●ジョンストンリッジオブザバトリー●
多くの国立公園はゲートで入園料を払うようになっているが,セントへレンズ火山国定公園は,3つのルートとも,入口にゲートはなく,無料で最終地点までいくことができた。
セントへレンズ火山国定公園の園内には,マウントセントヘレンズビジターセンター,コールドウォーターリッジビジターセンター,ジョンストンリッジオブザバトリーの3か所のビジターセンターがある。
マウントセントヘレンズビジターセンターはインターステイツ5から降りた直後にあり,シルバーレイクの湖畔に建っている。こんな場所で時間を使っていては私が予定したふたつの展望台に行けなくなるのでパスして登っていった。
セントへレンズ火山に近づいていくとコールドウォーターリッジビジターセンターがあった。このビジターセンターにはブックストア,ギフトショップ,そして,カフェテリアもあるし,400メートルほどハイキングが楽しめる「Winds of Change」トレイルがあったらしいが,私はそれをまったく覚えていない。
その先,まっすぐにジョンストンリッジオブザバトリーまで向かった。ここは車で噴火口まで最も近くにいくことができる場所にあるビジターセンターである。
まずは,ビジターセンターを横に,展望台に行って,火山の風景を楽しんだことは前回書いた。そして,そのあとで,ビジターセンターに入った。
ジョンストンリッジオブザバトリーは,1980年の噴火の生物学的および地質学的影響の調査に関する展示を目的として建てられたもので,詳しい展示があるのは,どの国立公園のビジターセンターも同様であるが,さらに,噴火時の様子を伝える16分の映画が上映されていてこれがウリだ。
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これを書きながら思ったのだが,日本の富士山には,こうしたビジターセンターはあるのだろうか? 私は登ったこともないし,登ろうとも思わないので実際のことは知らないが,聞くところでは,富士山登山はすごい人らしい。しかも無料である。
このことが,何でもアメリカ基準の思考が身についてしまった私にはまったく理解ができない。日本の多くの山と同様に,富士山は観光地ではなく,信仰の山,だからであろうか?
実は,セントへレンズ火山国定公園は登りのルートは無料だったが,3つのビジターセンターはすべて有料だったのである。しかし,私はそのことをまったく知らなかった。ジョンストンリッジオブザバトリーはものすごく混雑していた。入口を入ったところのホールの真ん中に受付があって,そこで「自発的に」入館料を払うことになっていたらしい。ただし,お金を払っても,そのあとでなんらかのチェックはない。私は悪気もなく,入館料が必要なこともまったく知らず,混雑した中を,映画が上映されるシアター「シネドーム」(Cinedome)に向かって押し合いへし合いしながら入って行ってしまった。
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映画を見終わると,スクリーンが開き,その向こうに,実物の火山を見ることができるという演出で,これがすばらしかった。アメリカのこうしたアトラクションはどれも非常に凝っている,というか,すべてがディズニーランドと同じ手法,というより,ディズニーランドがマネなのである。
考えてみれば,展望台に行く前にビジターセンターに入って,映画を見終えたときにはじめて本物の火山を見るという,劇的な演出がされていたのだ。しかし,私は,先にもうひとつのルートを登って,すでに火山を見てしまっていたし,さらに,ここでも,先に実物の火山を見てしまっていたから,映画の演出がムダになてしまったようだった。
こうしていろんなことがあったが,ともかく,セントへレンズ火山を堪能して,インターステイツ5に戻ることにした。
帰り道で,来るときにパスしたマウントセントヘレンズビジターセンターに寄ろうと思ったが,すでに閉館時間を過ぎてしまっていて,なかに入ることができなかったのが少し残念であった。
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セントへレンズ火山④-2015夏アメリカ旅行記3
●ジョンストンリッジ展望台●
北東のルートを降りて,予定どおり次に北西のルートでジョンストンリッジ展望台をめざした。
北西のルートの入口に行くには大回りをして再びインターステイツ5までもどって,北西のルートに行かなければならない。
マウントセントへレンズをアナログ時計の円の中心に置いたとき,北東ルートの入口はアナログ時計の3時の位置であり,北西のルートは9時の位置になる。そして,行かなかった南のルートは6時の位置になるのだ。
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これから目指す北西のルートの終点はジョンストンリッジ展望台(Johnston Ridge Observatory)である。ジョンストンリッジ展望台は標高1,280メートルの尾根にある,火口に最も近い展望台である。大噴火のとき,ここで観測していて犠牲になった火山学者デイヴィッド・ジョンストン(David Alexander Johnston)の名前からつけられた。
