このごろは,星見が目的でなくとも,日が暮れたあとにドライブをすること自体が楽しくなってきました。それは,この猛暑,お昼間に外出したくないことと,どこに行ってもきたないだけの日本のありのままの風景を見なくてもよいのが理由です。さらに,夕暮れや明け方は空が美しいことも魅力です。
8月20日木曜日。
しばらく続いた晴天もどうやらこの日まで。天気予報では来週はずっと曇りでした。そこで,お昼間はABEMAの将棋チャンネルで王位戦第4局を観戦し,念願の藤井聡太二冠達成を見届け,夕食をとったあと,星見に出かけました。
しかし,日暮れどき遠くの山がかすんでいて空が澄んでいるとはいえなかったので,きれいな星空はまったく期待できませんでした。そこで,何を見るでもなく,夜のドライブを楽しむつもりで,今回は海岸に行きました。
好きな音楽を聴きながら夜の海辺をドライブするのも,なかなかのものです。
さて,星空の話です。
このところ,立て続けに出現した明るい彗星もみな暗くなってしまい,空の上は特に見るべきものがなくなりましたが,私は,11等星より明るい彗星はみな写そうと思っているので,暗くなったとはいえ,この晩は,ネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE),ハウエル彗星(88P/Howell),レモン彗星(C/2019U6 Lemmon)を写そうと考えていました。
しかし,観測場所に着いても,思った通り,晴れてはいても空は灰色で,とても満足な写真など撮れるようには思えませんでした。これには落胆しましたが,ともかく,写してみることにしました。
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まず,一番先に沈んでしまうハウエル周期彗星(=1番目の写真)からはじめます。
ハウエル彗星は,周期5.5年の周期彗星です。1981年8月29日,カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のエレン・ハウエル(Ellen Howell)女史が,パロマー天文台の口径18インチ(46センチメートル)シュミット望遠鏡(=2番目の写真)で得られた写真用プレートで発見したものです。エレン・ハウエル博士の研究対象は,小さな太陽系天体である小惑星,彗星で,可視から電波までの範囲の波長でさまざまな観測ツールを使用して,これらの天体の体の組成,サイズ,形状,および表面構造を研究してきました。
ちなみに,口径18インチのシュミット望遠鏡は,現在はパロマ天文台のビジターセンターでその余生をおくっているものです。
ハウエル彗星は,地平線に近いため思ったより暗かったのですが,なんとか写真に写りました。
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次は,おなじみのネオワイズ彗星(=3番目の写真)です。
2020年3月27日,赤外線観測衛星「NEOWISE」の観測から発見されたこの彗星もまた,ずいぶん暗くなってしまいました。まだ,立派な尾が見えますが,そろそろ見納めです。せっかく明るくなったのに,明るかった時期が短かったことと,梅雨空で晴れず,多くの人が見ることができなかったのが残念です。
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この日の最後はレモン彗星(=4番目の写真)。
2019年10月31日,レモン山天文台のサーベイによって発見されたこの彗星もまた,けっこう明るくなったのですが,梅雨空でその時期に見ることもなく,暗くなってしまいました。
前回8月14日,私が星を見にいったときに,ネオワイズ彗星とパンスターズ彗星は写したのに,レモン彗星がこのふたつの彗星の近くにいたのにすっかり忘れてしまっていたので,この晩,写しました。淡く,ぼんやりとした姿でした。
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さあ,これで,ほとんど晴れなかったこの夏の星見も終わりです。来月は,空気が澄んで気候も安定する星の美しい秋がいよいよやっとやってきます。
タグ:ネオワイズ彗星(C_2020F3_NEOWISE)
やっと晴れたか!夏2020⑧-ネオワイズ彗星と流れ星
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2020年,梅雨の間はまったく晴れませんでした。
梅雨が明けてもなかなか星空は戻らず,7月31日にようやく晴れたのを見て,月明かりの中,ネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)を写しに行ったことはすでに書きました。そのそのときに写真に収めたのは,ネオワイズ彗星とレモン彗星(C/2019U6 Lemmon)でした。その後は,雨は降らねど,ほとんどが曇り空でした。そして,再び星空がもどった8月14日は月明かりもないので,気楽にネオワイズ彗星を写しにいくことにしました。
