しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場・47都道府県を制覇し,南天・皆既日食・オーロラ,空の3大願望を達成した「不良老人」の日記

タグ:チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P_Churyumov-Gerasimenko)

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 西の空にある沈みゆく3個の彗星を写し終えたので,今度は天頂付近に望遠鏡の視野を移し,別の3個の彗星をねらいました。
 新たな3個の彗星は,アトラス彗星(C/2019L3 ATLAS),フェイ彗星(4P Faye),そして,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)という,これまでに何度も写してきた彗星です。
 こちらはこれから高度が高くなるので時間に追われることもなく,いささかのんびりムードでした。この中で,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が明るくなって,長いダストの尾を見せているという情報だったので期待しました。

 まず,最も探しやすいアトラス彗星からです。場所はふたご座α星「カストル」の近くです。
●アトラス彗星(C/2019L3 ATLAS)
 これまでに何度も書きましたが,アトラスというのは小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS=Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)のことです。この観測プロジェックはハワイ・マウイ島のハレアカラ (ATLAS-HKO)とハワイ島のマウナロア (ATLAS-MLO)に設置した口径0.5メートルのふたつの望遠鏡を使って,地球近傍小天体が地球に衝突する数週間から数日前に検出するために最適化されたロボット掃天観測システムで,これによって発見された彗星です。
 今回も簡単に写すことができました。

 次がフェイ彗星です。場所はふたご座の隣のいっかくじゅう座です。この時期,このあたりに見られるオリオン座やおおいぬ座などの冬の星座がきれいです。
●フェイ彗星(4P Faye)
 フェイ彗星は1843年にエルヴェ・フェイ(Hervé Auguste Étienne Albans Faye)によってパリ王立天文台で発見された周期7.54年の周期彗星です。
 この彗星,何度写しても私は苦手で,なかなかうまく写ってくれません。今回は楽勝モードだったのですが,写した写真を何度確認しても,彗星が特定できません。また,このあたりは天の川銀河で,ものすごく星が多いのです。自宅に帰ってから確認すると,どうやら9等星の恒星とほぼ重なってしまっていたようです。いずれにしても,この10等星から12等星という明るさの彗星は,等級と写り方が彗星によってまちまちで,写してみなければわからないものです。

 さあ,最後が,今日最も期待していたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星だったのですが,少しでも高度が高くなるまでと最後にしてありました。この晩は天気が回復基調だったのですっかり安心していたのですが,天気予報に反して,次第に東の空低いところから雲が出てきて,焦りました。
 それでも,なんとか写すことができました。長い尾があって,みごとでした。
●チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)
 これも何度も書いているのですが,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は,1969年にクリム・チュリュモフ(Klim Ivanovich Churyumov)とスヴェトラナ・ゲラシメンコ(Svetlana Ivanovna Gerasimenko)によって発見された周期6.57年の周期彗星です。
 2014年,ヨーロッパ宇宙気候が探査機「ロゼッタ」を送り込んだこの彗星は,撮影した画像から,ふたつの彗星がゆっくりとぶつかってそのまま結合したような2重の構造を持つアヒルのオモチャのような奇妙な形状をしていることがわかりました。この彗星がそれなのか,と思うと,特別な感慨があります。

 これで終了です。
 2021年12月28日が終わるころ帰宅したら,すでに空一面雲で覆われていました。


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☆☆☆☆☆☆
 数年前とは異なり,旅をしなくなったことが理由なのか,齢をとったのか,さまざまなことに情熱がなくなりました。そこで,事前の準備をする気にもならず,たった1泊2日だというのに,手元にあるものを片っ端からみんな車に詰め込んで出発しました。
 常宿である木曽駒高原のペンションは晴れていれば満天の星が見られます。木曽は標高も高く安全だし,東京大学の天文台がある場所でもあることから,私は,日本でこの場所以外に遠出しても同じだろうと思うようになりました。いわば,日本一の星空です。ただ問題は晴れるかどうか,だけでした。今回は,赤道儀を新しくしたのですが,事前に試行もせず持っていきました。
 今回は晴れれはばいいなあ,程度だったのですが,快晴になったのには驚きました。1番目の写真のように,あとで確かめると水蒸気が多く,最高の条件ではなかったのでしょうが,肉眼で見る限り美しい星空でした。
 ということで,新しい赤道儀の試行を兼ねて,いくつかの暗い彗星と星雲,星団などを写すことにしました。
 まず,2番目の写真がシュワスマン・ワハマン第1彗星(29P Schwassmann-Wachmann)です。シュワスマン・ワハマン第1彗星は,ふだんは16等星ほどの暗い彗星ですが,突然アウトバーストを起こして12等星くらいまで明るくなることで知られています。アウトバーストは頻繁に起きて,1,2週間で16等星に戻ります。今回も9月25日に大きなバーストを起して明るくなっているそうです。
 これまで,最大で19等級から9等級まで変化したことがあるといいます。アウトバーストは揮発性物質が爆発的に蒸発して起こると推測されていますが詳しいことは不明です。
 3番目の写真がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)です。10月はじめにも写したのですが,ふたご座の散開星団M35と同じ画面に写せるので狙ってみました。
 そして,4番目の写真がアトラス彗星(C/2019L3 ATLAS)です。この彗星もまた,すでに8月にも写しました。