ジョンストンリッジ展望台から火口までは9キロメートルほどの距離で,馬蹄形のクレーターを真正面から眺めることができるので,一番人気のところである。それに加えて,インターステイツ5からアクセスできるので,便利でもある。
マウントセントへレンズの火口は,このときは小康状態だったので,何事もなく観光することができたが,火山の活動状況によっては園内の道路が閉鎖されることもある。
それは,阿蘇山や箱根の大涌谷と同じである。私は幸運にも,阿蘇山も箱根の大涌谷に行ったとき平穏であったが,ここもまた,ともにその1年後は火山活動が活発になって閉鎖され,アクセスできなかった。
さまざまなブログを見ると,このマウントセントへレンズに行ってはみたがジョンストンリッジ展望台が閉まっていたとかいった気の毒なものもあるので,私はここでもまたツイていたといえるだろう。
火山活動が平穏なときには,マウントセントへレンズは登頂することも可能だそうだ。しかし,環境保護のため,1日100人に制限されている。こういったことが徹底されているのがアメリカである。登頂は往復で12時間ほどかかるということだが,人気があるのは,南側からのルートということだ。
北西からのルートは,北東からのルートとはうって変わって,最後まで快適な道路が続いて,難なく到着することができた。また,ここは,北東のルートとは異なり,完全な観光地であり,広い駐車場には多くの車が停まっていた。
展望台に至る道を登っていくと,ビジターセンターがあった。ビジターセンターの入口も人で溢れていた。私はビジターセンターの横を素通りして,まず,展望台に行った。展望台からは巨大なセントへレンズが間近に迫り,180度にわたって山しかないという光景は,まさに圧巻だった。それにしても,いつも書いているように,ジョンストンリッジ展望台は日本とはまったく違って,意味のない落書きだらけの看板やら赤茶びた老朽化したままの手すりやらも皆無だし,ごみひとつ落ちていない。
マウントセントへレンズは,噴火以前の姿はまさに富士山と瓜ふたつでtあった。もし富士山が噴火したらこうなるのかと思うと恐ろしくなったことだった。
セントへレンズ火山③-2015夏アメリカ旅行記3
●ウィンディリッジ展望ポイント●
セントへレンズ火山の登り口は北西,北東,南の3つのルートがあることはすでに書いた。
セントへレンズ火山は,噴火の際に北西の山腹が大きく崩れたために,山頂が吹き飛んでできた馬蹄形クレーターや溶岩の跡,溶岩ドームなどのドラマチックな風景を見ることができるのは山の北側だけなので,3つのルートのうち,北東と北西に絞って登ってみることにしたのだった。
よって,南からのルートのことは預かり知らないが,北東と北西のルートのうちでは,北西からのルートが最高であった。しかし,当然,北西のルートは人気があるから,すごい人であった。それにくらべて,北東からのルートは空いていてのどかで,それはそれでよいものであった。
はじめに登った北東のルートのゴールはウィンディリッジ(Windy Ridge)という展望ポイントで,展望ポイントに着くまでの道路は想像以上に大変であった。
写真で見ると大したことがないように思えるだろう。そしてまた,日本の山岳道路に比べたらそれは美しく快適であるように思えるだろう。が,それでも,狭くカーブが多かった。しかも,途中までは大した風景も見られず,何度もめげそうになった。
ところが,やっと見晴らしのよいところに出ると,突然,セントへレンズ火山の恐るべき雄大な景色が姿を現した。大噴火の時に爆風で倒れた樹木は無惨な姿をさらし,そのはるか向こうには火口がえぐられた巨大なセントへレンズ火山の姿であった。
このコースのよいところは,眼下に広がる巨大なスピリットレイク(Spirit Lake)の全体を見ることができることだった。
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1980年の噴火以前は,スピリットレイクはノースフォークトウトル川と支流の谷を占めていた2本の支流で構成されていた。約4,000年前,これらの谷はセントヘレンズ山からのラハールと火砕流堆積物によって塞がれ,スピリットレイクを形成したのだった。
スピリットレイクの最長部分は約2.1マイル,3.4キロメートルで,火山性物質で構成された自然のダムを作っていた。また,水位は安定していて,高度は約3,198フィート,970メートルであった。
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スピリットレイクは人気のある観光地で,湖畔には6つのキャンプ場とロッジがあったが,1980年のセントヘレンズ火山の噴火で,すべてが一変してしまった。
スピリットレイクは火山からの側方爆風の完全な衝撃を受け,この噴火に伴う爆風とがれきのなだれにより湖の大部分が押し出された。
