しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:トキ

IMG_8230IMG_8308IMG_8506

######
 私がいしかわ動物園を知ったのは,すでに書いたように,佐渡島以外でトキを見ることができる動物園である,ということからでしたが,行ってみると,トキに限らず,ライチョウやホワイトタイガーなど珍しい動物が多く,また,都会から離れたすばらしい動物園だということを認識しました。広さは,北海道の旭山動物園くらいのものでしょうか。
 私は特に動物園マニアでもないように思っているのですが,よくよく思い出すと,これまでに,世界中の多くの動物園に行っています。フィンランドの北極圏近くにあるロヴァ二エミの動物園にも真冬に行ったことがあるし,アメリカでは,ノースダコタ州の州都であるビスマルクの小さな動物園から,カリフォルニア州サンディエゴの巨大な動物園まで行ったことがあります。当然,オーストラリアではコアラも抱いたし,ニュージーランドではキーウィも見ました。
 しかし,行く機会があったのにもかかわらず,なぜか見落としてしまってかなり後悔しているオーストリアのウィーンにあるシェーンブルン宮殿内にある動物園があるのですが,そこにはいつか行ってみたいものだと今でも思っています。
 これどほ世界中の動物園に行ったことのある人も多くはないかもしれませんが,そんな私が気に入ったのだから,いしかわ動物園はすばらしいところだというのがわかるというものです。

 この動物園,金沢市から結構な距離があって,どうしてこんな場所にあるのか疑問でした。
  ・・・・・・
 1999年(平成11年)10月に開園したいしかわ動物園は,石川県が設置し,一般財団法人「石川県県民ふれあい公社」が管理・運営を行っています。
 動物舎は,自然の地形を活かした中に植栽や岩,池などを配し,動物たち本来の生息環境に近い環境を再現していますし,動物が飛び越えられない幅の堀を巡らせる「モート方式」やガラス越しの観察によって,従来のコンクリートや鉄格子で仕切った狭い動物舎では見られない動物たちの生態が間近に観察できるよう配慮しています。 
  ・・
 もともとは,1958年(昭和33年)金沢市卯辰山に,演劇場・映画館・小遊園地,大浴場,宿泊施設を併設した民間施設「金沢ヘルスセンター 」の付属施設として開園したものです。しかし,「金沢ヘルスセンター 」は,入館者数の減少と施設の老朽化で1993年(平成5年)に閉園し,それとともに,動物園も幕を下ろすこととなりました。
 その後,石川県内唯一の動物園であること「動物園の公営化」の流れを受けて,石川県が施設全体を買収し,財団法人いしかわ動物園を設立しましたが,施設の狭小と老朽化を理由に金沢市から現在の地に移転しました。
  ・・
 トキの分散飼育は,ホオアカトキなどの近縁種の飼育に取り組んでいたいしかわ動物園の飼育・繁殖の実績が評価されたことで選ばれたもので,2010年に佐渡トキ保護センターからオス2羽,メス2羽の4羽がやってきてはじまりました。
 当初は一般に非公開のもとで飼育されてきましたが,2016年11月19日から一般公開を開始しました。
  ・・・・・・

 この日は,暑くもなく,寒くもなく,すずしい風が吹いていて,また,ほどほどの入場者で,食堂で待つこともなく昼食をとることもできて,楽しい時間を過ごすことができました。

IMG_8498IMG_8469IMG_8459IMG_8411IMG_8387IMG_8366IMG_8341IMG_8319


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

IMG_8247

######
 私は,長年,トキが見たくて見たくて,佐渡島へ行こうとずっと思っていました。しかし,佐渡島は遠く,また,果たして,佐渡島へ行けばトキを見ることができるかどうかもわからず,おそらくムリだろうと,そうあきらめていたのですが,2016年に,石川県のいしかわ動物園で,トキが数羽,分散飼育をはじめたと聞いて,行ってきたことがあります。2016年12月3日のことでした。そのときのことはすでに書きました。その後,念願がかない,佐渡島で飛ぶトキを見ることができたことも,すでに書きました。
 今回,2023年5月25日から5月26日にかけて,1泊2日で金沢市に行くことができたので,その1日目,再び,かなざわ動物園に行って,トキを見ることにしました。

