しない・させない・させられない

Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.

USA50州・MLB30球場を制覇し,南天・皆既日食・オーロラの3大願望を達成した不良老人の日記

タグ:ハルシュタット

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 ウィーンに憧れ,行ってほれ込んでしまったオーストリアでした。行けるとも思っていなかったザルツブルグ(Salzburg)も望外に訪れることができて,さらにほれ込んで,2度目の2019年晩秋にはハルシュタット(Hallstatt)にも行くことができました。
 「地球の歩き方」を読んでみると,オーストリアには,さらにさらに魅力的なところがたくさんあるのですが,アメリカと違って,車を借りて走り回れるとはどうも思えず,かといって,公共交通機関を使って旅をするには,かなりの計画性が必要だなあ,と思っていました。そんな折にコロナ禍になってしまい,旅は中断したままとなっています。
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 「3度目の壁」。
 これまで,いいなあと思ってリピートしたところは世界中に数あれど,3度目のリピートをするほどの魅力のあるところは少ないものです。しかし,これまで2度行ったオーストリアはすばらしいところ,また旅ができるようになるとは到底思えないこのごろですが,もし可能になったとしたら,「3度目の壁」を越えて,真っ先に行ってみたい国です。
 また,私にはオーストリアは高値の花でもあります。それは,美しい女性を遠目で見るだけなのと同じで,なかなかその実態がわからないということです。その理由は公用語がドイツ語ということも理由です。気楽にオーストリアの山岳地帯の民宿に泊まれると思えないと,怖気づいていて,どうも英語圏のように気楽に旅ができないと思ってしまうのです。若いころにもっとまじめにドイツ語を勉強しておけばよかったと後悔しています。

 歴史的に見れば,オーストリアは大国でした。戦争に敗れ,小国となり,現在,オーストリアは自治権をもつ9つの連邦州(Bundesländer)からなる連邦国家です。
 州には独自の司法制度をもたず,また,立法も,外交・国防や金融財政から商工業・文化・医療などにわたるまでが連邦政府の専権事項となっているので,州といってもアメリカのような独立したものではありませんが,州民の郷土意識は強いといいます。
 9つの州は次のものです。
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 ①ブルゲンラント州(Burgenland)
 ②ケルンテン州(Kärnten)
 ③ニーダーエスターライヒ州 (Niederösterreich)
 ④オーバーエスターライヒ州 (Oberösterreich)
 ⑤ザルツブルク州(Salzburg)
 ⑥シュタイアーマルク州( Steiermark)
 ⑦チロル州(Tirol)
 ⑧フォアアールベルク州( Vorarlberg)
 ⑨ウィーン(Wien)
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 私がオーストリアで,ウィーン,ザルツブルグの次に行きたかったのが,このハルシュタットでした。ところが,ハルシュタットという名前は有名なのに,調べても,どこにあるのか,それが地名なのかさえ,なかなか把握できませんでした。私がハルシュタットに行こうとしてやっと見つけて参加した現地ツアーも,ザルツカンマーグートへの旅,とありました。今度は,ザルツカンマーグートって何だ? という感じでした。
 調べてみると,次にことがわかりました。
 ザルツカンマーグート(Salzkammergut)は地方の名前で,先に書いた9つの州のうちオーバーエスターライヒ州とザルツブルク州にまたがるオーストリアの観光地です。ザルツブルク市の東方に位置します。ザルツカンマーグートは「塩の御料地」の意味で。かつて,この地方の価値ある塩鉱がハプスブルク帝国の帝国直轄地だったことに由来しています。
 私が憧れた,そして行くことができたハルシュタットは,オーバーエースターライヒ州に属する小規模な基礎自治体「ゲマインデ」(Gemeinde)のことで,ザルツカンマーグート地方の最奥に位置する景勝地ということでした。ハルシュタット湖(Hallstätter See)の湖畔にあって,周辺は,ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」として、ユネスコの世界遺産に登録されています。
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 「世界で最も美しい湖畔」といわれるように,期待どおり,素朴で美しいところでした。
 ウィーンから日帰りで行くには遠く,一時はあきらめていただけに,本当に行くことができてよかったと思います。それに加えて,私がこころに残るのは,その途中のバスの中から見たアルプスの景色でした。こんなに美しい山村があるのか,と思いました。

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JWST reaches its final destination a million miles from Earth.