レモン彗星は現在11等星ですが,前回写したので今回はパスしました。この晩は,パンスターズ彗星(C/2017T2 PanSTARRS)がネオワイズ彗星からわずか5度ほどの場所にあって,私が使っている360ミリ望遠鏡の直焦点で1枚の写真に収まります。
久しぶりの快晴でした。透明度もよく,街灯りでいつもなら空が明るい南の空にもさそり座がきれいに輝いていました。天の川もよく見えました。まず思ったのが,月明かりがあるのとないのとではこれほど違うのか,ということでした。
ネオワイズ彗星は西の空,うしかい座にあって,アークトゥルスから順に追っていくと簡単に探せます。また,前回探せなかったパンスターズ彗星もわかります。
こうして写したのが今日の1番目と2番目の写真です。1番目の写真では,左側がネオワイズ彗星,右側がパンスターズ彗星です。
ネオワイズ彗星は予報では7等星なのですが,予報よりはずっと明るく,双眼鏡でも尾までよく見えました。パンスターズ彗星は11等星。長い間楽しめたのですが,そろそろ見納めです。
8月12日はペルセウス座流星群が極大になった日でした。しかし8月12日は天気がよくなく,この日に少しは見られるかな,と思って,カシオペア座からペルセウス座にかけて,ずいぶん写真を写してみた(=3番目の写真)のですが,残念ながら流星はまったく写りませんでした。それでも,これ以外の場所に目を移したとき,北斗七星のあたりを,北斗七星よりの長く星が流れたのは感動しました。
私が星を見にいくと,毎回,結構明るい流星を見るのですが,いつも別の場所の写真を写していて,それを収めることができないのがとても残念です。帰宅して写真を整理していたら,試しにうしかい座の付近を写した1枚に,ネオワイズ彗星とともに流星が写っていましたので,これで満足することにします。
いつも思うのですが,日本はどこも明るくて満足に星も見えないのに,都会でもこの日に限って流れ星がビュンビュン飛ぶような報道をしているのが,私にはよくわかりません。
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このところ暑いこととコロナ禍で,お昼間に外出する気がまったくなくなってしまったのですが,そうでなくても,日が暮れたあとの世の中はとても落ち着きます。今や,星を見るのでなくても,深夜の人が少ない時間に車を走らせるほうが気持ちがいいです。
それにしても,夜になっても気温は30度くらいあって,星を見ながら汗が出てくるような経験は珍しいことでした。
やっと晴れたか!夏2020⑦-月明かりの中のネオワイズ彗星
2020年はおかしな年です。まるで,天が人類を試しているかのようです。
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梅雨入りをしたら,まったく晴れなくなりました。日照時間は例年の3割だそうです。そしてまた,まったく台風が発生しませんでした。
何かすべての歯車が狂っているようです。それはおそらく,世界を作った神様のプログラムにバグがあったからなのでしょう。
そんな中,人類が慌てふためく姿を天が視察に来たかのように,突然,明るい彗星が立て続けに地球に接近しました。
そのはじめがアトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS)でした。4月に明るくなって肉眼でも見えるということで,大いに期待しましたが,予想に反して明るくなりませんでした。
次がスワン彗星(C/2020F8 SWAN)だったのですが,この彗星の軌道から,南半球ではその明るい姿が見えたものの,北半球では明け方と夕方の,まだ空が暗くならないころに地を這って見えただけでした。しかも,月明かりが邪魔をしました。
その次がレモン彗星(C/2019U6 Lemmon),そして,極めつけがネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)でした。しかし,レモン彗星もネオワイズ彗星も,最も明るかったころはずっと天気が悪く,いずれも,雲がその姿を覆い隠し,見ることがかないませんでした。
特に「2020年の大彗星」となったネオワイズ彗星は残念でした。私はその姿見たさに北海道まで足をのばすことになりましたが,幸い,北海道でその美しい姿を見てきたことは,すでに書きました。
さて,7月31日。ついに晴れました。自宅で青空を見るのは1か月ぶりのことでした。すでに7月の新月はとうの昔に終わり,南の空には,1番目の写真のような月齢10の明るい月が星の光を隠していました。いつもなら,こんな月の明るい時期に星見などしません。しかし,久々にやってきた晴空だったので,ネオワイズ彗星を見にいくことにしました。
ネオワイズ彗星は,2番目の写真のように,さすがにもうずいぶん暗くなっていたのですが,それでも簡単に双眼鏡で見ることができました。北海道で見てきたときとは位置も変わり,4番目の写真のように,今はかみのけ座にいるので,もし,月明かりがなければ,かみのけ座の銀河団とともに,その姿を美しく捉えることができたことでしょう。それがとても残念でした。また,3番目の写真のように,そのお隣にいるレモン彗星は,すでに9等星まで暗くなっていました。