 この時期は梅雨なので,天気が最も心配だったのですが,未だ,晴れ男の強運は冷めておらず,2日ともとてもよい天気でした。しかも,蒸し暑くもなく,時折吹く涼しい風が最高でした。また,日曜日なので,動物園は混雑しているのでは,という心配がありましたが,これもまた,ほどほどの人出で,大丈夫でした。
 いしかわ動物園に到着したのは午前11時ころで,入園して,まず,一目散にトキのケージを目指しました。私は,すでに,佐渡島で飛ぶトキを見たので,あのころの願望はなかったのですが,それでも,目の前にいるトキをまた見てみたいという気持ちがありました。それは,佐渡島では,実際に飛んでいるトキは空高く,それほど近くで見ることはできません。また,トキを見ることができる観光用の施設もあるのですが,それは意外と遠く,また,金網のケージ越しだったので,むしろ,かなざわ動物園のほうがトキを近くで見ることができるのです。

 はじめのころは,エサを啄む姿と,木に止まっている姿だけで,飛ぶどころか,羽根も広げることがなく,少し物足りなく感じました。しばらくいると,飛ぶ姿や羽根を広げる姿を見ることできて,感動しました。
 聞いてみると,現在,いしかわ動物園で公開されているトキは,つがいと,生まれてまもない3羽の合計5羽のトキでした。2016年のときはもう少したくさん公開されていたような気がするのですが,実際は,そのときもまた,5羽でした。
 いずれにせよ,令和8年に,能登半島でトキの放鳥が決定したという話を聞いてうれしくなりました。能登半島の空をトキが舞うのも,それほど遠いことではなさそうです。そうしたら,また,見に来たいと思います。
 なお,ネットに,いしかわ動物園でのトキの飼育についてのデータが掲載されていて,2022年7月で,産卵数240個,佐渡島への返還数75羽,佐渡島での放鳥数70羽に達しているということでした。

FullSizeRenderIMG_8263IMG_8233IMG_8244IMG_8302


◇◇◇


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_2996sDSC_2959s2DSC_3004x

トキを見るには早朝,日の出のころに巣から飛び立つから,その時間が最適だということでした。そういえば,私の自宅のあたりは田んぼがいっぱいあるのですが,早朝散歩をしていると,日の出とともに,さすがにトキはいませんが,サギをはじめとして多くの鳥が飛びはじめます。ちょうどそのころ,犬の散歩もはじまるのですが…。私の最も好きな「かたわれどき」です。
この日3月23日の日の出は,春分のころだから,およそ午前6時です。私は朝はめっぽう強いので,この時間はまったく苦になりません。そこで,昨晩,民宿の女将に教えてもらった場所に午前5時30分過ぎに到着しようと,午前4時過ぎに起きて,午前5時に民宿から車で出かけました。
到着したときはまだ早かったので,薄暗かったのですが,次第に空が明るくなってきました。そのころは,空を見上げても何も飛んでいなかったのですが,しばらく待っていると,目の前に向かって小さな鳥が飛んできました。思っていたよりも小さいので,はじめはまさかその鳥がトキだとは思いませんでした。やがて近づくと,確かにトキ色の羽根を羽ばたいて上空を旋回していきます。急いでカメラを向けて写真を撮りました。
ついに,運転している車内からではなく,トキを目の前で目撃したのです。来るまえに自宅でサギの写真を撮って練習してきた甲斐があったというもので,練習してきたのと同じようにして写真をモノにしました。夢がかなった瞬間でした。