また,湖の北の海岸線に沿った山の斜面の湖面から850フィート,260メートルほどの高さの波が襲った。この波で,約350,000エーカーフィート,430,000,000立方メートルにわたって熱分解した木やその他の植物材料などのがれきや火山灰などが堆積した。この堆積により,湖の体積は約45,000エーカーフィート,56,000,000立方メートルも減少したのだった。
そして,湖の表面標高は197フィート,60メートルから206フィート,63メートルに上昇,表面積は1,300エーカーから約2,200エーカーに増加し,最大深度は190フィート,58メートルから110フィート,34メートルに減少した。噴火は周囲の丘の中腹から数千本の木を引き裂き,湖に押し流した結果,噴火後の湖の表面の約40パーセントを覆う湖の表面に浮遊ログラフトが形成された。
噴火後,スピリットレイクには火山ガスが湖底から染み出し,これが非常に有毒な水となり,1か月後には湖水には酸素がなくなった。科学者は,湖はすぐには回復しないだろうと予測したが,1983年には植物プランクトンが再出現し,酸素レベルが回復,カエルやサンショウウオなどの両生類が湖に再植民し,漁師によって再導入された魚類が繁栄したた。
自然というのはすごいものだ。
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ようやくウィンディリッジ展望ポイントに到着した。コースの途中もそうであったが,展望ポイントにもほとんど人がいなかった。しかし,とてもすばらしい風景が広がっていた。
このコースがすいていたのは,このコース以上に北西のコースがすばらしいことと,こちらの方がアクセスがきわめて不便であることが原因だと思われる。しかし,この展望ポイントからの風景を見ないというのは,あまりに残念なことだと思った。
セントへレンズ火山②-2015夏アメリカ旅行記3
●セントへレンズ火山の噴火●
マウントセントヘレンズ(Mount St. Helens)は大型の活火山である。
カスケード山脈の一部にあって,先住民族のクリッキタット(Klikitat)からは「煙と火の山」という意味の「ロウワラ・クロウ(Louwala-Clough)」とよばれていたが,18世紀後半にカスケード山脈の調査を行ったイギリス海軍の航海士ジョージ・バンクーバー(George Vancouver)によって,友人であった外交官の初代セントヘレンズ男爵アレイン・フィッツハーバート(Alleyne FitzHerbert, 1st Baron St Helens) にちなんでマウントセントヘレンズと名づけられたものである。
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セントヘレンズ火山は,1980年5月18日に大噴火を起こした。
この大噴火によって大規模な山体崩壊を起こし,直径1.5キロメートルにわたる蹄鉄型のカルデラが出現,山の標高は2,950メートルから2,550メートルに減少した。崩壊時に土砂は岩屑なだれとなり,200軒の建物と47本の橋を消失させ,57人の命を奪い,5,000頭のシカや1,100万匹の魚が死亡した。また,鉄道は24キロメートル,道路は300キロメートルにわたって破壊された。
火山灰や火砕流、泥流、そして岩屑なだれなどの被害は概ね火山学者たちが事前に予測した通りの範囲で起きたが,横なぐりの爆風は予想外であり,大噴火を予測することもできなかった。
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2004年秋,セントヘレンズ火山の活動は再び活発化した。9月23日ごろ,山頂においてマグニチュード1未満の微小地震が約200回にわたって連続して発生し,9月26日には,この群発地震を危険な兆候と捉えレベル1の警戒が発令された。地震の頻度は9月29日ごろに最大化し,1分間に4回の割合で微小地震が観測された。山頂の溶岩ドームからは水蒸気が立ち上り,警戒レベルが2に引き上げられた。
10月1日になると水蒸気や火山灰の噴出がはじまり,噴煙は標高3,000メートルに達し,10月2日には,前日よりも強い爆発が起き,警戒レベルが最大レベルである3に引き上げられた。が,10月6日には警戒レベルは引き下げられた。それ以降も,山頂の新たな溶岩ドームは,1秒間に10立方メートルの割合で成長を続け,このペースで溶岩ドームが成長するならば,2015年にはセントヘレンズ火山の標高は1980年の噴火前と同じ高さに達するだろうと推測された。
翌年2005年の3月8日,セントヘレンズ火山を再び大規模な火山活動が襲い,噴煙が海抜1万メートルにまで立ち上り,マグニチュード2.5の地震が観測された。5月5日,セントヘレンズ火山の山頂にできた新たな溶岩ドームは,最高点の標高が2,339メートルであると発表された。
この溶岩ドームの活動は2008年1月に止まり,6月10日には噴火活動の終息が宣言された。
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マウントセントヘレンズは火山灰や軽石などの噴出物が溶岩とともに円錐状に堆積した山で,複式円錐火山ないし成層火山とよばれる内部構造をしている。また,複数のデイサイトの溶岩ドームが崩壊してできた玄武岩と安山岩の層が含まれている。