The James Webb Space Telescope has reached its final destination, almost a month after launch.
JW

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「しない・させない・させられない」とは
「Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait.」とは

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世界遺産であるハルシュタットは,風光明媚なザルツカンマーグート地方の中でも特に美しいといわれる岩塩採掘の町です。「世界の湖岸で最も美しい町」ともいわれ,映画「サウンド・オブ・ミュージック」の撮影にも使われました。
ハルシュタット(Hallstatt)というのは「塩の場所」という意味なのです。船着場に塩を運んでいる人の石像がありました。2002年,この地で古くから使われている塩坑から世界最古の木製の階段が発見されたことで,この地の人々は昔から岩塩を洞窟から掘り出して生計を立てていたのではないかと推測されるようになりました。また, 靴や衣服の切れ端,塩を運び出すのに使われていた道具も見つかりました。塩漬けのハムが盛んに作られていた痕跡も見つかっています。この,今から7,000年も前から行われていたという塩の採掘は現在も続いています。
海のないハルシュタットで塩が採れる理由は,約2億5,000万年前,この地域には海があったからです。地殻変動で海が山の間に取り残され塩湖が造り出され,その塩湖の水を,太陽が長い時をかけて蒸発させ,天然の塩が作られました。そこに土砂やマグマが流れ込み,塩の層は山の奥底に追いやられましたが, 人類が塩辛い水が山から流れ出ているのを見つけたことで,塩を掘り出すようになったのです。

船着場から湖沿いにゼー通りを歩いて行くと,マルクト広場に着きました。この先さらに歩いて行こうとすると,なんと通行止めになっていました。実は,この日,ハルシュタットには火災が発生していたのです。以下は新聞記事です。
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【AFP=時事】
国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録されているオーストリアの湖畔の町ハルシュタット(Hallstatt)で,11月30日,火災が発生した。複数の建物が焼けたものの,消防隊の活躍により,さらなる延焼は防がれた。
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ということで,偶然,こんな事件のあった日にハルシュタットに行ったわけですが,このあたりの家が哀れににも丸焦げでした。仕方がないので高台に続く坂道に迂回しました。そのまま歩いて行くとハルシュタットの町のはずれの最も見晴らしのよい場所まで行ったので,そこで写真を撮ってから引き返すことにしました。
帰る途中,高台にカトリック教会がありました。土地の狭いハルシュタットでは墓地の場所が十分にとれないので,埋葬後10年ほどすると遺骨を取り出して次の遺体を埋めるという風習があったそうです。取り出した遺骨はバインハウスという教会の裏手にある納骨堂に収めらていて,それを見ることができるということだったので見てきました。

船着場に戻る途中で軽い夕食をとりました。バスの集合時間は午後4時10分。ウィーンに帰るのは午後9時ということだったので,腹ごしらえです。しかし,帰る途中でドライブインで30分ほどの休憩があって,その時間に夕食がとれるのでした。
帰りのバスは行きとは異なり,飛ばしに飛ばし,4時間30分ほどでウィーンに戻りました。こうして私は念願のハルシュタットに行くことができたのです。
ニュージーランドでミルフォードサウンドに行ったときと同様,バスの運転手はこのコースを走りなれているようで,手慣れたものでした。それにしても,仕事とはいえ,こんな長距離を毎日のように走っていることに感心しました。しかし,往復10時間,運転手ひとり。日本なら問題になるのでは? とも思いました。

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昨年行ったザルツブルグとは違い,私は,ハルシュタットで何をしたいということもなく,だた美しい景色が見たかっただけでした。そこで,ハルシュタットがどういうところかも,どこにあるのかさえも,正確には知りませんでした。
昨年オーストリアに来たときはもっと何もわからず,しかし,結局,ザルツブルグにも行くことができて,しかも,ザルツブルクの市内観光どころか祝祭劇場の見学までしたのですが,ウィーンに到着するまで,まさかザルツブルグに行けるなどとは思ってもいませんでした。この夏にフィンランドに行ったときもまた,ムーミンワールドなんてそんな遠いところに行けるのかしら,と思っていましたが,結局,行くことができました。近頃は,というよりも,私の旅はこれまでもいつもそんなものです。
このように,旅はいくら事前に調べたところで,実際に現地に行ってみないとその状況がよくわからないのですが,それでも比較すると,海外のほうが日本よりもずっと旅行がしやすいのです。実際めんどうなのは日本国内の旅行で,必要のない情報は山ほどあれど,JRの複雑怪奇なチケットの購入方法をはじめとして,言葉がわかるから何とかなるものを,こんなわけのわからない国はほかに知りません。
話は逸れますが,そもそも,モノひとつ買うのに,どうしてあんなにたくさんの支払い方法があるのでしょう。何事につけて,日本は本当にばかげた国だと,海外旅行の経験が増すにつれて,ますます,あほらしく感じるようになってきました。
さて,話を戻します。ハルシュタットで,私がおぼろげながら知っていたのは,船で湖を渡らなければ着けない町であることと,例のごとく「自撮り棒をもって黒いレンズの入ったサングラスをかけやたらと声のでかい」某国の団体さんばかりがあふれている,ということでした。その,某国の団体さんと聞いただけで行く気が失せるというもので,私はハルシュタットの風景は見たくても,それを知ってテンションも下がり,まったく期待をしていませんでした。