トキは,群れてたくさん飛んでいるのではありません。それほどの数はいません。数十分に1羽から2羽,飛んできては旋回して遠くに餌場を求めて去っていくのです。次第にわかってきたのは,トキは「ガーゥガーゥ」と結構大きな声で鳴くので,その声が聞こえたら飛んでくるのがわかるのです。どうやら,教えてもらったところに確かにトキの巣があるようでした。また,姿が見えなくても,鳴き声はたくさん聞こえてくるのです。
それにしても美しい羽根です。どれだけ見ても見飽きることはないのです。
こうして,この日の朝,午前5時40分ごろから午前6時過ぎまでの30分間に,私は5羽の飛んでいるトキを目撃し,写真に収めることができました。
  ・・・・・・
トキは首のあたりの皮膚が黒く,繁殖期が近づくとこの皮膚が厚くなり粉状になって剥がれ落ちます。それを水浴びの後こすりつけるために,頭から背中にかけて黒くなります。黒くなった羽根はトキが繁殖可能な状態であることを表すとともに,巣で卵を抱く際の保護色の役目を果たすとも考えられています。着色した羽根は「生殖羽」とよばれます。
この様な羽色の変化は鳥の中でトキだけです。羽色が黒くなると繁殖可能を示すとともに,抱卵時の保護色とも考えられています。
  ・・・・・・
私が佐渡島に来たのは,ちょうど繁殖期だったので,羽根を広げて飛んでいるトキもまた,羽根の「トキ色」が実にみごとでした。

今回もまた,オーロラが見たい,皆既日食が見たい,泳いでいる鯨が見たい,日本人メジャーリーガーがアメリカでプレーしている姿が見たい,ウィーンの国立歌劇場でオペラが見たい,などといった私の長年の夢のなかまのひとつだった,飛ぶトキが見たい,が,こうして実現しました。

DSC_2922DSC_2923DSC_2924DSC_2933DSC_2935DSC_2940DSC_2959DSC_2960DSC_2962DSC_2975DSC_2979DSC_2984


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

私は空を飛ぶトキが見たくて佐渡島に行きましたが,情報は何もありませんでした。
観光用の施設として動物園のようなものがあって,ケージ越しに飼育されているトキを見ることができるのだろう,と思っていただけでした。また,飛ぶトキを見るには,広い佐渡島中を探し回って,運がよければ飛んでいる姿や田んぼでエサをさがしている姿が目撃できるのでは,という淡い期待を描いていたのですが,どこで見ることができるかは知りませんでした。ただ,私が1泊目と2泊目に宿泊を決めた民宿の口コミに,この民宿の女将がどこに行けばトキが見られるかを教えてくれる,書いてあったので,それに惹かれて予約をしただけでした。
これから書くことは,私が佐渡島に行ってから知ったことです。

佐渡島にあった観光用の施設はトキの森公園でした。私がはじめに行ったのはこの施設でした。
トキの森公園は佐渡市が管理・運営していて,園内には資料展示室とトキふれあいプラザがあります。トキの森公園に隣接して環境省が設置し新潟県が管理・運営しているのが,トキの保護と増殖を目的とするトキ保護センターですが,これは非公開です。また,少し山の中に入ったところに,放鳥をする前の訓練をする野生復帰ステーションがあって,これもまた非公開です。
  ・・
トキの森公園の資料展示館には,トキの様々な資料や説明があったり,トキのはく製を見ることができます。また,資料展示室から通路を通っていくと,隣接する非公開のトキ保護センターで飼育されているトキを遠くから見ることができる観察回廊があります。資料展示室を出て,少し歩いたところにあるトキふれあいプラザという別棟にも2羽のつがいのトキがいて,ガラス越しにトキを見ることができます。
まず,私は,資料展示室でトキに関する知識を手に入れることにしたのですが,ここの係の人がとても親切で,手作りの地図をくれて,トキがどのあたりを飛んでいるかを教えてくれました。次に,通路を通って観察回廊へ行って,トキ保護センターで飼育されているトキを見にいったのですが,正直いって,これはがっかりしました。遠くのケージ越しにトキが見えるだけだったのです。写真を写しても金網が邪魔をして,大した写真を写すこともできませんでした。私の後に,数人の見学者が来たのですが,すぐに退散していきました。これなら,以前行ったいしかわ動物園のほうが目の前で見ることができたから,ずっとマシだなったなあと思いました。
  ・・・・・・
金沢市にあるいしかわ動物園には2016年11月にオープンしたトキ里山館という立派な建物があって,エサをついばむトキを間近に観察したり,棚田風の湿地や樹木など,里山を再現した環境の中でトキが暮らす姿をガラス越しに観察することができます。また,トキの展示場に隣接する学習展示コーナーでは,トキの嘴や足などを他の鳥と比べたり,本物の羽を触ったりしながらトキのことを学ぶことができます。
  ・・・・・・
次に行ったのはトキふれあいプラザでした。ここにはつがいのトキがいて,1羽はかなり近くで見ることができましたが,木に止まっているだけでした。もう1羽は木の上の巣にいて巣の中には卵があって,交代で巣をあたためているということでした。
この建物にいた係の人もとても親切で,というか,本当にトキが好き,という感じの人で,私が「飛んでいるトキが見たいので佐渡島に来た」と話したら「4日いるのなら必ず見ることができるよ」と言って,どこに行けばいいかを教えてくれました。これには勇気づけられました。