マウントセントヘレンズから東に約55キロメートル行った地点には標高3,743メートルのマウントアダムス(Mount Adams)が,北東に約80キロメートル離れた地点には標高4,329メートルの最高峰マウントレイニー(Mount Rainier)が,また,南東に約95キロメートルの地点には標高3,429メートルのマウントフッド(Mount Hood)が位置している。これらの山々は飛行機に乗るととてもよく見えて,その山々の雪を被った頂きを上空から見ると,いつも感動する。
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マウントセントヘレンズの北側に位置するレイクスピリットは,有史以前の噴火によって谷が堰きとめられてできた湖である。また,マウントセントヘレンズからは3本の河川が流れている。それらは,山の北側から北西側に流れるトートル川(the Toutle River),山の西側に流れるカラマ川(the Kalama River),山の南側から東側に流れるルイス川(the Lewis River)である。
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正代関,初優勝と大関昇進,おめでとうございます。
ずっとこのブログで書いているように,白鵬さえいなければ,大相撲はおもしろいのです。そんな横綱も全盛期を過ぎ,次の主役を求めて,相撲協会も懸命です。
もし,今,稀勢の里関が全盛期であれば,最強の横綱だったことでしょう。白鵬の全盛期と重なったのが不運でした。
セントへレンズ火山①-2015夏アメリカ旅行記3
●ウィンディリッジへ●
☆12日目 8月10日(月)
今日は,セントへレンズ火山国定公園(Mount St.Helens National Volcanic Monument)に行く。
標高2,550メートルのマウントセントへレンズは1980年に大噴火を起こした火山。それまでのお椀型の山がこの大噴火で崩れてしまった。この噴火跡を眺めるのが,この国定公園の楽しみである。
アクセスルートは北西,北東,南の3か所あるが,南のルートは噴火跡が見られないので棄却して,1日たっぷり使って,北西のルートと北東のルートの両方向からアクセスすることにした。
このふたつのルートは,それぞれ登っていくと最終の到着地点は距離的には近いのだが,このふたつの到着地点を結ぶ道路はないから,ふもとから別々に登っていかなくてはならない。
朝,ホテルで豪華に朝食をとった。
これを書きながら思うのだが,旅はほんの少しだけぜいたくすると憂いがなくなる。私は節約旅行をずっとしてきた。そのため,ホテルでは,シャワーでお湯が出なかったり,インターネットが通じなかったりすることはしょっちゅうだった。また,朝食サービスがなく,そうした場合に近くにカフェがなく朝食をとるのに困ったりもした。とはいえ,1泊8,000円程度と12,000円程度の違いにすぎないのだが。
節約旅行をしていたわけは,今より「当然」若くお金もなく,しかし,いろんなところに行きたかったので,できるだけお金を使わないようにしていたからだ。そのおかげで,人が思うよりたくさんの場所に安価に行くことができた。
そうした夢がかない,歳をとった今となっては,もっとゆったりと,そして,贅沢に旅がしたくなった。また,旅をしていると,またいつでもその場所に来ることができそうな気がするが,ほとんどの場合二度目はない。またまれに二度行ったところは,はじめて行ったときのときめきがない。だから,その一度というのがほとんどの場合は一生に一度のイベントなのだ。
と,そんなことを思っていたら,コロナ禍で,本当に,どこにも行かれない日々が訪れてしまった。行きたいところにすべて行っておいて本当によかったと思うこのごろである。
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余談だが,将棋でも,毎回タイトルの常連である超一流の棋士でもない限り,たまたま調子がよい棋士が何らかのチャンスでタイトル戦の挑戦者にでもなったときには,その機会はおそらくそれが人生で最初で最後の機会となるものだ。あとで振り返れば,そのときが人生最大のイベントだったと気づくであろう。しかし,挑戦者となった時点では,それが自分にとってどれほど貴重な時間であるかということに,さほどの認識がないものだ。
何事につけてもおそらくそれと同じなのだろうから,その一瞬一瞬を大切にしたいものだと思う。
さて,ホテルをチェックアウトして,セントへレンズ火山国立公園に向かった。
まずは北東のコースからセントへレンズの山頂をめざす。山頂にはウィンディリッジ(Windy Ridge)という展望ポイントがある。そこまでの道は,インターステイツ5から東に国道12を走り,セントへレンズ火山を南に過ぎたところで,南に,州道25を南下,そして,登山道に入る。
登山道は快適だが,まわりは火山の噴火による爆風で倒れた樹木が無残な姿をさらしていた。


