やがて午後2時,バスはハルシュタットに到着しました。
ウィーンを出発してから途中アドモントに寄ったのでさらに時間がかかり,結局6時間のバス旅でした。先に書いたように,私は,ハルシュタットは船でなければ行けないと思っていたので,バスを降りて,どこで船に乗り替えるのだろうと思っていたのですが,そうではなく,列車で行ったときにバルシュタットの最寄りの駅がハルシュタットとは湖の対岸にあって,そこからハルシュタットに行くには湖を船で渡る必要があるというだけで,バスであればハルシュタットの町の船着き場の前の広場まで行くのでした。
ハルシュタットでの滞在時間は2時間ということでした。すべて自由行動だったのですが,バスのガイドさんがバスを降りるまえに3,4つの観光モデルコースを説明してくれました。そのなかにはハルシュタット塩孔へ行くケーブルカーもありましたが,途中の展望台までで,塩孔までは時間がないから行かないで,と言われました。私は自由行動といわれても困ってしまいます。ケーブルカーに乗ろうとも思いましたが,往復するだけで時間がすぎてしまいそうだったので断念しました。狭い街でもあり,きままに歩こうかな,と思っていると,なんとなく,同じツアーにいた中国人の女性ふたりと歩くことになったのでした。
予想通り,ハルシュタットは「自撮り棒をもって黒いレンズの入ったサングラスをかけやたらと声のでかい」某大国の団体さんばかりでした。それはニュージーランドのテカポ湖も,日本の馬籠やら京都やらもまた同様な状況です。それでもハルシュタットの町の美しさはそれを凌駕するものでした。

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昨年は5泊7日でしたが,今年は4泊6日のオーストリアの旅なので実質3日,その3日目最終日はハルシュタットへのツアー旅行です。

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私のように,ひとりできままに海外を旅していると,いろんな人に出会います。ヨーロッパへ行く便にも,さまざまな人が乗っています。ヨーロッパに住んでいるという日本の人が意外と多いのも私にはおどろきです。
行きのセントレア・中部国際空港で搭乗を待っていたときにお話をした男性はヘルシンキに住むという芸術家でしたし,すでに書いたように,機内ではお隣にパリに住んでいるという女性が座りました。
そうした旅慣れた人たちとは別に,ヨーロッパ便では団体ツアー客が多いのも特徴です。今回も,ツアーでウィーンに行くという中年の女性たち(男性はほとんどいない)は,ウィーンでウィーンフィルを聴くんだ,とか言っていましたが,あの人たちは,ウィーンに行けばウィーンフィルが聴けるものだと思っているようでした。こうした人たちは,雑誌やテレビ番組などで得た情報だけは豊富ですが,まあ,要するにミーハーです。
以前ニュージーランドに行ったとき,これまで星も見たことがなく知識もないのにテカポ湖の星空観察ツアーに参加して,北極星を探している人がいましたし,アラスカでは,オーロラ見たさにそれが肉眼でどう見えるかも知らずにやって来て想像とは違ってがっかりしていた人がいました。さらには,ウユニ塩湖に行って,満月が反射して美しかったという人の話も聞きました。ウユニ塩湖の星空は月明かりがないからこそだと私は思うのですが…。また,日本の美術展にはフェルメールの絵画を見るために殺到しても,現地では目の前にそれがあるのに素通りする人など。
まあ,何事も人それぞれなのでかまわないのですが,観光業というのはそうした無知な人たちをお得意様として存在しているようです。そしてまた,オーバーツーリズムを支えている(?)のもそうした人たちです。
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そこで,きままに旅行をするには,そうした集団とは一線を画すことがいかにできるかということが知恵の見せ所となるわけですが,それもまた難しいのです。私はそうしたツアーに参加してもストレスがたまるだけだから個人で旅行し,空港では歩き回らず搭乗時間までラウンジで過ごし,滞在先のホテルもなるべく団体ツアーの泊らない小さなところを探し,現地での行動も車を借りるか公共交通を利用するようにしています。
しかし,そうしようとしても,ニュージーランドのミルフォードサウンドなどのように個人ではアクセスすることが難しい場所もあって,そこに行くことは個人ではたいへんです。そこで,そうした場合は現地ツアーをさがすことになりますが,個人旅行者の寄せ集めである現地ツアーは参加してとてもよかったというものが決して少なくありません。
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今回の旅では,ハルシュタットに行きたかったのですが,まさに,このハルシュタットが難物でした。私は公共交通機関を利用すれば簡単に行けるものだと思っていたのですが,それは間違いでした。行くのをあきらめていたのですが,どうにか現地ツアーを探し出すことができて予約をしたというわけでした。
さて,どんな旅になるでしょうか? 期待が半分,不安が半分,でも,念願のハルシュタットに行くことができるのは喜びであり楽しみでした。

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