トキ保護増殖事業計画に基づいて,鳥インフルエンザ等の感染症による絶滅の危機の回避を主たる目的として,トキは分散飼育がされています。現在,こうした施設で飼育されているトキは,佐渡島では,トキ保護センターに36羽,トキふれあいプラザに2羽,野生復帰ステーションに93羽,また,新潟県外では,東京の多摩動物園,金沢市のいしかわ動物園にそれぞれ10羽,出雲市と長岡市のトキ分散飼育センターにそれぞれ11羽と13羽いますが。この中で,佐渡島以外に,一般にトキを見ることができるのは,いしかわ動物園だけです。
また,2008年に10羽の放鳥からはじまったトキは,野性下で着実に増え,現在は500羽を越えるトキが佐渡島で生息しています。ただし,佐渡島以外の場所でもトキを放鳥するという計画があるのですが,新潟県内ではそれがなかなかうまくいっていません。長岡市や柏崎市,出雲崎町,刈羽村,弥彦村が候補になったものの,農家が反発し断念しました。それは,イネが踏み荒らされたり,餌となる虫などを育むために,農薬,化学肥料の使用が制限されたりする「負担増」を懸念するなど反対があったからといいます。また,新潟県外では,能登半島や出雲市などが候補地にあがっていて,2035年くらいまでには定着させたいという意向が環境庁にあるそうです。

トキの森を出て,先ほど教えてもらったように,次に行ったのが山の中のトキのテラスという展望塔でした。ここにもトキに関する資料の展示室があり,また,屋上には展望台があって町が一望でき,トキが飛んでくれば見ることできるということだったのですが,まったくその気配はありませんでした。また,トキのテラスの眼下には非公開の野生復帰ステーションの大きなケージが見られたのですが,あまりに遠くて,トキは点にしか見えず,これもまた失望しました。
早々に山を下りて,最後に,新潟大学やNPOなどの団体が運営するトキ交流会館に行きました。ここにもトキが飛んでくるということで,玄関付近はトキの観察ができるようになっていたし,いつトキが見られるかというトキ時刻表も掲示してあったのですが,トキは音沙汰もありませんでした。
一旦,あきらめて,今日宿泊する民宿へ行くことにしました。
民宿へ向かう途中,走っている車から,田んぼのあぜ道でエサを探す野性下のトキがいるのを発見しました。ちょっと感動しましたが,写真を撮ることはできませんでした。さらに走って行くと,その途中で,飛ぶトキを,ついに目撃しました。これにはかなり感動しました。念願だった飛ぶトキを見たのです! ただし,写真を撮ることはできませんでした。
ともかく,トキは確実に佐渡の自然の中にいて,運がよければ見ることができるということが確信できました。
さあ,あとは写真を撮ることさえできれば…。

DSC_2719DSC_2728DSC_2740DSC_2777DSC_2787DSC_2827DSC_2830DSC_2828IMG_6025IMG_6019DSC_2831IMG_6045DSC_2916


◇◇◇
桜満開。

名古屋は桜が満開です。
IMG_6141


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_3816DSC_3277xDSC_2818

2023年3月22日から3月25日まで3泊4日,ついに念願だった佐渡島に行ってきたので,今日からはその様子を書きます。
佐渡島といえば,金山とたらい舟とトキ。…ですが,私は,それ以外にはほとんど何も知りませんでした。今回行った目的も,私の知る3つのうちのひとつ,飛んでいるトキを見たい,そして,できれば写真に収めたい,という1点集中でした。とはいえ,それが可能なのかどうかさえ,皆目見当もつかず,しかし,いつものように,ほとんど何も調べず,でたとこ勝負,というずさんな計画,というか無計画で旅立ったのです。
行き方はいつものように,県営名古屋空港からお気に入りのFDAで新潟空港まで行って,そこから佐渡島に渡ろうというものでしたが,お恥ずかしい話,新潟空港からどうやって新潟港まで行くのかさえ調べていなかったという有様でした。しかし,これまの数々の経験から,これで何とかなるのです。現地で聞くほうが正確なので,事前に調べていないほうが結構うまく行ったりもするのです。
さて,どんな旅になったか,果たして夢が実現したかは,これからのお楽しみです。

