●知らなければただの石●
では今日も私が歩いた順にラハイナの見どころを紹介していこう。
1番目の写真は「パイオニアイン」(The Pioneer Inn's)である。
ラハイナ港のすぐ目の前にあるこのホテル&レストランはラハイナのランドマークとなっている。ここは1901年に創業したマウイ島最古のホテルであり,ハワイ全体でも初期のころに誕生したホテルである。アメリカンスタイルの風情と古めかしさを感じる外観は,ハワイ,そしてオールドアメリカンの良き時代を体現している。
内装はもちろん改装がなされていて,インテリアの細部にまでこだわりが感じられる客室はどこか懐かしい雰囲気に満ちているのだそうだ。内部の壁には捕鯨時代初頭の鯨捕りの様子や捕鯨船の写真,捕鯨用具などが展示されているが,このホテルがオープンした1901年には,すでにクジラの油に代わり石油の時代となっていたという。
レストラン「パイオニア・イン・グリル&バー」では,昔ながらのアメリカの雰囲気にあふれたランチやディナーを堪能することが可能であるという。
2番目の写真は「ボールドウィンホーム」(The Baldwin Home)である。
ここは19世紀に米本土からマウイ島に移住した,宣教師で医師のドワイト・ボールドウィンの邸宅で,1834年に建設された旧邸宅はのちに改装されて,現在は博物館となっていて,当時の生活を垣間見ることができる興味深い展示が並んでいるという。
そして,3番目の写真が「ハウオラの石」(The Hauola Stone)である。
この石は,そのことを知らなければ見逃してしまうただの石であるが,実は「魔法の石」なのである。
ラハイナ港の岸壁の海側にその石はある。この石は,ここで出産すれば富と健康が約束されると信じられハワイ王族たちが出産の場所にしていた聖なる石なのである。よって,ここに座ると子どもを授かることが出来るとか,海に向かってこの石に座り,寄せる波に足を洗わせると,病気や怪我が治った,生まれたこの臍の緒をこの石の上に置くと,その子は強く健康に育つなどとの言い伝えがある。
最後の写真がカメハメハ3世スクールという名のついた学校である。
カメハメハ3世(Kamehameha III)はハワイ王国第3代の王である。1825年,兄カメハメハ2世の死を受けて即位したが,1832年までは義母カアフマヌが摂政を務めた。カアフマヌはカメハメハ2世に洗礼を施しハワイの伝統的信仰を廃するなどしている。
当時ハワイは重要な捕鯨地域として,また砂糖の産地として注目されていたが,。こうしたなかでカメハメハ3世は王国の改革に努め,1840年にハワイ語の憲法を制定し1840年代半ばにはイギリス,フランス,アメリカから独立国として承認された。
しかし,憲法制定後の政府では白人が要職を握り,ハワイ人が主体的に政治参加することが妨げられていた。近代的な土地制度も導入されたが私有観念の希薄なハワイ人が土地を失う結果に終わった。