それでも,このふたつの彗星を,やっと自宅から1時間ほどの場所で写すことができて,この晩は満足しました。そして,月明かりを恨めしく思いました。おそらく,北海道に行っていなければ,この日がネオワイズ彗星を見る最初の晩となったことでしょう。そして,非常に残念に思ったことでしょう。
やっと晴れたか?夏2020⑥-ネオワイズ彗星は再び雲の上
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梅雨の季節とはいえ,これほど晴れないものなのでしょうか? それとも,これほど晴れないのは今年だけのことなのでしょうか? 前回青空を見たのはいつのことなのだろうか,もう忘れてしまいました。
楽しみにしていたネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)でしたが,まったくその姿を見ないで終わってしまう人が少なくないことでしょう。ヘールボップ彗星(C/2015O1 Hale-Bopp)以来23年ぶりに0等星まで明るくなって,北斗七星よりも長い尾を引いた世紀の大彗星,それも,明け方でなく,夜9時ころの北西の空に見ることができたというのに,ずっと天気が悪く,晴れを待ちわびるうちに,すでに明るかった全盛期は過ぎ去り,今は,4等星ほどまで暗くなってしまったといいます。
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子供の頃から星空に興味をもっていたとはいえ,大した機材も持たず,また,せっかく買った機材さえもほとんど使うことなく,ディジタル化の波にも乗り遅れていた私が,今のように,どうにか,実際に頻繁に星見をするようになった動機は,2013年の年末に地球に近づいたアイソン彗星(C/2012S1 ISON)でした。
太陽に接近して消滅してしまい,期待外れに終わったアイソン彗星ではありましたが,それを機会に機材を整備し,星を見に行く場所も見つけたので,それ以来,私は,彗星の写真を撮る楽しみを覚え,日本から見ることができる10等星より明るくなった彗星はすべて写すという目標をもって,これまで,数多くの彗星を写真に収めてきました。しかし,明るくなってもせいぜい6等星くらいで,肉眼ではっきり確認できる彗星どころか,双眼鏡でさえ見ることがむずかしいような暗い彗星しか現れなかったのを,とても残念に思っていました。
一度でいいから,1997年に明るく見えたヘールボップ彗星,までとはいわずとも,明るい肉眼彗星を再び見たいものだと思っていました。そして,ついにそれが現れました。ところが…。
2020年は大変な年になりました。人間はわずか100ナノメートルほどの小さなウイルスの餌食となりました。このちっぽけな地球から逃げだす場すらないということを,私は実感しました。
しかし,そうした災いが起きても,依然として人間は愚かなままです。助け合うどころか,逆にいがみ合い,その災いを外交や政治の道具にしたり,金儲けの手段にしたりと,まったく懲りないのです。せめて,空の上の出来事くらいは,そうした人間社会の愚かさを離れて楽しむことができれば,と思っても,明るくなると予想されたアトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS)もまた,そんな人間をあざ笑うかのように,期待外れに終わりました。しかし,もし,このアトラス彗星が明るく輝いたとしても,自粛とやらで,そんなことをしてもまったく無意味な屋外の広場でさえ閉鎖されていたので,それを見る場所もありませんでした。
そしてまた,予想を超えて明るくなったネオワイズ彗星が近づきました。。昔なら,この災いを彗星=ほうき星のせいにしていたかもしれません。しかし,これもまた,人間の愚かさをあざ笑うかのように,天は低く垂れ込めた厚い灰色の雲でその姿を遮り,ほとんどの人は,それをまったく見ることができませんでした
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私は,これまで10等星くらいの暗い彗星まですべて写してきたのにもかかわらず,これほど明るい彗星を見損ねることが自分にとても許せませんでした。そして,なんとかその姿をひとめ見ようと,急に思い立って出かけた北海道でした。願いはかない,このネオワイズ彗星の長い尾を引いた鮮やかな姿を,確かに,この目で見ることができたのは,とても幸福なことでした。
今日の1番目と2番目の写真はそのときに写したものです。特に,2番目の写真に一緒に写った北斗七星と比べてみれば,尾の長さがわかるというものです。そして,3番目の写真は,国立天文台がハワイ島マウナケア山で写したものです。
もし,この彗星の接近があと数か月早かったら,おそらく私は北海道に行くことすらできなかったことでしょうから,彗星が見られたのは幸運なことだったのかもしれません。しかし,北海道から帰っても,依然として連日天気は悪く,つい1週間まえに快晴の北海道でネオワイズ彗星を見たことがもはや夢のようで,彗星は再び雲の上のものとなってしまいました。
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まもなく梅雨が明けます。そうしたら,また,青空はもどってくるのでしょうか?