 この晩は,新しい赤道儀に四苦八苦しながら,こうした暗い彗星を写していきました。このように,これまで写したことのある暗い彗星しか現在はみられませんが,うれしいニュースがあります。
 それは,2021年1月3日,アリゾナ州のレモン天文台(Mount Lemmon Infrared Observatory)でグレゴリー・レナード(Gregory J. Leonard)さんが発見したレナード彗星(C/2021A1 Leonard)です。レナード彗星は毎秒約70キロメートルという,昨年のネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)よりも毎秒6キロメートル速く移動しているので,2021年12月はじめから12日くらいまでのわずか数日間ですが,最もよく見えるようになり,明け方の東の空を飾ります。
 肉眼で見える5.0等星から4.0等星の光度になると予想されていますが,ひょっとすると1等星に達するかもしれません。

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◇◇◇
十三夜。

十五夜と対をなす十三夜。または,後の月。
このふたつをあわせて「二夜の月」。
どちらか一方の月しか見ないと「片見月」。
十三夜は栗の収穫の時期なので「栗名月」とも。
曇り空の向こうに月が一瞬顔を出しました。DSC_0261s


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 明るい彗星がまったく近づかない今年ですが,現在は,約11等星になったチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)がおうし座に見えるので,この彗星だけは写そうと考えていました。
 チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は,2014年にヨーロッパ宇宙機関 (ESA=the European Space Agency) の彗星探査機「ロゼッタ」(the Rosetta spacecraft)の着陸機「フィラエ」(Philae)が人類史上初の着陸を果たした彗星として有名なものです。
 しかし,今年は天気も悪く,月明かりの影響のない夜に晴れたのも数えるほどでした。10月1日は台風一過で,風が強いとはいえ,やっと晴れたので,待望のこの彗星を写しに行くことにしました。

 ところで,探査機「ロゼッタ」といえば,私はウィルタネン彗星(46P Wirtanen)を思い浮かべます。「ロゼッタ」の当初の計画では,この探査機は2003年1月12日に打ち上げられて,2011年にこのウィルタネン彗星に着陸機を降ろす予定だったのです。しかし,2002年12月11日のアリアン5ロケット爆発事故で,同型のロケットで打ち上げられるはずだった「ロゼッタ」の打ち上げが遅延したためにウィルタネン彗星を目指すことができなくなって,目標が別のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に変更されたというわけです。
 私は,ウィルタネン彗星を2018年11月に写すことができたので,今回は,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星をぜひ写したいと思っていたわけです。

  ・・・・・・
 チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は,1969年にクリム・チュリュモフ(Klim Ivanovich Churyumov)とスヴェトラナ・ゲラシメンコ(Svetlana Ivanovna Gerasimenko)によって発見された周期6.57年の周期彗星です。
 アルマアタ天体物理研究所(Fesenkov Astrophysical Institute = FAPHI)で働いていたスヴェトラナ・ゲラシメンコが口径50センチメートルのマクストフカセグレン式望遠鏡でコマス・ソラ彗星 (32P Comas Solá)を撮影していたのですが,その写真を調べたキエフ大学のクリム・チュリュモフが写真乾板の端近くに発見した彗星をコマス・ソラ彗星だと当初は思い込んだものの,キエフに戻った翌月の10月22日,その天体はコマス・ソラ彗星の予想位置から1.8度も離れていたと判明し,別の天体であることがわかったものです。
  ・・
 「ロゼッタ」が撮影したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星はふたつの彗星がゆっくりとぶつかってそのまま結合したような2重の構造を持つアヒルのオモチャのような奇妙な形状をしていました。また,核の直径はは小さな側が約2キロメートル,大きな側が3キロメートルほどで,核全体の質量は約1,000キログラム,約12.4時間に1回の周期で自転しているということでした。
 なお,探査機「ロゼッタ」と着陸機「フィラエ」の名称は,ロゼッタ・ストーン解読の鍵となったフィラエ・オベリスク(Philae obelisk)=記念碑 が発見されたナイル川の島フィラエ島に由来するものです。
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 チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は暗いので写すのに手こずるかなと思っていたのですが,簡単に写りました。かわいい尾を引いた彗星は,暗いとはいえ,さすがに周期彗星の貫禄でした。調べてみたら,私は6年前にも回帰したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を写したことがあることがわかりました。
 いずれにしても,こんな淡い天体に人間が探査機を送り込んだと思うと,何か不思議な気がしました。

