCMをやっていた。
きょうは,日曜日なので,CBSのレイトショーもやっていないし,結局,ESPNでMLBのニュースを見るか,CNNを見るかしかない。これでは日本とかわらないなあ,と思った。
テレビでは,イチローがヤンキースにトレードされたという話で持ちきりだった。イチローは,すでに,シアトルではする仕事がない。トレードするにもあの高い年棒には手を出す球団はないだろうと思っていた。
MLBで,イチローがやり残した仕事はワールドシリーズだけだ。だから,彼にとってみれば,たとえ,守備位置が変わり,打順が下位になっても,歓迎すべきトレードに違いないが,8月にマリナーズ観戦ツアーを計画していた人たちには大ショックだったろうと,すでにシアトルでイチローを見た私は,余裕でそう思った。
2012アメリカ旅行記-サウスダコタ州の夜が明けて①
☆2日目 7月21日(日)
頭痛がするような時差ぼけはない。でも,寝つかれず,そして,2時間ごとに目が覚める。朝,起きられるかということだけが心配だったが,早く目が覚めすぎて困ってしまった。
きょうは,日本人ガイドの高木さんが,朝8時にホテルに迎えに来て,そのまま,デビルズタワー国立モニュメントとデッドウッドの町の観光をするというのが予定であった。
到着早々,こちらの情報もよくわらないので,こうしたツアーはとても助かる。ということで,少し割高だったけれど,初日は日本語ツアーを予約してあった。
朝,6時前に眠気覚ましに外に出て少し歩くと,ファミリーレストランがあったので,朝食を食べに中に入った。ミルクを入れたコーヒーがとてもおいしいかった。
朝食後,インターチェンジにかかる歩道から眺めた景色が最高だった。東西にはインターステイツ90が延々とのびていて,東の空には,上ったばかりの太陽が,地面を照らしていた。北側には,雄大な大地が広がっていた。きっと,その向こうは,みんなが「何もない」という,憧れのノースダコタ州なのだ,と思った。
アメリカには国旗が目に付くがどこも半旗だった。デンバーの銃の乱射事件を悼んでのことだという。
時間通り高木さんが来て,さっそく車に乗りこんだ。
車はインターステイツ90を西に,やがて,サウスダコタ州からワイオミング州に入って,サンダンスという小さな町からデビルズタワー国立モニュメントを目指して進んだ。
久しぶりに見るアメリカの景色が,忘れかけていた感動を呼び覚ました。特に,このあたりは,モンタナ州の景色に似ていて,とても懐かしい。
デビルズタワーというのは,地下深いところにあった巨大なマグマのかたまりが地層を貫いて地表まで上昇したものが,やがて,まわりの軟らかな地層が侵食されて削られたので,結果として,この塊だけが,タワーのように残ったものらしい。タワーは細長い柱状の柱が寄せ集まった状態でそびえていて,高さは約400メートル近くある。映画「未知との遭遇」のラストシーンでUFOが舞い降りたシーンで有名だ。
アメリカの名所というのはどこもかも,ガイドブックや写真で見るよりも,実際のほうが,ずっとずっとすごい。
ロッククライミングの名所ということで,この日も,数人のクライマーが登っている姿を見ることができた。1893年,初めて登頂したときに残したはしごがあって,注意深く探すとそれを眺めることができるが,こういったことは,現地を知るガイドさんがいないと見落としてしまう。
1周するトレイルがあって,これを歩くと,タワーは,場所ごとに姿を変えて,そのどれもが壮大で,写真で見るよりもずっと感動する。
トレイルの途中で,野生の仔鹿と遭遇した。背中に斑点があって,まさに,バンビ。とてもかわいかった。こういう姿も,そう簡単には見られるものではないらしい。
公園の入口にはビジターセンターがあって,タワーに残っているたての溝は熊が引っかいたものだというキオワ族の伝説を表した有名な絵画が飾ってあった。
デビルズタワー国立モニュメントの帰りに,公園のゲート近くに大平原が広がり,プレーリードッグが巣穴をつくっていた。プレーリードッグは,とてもかわいかった。