空の上には,暗くなったとはいえ,7月から8月の夜空には,まだ,ネオワイズ彗星を見ることができます。さらに,これもまた,暗くなりつつあるとはいえ,レモン彗星(C/2019U6 Lemmon)も輝いています。
再び,こころ置きなく美しい星空が楽しめる日が来るようにと祈ります。星に願いを込めて。
やっと晴れたか?夏2020⑤-ついにネオワイズ彗星を見た。
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一向に晴れません。これでは世紀の大彗星「ネオワイズ」(C/2020F3 NEOWISE)を見ることもなく終わってしまいます。それが残念で仕方ありませんでした。これまでどれだけこうして世紀の瞬間を見損ねて後悔したことでしょう。こういうトラウマはずっと後まで尾をひきまます。
運というのは自らつかみにいくものです。…ということで,何とかならないかと天気予報をにらむこと,日本でかろうじて晴れているのは北海道と沖縄くらいのものだと悟りました。ネオワイズ彗星は北斗七星に近く,北に行くほど高く見えるので,沖縄は却下して,北海道に狙いをつけました。週末は晴れるという天気予報を信じて,7月16日木曜日から3泊で行ってきました。そして,彗星をこの目で見てきました!
旅の様子はまた後日書くことにして,今日は彗星の話です。
北海道,私が選んだのは留萌でした。しかし,16日は残念ながら夕方から曇ってしまい見ることができませんでした。翌日17日は午前中は曇っていましたが,午後から晴れてきました。せっかく来たからには少しでも条件のよい場所でと,留萌から2時間30分かけて,サロベツ原野まで行きました。そして写したのが1番目の写真です。
サロベツ原野を北に北に走っていくと,街灯のない絶好の展望台を見つけました。空が暗くなるのを待っていると,現地在住のカメラマンの方が彗星を写しにやってきました。そこで仲よくなって,楽しい時間が過ごせました。
北極星が見えだしたころ,まだ肉眼では彗星は確認できませんでしたが,おおよその位置を広角レンズで写してみると,彗星が簡単に写って驚きました。目を凝らすと次第に肉眼でも見えました。そして,空が暗くなると,あざやかな彗星の姿が浮かび上がりました。
サロベツ原野からは利尻富士が見えます。そこで,魚眼レンズで利尻富士と彗星一緒に写すことにしました。この晩は流れ星がたくさん現れ一緒に写すことができました。3番目の写真です。また,ISS(国際宇宙ステーション)まで見ることができました。ISSも一緒に写すことができたのに,そのチャンスを逃したのが贅沢なこころ残りとなりました。
翌日18日。その次の日19日は早朝に留萌を発って朝9時40分発の飛行機で新千歳空港から帰宅です。そこで,前日と同じようにサロベツ原野まで行ってしまうと,その次の日の朝がたいへんなので遠出はあきらめ,留萌から少し海岸線を北に走ったところで海岸に降りられる場所を17日の夕方に見つけておいたので,そこで写しました。それが2番目の写真です。前日の晩に彗星の様子はわかったので作戦を立て,この晩は彗星全体の姿を捉えることを目的としました。レンズの画角は55ミリ。ネオワイズ彗星はこんなに広い画角でも尾がはみ出てしまうほどの大彗星でした。
こうして,私は北海道まで出かけ,ついに念願のネオワイズ彗星を見ることができました。この機を逃さず行ってみてほんとによかったと思いました。もし行っていなかったら,この先もずっと後悔しながら生きていくことになったことでしょう。
彗星は思ったよりずっと明るくて,北斗七星ほどもある尾をひいた美しい姿を肉眼でもはっきり見ることができました。こんなに明るい彗星を見たのは「1997年の大彗星」とよばれるヘールボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp)以来23年ぶりのことでした。感動しました。