これまでも何度かこのブログに書いてきましたが,私は,飛んでいるトキを見るのが長年の夢でした。子供のころから抱いていたいろいろな夢のほとんどを実現した今でもまだ残っていた夢のひとつが,この,飛んでいるトキを見る,ということだったのです。そしてまた,今やっておかなければもうやれない,という想いにかられ,ついに行くことにしたのです。
佐渡島がこれまで残ってしまったのは,遠い,ということが最大の理由でした。遠いだけでなく,お金がかかる,というのもありました。そこで,一旦は佐渡島へ行くことはあきらめ,トキが分散飼育をされているという金沢市のいしかわ動物園へ行って,ケージの中にいるトキを見て,それで自分を満足させて,また,あきらめていたのですが,どうしても,飛ぶトキをみたいという夢は捨てきれませんでした。
2020年に山形へ行ったときに,上空から佐渡島を見て,絶対に行くんだ,という想いをあらたにしました。さらに,そうした気持ちに拍車をかけたのが,FDAで新潟空港まで簡単に行くことができるということを知ったことでした。

私のまわりに,佐渡島に行ったという人はいません。当然,飛んでいるトキを見たという人もいません。私が佐渡島に行くというと,佐渡島で3泊もして何をするんだ,とか,飛んでいるトキなんて見るのは無理,とか,そんな否定的な声ばかりでした。
しかし,私は,これまでも,夢はすべて実現してきました。それに,持ち前の強運は,偶然も味方につけて,奇跡的にこれまで何もかもを成功させていたのです。しかし,今回だけは,別のような気がしました。それは,自他ともに認める晴れ男の私なのに,行く前日になっても,佐渡市の天気予報はずっと雨だったことが原因でした。さらに,私はすっかり忘れていたのですが,3月24日は月と金星が大接近するというではないですか。こんなイベントがあるのに,旅などしている場合ではないのです。
そんなわけで,ともかくもずいぶん以前に航空券とレンタカーと宿泊先だけを予約してあった佐渡島の旅は,まったくテンションが上がらず,何も準備をする気もなくなり,あとは行ってから考えようという感じで旅に出ました。

DSC_3820


◇◇◇


◇◇◇
月と金星の大接近。

3月24日に佐渡島で写しました。
あいにく日本中曇りだったようですが,
旅先の佐渡島は晴れました。
DSC_3538p


◆◆◆
「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

💛
過去のブログの一覧は ここ をクリックすると見ることができます。

DSC_6493 (2)DSC_6545 (2)DSC_6926 (2)DSC_6642

######
 さだまさしの歌った「前夜(桃花鳥)(ニッポニア・ニッポン)」という曲は今から34年前,1982年12月に発表されました。
 その歌の歌詞は
  ・・・・・・
 桃花鳥(トキ)が七羽に減ってしまったと新聞の片隅に
 写りの良くない写真を添えた記事がある
 ニッポニア・ニッポンという名の美しい鳥がたぶん
 僕等の生きてるうちに
 この世から姿を消してゆく
  ・・・・・・
からはじまります。
 この歌ができる以前からトキが絶滅の危機にあるということは知っていましたが,まさに,このころトキのおかれた状況は悲観的でした。私は,このことがとても悲しくて,トキに深い想いを抱いていました。
 なお,さだまさしが歌ったときすでに,厳密にはトキは7羽ではなく5羽だったので歌詞にある数字は間違っていて,私はこの歌を聴いて事実と違うなあと思ったのですが,これは所詮歌なので「ゴワ」ではなく「ナナワ」としないと韻が合わなかったのでしょう。

