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【Summary】
On November 30, 2024, I attended the NHK Symphony Orchestra's December A Program, featuring Wagner’s Prelude and Liebestod from Tristan und Isolde, R. Strauss’s songs, and Schoenberg’s symphonic poem Pelleas und Melisande. While I enjoyed Wagner, Strauss's songs didn't resonate with me. Schoenberg’s complex work, with its vivid imagery and connections to Wagner, remains challenging for me to appreciate despite its innovative qualities.

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 もう11月も最終日なのに暖かな2024年11月30日,NHK交響楽団12月Aプログラムを聴きにいきました。
 この日の曲目は,-シェーンベルク生誕150年- と題して,ワーグナー(Wagner)の楽劇「トリスタンとイゾルデ」(Tristan und Isolde)から「前奏曲と愛の死」(Prelude and Liebestod), R・シュトラウス(R.Strauss)の「ばらの花輪」「なつかしいおもかげ」「森の喜び」「心安らかに」「あすの朝」,そして,シェーンベルク(Schönberg)の交響詩「ペレアスとメリザンド」(Pelleas und Melisande)でした。
 R・シュトラウスを歌ったクリスティアーネ・カルク(Christiane Karg)さんはドイツのバイエルン州フォイヒトヴァンゲン生まれで,リリックな響きと豊かな表現力でR・ シュトラウス独特の歌曲の世界を描き出すというのです。

 ワーグナーの「前奏曲と愛の死」は好きな曲です。次の,R・シュトラウスの歌曲は,いつも書いているように,私は,R・シュトラウスが苦手なので,だめですが,歌曲は何とかいけます。そして,最後に,今回の目玉であるシェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」は,この曲は40分を越える大曲で,おそらくこれまでにも聴いたことがあると思うのですが,予備知識がなければさっぱりわからないものです。せめて,質のよいドラマのバックミュージックとして流してもらえば,私でもそのよさが理解できると思うのですが,悔しい限りです。そもそも,物語を音楽で表そうというのが無理な相談だと,浅はかな私は感じるのです。
 晩秋の東京の黄葉を味わいつつ,NHKホールに向かいました。今回は,私には感想すら書くことが無理なので,岡田暁生さんの解説を引用します。
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 このプログラムは,後期ロマン派の爛熟プロセスを辿るもので,ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」は半音階と管弦楽法による深層心理表現とエロスの解放の点で20世紀音楽の偉大な起点であり,それがR・シュトラウスに継がれ,やがて,シェーンベルクの無調に至るのですが,「ペレアスとメリザンド」はシェーンベルクがぎりぎりで調性に踏みとどまっていた最後の作品のひとつであることから,後期ロマン派音楽の終点といえる。
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だそうです。

 ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」は,シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」と同じく三角関係を軸にした悲恋の物語です。そこで,「ペレアスとメリザンド」において,半音階で上下行する「メリザンドの主題」や広い音域の跳躍を伴う「運命の同機」は,「トリスタンの動機」に似ているし,次第に盛り上がっていく愛の場面は「トリスタンとイゾルデ」の〈愛の二重唱〉を思わせるということです。
 また,今回の曲目でR・シュトラウスを挟んだのは,シェーンベルクに「ペレアスとメリザンド」の作品化を勧めたのがR・シュトラウスだった,というのが理由だそうです。ただし,この曲は,前後の悲劇的な物語とは対照的に,男女のロマンティックな愛,満ち足りた喜びを描いたものだそうです。

 最後に
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 ひとたび「難解」という先入観から逃れることができれば,きらめく指環や,塔から垂れるメリザンドの髪,トロンボーンのグリッサンドによるおどろおどろしい地下の洞穴など,個々のシーンの描写は極めて具体的でわかりやすく,まるで冒険をテーマとしたゲーム音楽の先駆けとも言えるような,強いイメージ喚起力を備えている。
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と,解説にあるのですが,そんな魅力がわかるようになってみたいものだと思いました。わかりやすい解説などないものでしょうか?
 定期公演出なければ,絶対に聴きにいかない曲。これもまた,よしとしましょう。客席もけっこう空席がめだちました。しかしまあ,いつも思うのですが,演奏者はこういう難曲を演奏するのは楽しいのかなあ?

NHKSO_Proposal_6


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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

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