やっと晴れたか?夏2020④-ネオワイズ彗星は雲の上
ネオワイズ彗星(C/2020F3 NEOWISE)は,赤外線観測衛星「NEOWISE」によって2020年に発見された彗星です。以前,このブログにかいたネオワイズ彗星(C/2016U1 NEOWISE)とは別物です。
2020年3月27日,2009年アメリカ航空宇宙局(NASA)によって打ち上げられた赤外線観測衛星「NEOWISE」の観測から発見されました。こちらのネオワイズ彗星もまた,オールトの雲(Oort Cloud) から飛来してきた天体とされています。
オールトの雲というのは,太陽系の外側を球殻状に取り巻いていると考えられている理論上の天体群で,1950年オランダの天文学者ヤン・オールト(Jan Hendrik Oort)が,水,一酸化炭素,二酸化炭素,メタンなどの氷が主成分である長周期彗星や非周期彗星の起源として提唱したことに由来します。
ネオワイズ彗星は,発見当時は17等星でしたが,予想を越えて急激に明るくなり,6月30日には0等星にまでなったそうです。2020年7月3日に太陽に最も近い近日点を通過しました。地球上からは,夜明け前の空の低い位置に尾をなびく様子が肉眼でも観測されています(1番目の写真)。
日本でも,現在は明け方の北東の空低くに見え,やがて太陽を回り込んで,7月中旬からは日没前の北西の低空で見えるようになり,7月23日に地球から約1億300万キロメートルまで接近します。
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と,高らかに歌って,この彗星の私が写した写真をブログに載せる予定でしたが,
晴れません。
しかたがないので,国立天文台がハワイ島マウナケア山頂で写した写真を載せることにしました(3番目の写真)。
このところ,ずっと雨です。この先もまたずっと雨です。久々にやってきた明るい彗星を写すこともなく月日が流れていってしまうのでしょうか。
雲の間からのぞく彗星を写しても大した写真が写せるわけでもないのですが,なんとか少しでも星の見える日があれば写してみたいと準備だけはしているのですが,毎日,無残にもその期待は裏切られてしまいます。そしてまた,美しい写真を手に入れようと思うのなら,天気のよい日に空の暗い場所まで出かけて撮影したいものですが,その希望はかなうのでしょうか? どうしても,というなら,梅雨のない北海道か梅雨の明けた沖縄に行くより方法がないのかもしれません。
私がこれまでに見た最も明るい彗星は,ヘールボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp)でした(2番目の写真)。長く生きているとこういうものも一度くらいは見られます。ヘールボップ彗星はものすごく明るくて,これを見た経験があるので,もし,ネオワイズ彗星が見られなかったとしても,なんとか我慢ができるというものですが,明るい彗星を見たことのない人にとってはとても残念だろうと思います。
もし,南半球でしか見られないというものなら,それでもあきらめがつくのでしょうが,晴れていれば簡単に見られるものが,雲があることで見られないというのは,悔しい限りです。
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これまで何年もの間,消滅してしまったアイソン彗星(C/2012S2 ISON)以来,ずっと明るい彗星がみられなかったのに,突如このところ立て続けに明るい彗星が地球に接近しています。というのに,これもまた明るくなるという評判倒れに終わったアトラス彗星(C/2019Y4 ATLAS),条件最悪だったスワン彗星(C/2020F8 SWAN)など,そのすべてが満足に見られません。
コロナ禍だけでなく,ついに,星空もまた,人間を見捨てしまったのでしょうか?
☆ミミミ