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 それにしてもずっと晴れません。ここ数か月星を見たことがありません。おまけに,関東から東北にかけては,大災害が発生しました。
 私は,前回「星見」に出かけたのが5月27日なので,あれからずいぶんと日にちが過ぎてしまいました。ついに,この夏は,夏の星座を見ることがかないませんでした。こんなことになるのなら,5月27日に,ラブジョイ彗星の北極星とのランデブーだけで満足しないで,朝までさそり座といて座の星団たちを堪能すべきでした。メシエ天体制覇まで1年お預けです。
 あれから,新月が3度過ぎて,4度目が9月13日。そういえば,この次の満月はお月見であり,日本では見られませんが皆既月食であり,スーパームーンです。
 昨晩の天気予報も微妙で,信じていいのかいけないのか,随分と迷いましたが,ともかく出かけました。いくら日の出が遅くなったとはいえ,まだ午前5時20分くらいなのですが,幸運なことに空が明るくなりはじめる午前4時までずっと快晴でした。日の出とともに曇ってきたのもまたご愛嬌かな。

 昨年は,ラブジョイ彗星(C/2014Q2 Lovejoy)という思わぬ伏兵が登場して,ずっと楽しむことができましたが,さすがに暗くなってしまいました。それでも今まだ9等星ですが。これからの楽しみは,11月に明るくなるといわれているカタリナ彗星(C/2013US10 CATALINA)です。
 この日は出かけたのが遅かったので,ラブジョイ彗星はすでに沈んでいて,もう何もありません。
 実は,この日の私の目的はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P Churyumov-Gerasimenko)を写すことでした。暗くなったラブジョイ彗星よりもさらに暗くて,最接近時の8月13日の光度予報は11等星やら13等星やら。明るさがよくわからなかったのですが,12等星までなら写す自信があったので,なんとか,とこれまで晴れるのをずっと待っていました。でも,写るといっても,単に小さなゴミのような点が写るだけ。そんなもの,何になる? と問われればそれだけのことですが,この彗星,特別な意味があるのです。 

 このことはすでに書きましたが,少しだけおさらいです。

 2004年3月2日に欧州宇宙機関が打ち上げた彗星探査機「ロゼッタ」(Rosetta space probe)は,2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着し,11月12日には地表に着陸機「フィラエ」(Philae)(=1番目の写真)を投下,「フィラエ」は彗星の核に着陸し,史上初の「彗星に着陸した探査機」となったのです。
 ところが,史上初の彗星着陸を果たしたものの,太陽光がじゅうぶん当たらない日陰に着地してしまったために着陸後しばらくして電力不足により冬眠モードに入ってしまいました。彗星が太陽に近づくにつれて日照時間が増えて再起動を果たし通信を再開すると期待されていたのですが,ついに目覚めて,6月13日に7か月ぶりの交信に成功(=2番目の写真)。しかし,24日から再び通信が途絶えてしまいました。そして7月10日再び通信に成功して,彗星核の内部構造を探る観測機器からのデータを受信,というわけなのです。
 つまり,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は人間が手に入れたはじめての彗星なのです。これは写すのが礼儀というものでしょう! 


 先日,冥王星にも探査機が到着して,それを機会に,愛好家に冥王星を写すというのがはやったのですが,こっちこそ,単なる点が写るだけ。しかも,写っていても,どの星が冥王星なのか探すのにまる1日かかったとかいう笑えない話もあります。しかし,冥王星は別に焦らなくても写せるのです。しかし,彗星はそうはいきません。太陽に近づいている今だけ明るくなるのです。
 東の空に彗星が昇るのが朝2時30分ごろなので,それまで,天王星(=3番目の写真)を双眼鏡で見たり,星雲の写真を撮ったり(=4番目の写真・M42,5番目の写真・M77)していました。天の川が天頂まで横たわっていて,それはそれは美しい星空でしたが,南の空に輝いているのは,すでにさそり座ではなく,秋の夜空のたった1つの1等星フォーマルハウト,そして,不気味な存在をしめすのが,くじら座でした。
 東の空にオリオン座が堂々と昇り始めました。やたらと流れ星が多く,まるでオリオン座流星群のよう,と思ったら,この日は奇しくもペルセウス座ε流星群の極大期でありました。
 やがて,ふたご座が姿を現して,ついに,現在ふたご座をかに座の向かって移動中の彗星を写真に収めるこができました(=6番目の写真)。彗星は地平線に近く,写せるかなと少し心配だったのですが,東の空が暗く,彗星も予想より明るくて助かりました。

 私が念願の彗星の写真を手に入れて満足したころ,東の地平線にまばゆいばかりの金星が昇ってきました。そして月齢27の細長い月(=7番目の写真)が昇りはじめると,地球照と青みがかった空が美しく輝きはじめました。やはり,いつでも夜明けはすてきです。
 久しぶりの星見を堪能した晩でした。

◇◇◇
お正月の贈り物-ラブジョイ彗星が明るく輝く⑨
星を見るのも大変だ-探査機「ロゼッタ」

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