 トキ(Nipponia nippon)はペリカン目トキ科トキ属で全長は70センチメートルほど,翼を広げると1メートルほどの小さな鳥です。顔は赤く嘴は黒くずいぶんととがっています。頭の後頭は房状に羽毛が伸長していて全身は白っぽいのですが,翼の下面が朱色がかった濃いピンク色になって非常に美しく,これを「とき色」と表現しています。
 トキは奈良時代には「ツキ」「ツク」などの名で文献に現れており,「日本書紀」や「万葉集」には「桃花鳥」と記されています。「トキ」という名前が出てくるのは江戸時代からでした。
 古来,田畑を踏み荒らす害鳥で,江戸時代までは日本国内に広く分布していたのですが,明治に入り肉や羽根を取る目的で乱獲されるようになり,大正時代末期には絶滅したと考えられていました。
 昭和に入って昭和5年から昭和7年にかけて佐渡島で目撃例が報告されたので,昭和9年に天然記念物に指定されました。当時佐渡島全域で生息数は100羽前後と推定されていました。
 終戦後,昭和25年を最後に隠岐諸島に生息していたトキの消息は途絶え,佐渡島での生息数も24羽と激減しました。昭和33年にはさらに11羽にまで減少し,昭和56年,佐渡島に残された最後の野生のトキ5羽すべてが捕獲され,昭和42年に開設された佐渡トキ保護センターで人工飼育下に移されました。この時点で日本のトキは野生絶滅しました。
 そして,平成15年10月10日の朝,最後のトキ「キン」の死亡が確認され,日本産のトキはついに絶滅したのです。

 1998年,中国の国家主席であった江沢民が中国産トキのつがいを日本に贈呈することを表明し,オスとメス1羽ずつが日本に寄贈されました。2羽は佐渡トキ保護センターで飼育され,人工繁殖が順調に進められました。以後,順調に人工飼育数は増加しました。なお,過去には別種や変種があるといわれたこともありますが,現在では亜種などはなく,日本・中国・朝鮮半島・ロシアに生属したいずれのトキも完全に同一の種と考えられています。
 飼育数の増加に伴い鳥インフルエンザなどの感染症が発生した場合に一度にすべてが死亡することを避けるため,トキの分散飼育が計画され,2007年に4羽が多摩動物公園に移送され非公開の下で分散飼育が開始されました。その後も,2010年にはいしかわ動物園,2011年には出雲市トキ分散飼育センターと長岡市トキ分散飼育センターで分散飼育が開始されました。
 トキの飼育や繁殖は野生のトキを日本に復活させることを最終目標としていて,2008年に佐渡市小佐渡山地の西麓地域にて10羽が試験放鳥され,2012年には放鳥された個体同士による野生下での繁殖が確認されました。
 現在のところ,野生のトキは推定214羽まで増加しています。

 すでにこのブログで,「私が行きたい日本」として,佐渡島と徳島と書きました。そのうち,徳島で見たかった阿波踊りは昨年の夏に実現しました。残るは佐渡島でトキを見ることだけだったのですが,佐渡島は遠く,トキ以外にはさして魅力もなく,これまで何度も行こうと計画しては断念していました。私が佐渡島へ行きたかったのはトキが見たかっただけなので,今年11月19日から石川県のいしかわ動物園でトキを見ることができるようになったと知って,さっそく行ってみることにしました。
 これから冬に向かうのでこの先は雪の心配もあり,12月3日は天気がよかったので今日行かなくていつ行く? とばかり,早朝家を出て車で3時間,いしかわ動物園に行ってきました。
 いしかわ動物園は金沢市郊外の高台にある美しい動物園で,トキのほかにライチョウやフクロウなど,ユニークな鳥がたくさん飼育されていました。トキはとても広いトキ里山館というところで飼育されていて,5羽見ることができます。インターネットには観覧席の近くまで餌をとりに来ますが飛ぶ姿は見られないでしょう,と書かれてありましたが,私が見に行ったとき,なんとトキが飛んだのです!
 私は,こうして,トキを見るという念願をかなえることができました。トキはとても美しく,いつまで見ていても飽きることがありませんでした。どうか,このトキが自然の中で1羽でも多く羽ばたくようになりますように,と願わずにはいられませんでした。

このページのトップヘ